試作品集   作:ひきがやもとまち

249 / 249
意図せず、同じ作品が連続で更新になってしまいました。
【魔王様、リトライ!】女オリ主バージョン最新話です。

連載作も含めて、他の作品も同時進行で書いてましたので、完成したのから投降するよう努力します。最近は暑くて体力にバラつきが……年齢的に。


自称・魔王様リトライ!RX-78 第10章

 ――前回までのあらすじ。

 追い詰められたサタニストたちが自らを生贄として召喚した魔族の大幹部にして吸血鬼『闇公爵オルイット』

 そして、転生を司る神たちの父がナベ次郎の代理として呼び出したらしいケンカ馬鹿が前世で死ぬ切っ掛けとなった片割れのチート転生名探偵・沖浦。

 

 智天使の結界によって守護された聖城の前で、光と闇、秩序と混沌、そして正義と悪の戦いが、いま始まるッッ!! 

 

 その戦いの行方や、如何にッ!?

 

 

 

「いくぜッ! 食らえ悪めッッ!!

 正義の《真実はいつも一つオーバーヘッドキぃぃぃっク》!!

 人道の《犯人を死なせる名探偵は人殺しと同じドライブシュぅぅぅっト》!!

 人権の《強者などいない人は皆弱者エンジン核融合ドライヴ》!!

 自由の《人の命を奪うことは決して許されない口からメガ粒子砲》!!

 平等の《完全犯罪など存在しない指からフィンガービぃぃぃっム》!!

 そしてッ!! 正義の必殺ッッ!!!!

 《他人を不幸にして得た幸福で人は幸せになれない腕だけ外してフィン・ファンネル》!!」

 

 

 ズドン!ズドン!!ズドンッ!!!

 ビシューン!ビシューン!!ビシューッン!!!

 ずどどどどどどどどどどッッ!!!

 

 きゅぴ―――ッん☆

 ズッドバ~~~~~~~ッン!!!!!

 

 

 

「ぐ、グワァァァァァッ!? って言うか、なんだその攻撃うわ!? うわ!? うおばわばばばばばばァァァァッ!?」

 

 

 

 という正義側から悪への攻撃方法から始まる展開になってた戦いだったのだが・・・・・・正義か? コレって。

 明らかに敵の攻撃認定されてるのが半数近くを占めてたような気がしたのだが。

 

「ぐ・・・ぁぎ・・・・・・! 貴様は・・・・・・何だ!? いったい、どこから――腕をぉ・・・・・・っ!」

「フッ、無駄な悪あがきは止めるんだ。お前たちの計画はすべて見抜いている、もう諦めろ。

 世界征服を目指す悪の軍団マゾック大帝国の改造人間コウモリ男よッ!!」

「ふざ・・・・・・ふざけるなよッ! こんな所で、この高貴な私が敗れるはずがない!

 ――あと、誰がコウモリ男だ!?

 勝手に人の名前を下品に変えるな! 私は高貴なる闇公爵のオルイットだッ!!」

 

 初手からビームとかの攻撃方法連発されまくったせいで、いきなりズタボロの姿で地面に這いつくばって敵を見上げる羽目になってた闇公爵オルイットが、怨嗟と憎しみに満ち満ちた声で犬歯を剥き出しにして激しく罵るが―――聞いてくれない。

 

 何しろ魔族としての彼の種族は、吸血鬼。

 『光』属性っぽい攻撃だとダメージ大きくなりやすいのだ。

 

「お、おのれぇ・・・! 下品なうえに冗長で馬鹿な詠唱でしかないというのに、これほどのダメージを受けさせられるとは・・・この私が! この高貴なるオルイットが、こうまでもッ!」

「そう・・・これが俺の――俺たち人間がもつ、絆の力だッ!!」

 

 とか言って相手からの恨み節に勝ち誇って見せつける正義のチート名探偵・沖浦だったが・・・・・・人じゃなくてジOングだろ。ジOングの力だったろ、今の絶対に。

 ジOングの力使える人体の構造超えてる奴が、人類みんなを巻き込む発言するのはやめなさい。みんなに迷惑だから絶対に。

 

