本当は他の連載策の続きを書き進めたい気持ちはあるんですが……最近ストレス多くて、ハッチャけた奴以外は面白く書けない心理状態に…。
幾人かのオリ主を使った作品で(ハイドとか)テンション上げて立ち直り目指してますので、連載策を待って下さる方は今しばしお待ちを。
私の名前は、キョン。――ですウサ。
聖光国にある、『ラビの村』で仲間たちと一緒に暮らしている『バニー族』の村人。・・・なんですピョン。
私たちバニーのご先祖様は、大昔に悪い悪魔と戦って世界を守ってくれた智天使様から『見た目を愛でられた』という伝説があることから、亜人に冷たい人間の人達からも集まって村で暮らすことを許してもらえてて。
私たちだけが生まれ持ってる『特有スキル』のおかげで、この大陸だと作れる人が少ない人参を栽培して売りに出せる種族として重宝もされている。
・・・・・・けど・・・それでも・・・・・・
「キョン、そっちの人参は?」
「ダメ・・・・・・細いから売値が落ちちゃう。モモちゃんの方は?」
「こっちも良くない。水の魔石、また買いに行かないと・・・」
畑から引き抜いた人参の育成具合を見て、同じ村で生まれ育った幼馴染みのモモちゃんと一緒になって溜息を吐くしかない気持ちを共有させられちゃう・・・。
確かに聖光国では私たちバニーしか人参を作れないから、売りに出せれば高値で売れるんだけど・・・・・・栽培に必要なお金が売れる値段より高くなっちゃってたら意味がない。
村の人口が一気に倍増でもしない限り、人参を作れる数は去年までと大きく変わらないわけだから、同じ数の人参を栽培するために使う魔石の量が去年より増えちゃったら当然、村の蓄えは去年よりも少なくなるしかない。
「最近、値上がりしてるのにね・・・・・・土の魔石も・・・こんな荒れ地だから、魔石がないと人参なんて育てられないのに・・・」
「この国だと私たちしか人参が作れないから高く売れるけど、こう魔石の消費が激しいとね・・・」
「けど・・・それでも他の地域よりはマシでもあるんだよね・・・東の方とか、もっとヒドいって噂だし・・・」
原因は、ここ数年あんまり雨が降らなくなって、大地が乾いてしまってるせい。
乾いた大地は、人の心まで渇かしてしまうのかもしれない・・・この村から出て行く人も最近では増えていく一方。
それでも私やモモちゃんは、この生まれ育った村を捨てる気持ちにはどーしてもなれなくて残り続けてるけど、それだっと限界が近づいてるのは肌で感じさせられてる日々を送っている。
大地からは徐々に緑が失われ、ゆっくりと、だけど確実に荒野と化していく私たちの生まれ育った場所、ラビ村。
過酷な自然環境と、過疎化の脅威にさらされながら、未だこの村にしがみついている私たち。
乾いていく人の心と、乾いていく大地に、追い詰められてく私たちバニー族。
――ああ・・・・・・それなのに、どうしてなんだろう――
「―――・・・・・・」
ふと私は顔を上げて、雲一つない空を見上げる。
今はまだ見えないけど、夜になると姿を見せてくれる、黄色くて形を変える、お空の月。
その姿を思い出すと・・・・・・なぜだか最近、スゴク焦りを感じてしまう気がして仕方がない時がある――のピョン。
自分がいるべき場所へ帰らなきゃ行けないような衝動――遠くない未来に自分に自分に帰って行くような予感・・・・・・いるべき場所、帰るべき故郷・・・ラビの村で生まれ育ったはずの私にあるはずがないものを、最近の私は自分の内側から感じさせられてる気がして仕方がなくて―――
「あ、アレってルナ様じゃない?」
「――え? ルナ様って・・・・・・この村の領主になってくれた聖女様の?」
空を見上げたままボンヤリしていた私の耳にモモちゃんの声が届いて、私の意識は地面の上に帰ってきて視線を向けた先に見覚えのあるピンクの髪色を見つけることになる。
