二課指令室。全員が集まるこの場で、了子が全員の前に立ち音頭を取っていった。
「さーて、それじゃワクワク
「わくわく、わくわく……!」
「合わせなくていいから、落ち着きなさい……」
ナチュラルに了子のノリへ相乗りしていく響に、マリアが少し呆れながら諫めていく。また一方では奏が翼の身体を慮っていた。
「翼、もう大丈夫なのか……?」
「うん、今度こそ大丈夫。ありがとう、奏」
「いいんだよ。あたしが怪我させたようなもんだしさ」
不器用なれど微笑みを交わす二人。その姿に何処か懐かしさの混じった喜びを抱きつつも、弦十郎が話を促していった。
「さて、了子くん、報告を進めてくれ」
「はぁい。それじゃ早速、カルマ化したノイズこと、カルマノイズについて分かったことを発表しちゃうわよ」
指令室の大型モニターに映し出されるカルマノイズの姿。現在確認されている5体……これまで破壊した通常の人間型と巨大型の2体の他に、大型の飛行型と球体を背負う人間型、触手を持った生物型が映し出されていた。
「先ずは、ここまで斃したカルマノイズは2体。確認されているものだけならば残り3体にまで迫ったわ。そこで、私たちもそろそろ攻めに転じようと思うの。
そ・れ・で~、此処で取り出したるはこの前受け取ったそっちの技術者ちゃんのチップに入ってた情報。それと私が独自に集めたデータから、いくつかの事が理解ったわ。
まずカルマノイズの現れる場所の法則性について。それじゃあ……響ちゃん」
「わ、わたしッ!?」
「カルマノイズは何を目標として現れているのか、わかるかしらぁ~?」
「え、えーと……た、楽しそうな場所ッ!」
「はい不正解~」
「はうぅ~……」
何処からともなく鳴り出す不正解のブザー音。確かに分からなかった内容だが、間違いを言い渡されるのは小さくともダメージを受けてしまう。そしてノイズについてよく知る仲間からのツッコミも受けてしまう。仕方ないことだ。
「立花……さすがにそれは……」
「自律兵器であるノイズには感情も嗜好もないので、まあ当り前よね。ただ、割と惜しいところは突いているのよ。点数にすれば60点ってところかしら」
「惜しい……?」
「ええ。カルマ化したノイズは、『人が多い場所』……そして、総じて『フォニックゲインが高い場所』に現れやすいの」
「フォニックゲインの高い場所……まさかッ!」
了子のその言葉で皆が察した。特に奏には、決して忘れ得ぬモノだった。
「最初に現れたヤツはまさにそう。ライブ会場なんて条件にドンピシャだわ。
あの時もそうだけど、普通のノイズが現れた場所に後からカルマノイズが出現したりカルマノイズの周りでノイズが出現したりするのも、それが原因の一つね」
「……そうか。装者が戦うことによってフォニックゲインが高まりカルマノイズが出現する……。そしてカルマノイズ自身が、己が存在を維持する為にノイズを更に出現させ、私たちに唄わせている……」
「そういうことね。翼ちゃん、正解~」
確かにそれで辻褄が合う。カルマノイズの出現とそれに伴うノイズの出現、その関係性が一本の線で繋がっていった。
だがそれは新たな疑問を生む種となり、気付いた響が思わず声を上げていった。
「あ、あのッ! それじゃ、わたしたちがカルマノイズを呼んでいたって事なんですか……?」
「それは半分だけ正解ね。あのノイズは『必ず出現するもの』なの。これが大前提。
その出現時に、最もフォニックゲインの高い場所が選ばれると今までのデータが示してるわ」
「……つまり、私たちのフォニックゲインが無ければ、他の場所に同じタイミングで出現しただろう、ということ?」
「そういうことね。あとはどうしてあのノイズが今まで何度も撤退していったのか。これも一つの仮説が成り立つわ」