「ぐぅッ! 二本足で歩くことすら認められる資格を持たぬ蟻如きの分際で、高貴なる私をここまで追い詰めるとは・・・! 思い知らせてくれるわァッ!!」

「まだ諦めないつもりなのか! 何故お前たち悪は、そうまでして無意味な争いを続けたがるんだ!? いったい何故! どうしてッ!? 俺にはそれが・・・・・・分からないッ!!」

 

 セリフだけなら争い否定の人道ヒーローっぽく、でもやってる行動はジOングな正義の名探偵(自称)が、オーバーアクション気味なポーズでなんか言い出し、お前が言うな感満載の発言内容を相手に向かってほざき始める。

 しかも勝手になんか浸ってるっぽいし。

 

 正義というのは、いつも戦場で勝手にドラマチック・フィールド展開して、敵からの攻撃を完全防御している空間内で、愛と優しさと友情と愛情の補完計画やりたがる生物の名称です(悪意ある偏見表現)

 

 

 ――こんな馬鹿っぽすぎる上に、彼の美術センス基準から見れば下品極まりない男など、早々に八つ裂きにして思い知らせてやりたくて仕方がない闇公爵オルイットではったが・・・・・・如何せん。今は条件が悪すぎていた。

 

 ただでさえ召喚パワーアップ用アイテムの《逆十字》も、生贄で死んだサタニストたちの数まで減っていた状態で呼び出された上に、呼び出された場所は智天使と多くの天使たちが心血を注いで作り上げた聖なる結界に覆われている聖城の眼前ときた。

 

 本来の能力も実力も、全く発揮できないこと極まりない。

 最初から弱体化した状態で戦い始めさせられた挙げ句、敵を侮ったせいで初手から大ダメージを負わされてしまったときている。

 

 今の時点からでは、形勢逆転は極めて難しいことをオルイットは、認めざるを得ない窮状にまで追い込まれてしまっていた。

 挽回しようにも、傷が深すぎる・・・・・・なんとか回復さえできれば、油断などせず全力で蹂躙してやるというのに―――全ては最初に敵を侮り油断してしまったせいで! それだけで!!

 

 

 ・・・・・・実力差で負けるタイプの典型的な敵ボス思考に陥っている己を、オルイットは自覚できてない闇公爵であった。

 もうこの時点で結果が見えているような気がするのだが、それが分からないからこそ回復してでも決着求めたがるのが敵ボスの敵ボスたる所以でもある。

 

「もう・・・お前は終わりだ、コウモリ男。そろそろ悲しい事件にも、幕を下ろそう。

 この夜の街を血と惨劇に染め尽くした、聖なるパノラマシティに吸血鬼は何を見たのか殺人事件の隠され続けてきた真実が、明かされる時がきたんだよコウモリ男・・・・・・」

「おのれぇぇぇ・・・ッ!! こんなふざけた男に、この私がこれ程までに・・・! 傷を癒やすための《優れた血》さえあれば私は―――ハッ!? あれはっ!!」

 

 崖みたいに逃げ場のない状況へと追い詰めた敵にトドメをさすため、ゆっくり近づいてくる正義のチート転生名探偵を(名探偵とはユックリ近づくもの)地に這いつくばりながら恨みがましい瞳と目つきで睨み付け、呪いと呪詛を込めた声で罵っていたオルイットだったが―――その目が不意に怪しい光を瞬かせる。

 

 

 彼の視界に映り込んでいたのは、夜空に浮かびながら接近してきていた、小さな黒い影。

 それはゴスロリ服をまとった、小さくて可愛らしい幼女(真性ロリ)だった。

 

 思いどおりに計画を進ませないサタニストの部下たちへと、指導者ユートピアが指示伝達とテコ入れのための《闇入り宝箱》を持たせて急遽派遣させていた《魔人》の女の子『トロン』

 それが彼女の名前。姓はない。

 

 

