彼女の笑顔はとても綺麗だと思った。
ようやく、時と言う運命の糸が繋がり
ずっと、探していた希望を見つけたように
僕の想いは溢れ続ける。
溢れる想いにのせて世界一好きと言った。
でも、こんな一言では済まされないほど沙紀のことは好きだ。
だから僕は言葉以上に彼女を幸せにすると今永遠に誓う。
「沙紀、世界で一番好きだよ」
僕はそう、沙紀に告白した。
「私も、圭一君のこと大好きだから…」
そう言う沙紀の顔は夕日のように輝いていた。
「…圭一君、私はずっと圭一君と一緒にいたい。私と結婚してください」
僕は驚いた。沙紀の口からプロポーズをしてくれるなんて。
「僕なんかでいいの?」
僕は思わず聞き返す。沙紀は表情変わらず、
「結婚するなら圭一君しかいないから」
そう答えた。
「喜んで…。絶対沙紀を幸せにするから」
僕も沙紀の想いに応えてあげよう、そう誓った。
「圭一君、浮気しないでよ」
僕は笑って
「浮気なんてするわけないだろう。こんな可愛い妻がいるのに」
沙紀の顔が淡い朱色に染まった。
嵐山の商店街を歩いていると
「圭一君、これからどうする?」
沙紀が聞いてきた。
「嵐山の森に行かない?今日、月食で綺麗だと思うし、なにせ沙紀との思い出の場所だろ」
「うん!行こう」
沙紀も満面の笑みだった。
森の中を歩いていると、祖母の言葉が思い浮かんだ。
『なぁ圭一、京都にはブルームーンの伝説の他にもう1つの伝説があるのを知ってるかい?』
『ブルームーンの他にもあるんだ…』
『うむ、嵐山ではな。月食が起きる時、自分の願いが叶うと言われているんじゃ』
『マジか…』
「なあ、沙紀。月食の日に嵐山に行くと願いが叶うって知ってる?」
「えっ、知らない。初めて聞いた」
「泉に行けば、過去に戻れた時みたいに願いが叶うかもな」
「願い…。私の願いは九年前からこうなってたらなーって」
「沙紀…。俺も同じこと考えてた」
「叶ってほしいな…」
「なあ…沙紀。俺さ今もう1つ思い浮かんだんだ」
「どんな願い?」
「沙紀とキスしたい…」
「き、キスって…。男の人と女の人がやるやつだよね〜〜」
「うん…。したい…。ダメ?」
「私、こういうこと初めてだからうまくいかないかもよ」
「いいよ、沙紀なら」
徐々に僕と沙紀の顔が近づいていく。僕の心臓の鼓動が止まらない。
チュッとリップ音がする。
僕はその瞬間、衝撃を受けた。
キスがこんなに甘いものだったなんて。
沙紀の顔がみるみるうちに赤くなる。
気持ち良くて歯止めが効かなくなりそうでお互い顔を放した。
「キス…気持ちよかったよ…圭一君、これからもずっと一緒にいようね」
「もちろん!沙紀は俺の妻だから」
僕らは真っ直ぐ歩いていく。三年前、沙紀に一目惚れしたんだっけ。懐かしい。僕の最初の恋と青春だった。あの時、出会ってなかったら今は違っていた。そう考えると僕と沙紀は出会う運命なのかもしれない。
「そういえば、もう直ぐ泉だね」
「懐かしいなぁ。ここで、沙紀に一目惚れしたんだよな」
「私は、前から圭一君のことが好きだったよ〜」
「俺と沙紀の出会いは必然だったのかもな」
「本当に圭一君と出会えて良かった」
「俺もだ。高校生の時なんか、異性と付き合うなんて考えられなかった。でも、今は大好きな人と結ばれて、良かったて思う」
「私もだよ、圭一君。男の人とお付き合いするなんて無理だって思ってたんだ。孤児院から出てきた人なんて誰にも相手されないって…思ってた。だから、圭一君と結ばれて、今凄く嬉しい」
「ありがとう」
僕は沙紀の言葉が嬉しくて一言しか言えなかった。どれくらい時間がたったのか、もう直ぐ月食が始まる時間になっえいた。その時は、願いが叶ってくれればいいなぐらいに軽く思っていたが…。
「そういえば、もう直ぐ皆既月食が始まる時間だ。もうすでに、月は少しかけてるけどね」
「もうそんな時間なんだぁ。時は経つのは早いね」
「沙紀、言ってることがお婆ちゃんっぽいよ」
「そうかな…」
「でも、そういうところも可愛い…よ」
「ふふっ、ありがとう」
そうこうしているうちに、月食が始まった。月食のせいか、月は赤銅色でとても不思議な景色だった。月に魅入られてくごとに意識が月に吸い込まれるようなそんな気がした。
もしかしたら、願いが叶うのかもしれない。僕は、そんなことを考えていた。僕は、沙紀の手を強く握った。沙紀も握り返してくれた。僕の推測でしかないけど、きっと沙紀も同じことを考えている。
そろそろ、月に意識を吸い込まれる。これが、お婆ちゃんが言っていたことなのか、そう思った。
時が早送りされてるように、月はどんどん赤くなり欠けていった。
月が全部欠けた瞬間僕の意識は宙に浮いた。
しばらくは夢を見ていたかもしれない。僕はハッと目覚めた。月食で意識が宙に浮かんだときまでは覚えている。そこからの記憶がなくなってしまった。隣を見ると沙紀がいた。僕はそれだけでホッとして、寝てしまった。
また、眼が覚めると、沙紀が僕の顔を見て言った。
「ねえねえ、圭一君、私小さくなった気がするんだけど…」
僕は驚いた。沙紀が言ったのもそのはず。僕が初恋をした17歳の姿の沙紀だったのだから。
「後…圭一君、17歳の時の圭一君に戻ってるよ」
僕は沙紀の言葉を聞いた時全てが繋がった。
僕らは多分、月食の伝説の通り願いが叶ったんだ。
僕は三年前の過去に戻り、17歳になっている。今の年は沙紀が23歳の頃だ。きっと、沙紀の過去が変わっている。僕らが迷い込んだ過去の世界では沙紀は僕と同い年になっているのかもしれない。
多分、月食の伝説が僕らのもっと一緒にいたかったという願いを叶えてくれたんだ。
「なあ、沙紀、俺と沙紀は過去の世界に迷い込んだんだ。多分、沙紀は俺と同じ年に生まれたことになっているかもしれない」
「そうなんだ…。私も今びっくりしてる。圭一君が言うことが本当ならこの世界は理想の世界だね」
「そう?」
沙紀は笑って答えた。
「だって、圭一君ともっと沢山いれるかもしれないから」
彼女の言葉を聞いて僕が赤面したのは言うまでもない。
何はともあれ僕らは過去の世界に迷い込んでしまったのだ。