「・・・試しに、ルナ様にお願いしてみれば何とかなるかも知れない。ずっとは無理でも、必要な魔石を安く融通してくれるぐらいならなんとか・・・」
「え、えぇぇ・・・? でも、ルナ様はたしかに良い人だけど、そういうのはちょっと・・・教会から来てる管理官の人にいっつも言いくるめられてるし・・・」
「ダメでもともと。魔石も魔法からみと言えばからみだから、ワンチャン――」
「あ! ちょ、ちょっとモモちゃん! ちょっと待って待ってよ~~っ」
私より生真面目で責任感もある性格だからなのか、モモちゃんは村のためになると思ったらけっこう過激なこともできちゃう所があってハラハラさせられる。
慌てて後を追いかけて、一緒に聖女様のもとにお願いしようと横まで走っていって駆けつけて、ルナ様と一緒に村にきていた2人の人達――人、だよね・・・? うん。
多分だけど、人間っぽい見た目の女の子さんたち2人の方にも、好意を得やすくするため礼儀と愛想を向けるために顔を向けて。
小っちゃくて金髪で、お姫様みたいな印象の女の子の隣に歩み寄ってきてる途中だった、半分ぐらいしか顔は見えないけどスッゴク綺麗な顔立ちをしてるっていうことだけはハッキリ分かる方の女の子の姿も見つめ、そして
「ぴょ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッんん!?!?!?」
「うわっ!? なに!? なんですか!? 何かしましたか私いったいナニをッ!?」
いきなりコッチを見てきたと思った途端に、ビックリ仰天おったまげまくったとか言いたそうな態度と仕草と表情とセリフ付きで叫び声あげてくるウサ耳つけた変なお姉さん!
その反応には、さすがに私でも驚きますわ! って言うか傷つくわッ!!
初対面の人の顔見たとたんにスゲー顔して悲鳴上げるとか、地味に傷つきますから辞めてくださいよ本当に!?
頭からウサ耳生えてる以外は、普通の人間と何も変わらない美少女から、この反応された元男子のTS転生者エルフ的には死にたくなっても知らんですぞホントの本当に!?
「ちょ、ちょっと魔王! アンタいったいバニーたちに何やったのよ!? 何やってたのよ!?
ま、まさか村に来るまえから智天使様も愛でたという見目麗しい彼女たちを狙って・・・・・・!! イヤ~~ッ!! いやらしいっ! いやらしいわ! いやらしすぎるのよ! このドスケベ変態H大魔王ッ! 近寄らないで!妊娠しちゃ~うッッ!!」
「誤解です! 冤罪です! 事実無根ですッ!
“今回は”私はなにもやっていません! 今回はですが――それでも私は犯ってない!!」
「ま、魔王様・・・ッ! バニーさんたちにそんな事を・・・!! ――や、やっぱりイロイロと大きい女の人の方が魔王様は・・・」
「何がですか!? 何が“やっぱり”なんですかねアクさん!? あなた達いったい私をどーいう目で見てんですか一体全体ほんとうに!?
って言うか最初のピンク聖女! アンタの発言内容が一番エロかったでしょうがよ!? どんだけエロ妄想してんですか! この耳年増のロリすけべ性女ーッ!!」
「なっ!? なんですって私に向かって失礼な! 私は16才で立派なレディーで、もう少女じゃないんだから! え、エッチな妄想なんてしてないんだから! 勘違いしないでよね!このヘンターイ!!」
「同じだ~~~~~ッッ!?」
ギャーッ!ぎゃー!ギャ~~ッ!!!と!!
いつも通りいつもの如く、盛大に脱線しまくって3人寄って姦しい騒ぎを起こしまくる私たちでしたが―――今日ばかりはナァナァで済ませるわけには参りません!
私個人の名誉と尊厳と、社会的かつ性的なレッテルがかかっている事案なので妥協は許されず完全解決あるのみです!