 《魔人》とは文字通り、【魔】と【人】との間に産まれた混血児――のことでは無論なく。

 《悪魔》の親と《人間》の親から産まれたハーフ悪魔、もしくはハーフ人間の名前である。

 ハーフだから《魔人》

 クォーターの時に、どう呼んでるかは分からない。

 

 

 まだ幼いトロンちゃん自身には、サタニストの思想とか目的には全く興味がなく、賛同して協力してる訳でもない立場ではあるのだが。

 産まれた場所は、魔族たちが強大な勢力を誇っている《魔族領》だったのだけど、弱肉強食の階級序列社会が徹底されまくっている魔族社会において、彼女のような力が弱くて半端な存在はまったく居場所がなく、仕方なく人間国家群が多い地域まで逃げてきたものの、天使信仰の国ばっかりな人間宗教国家社会でも居場所はやっぱり全くなく。

 

 唯一手を差し伸べてくれたのが、同じ社会からの食みだし者同士だったサタニストしかなかったので、生きるためくっついてきただけの女の子。それがトロンちゃんの置かれてきた今までの現状と事情。その全て。

 

 

 本来なら、ユートピアの指示を部下たちに伝達したり、支援してやるため持ってきた《闇》を聖城前にぶちまけたりする予定ではあったのだけれども。

 予定が色々変わりまくって、タイムスケジュールが散々にズレまくった結果として、闇を使う前に《闇公爵》がズタボロ状態になった後の状態で、遅ればせに今さら到着できただけの立場でしかなかったんだけれども。

 

 だが、しかし。

 吸血鬼である闇公爵オルイットにとって、そのような相手が今まで辿ってきた不幸な生い立ち事情などはどーでもよく、重要なのは彼女の身体に流れている『血の半分だけ』

 

「・・・ふっふっふ・・・どうやら油断が徒になったようだな。すぐに止めをさしていれば良かったものを。

 戦えなくなった者に降伏勧告などという傲慢な真似をしているから、こういう羽目になる―――だから正義などと名乗る者は甘いのだ!! とうっ!!」

「なんだとッ!? 一体なにを―――ハッ!? しまった!!」

 

「・・・・・・・・・えッ!?」

「キシャァァァァァァッ!!!」

 

 不意を突くようにして闇公爵が、掛け声一つ叫んで空高くへと飛翔する!!

 チート転生名探偵・沖浦が相手の無駄な逃亡を追跡しようと身体の向きを変え、その視界の先に浮かぶ一人の少女を見出したときには、時すでに遅く。

 

 ズバァァァァァッ!!

 

「え・・・あっ・・・・・・?」

「フンっ、汚らわしい血だ。臭くて敵わん。

 ――ちゅぱ、ちゅぱ、じゅるるるるぅぅぅぅ~」

 

 勝っても負けても自分は関係できない立場だと思っていればこそ、空の上から無防備に油断しきった姿でボンヤリと見ているだけのつもりだった戦場から、突如として飛び立って自分に向かって大口開いた姿で急接近してきた男の手刀で貫かれ。

 

 腹部を片手に刺し貫いて、動きを止められた幼女の身体から流れ出る血を飲み干していく。

 ただ吸血するだけなら、そこらの人間たちの誰でもよかったが、人間如きの血液など幾ら吸ったところで役に立たない。

 だが半分だけとはいえ、自分と同じ《魔人の血》を吸血スキルを用いて飲み干したなら、今この場で自分が負わされているダメージを全回復することが可能になるぐらいの効果は確実に期待できる!!

