Afterglow   作:N@gi

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出会い

 「フッフッ…」

 

 荒い呼吸を吐きながら、俺は浜辺を走る。朝の風が少しひんやりとしていて春の終わりを感じる。今は五月下旬。俺のヒーロー生活をかけた試験が後十ヶ月と言ったところまで迫っていた。

 

 「はぁぁ、浜辺走りづらいなちくしょー」

 

 そう今俺が走っている砂浜はゴミが散乱しており、ここら辺の砂浜は放棄地帯と化していた。

 ヒーローは派手さを求めるだけでは行けない。父さんの言葉だ。誰に見られていなくても人の為になることをしなければヒーローとは言えないと父さんはかつて俺に言った。

 

 「なら…ゴミ掃除も大切な活動か。ヒーロー資格がなくてもこんぐらいのヒーロー活動は出来るはずだぞ俺」

 

 そんなこんなでゴミ拾いスタート。個性の限界を引き上げる訓練にもなるし、筋力トレーニングにもなるので常に俺が今出せる重力の限界、700kgを自身にかけながらゴミを拾っていく。

 そんなことをずっと続けていると海岸に二つの人影を発見した。

 

 「こんにちは、貴方達もゴミ拾いですか?」

 

 ガリガリのそれこそミイラと呼ばれても不思議ではないぐらいの容姿をした男性ともじゃもじゃ頭の俺と同世代ぐらいの少年がゴミ拾いをしていた。やっぱりこんな人たちもいるのか。

 

 「やぁ、少年。君もゴミ拾いかい?」

 

 「あ、そうです。俺は紅 夕斗と言います。君もということは貴方達もですか?」

 

 「いや、私はこの子の保護者的な立場であって力活動は期待しないでくれ。緑谷少年、一旦休憩にしよう」

 

 「はい!お…おじさん!」

 

 「はじめまして、俺は紅 夕斗。大変だよね、このゴミの山」

 

 「は、はじめまして!ぼぼぼぼ、僕は緑谷出久です!ゴミ拾いしてる方が僕以外にいるなんて驚きです」

 

 「んー、ヒーロー目指してるからこのぐらいはね。だってどんな小さなことでも見逃したらそれはヒーローじゃない。ヒーロー飽和社会なんて言われてるけど俺が尊敬できるヒーローは今のところ二人だけだし、そのうちの一人を見習ってやってるだけだよ」

 

 「二人…ですか?」

 

 「そう、一人は誰もが皆ヒーローといえば思い描く理想像オールマイト。そんでもう一人が俺の父さん、ブレイドヒーローグラムさ」

 

 「君が剣璽君の…!」

 

 「あれ、おじさん父さんのこと知っているんですか?」

 

 「あぁ、仕事でたまーに一緒に行動するんだよ。彼は凄いヒーローだ」

 

 「分かってます、だから俺は父さんの横に並び立つためにこうやって小さなことから活動してるんです」

 

 「す、凄いよ!紅君は自らゴミ拾いしてるんだよね!立派なヒーローだと思う!」

 

 「そんな事言ったら出久、お前だって海岸を利用してる人から見れば立派なヒーローだよ。誰でも出来ることじゃない」

 

 「ぼ、僕はそんな大層なもんじゃ…」

 

 なんて気弱な少年なんだろうか。俺は父さんの言葉があるからこういう活動をしていたが聞いている限りは出久は本当に自分の手でゴミ拾いをしている事になる。それは誰でも出来ることではないのは海岸を見れば一目瞭然なのだからここは素直に受け取ってほしい。

 

 「いーや、誰でも出来ることじゃない。だからお前だって立派なヒーローだよ」

 

 「あ、ありがとう!」

 

 俺の言葉を聞いた出久はニカッと笑って照れていた。そう、賞賛の言葉は素直に受け止めてくれないと困るのだよ少年。

 

 「二人共盛り上がっているところ悪いがゴミ拾いをそろそろ再開しよう」

 

 「「はい!」」

 

 俺たちはその後二人してゴミ拾いに勤しんだ。出久は身体こそ未熟なものの何も弱音を吐かずに頑張って思い冷蔵庫などを運んでいた。こういう奴がヒーローになるんだろうな。

 

 「よしそろそろ切り上げよう!緑谷少年に紅少年お疲れ様!これは頑張った二人に私からの差し入れだ!」

 

 そういっておじさんからドリンクを貰う。なんか悪いなこんなことしてもらって。

 二人がこれからちょっとでも楽になるように少しだけプレゼントをしよう。

 

 「ありがとうございます。ちょっとだけ二人に見せたいものがあるので離れててください」

 

 そういってゴミの山の近くまで行って、手の中に重力を圧縮する。それと同時に自分の重力を重くしていく。

 よし、そろそろか。

 

 「はああああ!ブラックプリズン!!」

 

 俺の手の中に出来た黒い物体。そう、ブラックホール。

 それがゴミ山のゴミ達を一斉に吸い込んでいく。これが一番早くゴミを掃除できる術なのだが俺は自分の訓練のために違う方法をとっていた。

 

 ゴミ山が小さくなったところでブラックホールを消す。

 

 「付き合ってくれた二人への見世物だよ」

 

 俺はそう言って二人に近づく。

 そうすると出久はキラキラした目で俺を見ておりおじさんはなんとも言えない表情をしていた。

 

 「すごいすごい!ブラックホールを作るなんてまるで13号みたいな個性だよ!」

 

 「んー、13号さんとはちょっと違うんだけどな?でもありがとな」

 

 「紅少年、君の個性は…」

 

 「あぁ、おじさん。俺の個性は重力。あのブラックホールを作ったのも俺の個性だよ。って言ってもそんなに長い時間も作ってられなくて維持できるのは精々三十秒って所かな」

 

 「ふぅむ…君の個性はとても強いものだと思う。けれどそんな個性に飲み込まれずちゃんと制御するんだよ紅少年!」

 

 「分かってます、おじさん。また父さんにおじさんとあったこと話しておきます。出久、ヒーロー志望ってことはお前も雄英志望だと思う。雄英で待ってるぜ」

 

 そう言い残して俺は海岸を去る。緑谷出久か、絶対に俺は負けないぜ!

 

 

 

 「オールマイト…彼すごいですね」

 

 「うん、そうだね。流石剣璽君のお子さんだ。立派でそれでいて曇りないヒーローへの憧れだよ」

 

 「僕待ってるって言われちゃいました。あんな凄い人に」

 

 「なら君がすることは彼の期待に応えることだよ緑谷少年。なーにまだまだ時間はある、頑張っていこう!」

 

 「はい!オールマイト!!」

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