元男のTS転生エルフで、夜の魔王あつかいとか嫌すぎるでしょうがよ!? ジャンル変わるわ! R指定時空を飛び越えて、KILLERZになりかねんわ! マニアック過ぎる!
私は「Yes.ロリコンノータッチ」をモットーとする、誠実かつ紳士的な素敵紳士オタゲーマーだった前世を持つ元男の現美少女エルフだと、前々から心の中で思い続けてたばっかでしょーが!? 届きなさい! 私の声には出せない、この想い!!
「え、え~~と・・・あの・・・・・・よく分からないけど、大丈夫ですか? ・・・ピョン。ルナ様。
それにキョンも。・・・どうかした? 急に大声出したりして・・・」
「・・・モモ・・・・・・ちゃ・・・ん・・・・・・・・・」
「――?? どうしたのよ2人とも? この魔王が原因でなんかあったんじゃないの?」
そして私の想いに天が応えてくれたのか、何やら叫んだウサ耳の人の妙な反応によって話題が移動し、騒動の原因もウヤムヤになったっぽかったのでホッとなり、私も彼女の方へと視線を向けて話を聞いてみようという気にもなり。
「モモ・・・ちゃん・・・・・・ルナ、様・・・・・・わたし・・・私、は・・・・・・」
「ちょ、ちょっと本当に大丈夫? しっかりして、キョン」
「この子・・・お医者さん呼んだ方がいいんじゃないかしら・・・? なんだったら私が命じさせて――」
「思い・・・・・・出したッ!―――ウサッ!!」
「どうしました? 転生者学園の英雄さんっぽい人」
なんか聞き覚えのあるフレーズを叫び出されたので、とりあえずツッコんでおくネタ好きエルフな私であります。
それが私たち、麻薬Gメンの使命という奴ですね、ネタ的に。
「モモちゃん・・・そして聖女ルナ様。
私は今、あなた方に話さなければいけないことを思い出したのです。
私には帰るべき場所がある――という事を」
『『え、ええっ!? そ、そんな・・・一体どうして!?』』
・・・・・・ウサ耳少女だからじゃないですかね? 月に帰るとかの話じゃないですかね、セリフの言い方的に考えて。
この異世界に、「竹取物語」があるかどうかは私も知らんですけれども。
「その話を説明するにはまず、私の本当の生まれた場所についてお話しする必要があります。
そう――既に皆さんも察しているでしょうが・・・・・・私は、この国がある惑星世界に生まれた存在ではありません。
この星から遙か遠く離れた外宇宙に浮かぶ、とある星―――《USAセブンティーエイト》と呼ばれている星こそが、私の生まれた本当の故郷。その名前・・・」
「なるほど・・・USAせぶんてーえいと・・・・・・ですか・・・」
「便宜上の略称として、《ウサ78星雲》と呼ぶこともありますピョン」
「知ってます。いちいち言わなくていいです、敢えて無視した気遣いを返してください」
正確には、知ってなかったですけど予想できる名前だったから無視したのにクソぅ・・・宇宙人ってのはコレだから全くぅ・・・。
なんか急すぎる上に色々ありすぎて感覚追いつかんでしょうが!? 狂うでしょうが!? なにが適切か分からんわ!この状況は本当に!!(怒!)