 

 

 ・・・・・・まぁ血を飲む吸血鬼とはいえ、液体を人体と同じ骨格で飲み干してくため、飲むときの音がなんか微妙にショボイっつーか、人によってはエロいっつーか、AV臭いとか思われかねない音を響かせちまっていたが――仕方がない。

 

 身体から飛び出た体液を、男型の肉体で口から飲むのである。

 こーいう音になってしまうのは、人型の肉体だと仕方がない。

 ドビュッ、ドビュッ、流れ出る液体を、ちゅぱちゅぱジュルルルルと飲み干すのは仕方がない。

 お母さんだって、きっと分かってくれる年齢になる日が必ず来るさ、きっと多分絶対に。

 

 

「・・・う・・・ぁ・・・ぅ・・・・・・」

「じゅるるるぅぅぅ~~~~・・・・・・ゴックン。あ~、汚らしい血だ。

 混ざり物のゴミめが。――ペッ!ペッ!!」

 

 そして体内にあった血液を、スキル効果により短時間で飲み干してしまい、用済みとなった『回復アイテム女』でしかないトロンを、穢らわしいゴミのように地面に向かってポイッと投げ捨てて落下するに任せゆく。

 

 彼には、この無慈悲で傲慢とも呼べる行動をする必要があった。

 この高貴なる自分ともあろうものが、混ざり物に流れる『穢らわしい血』に縋り付いてでも生き延びようとしたなどという事実は、彼のプライドが許容できる範囲を遙かに超過しすぎている醜態だったからだ。

 

 『生き延びるため縋った』のではなく、『利用しただけでゴミとして捨てる』――そういう事にすることで、彼の傷つけられた自尊心はようやく癒やされることが可能になるのだから。

 

「・・・く・・・ぇ・・・・・・あ、う・・・・・・」

「ふん、だが流れる血の半分だけとはいえ、魔族として高貴なる私の役に立って死ねるのだ。光栄に思ってほしいところだn―――な、なにッ!?」

 

 だが、地上へ向かって投げ捨てた少女の、すでに半死体となっていた肉体に一瞬だけ目をやった、その瞬間にオルイットは信じられないものを見て驚愕の声を上げることになる。

 なんと、地面に落ちる寸前だった少女の身体が、地に触れると思った瞬間に消えてしまったのである。

 

 煙のように、幻だったかのように。

 種も仕掛けもなく、突然に見ている者達の前から姿を消してしまった『死体消失』の謎現象。

 

 ――まさか、自分は少女の幻を見ていたのか?

 いや、それでは自分の身体が負っていた傷が回復している理由説明がつかない。

 

 だがそれならば何故? 一体どうして? 消えた死体は一体どこへ消えてしまったというのだろう!?

 どういう手段でおこなわれたのか全く分からない、あったはずの死体が突然消えてしまうという、この世界とは異なる異世界チキューでは割とよく見かけることある現象を前にして戸惑うことしかできないオルイット。

 その耳に―――声が聞こえた。

 

 

 

『はっはっはっは、どこを見ているコウモリ男。

 ――俺は、ここだッッ!!!』

 

「な、なにぃぃッ!?」

 

 

 バッ!と声が聞こえてきた方角へと慌てて身体ごと向き直って身構える、魔族たちの大幹部である闇公爵オルイット。

 彼が探し求めていた相手の男は、別に隠れてなどいなかった。

 ただ不敵な笑みを浮かべて、傷ついた少女の身体を優しい手つきでお姫様抱っこしてやりながら。

 

 

 ・・・・・・聖城にある一番高い頂の天辺に仁王立ちしているポーズを取って、彼を見下ろしていただけで。

 

 

 わざわざ地面に立ってたところから、地面に落ちてきてた少女を拾ってお姫様抱っこの姿で、一番この場にある建物の中で高い場所まで上ってから声をかける。

 意味不明で理由不明で、メリットもリターンもほとんどなさそうな行動だったけれども。

 

 それでも!!―――満月をバックにして塔の上に立ってる姿で「ニヤリ」と笑う姿は・・・・・・まぁ格好いいと言えば格好いいと言えなくはない。

 

 

 正義のナントカと馬ナントカは、格好つけの為だけ高い所へ上ってから声かけするのが大好きな人が多い種族の名称である。

 