「……その理由は?」
「それは……そうねぇ~。じゃ、弦十郎くんッ! たまにはカッコいいところ、見せてくれるかしら?」
指名しておきながら蠱惑的な声で弦十郎を挑発する了子。対する弦十郎はそれに乗りながらも狼狽える事なく冷静に思考し、答えていった。
「……撤退した理由、か。そうだな──。
戦闘において、撤退する状況は兵站の不足や、敵が想定外の場所や戦力の場合、更には敵が居なかった場合などだが……。
……ノイズは人を殺すための兵器、だそうだな。だとすれば、敵──つまり”ヒト”が居ない場合ではないか?」
「弦十郎くん大正解~♪ 後でご褒美あげるわね?」
「フ……楽しみにしておこう」
「お、おお、大人の世界だ……ッ!」
二人の手慣れたやり取りに慄く響。守護りたいものの為に戦いの場に出る力はあれど、その心はまだまだ歳若い少女。大人の世界には憧れを抱きつつも目の当たりにするとつい目を覆ってしまうのだ。
一方でそれを特別意に介すこともなく、了子は話を続けていく。要点はまだあるのだ。
「カルマノイズは人に触れても自身は炭化しないわ。その代わり、人が少なくなれば、自動的に消失するの。そうして時間を置いて次の場所に現れる。また人が少なくなれば消える、多い場所に現れる……それを繰り返すの」
「まさに自動兵器、ということか……」
「今まで消えた時は、人々の避難の完了とほぼほぼリンクしていたわ。一定範囲内の生命反応が減ると消え始めるみたい」
「そこが付け入れるスキでもあり、僕らでカルマノイズを倒せた一因にもなる……ということですね」
「ミライくんも理解ってるわね~。弦十郎くんと一緒にご褒美あげちゃおうかしら♪」
「えっ、えっと……!?」
「んふふ、冗談よ冗談。あとはまぁ、戦ったみんなは理解してると思うけど、カルマノイズを破壊するには高速復元する暇を与えない程のエネルギーを持った攻撃をぶつけるのみってことね。
単純威力だけで言えば絶唱やイグナイトでも可能。まぁそれは諸々の理由で封じられちゃったけど、ミライくんの使うキャプチャーキューブで作った閉鎖空間にエネルギーを収束乱反射させたり、装者たちの高密度連続攻撃でも斃し切る事は可能となった。
っと、今のところ分かった事はこれくらいかしらね」
「十分だ。後はこれらを元にカルマ化したノイズを斃す手段……カルマノイズ殲滅作戦を練るだけだ」
「だけって言うがさ、ベゼルブの方はどうすんだダンナ」
奏からの指摘に厳つい顎を触りながら、少し考えたあとに弦十郎が答えていった。
「……先日皆が会敵してからというものの、二課の調査部がどれだけ調べてもブラック指令の尻尾は掴めなくてな……。不甲斐ないばかりだ」
「ごめんなさい、僕の方も成果はありません……。分かった事と言えば、ブラック指令は奏さんの発するマイナスエネルギーを狙っていたと言うことぐらいでしょうか……」
「マイナスエネルギー、とは?」
弦十郎に尋ねられ説明をするミライ。マリアや翼もそこに加わり、それが負の思念であり彼女らが立ち向かった怪獣侵略事変の中でも重要な意味を持つエネルギーである事を伝えていった。
「なるほどな……。それを餌にベゼルブを召喚していたと言うことか」
「僕の見解ではありますが、恐らくは」
「厄介な相手ねぇ~……。感情エネルギーを奪い取るなんて、流石に対処のしようもないわ。
人間から感情を奪うなんて行いは、神様か増長した霊長の所業。催眠や洗脳といった技術面はともかくとして、倫理的には不可能もいいとこよ」
「みんな何かしらの想いが……心があるものね……。それが繋がるから、人は世界と生きていける」
「ああ。そしてそれを閉ざし奪うなど言語道断。如何に手段が存在しようとも、人としてそれを許すわけにはいかないからな」
