・・・・・・父さんーー
『「ドールマスター」「ダーク・エヴァンジェル」「マガ・ノスフェラトゥ」エヴァンジェリン。・・・恐るべき魔法使いよ。
俺を狙い、何を企むかは知らぬが・・・あきらめろ。
何度挑んでもお前は俺に勝てんぞ』
「ネギ・スプリングフィールド!」
「はい!」
ーー父さん。僕、魔法学校を無事卒業できました。
魔法使いの修行はこれからだけど。僕、頑張ります。
頑張って、父さんみたいな魔法使いになります。
『パートナーもいない魔法使いに何ができる!?
行くぞチャチャゼロ!!』
ーーだから、見ていて下さいね? 父さん。
『フッ・・・遅いわ若造! 私の勝ちだ!』
ーー僕は必ず、
『えーと、この辺だっけ・・・』
ーー必ず僕は父さんみたいな・・・・・・
『(ドパーーン!!)うわぁっ!?
なっ・・・これは!?』
ーー僕は絶対にーー
『ひっ・・・ひぃぃぃーーーっ!?
私の嫌いなニンニクやネギ~~~~!?
いっ・・・いやぁ~~~っ!!
やめろぉ~~~っ!!』
ーー絶対にーー
『ひっ・・・卑怯者ーーっ!!
貴様は「サウザンド・マスター」だろ!?
魔法使いなら魔法で勝負しろーーっ!!』
ーー絶対にーー
『ふははは!! やなこった。俺は本当は5、6個しか魔法知らねー魔法学校中退の落ちこぼれだぞ? 戦えば負ける勝負なんか誰が挑むかよバ~カ。
お前の苦手なものは既に調査済みよ。噂の吸血鬼の正体がチビのガキだと知ったら、みんな何と言うかな~?』
ーー必ず、絶対にーー
『戦いは勝ちさえすればそれでいい!
負ければすべてを失い、命も失うかもしれない!
生きてこそ得ることのできる幸福をこの手に掴むまで、俺は絶対死ぬかもしれない戦いなどして堪るかぁぁっ!!!』
ーー僕は絶対、貴方のような生き汚くて最低な生き方を貫く悪も善も関係ない、天上天下唯我独尊「宇宙の中心にまず自分在り」な魔法使いになってみせます!!
三つ葉の校章、クラシカルな街灯に曲線を多用した装飾。
壷を掲げた人魚の石像に、中世ヨーロッパを想起させる造りの城塔。
日本にある夢の学園都市『麻帆良学園』
広大な敷地内には幼稚園から大学まであらゆる教育施設が存在し、三万人を越える学生たちが生活を共にしている。
学びの里として知られ、豊かな自然に囲まれた恵まれすぎた環境の中で特にこれといった支援者やスポンサーからの無理難題も言われない、利権絡みで人死にが出たという情報もない。まさに前途ある学生たちの理想郷。
「ま、つまり学園敷地内全体が魔法学校と癒着していると言うことなんでしょうね~」
「アニキ・・・もう少しだけでいいんで、来日したばっかりで見知らぬ異国に戸惑う子供らしい子供を演じて下せぇ。
そんなこっちゃアーニャの言うとおり、ニッポンの警察に職務質問されちまうっスよ? もっと子供らしくしねぇと、子供らしく」
「ふむ? ではとりあえず現地の風習にあわせて『女子のスカートめくり』でもしに行けば宜しいので?」
「ダメすぎるだろ、この人・・・」
そんな感じで学園風景をバックにおいて、内容ブラックすぎる会話を繰り広げてるのは一匹のオコジョと一人の少年。
古めかしいコートと眼鏡。背中には長大な杖を突っ込んだリュックサックを背負った中々の美少年で、その眼は純粋さと狡猾さが同居したミステリアスな魅力を発散しまくっていた。