『今日は俺のライヴにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!!』
熱烈なファンならばココで気の利いた返しをするのだろうが、生憎緊張に包まれた会場では誰も目の前に返事をすることが出来ない。
緊張だけではなく、入試に対しての集中を高めておるものもおり俺もそちらに該当する。別段雰囲気に飲み込まれたりはしていないので調子はいいと言える。
『こいつぁシヴィー!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!Are You Ready?』
壇上の中心で俺らに大きな声で概要を説明してくれているのはボイスヒーロープレゼント・マイク。プロヒーローでありながら副業としてラジオパーソナリティなども務める多彩な人物だ。尚、そのラジオは高い数字を記録しているらしい。
『演習場には仮想敵を三種・多数配置しており、それぞれの「攻略難易度」に応じてポイントを設けてある!!各々なりの“個性”で仮想敵を行動不能にし、ポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ!!もちろん他人への攻撃等、アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』
なるほど、こういう場所を受ける人には御曹司や金の力ではどうこうすることが出来ないというルールか。流石日本で一番有名なヒーロー育成学校。しっかりとしている。
しかし、妙だな?配られたプリントには四種の仮装敵が書かれているのだが。わざわざ0Pなだけのおじゃまギミックなど用意する意味が無いわけが無いのだが。
そんな俺と同じ疑問を持ったのか真面目な委員長タイプの男の子が手をビシッと上げて質問していた。規律を重んじるタイプの奴だと見た。誰かがボソボソと会話していたことすら注意する、他人への悪を許せないタイプのこれまたヒーローにありがちな人物だった。
プレゼントマイクはそのどこか非難的な彼の意見を笑いながら答えた。
『オーケーオーケー、受験番号七千百十一番くんナイスなお便りサンキューな!
四種目の敵!それは所謂お邪魔虫!行動不能にしようが0Pのお邪魔ギミックさ!レトロゲーやったことあるか?レトロゲーには大体配置されてる壁役だと思ってくれればいい!コイツが各会場に一体!所狭しと大暴れしているぜ!』
プレゼントマイクの説明に納得が言った様で、質問をした彼はお礼を言って席に座った。疑問に思ったことは目上の人に対してもしっかりと意見を言える自分の意思をしっかり伝えれる人物の様だ。
そんなプレゼントマイクの説明を受けて周りの受験者たちはざわついていた。
「避けて通るステージギミックか」
「ゲームみたいな話だぜこりゃ」
どうなんだろうか?このお邪魔ギミックが隠された雄英の教師陣からの意図を感じる。
『俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校訓をプレゼントしよう!
かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!
Plus ultra!!(更に向こうへ!!)
それでは皆、良い受難を!』
プレゼンも終わり受験生皆が各々試験場につき色々な事を思いながら開始の合図を待つ。
出久は来ているだろうか?そもそも同じ歳なのだろうか?そんなことも考えるが今は目の前の試験をトップで通過して、雄英高校にこう伝えるのだ。
『未来のNo.1ヒーローが来た!!』と。
「はい、スタートー」
誰が言い出したかもわからないその言葉で一目散に広い場所に陣取る。ここからなら試験場全範囲とは言えないが、周りを巻き込まずにあの力を使う事が出来る。
「超引力!(カリスマ!)」
そう、俺は今年の空想具現化でこの能力を手に入れた。正確に言うなら重力という個性の強化。自身を天体に見立て自分に引力をかけることにより狙った物体を引きつける力。
「対象は、自立駆動マシン。範囲はここから500m。こい、敵共。俺が来たぞ!!!!!」
引き寄せられてきた仮装敵を時間の許す限り破壊していく。周囲も注意深く見て危なそうな子がいたら、即座に敵を引き付けて時間を稼いでおく。
ヒーローとは敵と表裏一体だ。コレは父さんの言葉だ。自身の個性に慢心して周囲に傷をつけてしまえばそれだけでヒーローとは呼べない。だから試験でも危ない人がいたら救ける。それがヒーロー。
『残り一分ー!!リスナーの諸君頑張りたまえー!!!』
スピーカーからプレゼントマイクの声がする。後一分、油断なくポイントを詰めていく。父さんから出された壁を壊せなくて何がヒーローなのか。俺は絶対になってみせる!!
「いっつ……」
ふと気づくとサイドテールの女性が怪我をした受験者を救けた表紙に倒れていた。ちょうど運悪くそこには0Pのお邪魔ギミックが少女を殺さんとしてそびえ立っていた。
即座に駆ける。自身の重力を限りなく軽くし、鍛え上げた足で弾丸の如く0P敵に近づく。
踏みつけようとしていた0P敵の足を個性を使い軽くし、食い止める。
「もう大丈夫だ!!!!」
「何で…」
何で?そんな言葉に昔見たオールマイトのデビュー動画が頭の中によぎった。あぁ、彼ならこういう時こういうのだろうな。
「何でって?俺が来た!!!!!!」
0P敵をそのまま押し倒し、俺は空に飛び出る。周囲に彼女以外に受験者はおらず、建物も0P敵に破壊されており健在な建物が比較的ない区域なようなので鍛えに鍛え上げた俺の必殺技でとどめを刺すとしよう。
「オォォォォォォ!!百%!グラビティメテオォォォ!!!!!」
自身にかけた重力が加速度を上げていき、音の壁を超える。肌がチリチリとし今にも大気が割れんとする勢いで俺は倒れた0P敵に右拳を叩きつける。
拳を叩きつけた衝撃でオールマイトほどではないが上昇気流が発生し、街に放たれた火を発生した雨がかき消していく。
「なんて奴だ…」
誰かのそんな声が聞こえてきたと同時にプレゼントマイクの終わりを告げる声が聞こえた。誰かを守れるヒーローになれたのかな、俺は。
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「あの子凄いわね、攻撃は的確でいてそれでいて周囲を見渡せれる冷静な判断力だわ」
教師陣が集まった視聴覚室の中で、十八禁ヒーローと言われるミッドナイトがモニターに映し出された仮装敵を一掃していく少年を見ながらそう呟いた。
「それに物体を引きつける個性ですか。中々僕に似た能力ですね」
そんな十三号の声を聞いて、一度彼とあった事のある人物がこう言った。
「いや、十三号君。彼…紅少年は君と同じブラックホールも使えるよ。私が会った時に比べて個性の威力も汎用性もさらに高まっている」
「紅?もしや、彼がブレイドヒーローグラムが引き取ったという少年!?」
「そうとも彼は自身の個性を重力と私に教えてくれた。なんて少年だ…」
目の前に映し出された少年は、なんと立派な事だろうか。
「けどまだだ、0Pというメリットは一切ない圧倒的脅威。だからこそより色濃く浮かび上がるヒーローの大前提」
教師陣の誰かがつぶやく。そう、だからこそ彼が色濃く教師陣の目に残った。
『オォォォォォォ!!百%!グラビティメテオォォォ!!!!!』
ロボットとはいえ圧倒的脅威に怯んでしまった受験者を助けるためにいち早く駆けつけそのまま倒してしまった。
彼の合格に教師陣の誰一人して異を唱えることは無かった。
紅 夕斗 筆記テスト一位
実技試験仮装敵P 143P
救助P 94P
総合成績 歴代一位で一般入試合格