試作品集   作:ひきがやもとまち

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戦記好きがガンダム主人公に憑依転生した場合の話、パート2です。今度は『W』ですね。
ヒイロ君になった戦記モノ好きが会話シーンで一刀両断する話です。ちなみに昨日再放送していた『ガラスの王国』だけを題材にしてます。探し出すと切りがないのでね・・・。

富野ガンダムと平成ガンダムの話と違い、こっちは早くできますね。やはり原作のセリフ準拠は難しかったか・・・頑張ろう。


戦記好きがヒイロ・ユイに憑依転生した場合のお話

リリーナ「・・・ヒイロ・・・。わたくしの考えは夢、それとも過ちなのでしょうか・・・?」

 

ヒイロ「夢でもなければ、間違ってもいない。誰もが平和を望んでいると信じる気持ちが、誤りであるはずがない」

 

リリーナ「では、どうしてこのような悲惨な行為を続けるのでしょうか・・・? 一体なぜ・・・」

 

ヒイロ「誰もが平和を望んでいる。その為に戦っているのさ。『自分たちの正しさで統一された平和な世界』を築くためにな。

 ・・・個人の悪意だけで起こせる戦争なんて、俺たちがやっていた戦争ゴッコのテロぐらいしか実在しない・・・」

 

リリーナ「・・・・・・っ!!!」

 

 

 

 

リリーナ「ヒイロ。ノインさん。許可します、あなたたちの思うように行動してください」

 

ノイン「リリーナ様・・・っ!?」

 

リリーナ「わたくしの一番身近にいる人たちと同じ考えになることも出来ないで、世界に共通の考えは生み出せないでしょう。

 そして、いつか見出します。何がみんなを闘いに走らせるのかを」

 

ヒイロ「それなら考えるまでもない。答えは最初からお前の中にある。『憎しみ』だよ」

 

リリーナ「え・・・? わたくしは誰のことも恨んでなどーーーっ!!」

 

ヒイロ「恨んでいるし、憎んでもいるさ。『戦争』をな。他の誰より憎いと、この世界から滅ぼしてやりたいと、抹殺してやりたいと切望するほどに。

 だからこその『完全平和主義』なのだろう? 完全とは例外を一切認めないとする、傲慢な神の思想そのものだからな」

 

リリーナ「ぐ・・・っ」

 

ヒイロ「お前は憎んでいる。義父を殺し、平和を壊し、自分の周囲にあった穏やかな世界すべてを一瞬にして地獄に変えた戦争を。だから終わらせたいと願っているのさ。憎しみに突き動かされながら、自分の中の黒々とした憎しみを消すために」

 

リリーナ「そんなことは・・・ない、わ・・・」

 

ヒイロ「別に責めてはいない。戦いの始まりが怨恨に根ざしているのは当然のことだ。その点でお前が他人から避難される理由にはならない。むしろ誇るべきだろう。

 誰かを殺された憎しみを敵ではなく戦争終結に向けることができた自分は、戦争でしか恨みを晴らせない戦争バカより正しくて尊い存在だ、と。お前にはそれを言う資格があると俺は思っている」

 

リリーナ「ヒイロ・・・?」

 

ヒイロ「俺はお前を支持しよう、リリーナ。平和の名の下でおこなわれる世界統一戦争。平和をもたらすための戦争というのも矛盾している気がするが、戦争の続く世界よりかはマシだ。ずっとずっとマシな世界だ。

 ・・・それに、動機や思想はどうあれ戦争が少しでも早く終わらせられるなら、勝利による平和を信じて闘って散っていった兵士たちの犠牲も無駄ではなかったと思えるからな・・・」

 

 

 

 

『サンクキングダムの学校で』

 

カトル「・・・女生徒ばかり。男は、話し合いだけですべてを解決するとは思っていないんだろうなぁ」

 

ヒイロ「男と女の差ではないだろう。自分と違う考え方をするのは生まれ持った性別が違うからだと、努力では変えることのできない理由に原因を押しつけて思考停止するのは差別しか生まんから止めておけ。男尊女卑の徹底した中東のお坊ちゃん」

 

カトル「ぐ・・・っ!」

 

 

『ドロシー・カタロニア戦』

 

ドロシー「・・・ある所に同じ名前の人がいました。その一人は宇宙を平和にするために命を懸け、そして宇宙の伝説となりました。多くの人は彼の死を悲しみ、怒りを以て復讐を誓いました。そして、もう一人の同じ名前を持つ者も、伝説となりつつあります。

 彼は最高の才能と力を持つ戦士です。平和のために、やはり戦うのでしょう。その彼もまた伝説となるために命を落とすのでしょうか?」

 

ヒイロ「・・・・・・」

 

ドロシー「ダメよ、伝説のナイトはわざとやられたりはしないわ。逃げ隠れするために婦女子に負けるなんてことは絶対にダメ。強く、気高く、激しく生きて。死ぬのはそれからでいいでしょう?

 あなたはもっと大きな伝説を作れるはず? そうでしょう? ヒイロ・ユイ」

 

ヒイロ「俺にはお前の言っていることが理解できない。『平和のために命を懸けた人の伝説』が、途中から伝説となるために戦った男の話に掏り替えられていた。繋がりが見えない。

 誘導しようという目的でした話でないのなら、できれば自分の中で整理整頓を終えてから人に語り聞かせるべき話だったな。でなければ、伝説の英雄とやらに礼を失する」

 

ドロシー「・・・・・・うっ、ぐ・・・」

 

ヒイロ「それから、宇宙を平和にするために命まで掛けた男の死を復讐心から台無しにしてしまうような連中が、本気で死を悼んでいるとでも思っているのか?

 そいつ等はただ利用しているだけだ。自分たちの目的のために故人の唱えた理想が都合良かったから、名前だけを継承して利用しているだけのエゴに過ぎない。

 その人というのが誰かは知らんが、お前が口で言うほどその人に敬意を抱いていると言うなら、バカどもの戯言など無視して本当の彼を知るためにも、勉強しなおした方がいいのではないか?」

 

ドロシー「・・・・・・(キッ!!)」

 

ヒイロ「最後に一つだけ付け加えさせてもらうが・・・強く、気高く、激しく生きるナイトと呼ばれる存在は、か弱い婦女子と戦わないために我が身を犠牲に捧げるを惜しまないと聞いている。

 女であろうと敵であるなら容赦しないガンダム達、テロリスト共と絵物語のヒーローとを一緒くたにするのは感心しないな、ドロシー・カタロニア。

 ーーここは、平和を学ぶために造られた学校なのだから・・・」




注:基本的に原作準拠で『平和のための戦争』を前提として書かれている作品です。

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