試作品集   作:ひきがやもとまち

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正式にシリーズとして試作品集内で続けて行くためシッカリとした内容に書き直しましたので、既存の2話目から4話までは【ボツ】と付けました。削除してないだけで事実上のリセットですので書かれている内容に振り回されないようお願いいたします。


チート転生は、ひねくれ者とともに 2章【ボツ】

「さぁ~てと。これからどうしますかねぇー」

 

 街の市場を冷やかしながら散歩をし、ボンヤリと空を見上げながら私は思案に暮れていた。というのも今日より三日間。できることが何もないからだった。

 

「まさか偽造許可証の発行までに三日かかるとはねー。正規のじゃない分だけ早いのかと思ってましたが・・・いや、実際に早いんですけども。

 それでもやっぱり三日間の間、街の外に出れないのは結構つらい・・・」

 

 ボヤいた私は、ため息もつく。

 無事に役所までたどり着き、登録手続きを済ませた私に待っていたものは『安全を保障するための根拠となる一定数の滞在期間』でした。

 ようするに「ホントに危険人物じゃないかどうかの実績を示せ」って事ですね。

 数を割り増しすることはできても、実数0を100と誤魔化すために必要となる嘘や矛盾は後から大きな負担となる可能性を持っているため最低限度の実数は必要なのである。そう言うわけです。

 

 なので私はブラブラ街を散歩中。

 「一日中部屋に引きこもってたら書類に書かなきゃいけない嘘が増えるんで、辻褄合わせに苦労するのはアンタですぜ?」とか言われてしまったら、イヤでもインドアでも散歩にでるしかなくなるわけで。

 

 だからこうして冷やかしている。問題を起こさないよう気をつけながら。

 

 ーーーと、言えれば良かったんだけどな~・・・・・・。

 

 

「無理でしょ、この街で私が三日間ものあいだ問題起こさないで健康に過ごす事なんて絶対無理」

 

 思わずそうボヤきたくなるほど、この街は色々とヒドかったのです・・・。

 

 

 

「邪魔だガキ! 殺されてぇのかアアン!? こちとら天下の人間様だぞこの野郎。

 獣耳はやした人間モドキや、耳の長い人間モドキや、背が低くてデブっちい人間モドキなんかが人間様の住んでる町で偉そうに道を歩いてるとムカつくんだよ、腹立つんだよ、滅ぼしてやりたくなってくるんだよぉぉぉぉっ!!

 解ったらそこ退け糞ガキども! 人間様が御通りするんだからなぁぁぁぁっ?」

『・・・・・・ビクビクビク(推定年齢6歳ぐらいの女の子たち)』

 

 

 ーーーね? これを我慢するのとか無理でしょ? だってなんかムカつくから。身の程って奴を思い知らせてやりたくなるじゃん?

 

 ・・・・・・でもなぁ~。相手はどう見ても民間人な平民なんだよな~。下っ端同士の喧嘩なら身内を庇うのが人情って奴じゃん? だから手を出し辛いんだよなぁー、こう言うの。

 

「仕方がない。あの手で行きますか。あんまし好きな作品じゃなかったんだけどなー」

 

 ボヤきながら後頭部をかきながら、私は未だに怒鳴り続けている男の背後まで近づくと、

 

「えい」

「テメェ等! 俺様の名前を言って見ろぉぉぉぉぉぉっとっとっと!? ぶべっ!?」

 

 よし、蹴飛ばして転ばせてやったぞ。頭が落ちてった先に馬の糞が落ちてたのは意図してないから俺のせいじゃねぇので知らん。

 

「ぶわっ! ぺっぺっぺ! な、なにしやがんだテメェ!? この俺を誰だと思ってやがる!?」

「知りませんが、とりあえず通行の邪魔です。退いていただけませんか?」

「俺様を知らねぇだと!? だったら教えてやるから聞いて驚け! 俺様の名前はなんと・・・・・・はい? 今いったい、なんて言った・・・?」

 

 馬糞まみれの顔でカッコつけようとして留まる男。気持ち悪い、寄るな変態、エロ痴漢。

 

「ですから通行の邪魔です。退いてください。でなければせめて通りの真ん中ではなく、隅の方でやってください。商売している方々の迷惑になりますから」

 

 そう言ってわざとらしく周囲を見渡した私に合わせる形で不機嫌そうな表情をしてみせる露天商の方々。邪魔だけど自分から言うと厄介事になりそうだから日和っていた人たちほど勝ちに乗じて味方してくれます。

 

 『灼眼のシャナ』で坂井裕二が体育の授業中にシャナを庇うため使ってた手の応用編。シャナは可愛かったけど、裕二がいまいち好きになれんかったから微妙に苦手な作品なんだよなー。一番は吉井さんだけれども。

 

 閑話休題。

 話を男に戻します。

 

 