「大丈夫だったか? いたいけで名もなき民間人の少女Aちゃん。傷は浅い、しっかりするんだ」

「・・・・・・あな・・・たは・・・・・・あれ? 傷、痛み・・・・・・が」

「助けるのが遅れてしまって悪かったな、民間人の少女その1ちゃん。

 もう少し俺が早く動けていれば、君みたいに無関係な民間人の女の子が巻き込まれる悲しい惨劇を防ぐことができたのに――女の子を巻き込むような卑劣で汚いゴキブリみたいな殺人犯には、必ず思い知らせるから許してくれ。巻き込まれ民間人少女」

 

 お姫様抱っこで抱きかかえている女の子トロンちゃんを見下ろしながら、そんなこと言ってくる正義のチート転生名探偵(自称)

 トロンちゃん的には訳が分かりません。当たり前ですけれども。

 

 腹貫かれたはずが、『しっかりすれば大丈夫レベルの浅い傷』に変わってて、気付いたときには邪悪な存在は入れないはずな聖城のてっぺんに魔人の自分が抱えられて立っちゃってるし。

 

 

『キャーッ!? 魔人が! 子供とは言え“魔”が混じってる存在が、智天使様の加護篤き聖城の上に魔人を抱えながら殿方が~~~~ッッ!? アワアワワワワワーッッ!!??』

『エンジェル様!? エンジェル・ホワイト様! どうか落ち着いてくださいませ! ご冷静なご判断を! この場所は聖域に御座います! 聖域に御座いまするから~~~~ッッ!?』

 

 

 ・・・・・・下の方から、なんか騒いでる人達の声が聞こえてきてるし。なにか不測の事態ってやつでもあったのかな?

 

「あなたは・・・・・・どうして・・・・・・」

「解ってる。自分でも解ってはいるんだ――犯人が逃げるために人質を取ろうと近くにいた民間人に襲いかかろうとするのは定番パターンだと解っているのだから、最初から見抜いて準備さえしておけば、人質を危険な目にあわせず助けることが可能なはずだって事ぐらいは・・・・・・だが! それでも!!

 名探偵とは、追い詰められた犯人が無関係な民間人を人質に取ろうとする時、無駄な足掻きで人質をとって脅迫して自ら罪をさらに重くするまで、止めてはいけない宿命を背負っている存在―――それが正義のチート転生名探偵であり、名刑事であり、名警部という存在なんだよ・・・ッ!

 それが運命なんだ! 仕方のないことなんだって、どうか君達にも解ってほしい・・・・・・俺たち正義が途中で助けられるのに助けないから必ず人質に取られてしまう民間人の罪な気無関係な女の子ちゃん――」

「え・・・・・・っと・・・・・・え、とぉ・・・・・・」

 

 魔人トロンちゃん、めっちゃ反応に困ること言われて返事できないの図。

 色々とぶっちゃけちまう名探偵な奴だなオイ。

 確かに、そーいう場面で止めに入って無難に終わらせてる名探偵とかあんま見たことないけどさ。毎度のように人質取られてからしか助けられない失態晒してばっかいるのが名刑事とか名警部ってもんなんだけどさ。

 

 言うなよ、そーいうことを正直に正義の口から堂々と。

 正義の味方を名乗ってる奴から言われちまったら、否定するのが難しくなっちまうから本気でやめい。この異世界だと色々と問題ありやすい問題だぞソレ系の奴はイロイロと。

 

 尚、トロンちゃんが聞きたかったのは、『どうして自分なんかの命を助けたのか?』という、存在価値を否定されてばっかりだった人生を悲観した自虐的な意味での問いかけを聞いただけであり。

 

 決して、『さっさと助けれた癖して何ボンヤリ見過ごしてやがったんだ?アァン?』とかの上から目線で助けてくれた相手の遅れを叱責していたわけでは御座いません。

 

 トロンちゃんは魔と人の間に産まれた邪悪とされる存在だけど、そんな悪いこと考えつく悪い子では決してないです。

 そんなこと聞かれていると解釈したのは、正義を名乗ってるチート名探偵が勝手に意訳しただけ。コイツだけの問題です。

 