「でもそうなると、結局ベゼルブについては出て来た端から叩き潰すしか出来ない、か……」
奏の言葉に全員で頭を悩ませる。結論がそれ以外に出て来ないのが現状だった。
「もういっそ、このまま出ないでくれると正直楽なんだけどね~……」
「流石にそうは問屋が卸さんだろう。確実に脅威が失われるまで、警戒を解くわけにはいかん」
「そうよねぇ。仕方ない、怪獣対策の方にも本腰を入れますか」
「すまないな了子くん。俺に出来ることがあったら何でも言ってくれ。
装者の皆やヒビノくんにもまだ負担をかけることになるが、どうか引き続きよろしく頼む」
全員に向けて大きく頭を下げる弦十郎。それに対し、皆が強い笑顔で了解の返事をしていった。
迫る脅威を野放しには出来ない。それが戦場に立つものたちの総意だった。
==
「……よし、さほど違和感はないな」
「病み上がりにしては動けるじゃない。……さて、これくらいで一度休憩しましょうか」
訓練室で身体を動かし状態を確かめる翼。響、マリア、奏の三人もそれに付き添い、軽い手合わせやノイズ戦シミュレーションを行いつつ翼の体調を皆で推し量っていった。
結果は及第点と言ったところで、十全とは言わずともノイズと戦う分には支障が無いと確信。それだけでも十分大きな収穫と言えた。
それを得た装者たちはギアを解除し、訓練室の端にあるベンチに皆で集まっていった。汗を拭くなり水分補給をするなりしている中で、翼がおもむろに呟いていく。
「フォニックゲインの高い場所に現れる、か……」
「さっきのカルマノイズの話が気になってるの?」
「ああ、少しな……」
「気にし過ぎても仕方ない。現れた端から、ブッ倒せばいいのさ」
「ですねッ!」
少しばかり楽観的な奏の言葉に明るい笑顔で同意する響。お互いが顔を合わせてニッコリと笑い合う姿を見て、翼が思ったことを口に出す。
「……いつもの間にか、立花と奏は仲良くなったんだな」
「そりゃあ同じガングニールの装者同士だし、な?」
「はい、ガングニール仲間ですッ!」
「あら? 私も元ガングニール装者だけど、その仲間には加えてもらえるのかしら?」
「ああ。それじゃお前もだ」
「マリアさんも一緒ですねッ!」
マリアも交え和気藹々としていく、ガングニールに所縁のある三人の装者たち。
その光景を見ながら、翼の顔が少しばかり曇っていく。それは隠しようのない、小さな嫉妬だった。
「なんだか、仲間外れにされている気分だ……」
「そ、そんなつもりじゃないさ! あたしは……」
「えっ?」
「その……な、なんでもない……」
「……そう……」
互いに互いの距離感を図りかねている翼と奏。以前とは違いもう悪い印象は無いはずなのだが、このぎこちない空気に響はマリアに尋ねていった。
「……マリアさん、マリアさん。何なんですかね、このお見合いみたいな雰囲気」
「大方今までの態度とか色々引っかかって、素直になれないんでしょうね。全く、世話のかかる二人だこと……」
「でも、仲良くなれてよかったですね?」
「……ええ、そうね」
小さく笑い合う二人。これまでの事があったにしても、今仲良く出来ていることに変わりはない。
風鳴翼と天羽奏──例え並行世界の別人同士だとしても、在り方の変わらぬ二人が仲良くしていることは響にとってなにより喜ばしいことだった。
かつて、自分の命を救ってくれて今を生きる指標を与えてくれた特別な二人なのだから。
そんな訓練室に──二課の施設全体に警報が鳴り渡る。
「──ノイズかッ!?」
「指令室に急ごうッ!」
トレーニングウェアから各々の服に着替え、すぐに指令室へ駆け込む4人。扉の向こうでは弦十郎と了子、オペレーター陣が現状の把握に忙しくしていた。
「来たかッ! これで全員揃ったな」
「ノイズですかッ!?」