「う、あ、いや、あのそのあの・・・・・・」

『・・・・・・・・・・・・・・・』

「『言い訳はしなくていいから早く退いてくれよ。臭いが商売の邪魔になってるだろ』ーーと、皆様方も言いたがっておられるみたいですね」

『・・・・・・・・・・・・・・・(曖昧な不機嫌表情で否定も肯定もしない露天商たち)』

「あ、え、う、お・・・・・・し、失礼しました。お呼びじゃなかったみたいなんで退場しま~す・・・・・・」

 

 そう言ってフェードアウトしてった彼の姿が完全に消えてなくなると。

 露天商の皆様方と、客として接客してもらってた方々は一度深くうつむいてから。

 

「いらっしゃいませ~♪ お客様形。今日は何をお求めでしょうか~(ニッコリ)」

「そうねー。じゃあ今日はこのヘビ柄のバックをいただけないかしら? なんだか取引が制限されてる希少生物の『アオニシキサーペント』に似た柄だけど、当然別物なのでござんしょう?」

「勿論ですよ、お客様。当店は誠実でまっとうな商売を標語に掲げて長らくやってきた伝統ある露天商人。違法品など怖くて手が出せません。ブルってしまいますからね。

 それに使われてる蛇はアオニシキサーペントに似た柄を持つ遠い異国に生息している蛇で、『ササニシキシーサーペント』と申します。調べていただければ判明いたします。もっとも、遠い異国の地故に辞典や図鑑はそう簡単には手に入らないかもしれませんが・・・」

「あら、そうなの。じゃあしょうがないわね。役人たちもそんな面倒くさい仕事をやらされたくないでしょうから、ササニシキサーペントで納得してくれることでしょう。

 あ、長ったらしすぎて覚えづらかったですし“シー”は外させてもらいましたけど問題ありませんわよね?」

「はい、全くこれっぽっちも問題は御座いません♪ その蛇が住む国は内陸にありますので、むしろ海を表すシーは取り外す方が正しい呼び方なのかもしれませんしね。私としたことが、こりゃウッカリ☆」

「おほほほ、本当に困ったお方で御座いますこと♪ おほ、おほ、うぉほほほほほ♪」

「ひょーっ、ひょっひょっひょ!! またご贔屓にどうぞ夜露死苦!」

 

 

 ・・・・・・なんだ、この魔界以上の魔界ぶりは・・・。こいつら自身の心象風景で現実を覆い尽くしでもしたのかな?

 金という絆で結ばれた人達と共有した思いの具象化ってイヤすぎるんだけれども・・・。

 

「まぁ、いいか。とりあえずは気分スッキリして解決したし。問題なしだ」

 

 いや、本当に問題にまで発展しなくて良かったね俺。問題になってもいい覚悟ぐらいは決めてたけど、問題にならないならそれが一番だからね。覚悟と方針は違うので間違えないように!

 

「さて、行くkーーーーーん?」

『・・・・・・・・・』

 

 マントを引っ張られた気がしたので振り返ってみたら、さっきの男に苛められてたエルフの美幼女と、猫人族の美幼女が上目遣いのウルウルお目目で私の顔を見上げてきてました。

 ふむ。これはアレですね。「俺はロリコンじゃない」と言う信念を放り出してでも犯罪に走りたくなる可愛さですね。奴隷なんだし、どこまでお触りするのはOKなんだろう? 是非とも詳しそうな顔してる露天商さんに聞いてみたい。

 

「お、お、おれ、オレ・・・」

「俺?」

『・・・おれ・・・い・・・・・・』

「ーーああっ! お礼ねお礼! よく分かりましたわ、ありがとう。これで一層私の理性がヤバいことになりそうですよ」

『・・・・・・・・・???』

 

 わーお、純粋無垢な瞳がまぶしいぜ。思わずエロゲー世界の現実を思い知らせてあげたくなる可愛らしさ。プライスです。

 

 ・・・さて、どうしよう。どうやら彼女たちの言う「お礼」とやらは物で返せる金がないと言いたいらしく、両手には何も掴まないまま自分の胸に手を当ててジッと見上げてきている。(と言っても大した身長差はない。今の私は子供で十歳時ぐらいだから)

 

 この場合、どこまで要求するのは合法なんだ? あるいは違法と合法との間に引かれたグレーゾーンはどこに見えている? 男だった頃のオタクな俺のエクスカリバーが、ないはずなのに騒ぎやがるぜ・・・。

 

「助けてくれた、お礼・・・なん、でも、スル・・・・・・」

 

 うむ。双方合意の上でか。ならばせめて胸を触らせてもらっても良いだろうか? 自分に目覚めた新たな性癖が本物か否か確かめたいのである。

 

 

「そうですか。それではあなた方の胸ーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーと、待ちな嬢ちゃん。取り込み中のところ失礼するぜ」

(・・・!?)