「私は遙かな昔、故郷の惑星を離れて、この星へと降り立ちました。そして長い眠りにつき、目覚めの時を待ったのです。とある目的を達成されるべき、その日までの眠りを・・・」
「眠りって・・・キョン、あなたの目的っていったい・・・私たちが住む、この世界に一体なにをするために――っ」
「うん。モモちゃん、それは――――」
今まで共に過ごし続けてきたらしき親友の顔を真っ直ぐ見つめ、ゆるふわヘアーの髪型をもつ巨乳の方の美少女バニーさんは「ニコリ」と優しく微笑みを浮かべると。
「この星に―――終末をもたらすために。
そして目覚めました。眠りについてから、1999年と7ヶ月が過ぎた日の事でした――ぴょん」
超展開キタこれ。もしくは超古展開キタこれ。
まさかのノストラダムス恐怖の大王、異世界にて復活説。
「そして、私が長い眠りより目覚めてから今日まで、数百年が経ちましたピョン」
「スッゴク気長な破滅もたらす魔王ですな」
2000年近く寝てたのが目覚めて、また眠って再び数百年眠りにつくとか、寝過ぎでしょ普通に考えて。寝てばっかじゃないですか、のび太くんですか。恐怖の大魔王のび太くん説とかマジ要らん。
「えーと・・・・・・よく分かんないんだけど・・・あんたも、グレゴールと同じ魔王なのよね? なんで悪い事しないまま、また寝たの・・・? 改心したとか?」
「いえ・・・・・・実は私が、この世界を破壊し尽くさなかった理由は―――」
「こんなボロボロになった後で、放っておいても勝手に滅びそうな世界なんか滅ぼす価値ないですし、面倒くさいだけでしたし・・・・・・」
『『・・・・・・』』
「目覚めたときには、デストロイ天使とギガ悪魔ロギアが戦った後だったから、前より乾いてボロボロ世界に変わっちゃってましたし。もっと滅ぼす価値なしワールド惑星に」
『『・・・・・・・・・』』
「やることなくてヒマだなーって思ったので、記憶を封じて普通の現地種族の魂に自らを封じ込めてボンヤリと日々を過ごしてたんですが・・・・・・いい加減、故郷の星に帰ろうかなって。
再生して緑に満ちた青い星に戻って、滅ぼしたくなりそーな可能性もなさそうですし、もうどーでもいいかな~って」
『『・・・・・・・・・・・・』』
「ですが、私が故郷の惑星へ帰るためには、この惑星世界のどこかに2000年以上前から眠り続けている、この星へ飛来するときに乗ってきた宇宙船を見つけ出す必要があるのです―――と言うわけで私も皆さんの旅に連れて行ってくださいですピョン♪ 故郷の星へ帰るための宇宙船を探すために☆
ちゃんと旅とか戦闘のお手伝いとかしますから大丈夫ウサ! こー見えて私は回復とか得意なのですピョン!
《アンゴルモア・ヒーリング》とか《999リザレクション》とか! だからダイジョーブ!ぴょん♪」
『『『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』』
こうして、単なる気まぐれで立ち寄っただけなラビの村で、私たちは新たな仲間の『僧侶的ポジション』を担う気らしき、恐怖の大魔王っぽいバニーさんのキョンさんが加入して、次の街へと向かうことになったのでありましたとさ。
「それじゃあね、モモちゃん・・・・・・今まで擬態用の人格と仲良くしてくれてありがとうピョン。この村と皆への想いは、故郷のウサ78星雲に帰った後も決して忘れないと約束するウサ」
「・・・キョン・・・正直少しだけ――ううん、かなり凄く複雑すぎる気持ちだけど・・・・・・でも今まで一緒に過ごした思い出と記憶は偽りのモノじゃなかったのも事実・・・ウサ。
キョンのことは今でも友達だと思ってる。ずっと忘れない――ピョン」
「キョンちゃん・・・・・・私も遠くの星から、みんなのこと見てるからね! みんなの暮らしが良くなって、この惑星がまた緑で水で覆われた青き星になる日がくるって信じてるから!
そうなった日には、きっと私は戻ってくると思う・・・・・・星に破滅をもたらすため滅びの大王として♪♪」
「故郷に帰ったら幸せになれることを祈ってるウサ! 私たちは苦しい生活を耐えながら頑張り続けるから心配しないでいいピョンよ!?