「ええ。ただノイズと同じ場所に新たな聖遺物の反応があったの。こっちでは未知の聖遺物なんだけど……お仲間さんかしら?」
「誰かがこっちに……? そんな予定は無かったはずだけど──」
「──嫌な予感がする。とにかく現場にッ!」
「はい、急ぎましょうッ!」
すぐさま走り出す装者たち。二課の所有する車両に乗り込み、急ぎ出動していく。
一方現場では独り戦う少女の周りで群れるノイズに対し、外部から赤い光弾が放たれ貫いていった。避難誘導活動を終えたミライである。彼の加勢によって状況は変わり、響たちが到着する頃には既に戦いが終結していた。
その事を弦十郎から聞いた装者たちだったが、一先ずミライと合流しなにが現れたのかを判断してもらう事となった。
到着した彼女らが目にしたものは、ミライが一人の少女を負ぶりながらその場で待機している姿。それを見て真っ先に声を上げたのはマリアだった。
「──調ッ!?」
「マリア……よかった、やっと会えた……」
「調ちゃんッ! 大丈夫ッ!?」
「はい……ヒビノさんが助けてくれましたので……」
「無理に喋るな月読……。一度二課へ戻ろう。奏は司令に言ってメディカルルームの用意をお願いッ!」
「あいよッ! お抱えの救急も回すよう頼んどくッ!」
響の問いかけに薄い笑顔で答えた調。聞くべきことはまだまだあるが、調の状態を見る限り悠長に話している暇は無いだろう。
即座にそれを判断し指示を出す翼。全員がそれにすぐ対応し、調を最優先で車に乗せて全員が揃ったところで走り出した。
二課指令室。
そこへ到着した時には体力がある程度回復したのか、マリアの手を握りつつも遅くとも調は自分の足で歩き先導する奏の後を付いて行った。二課所属の救急車内で、簡単にとはいえ横になり点滴を打って眠っていたからだろう。
一方扉の向こうで待ち構えていた弦十郎たちは、装者たちが連れ帰って来た少女の姿を見てまたも驚くこととなった。
響よりも更に小柄な彼女の容姿は、一見すると幼さにも見えたからだ。
「その子は──まさか、そちら側の世界の装者の一人、なのか?」
「ええ、この子は月読調。これでも立派な装者よ」
「……こんにちは」
マリアの後ろから小さく会釈する調。二課のメンバーからすれば聞きたい事は山のようにあるだろうが、それを察してなのか翼が率先して調に尋ねていった。
「それで、どうして月読がこちらに来たんだ?」
「……向こうにカルマノイズが現れました。今度は実体を持って。それでクリス先輩、わたし、切ちゃんで迎撃して──。
……カルマノイズは消滅したけれど二人はかなりの怪我を負って、今も療養中。だから、危機を報せに私が……」
「そんな、クリスちゃんや切歌ちゃんがッ!? それに調ちゃんも怪我を……」
「私は軽傷で済んだから……」
心配する響に微笑み返す調だったが、その儚げな笑みは無理をしていることが誰の眼にも明らか。そんな彼女を諫めていったのはマリアだった。
「……無理をしないで。言うほど軽い怪我には見えないわ」
「──すぐに戻りましょうッ!」
「ええ、そうね」
「ああ、私たちでカルマノイズを倒すんだ」
自らの故郷……自らの世界の危機に意気を高める響、翼、マリア。そこへおもむろに、奏が口を挟んできた。
「……なあ、あたしも連れて行ってくれないか?」
「奏……?」
「今まであんたたちには、かなり助けられた。……その恩を、少しでも返させてほしい」
「気持ちは嬉しいわ。貴方が協力してくれるならこれ以上ない力になってくれるとも思う。だけど、こちらでノイズが出たらどうするの?」
「それは……でも……」
歯切れが悪く、見るからに無念が顔から漏れ出している奏。誰も彼女の提案を無碍にはしていないが、直視すべき現実は此方ではないと言われているようだった。