 名探偵とか名刑事とか名警部って存在は、親や親友や友人の仲間とか他人たちの善意に基づく言葉は汚い裏があるに決まっていると全部疑って、同じ組織に属する仲間を疑われるのはチョー嫌がるのが仕事の人達の名前である。

 

 ・・・・・・隠された罪を暴いて真実を見つける正義の味方ってのは、身内贔屓で余所者嫌いなのが定番なのかもしれない・・・・・・。

 

 

 腹貫かれて大ケガしてた傷口も、気付いたら普通に回復しつつあるっぽいし。

 これも多分、「正義の名探偵だから」で何とかなった部分なんだろうきっと。貫かれたはずの腹に、お婆ちゃんから送られたお守りを入れてたから助かったとか。

 

 ――貫かれてたけど多分、「トロン!トロン!トロォォォッン!!」とか叫びながら渋い顔すれば生き返るんだよきっと多分絶対に。それが正義。

 

 

 

 

 

 

 

 

 が、しかし。

 それはあくまで、「正義の側」から見た都合。

 正義と敵対する悪の側から同じ光景を見せつけられた者としては、

 

「貴様! いつの間に、そんな所への移動を! しかも、何なのだ!? その治癒力は!

 その力――まさか貴様、『龍の血』を与えられた『新種の龍』なのか・・・ッ!」

 

 という解釈をオルイットからはされちまう羽目になっちまってた訳で。

 『竜』というのは、この異世界における種族間パワーバランス維持のため、弱い人間たちに時々だけ味方してやって、特定の個人だけに限って自分の血を与えた『竜人』としてパワーアップさせることがある『中立』を標榜している強大な力持つモノの名前のこと。

 

 中立とか言ってるのに、自分たちが敵対している人間だけに味方されてる魔族側からは蛇蝎の如く嫌われている存在でもあり、『人間だけに肩入れしといて中立とか矛盾してる傲慢』とか悪口言われることが多い存在でもあったわけだが・・・・・・中立だからなんだろうねきっと。

 

 中立で、強大な力を秘めてる、弱い勢力だけには贔屓したがる、世界で只一つの存在ってのは、口先だけの中立でエコヒイキしまくって悲劇っぽい演出が好きなもんだよ。Oーブとか。

 

「危険だ・・・! この存在を放置することは危険すぎる!!

 ならばこの私が、全身全霊を以て、この龍を殺さねばならない!!

 たとえ美しき肉体から、醜き姿を晒すことになろうとも!! ハァァァァ~~ッッ!!」

 

 そして盛大に勘違いと過大評価過ぎる解釈によって、「今この場で殺す必要」を強く感じずにはいられなかった男を倒すために、彼は自らの両手で体を引き裂き、真の力を発揮できる姿へと変わるため『裏返す』

 

 そうした瞬間、闇の光に包まれた彼の身体は恐るべき変貌を遂げることとなる。

 それは、巨大な黒い翼をもった獣だった。

 あるいは、数百、数千を超える蝙蝠たちの群れかもしれない。

 

 数え切れないほど膨大な数の蝙蝠たちによって形成された、一個の異形と呼ぶべき存在。

 無数の蝙蝠たちが密集した集団でありながら、一つの肉体を形作った存在でもあるもの。

 

『フハハハハッ!! 恐ろしかろう? この姿こそ私がもつ真の力ッ!!』

 

 それこそがオルイットが有する本来の姿だった。

 無数の蝙蝠たちが、自らの肉体を形成している身体の一部であり、己一人の意思を実行するために肉体を形作る蝙蝠たち全てが一匹の巨大な黒獣として矛盾無き行動を可能としてくれる真の姿!

 

 この形態になれば身体能力は飛躍的に上昇することが出来るが、属性は完全に《闇》へと偏りすぎたモノになってしまうため、聖素に対しては非常に脆くなってしまう欠点を有してもいる。

 天使の加護を強く受けた聖女たちのような存在を相手取るには、相性がいい形態とは決して言えず、通常の姿でも蹂躙することが可能な実力差もあることから、滅多になることがない姿でもあったが・・・・・・今この時ばかりはそうもいかない!!