絶対に“生まれ故郷で”幸せになってね!? 人は誰でも自分が生まれた場所が一番だから! 生まれ故郷の地元が一番イイものだから!」
「え~~? でもでも、違う土地で色々な人達と出会ってイロイロなこと経験するのも人生には大事だと思うけどー・・・。たとえば、世界最期の日を一緒に過ごす経験とか」
「地元が一番! 生まれた場所に最後はみんな帰ってくルフラン!! 地元ファ~~ストッ!!!」
という、心温まる別れの挨拶を幼馴染みの親友同士で交わした後に。
故郷に帰って幸せになって欲しいと心から願って送り出されながら、また帰ってくるのは全力拒否して否定されちゃう親友同士、別れの挨拶。
恐怖の骨董品アンゴル大王ですからな~。
来ないのが一番いいし、来ちゃった後には帰ってくれるのが有り難くなって、二度と来ないで別の場所で幸せ手にして永住してくれるのが一番ありがたくて良いことで、第一楽だ~――ってなる気持ちはスゴク分かる存在です。
所詮、人類みなエゴイスト。人類の優しさ皆、独善。人類みな弱者で強者。そんなもんだと私は思う。
まぁ・・・・・・要約しちゃうと、『都合良ければ何でも正論』ってことになっちゃう理論モドキなんですが―――さておき。
それはともかく、次は神都ですよ~。
聖光国の首都らしいですね~、楽しみですわーウフフ♪(現実逃避気味)
こうして、騒がしすぎる上にカオス過ぎる変な魔王パーティーが来訪して、新たな仲間として村の一員だったナニカの正体を連れて行ってしまった日の後。
「・・・・・・よし。誰にも気付かれずに潜入できたようだな・・・急ぐぞ」
『――応っ』
その日の夜の内に、ラビの村へと忍び込んでくる、怪しい人影たちがおりました。
夜の闇の中、真っ黒なフードを被って真っ黒なコートに身を包み、コソコソと人目を気にしながら村の中心近くへと近づいていく数人の男たちらしき姿の者達。
「では、念のため点呼を取る。
我ら、偉大なる第六天魔王様のシモベ様に忠誠を誓った忠実なるシモベのシモベ・・・・・・その名も」
「第六天魔王様のシモベ様のシモベAッ」
「第六天魔王様のシモベ様のシモベBッッ」
『シモベ、C~~~~~~ッッ!!!』
「ば、馬鹿うるさい!? 静かにしろ! シーッ! シーッ! シ~~ッ!!」
「?? いやだから俺は最初から、シモベC~~~~ッッ!!」
「だからウルセーって!? シーッ!シーッ!し~~~~~~っっ!!!!」
・・・・・・本当に怪しい男たちの集団だった。怪しすぎるバカたちの集団とも言える。
これで「怪しくない人達だ」と言う人がいたら、ソイツが怪しくなるレベルで怪しい上に馬鹿すぎる・・・。
ハイ、そうです。
今さら言うまでもなさ過ぎるでしょうが、アクちゃんが生まれ育った故郷の村の村人ですね。コイツラ以外に、こんな馬鹿すぎる事やるバカは他にいません。
もっと言えば、バカが置いてった河童ロボットによる恩恵を受けて第六天魔王教徒の崇拝者にジョブチェンジして、もっと恩恵を与えてもらう為もっと崇拝者を増やそうと布教の旅に出た連中でもあります。
ここまで露骨に欲望丸出しの理由で宗教やってる人達も、コイツラ以外にこの異世界にはいません。コイツらだけいれば十分です。十分すぎるほど腐ってやがる。
「はぁ、はぁ・・・まったく、焦られやがって―――コホン。
では我らはコレより、偉大なる第六天魔王様の偉大さをより多くの者に理解させるため、この地に魔王様のシモベ様の慈悲を与える作戦を実行するものとする。
オ――おぺ? ・・・おべーしょん・ムラムラしどう。こもでぃ~ん列島はつどうッ。総信者、第一主義布教体勢を取れッッ!!!」
『『『応ッ!! 全ては偉大なる第六天魔王様大帝国のために!!』』』
しかも前より更に変なの混ぜ始めやがった!
河童ロボットから聞きかじっただけらしい単語を自己解釈して、勝手に怪しい造語を創り出しやがってるぞコイツラ! 性質悪ィ! 語呂も悪いし語感も悪ぃッ!