「俺は都市警備隊に所属しているボリスってもんさ。主に都市内での犯罪者摘発に携わってる。

 実はお前さんに二つ三つ聞いてみたいことがあんだけどよ。ちょっとばかし所まで着てもらえねぇかなぁ? なぁに長い時間は必要ねぇ。すぐ終わらせるからよ」

(まさか・・・!?)

(この反応・・・やっぱりだな!)

 

 

(今の性犯罪行為を覗かれてしまった!?)

(多発している『密輸業者による幼女誘拐と奴隷売買について』何かしら知っていやがるみてぇだな! 俺の勘がそう告げてるぜ!)

 

 

「なぁ、嬢ちゃん。悪いようには俺がさせねぇ。だから本当のことを話してくれないか?

 お前さんの知っている真実(誘拐および奴隷売買について)、その全てをな・・・!!」

「・・・・・・・・・・・・(これはもう・・・・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

「(どっか適当な場所に転移させて行方不明にするしかないですね!)」

 

つづく

 

注:ユーリは人生初めて犯罪歴を背負わされそうな状況に陥って混乱しております。

 

 

次回使う予定の魔法:《ディス・ロ・ウルト》

 相手の願いを叶えてやり、求めている答えがある場所まで飛ばしてしまう魔法。願う答えに直行させるだけなので片道切符。言った後は自力で帰ってくる必要がある。

 唱える術者本人は、相手の願いを叶えるだけなので自分がドコに飛ばしてしまったのか知る術はない。

 願望成就系の魔法に欠陥があるのはお約束♪

 ーーなお、名前に悪意を感じられるが存在Xは関与しておりません。

 

 

 

世界観設定:魔術師について。

 この世界の人々は基本的に自分の住む土地から遠出しないため、魔法は同じでも認識や待遇や扱いが千差万別。主に影響を与えるのは土地の風土。

 たとえば自然豊かな地域だと神官に頼むより魔女たちに魔法薬を作ってもらった方が格安なので魔法の方が信仰されている。

 あるいはミイラ信仰の国だとネクロマンサーが祠祭兼国王なんて例もありえる。

 

 逆に、宗教に所属していた落ちた聖職者たちが結成した魔術結社では邪悪な儀式を好んで行い、「神を穢すことを魔王様は望んでおられる」と主張していたり、破壊を司る邪心を崇める魔術結社なんかも存在してたりする。

 勢力はまちまちで、これも国毎に土地や風土に大きく左右させられている。

 

 

 

国家制度の設定:

 現在ユーリがいる国は魔法後進国なので、偏見だけが根強い。知識層である支配者階層が半独占状態にあるのも悪化を招いてしまってる。

 余所者にも貴族たちは自分たちの尺度で推し量るのだが、意外にも冷遇されることは少ない。貴族趣味と魔術師たちのファッションセンスが近いのが理由らしい。

 

 良くも悪くも前例尊重主義の国で、伝統を愛好する貴族たちが支配している。

 悪辣と言うほどの暴君領主は少なく、貴族制としては遙かにマシな方。

 ただし、貴族趣味と平民階級との間に広がる深くて分厚い溝の存在に気づいていないのが致命傷になりそう・・・。

 

 

 

差別について:

 人それぞれ。この一言に尽きる。

 職業により多種族と交わる機会が多い者たちにとっては、既に隣人。

 犯罪者に落ちた異種族としか交わる必要性がない治安維持部門には不評。

 商人たちは「金を払ってくれる存在はすべて神様であり、お客様です!

       作った奴がドコの誰だろうと、金貨は金貨だ!罪はない!

       金の前では人類多種族関係なしに、皆兄弟~♪」

 

 ーーーようするに、自分の国の銀貨よりも敗戦国の金貨の方を尊ぶ拝金主義者どもと言うこと。

 

 

 

冒険者ギルドについて:

 この世界には必ずしも存在していない。簡単な仕事しかない国や地域だと、口入れ屋が代わりに営業されていて仕事がないから。

 冒険者でなければできない仕事が多い国だとふつうに存在し、大きな影響力を持っている。

 つまりは、市場として成り立たない場所では発生しないと言うこと。

 同じ理由により、有名な冒険者が近隣諸国全てで有名とは限らない。平和な国で英雄をもてはやす必要性はないから。

 

 

 

魔物について:

 基本的に武装した兵士を殺せる危険な動物すべてを指して《魔物》と呼んでいる。姿形によっては魔獣に変わる。

 生体は様々で、縄張りに入ってきたらモンスター同士だろうと襲って殺すし、死体は食う。理性がある奴もいれば無い奴もいる。

 人を襲うが、人以外も襲うし特別人間に対して憎悪を抱いているとも限らない。

 人間が把握できてない異形の存在ぜんぶひっくるめて《魔物》や《魔獣》と総称してるだけ。

 

魔王とかの設定は今のところ考えておりません。

 


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