 

 確実に、この場で奴を―――新種の龍を滅ぼさねば、自分たち《魔》の領域である魔族領へと攻め込まれてからでは大乱は避けようがないのだから!!

 

 ―――完っ全に勘違いの過大評価でしかなかったけれども!!!

 

『忌々しき“龍”めが! 中立を気取る傲慢さを今ここで裁いてやる!!』

「・・・愚かな・・・何故こんな愚かなことを繰り返すんだ改造人間コウモリ男よ!!

 一体どうして、お前みたいな現場の下っ端が、無謀な戦いで血を流すんだ!?」

『誰が下っ端だ!? 誰がコウモリ男だ!? 私は闇公爵オルイットだと言っているだろうがぁぁぁぁッッ!!!』

 

 そして相変わらず、自分の都合でしかものを全く語ろうとしない正義の名探偵(多分)

 コイツ絶対に、自分に都合の悪い情報は耳に入らないタイプの人だなとしか思えん奴だな絶対に。

 

『えぇーい!もういい!! 下らぬ御託は聞き飽きた!!

 その傲慢さと共に、ただ滅びよ!! 中立気取りの傲慢な龍如きめがぁぁぁぁッッ!!』

 

 

 遂に激怒して吹っ切れたオルイットの体が、爆ぜるように突進を開始させる!!

 その巨体からは想像できぬほど、あまりの疾さで大気に切り裂かれたような悲鳴をあげさせながら、猛スピードで正義のチート転生名探偵(自称)の沖浦を押しつぶすため激突してきて―――!!

 

 

「・・・・・・ふっ」

 

 

 と、沖浦は不敵な笑みを小さく、唇の端に浮かべる。

 そして黒と白、悪の獣と正義の真実は正面からぶつかり合う時を迎えた。

 

 

 

 

 ズビシューン! ズビシューン! ズビシュ――ッン!!!

 ビビビビビッ!! ズボン!ズボン! ズボォォ――ッン!!

 ドガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!!!

 

 ズッドボカァァァァァァァァァァァァァァッン!!!!!

 

 

 

「どぎゃ~~~~~~ッん!?

 お、おおおおおおのれ醜く傲慢な龍めぇぇぇぇぇっ!?

 いつか必ず美しき私が倒してやるから覚えておくがいい龍めがぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 

 とか叫びながらボロボロの姿になって、夜空へと大爆発で吹っ飛ばされながら魔族領へと強制送還されていく、格好悪すぎる負け方させられたオルイットという結果で終わりましたとさ。

 

 ・・・・・・射撃武装だけのジOングに、正面からの体当たりで挑んだら流石になぁ・・・・・・。

 速さだけでも、当たらなければどうという事もないらしいけど、当てられても力ずくで突破して押しつぶす前提だったみたいだし。

 

 無理なんじゃね? 普通の結果だなとしか思いようがない結果であった。

 

 

「フッ・・・勝った。悪の殺人未遂犯はいるべき場所へと帰っていったのだ。

 やはり正義の真実に、悪の犯罪者が勝つことは決して出来ないのさ!!(キラーン☆)」

 

 

 という結論に落ち着いたらしい。

 やはり正義とか正義の味方とかって連中はダメっぽいと私は思う(偏見ありすぎ酷評価)

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ――――と言うわけで。

 

 

『・・・・・・どうやら危機は去ったようだな。喜ぶがいい、今はまだ力が足りない選ばれし者ナベ次郎よ。

 君の願いが叶うべき約束の時までの道のりは、また一歩近づくことができたのだ・・・』

 

「え? あ、終わったんですか。いや、よかったよかった。あ~、疲れた」

 

 

 見えない壁に邪魔されて何もできることなくなってヒマだったので、1人○×ゲームで暇潰ししてたケンカ馬鹿エルフは、ようやく出番が戻ってきたようですね。

 

 次回、バカが主役の物語にやっと復帰しまっす。

 

 

 

 

 

つづく

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。