「・・・? なにか変な音が井戸の方からしたような気が・・・まぁでも、水が涸れてから大分経つし、そんなところに用ある変な人なんているはず―――!? だ、誰ッ! アンタたちいったい何者なの!?」
「む!? いかん! 第一村人に発見されてしまったか!?」
「く・・・っ! 第六天魔王様の偉大さを理解しない俗物の方々には、言葉で言っても理解できる英知など与えられてはいまい―――仕方がない! 最終手段だ! 行くぞッ!!」
『応ッ!?』
「え!? えっ!? なにっ!? 一体なにがどうなって―――ピョ~~~ッン!?!?」
余りの事態の連続に混乱しまくる村人バニーその1の人! 当たり前の反応してるだけだけどね!
こんな連中と深夜にバッタリ出くわして、適切に対応できる人いたら、それはそれで結構怪しい人の一人だと馬鹿エルフでも多分思う! 自分がソレだとは思いたがらないだろうけれども!
そんな中!!
・・・驚き慌てる村人の見ている前で、怪しげな男たちの一人はズボンの中に手を入れて取りだしたモノを――なんて場所に隠してやがる、とかのツッコミを受けることなく取り出して、村人に背を向けて井戸の方へと投げ込んで―――
――ぽちゃん、と。
水が涸れてから大分経つ、底の方には砂と土しか溜まっていないはずの場所から、水音が一つ。村人の耳にたしかに聞こえた。
「な・・・!? 一体なんで・・・どうして!?」
「フッフッフ――これこそが偉大なる第六天魔王様の御手による力の賜物――つまり、“手力”ですッ!!」
・・・「ハンドパワーです」とか言いたかったのだろうか・・・?
これも河童ロボットによる辞書機能かなんかの影響なのかね? 正直どうでもよすぎる話題の一つではあるのだが。
「この井戸は今より、別世界より来たりし異なる世界の絶対者たる第六天魔王様のシモベより生み出されし眷属様の住まう地となったのです――おめでとう御座います!!
この【井戸の主】――即ち【井戸の魔王様】に絶対者様の眷属様がなった以上、この井戸は二度と涸れることはないでしょう・・・・・・井戸の魔人様が住処とされておられる限りは絶対に!です!!
ご自分の住む場所なのですから当然です! 住み続けている限りは絶対に!!!」
『お、おおぉぉ・・・・・ッ』
「ですが当然――世の中というモノは甘くはないもの。
恩恵を与えられるのは、資格を認められた一部の者達だけ・・・そう、第六天魔王様に選ばれしエリートの特権なのです!
第六天魔王様を崇め、心より崇拝し、忠誠を尽くし、第六天魔王様の敵が魔王様に抗うのを阻止するため戦うことができる勇気を持った存在だけが、エリートとしての資格と身分を保障してもらうことが許されるのです!!」
『お、おおぉぉ・・・・・・おおッ!!』
「第六天魔王様に逆らう者に、恩恵が与えられることはありません。崇拝者だけが魔王様の慈悲を受けられる資格を与えてもらえる!!
・・・祈りましょう・・・・・・私たちと共に第六天魔王様の支配される理想社会の訪れを願って。
第六天魔王様の崇拝者となって、恩恵を与えてもらえる立場となり、我らと共に平等にして完全なる矛盾なき第六天魔王様に仕える者だけが幸福な生を送れる理想的な世界で!!
ソレが許されるのは、第六天魔王様の信徒のみ! それを承知で祈りますか? 祈りませんか!? 『はい・いいえ』どっち!?」
『はいっ! はいッ!! 絶対にハイッ!! Yes! Yes! オールYesダイロークテン魔王サマーッッ!!』
「私も! 私も入るウサ! ラビの村を良くしてくれるなら天使様を捨ててもダイロクテンマオウ様を信仰するから故郷を救って欲しいピョン! あと、世界を滅ぼす魔王からも守って欲しいウサっ!!」
「はいッ! では、こちらが入信のための契約書となります! 一枚、銅貨10枚――のところを、今は布教開始直後キャンペーン中につき、特別に銅貨8枚で配らせていただいております!
しかも! もし15枚払っていただけた方には、同じ入信契約書をもう一枚プレゼント! 仲の良いお友達に送っていただけたなら、その人も今日から第六天魔王様崇拝者の一員に!! 第六天魔王と、君も契約!!」
抱き合わせ商品なのか、テレフォンショッピングなのか、ヒーローショーでの握手会なのかサッパリ分からん混沌としたゴッタ煮会場と化してしまい、短時間にして夜の静寂に包まれていたはずの村が喧噪に包まれてしまった中。
「皆さん! ご静粛に!! これより――第六天魔王様の信者となられた者達だけに伝えられる、特別な教えを開陳いたしますッッ!!」
―――ザワワワッ!?
突如として響いてきた、怪しい信者の一人からの言葉に村人達が一斉にざわめきながら動きを止める。
いつの間にか布教活動の輪から離れて、高いところ探して移動してる奴がいたと思ったら、こんな所にいたらしい。タイミングを計って出てきた模様。
「皆さん・・・・・・第六天魔王様は、魔王様のシモベ様を通じて、我ら最初の信徒達にこう仰っておられました・・・。
“この世は戦国乱世、天下布武。強き者が弱き者を奪うのが戦の習い”・・・・・・と。
つまりコレは、私たちやあなた方弱い立場にある者たちは、力ある貴族や王国や教会や、なにより騎士団という最強の武力集団から簡単に奪われてしまう存在なのだという事実を教えてくれているもの」
「正直に、正々堂々と、力ある騎士達や教会に、弱き我らが魔王様を信仰を語って恩恵を与えてもらったと知れば、必ずや彼らは力づくで奪いに来るでしょう。
・・・・・・隠さなければなりません。今まで通り、何事もなかったように振る舞い続け、平凡で従順な、ごく普通の聖光国の民を装うことで、第六天魔王様への信仰を守り続けなければならない義務が今の皆様にはある・・・・・・」
「第六天魔王様の前に人は無くゥ!! 第六天魔王様のシモベ様の後にも人は無しィッ!!!
魔王様と、魔王様の配下に従わざる者、すべて滅する!!! それこそが、この世の真理なのですからァァァァァァッッ!!!!」
『『『わ、ワァァァァァァッ!!! まおう!まおう! ダイロクテン大まおう様!
L!O!V!E! ラブリーダイロクテン・マ・オ・ウ♡♡♡♡』』』
こうして再び信者を増やして旅費を稼ぎ、布教の旅を続けるため、西へ西へと向かって旅立っていった変な魔王崇拝者のヘンタイたち。
「ふぁ~あ・・・。なにやら村の方が騒がしかった気がしたが何かあったのか・・・?
せっかく昼の内にルナ様が来ても何事もなく平穏無事にやり過ごせて、貴族側と教会との衝突する口実を与えずに済んだというのに騒ぎなどあったら台無しに―――」
シ―――――――――ン・・・・・・。
「・・・いつも通り、何事も無し、か・・・まっ、当然だな。こんな辺鄙で寂れた村に騒ぎなど起きる理由がある訳もない。
あーあ、しかし毎日毎日こうも同じ日ばかりが続くと、少しぐらいは飽きてくる。たまには何か変わったことでも起きてくれんものかなー」
しかも、民間に偽装するではなく本当に普段は民間人として生活して、活動するときだけ思想結社になる一番性質の悪い類いの過激集団化させていきやがったし。
喧嘩バカ魔王の知らないところで、喧嘩バカ魔王が生み出す原因造った変な奴らが、徐々に異世界中を喧嘩バカ魔王軍として侵略し始めちまってるみたいだったが・・・・・・大丈夫なんだろうか? 本当にコレは?
一つだけ言える確かなことは―――コイツら見てると、生まれ故郷を捨てて外へ行くのが正しい正解一択のようにしか見えない気がしてスゴク嫌なこと。
只それ一事のみである。
つづく