どちらも守護りたい傲慢が故に起きる無惨な取捨選択。悩む奏に助け船を出したのは、翼だった。
「……なら、私がこちらに残ろう」
「翼ッ!?」
「カルマノイズを斃すには、S2CAを使う可能性が大いにあるはずだ。しかし、私はまだ絶唱を使えるほどに回復してはいない。力尽くで斃すにしても今の状態ではきっと皆の足を引っ張るだろう。……だから、私の代わりを奏に任せたい。
……頼めるかな……?」
「……いいのか、本当にあたしで?」
「奏だから任せられるんだ。……奏も私を信じてほしい。奏の留守は、私が必ず護ってみせるから」
固い決意を話す翼。彼女のその手を奏が思わず握り締める。そして今度は真正面から、決して目を逸らさない様に見据えて返事をした。
「……ああ、わかった。翼を信じる」
「ありがとう、奏……」
「……戻ったら、ゆっくり話をしよう。昔みたいにさ」
「……うん、楽しみにしてる」
約束を交え穏やかに微笑む二人。それを見ながら、マリアも調に声をかけていった。
「調、あなたもこっちに居なさい」
「マリア……でも、切ちゃんが……」
「切歌の事はわたしに任せて。怪我をしている以上、無理はさせられないわ」
「……わかった」
「僕もこちらに残ります。ノイズは勿論、ベゼルブを相手にするにも戦力はあった方が良いでしょうし」
「そうね。まぁそれはあまり有って欲しくない事態ではあるけども」
マリアに背を押され、僅かに彼女から離れるミライの隣に立つ調。それを見て優しく微笑むマリアの姿は、何処か母親めいていた。
「……そういうことで、この子の事をお願いできるかしら」
「ああ、任せてくれ。責任を持って、彼女の回復に努めさせてもらう。了子くんも分かってるな?」
「あぁら、信用してくれないなんてショック~。大丈夫よ、変なコトはしないから♪」
「……それじゃ行きましょう、マリアさん、奏さんッ!」
響の言葉と共に三人の装者が出動した。
目的地は響やマリアの生まれた世界。目的はただ一つ、カルマノイズの撃滅。
==
混沌を潜り抜け、三人の装者が門を通り抜ける。
響とマリアにとっては見慣れた場所、そして奏にとっては初めて見る場所だった。
「着きましたッ!」
「ここは……?」
「S.O.N.G.の潜水艦の中よ。正確には、その聖遺物保管区画の一角」
「へぇ……。それじゃコイツが、件のギャラルホルンか……」
背後で緩やかに明滅する巨大な巻貝のような物体。眺め見ると不思議な感覚が湧いてくる。まるで飲まれるような、吸い寄せられるような……。
奏の意識に優しく侵食するようなその感覚を弾き出すかのように、船内にレッドアラートが鳴り渡った。
「これは──ッ!」
『聞こえるかッ! 響くん、マリアくんッ! 戻ったようだなッ!』
「師匠ッ! はい、ただいま戻りましたッ!」
『早速で悪いがノイズが出現したッ! クリスくんと切歌くんはまだ動けない、悪いが二人で対処してくれッ!』
「二人じゃありません、三人ですッ!」
『三人……? 翼とミライくんの通信機の反応は無いが──まあいい、とにかく頼んだぞッ!』
弦十郎からの指示通信を聞き走り出す響たち。その中で奏が思ったことを呟いていく。
「……今の、弦十郎のダンナか? 翼もそうだったけど、本当に似てるんだな……」
「ええ。私たちも向こうの司令を見た時に同じ事を思ったわ。……それより、今は急ぎましょう」
「ああ、そうだな。──さて、こっちでも一暴れさせてもらうよッ!」
「おぉらああぁぁッ!!」
現着すると共に槍を振るいノイズの群れを砕いていく奏。響とマリアもそれに続き、襲い来るノイズの頭部に白銀の短剣が突き刺さっていき僅かに動きが止まった瞬間を狙って響の拳撃蹴脚が吹き飛ばしていく。
連携の取れた三人の攻勢に抜かりはなく、ただの一度もノイズの真っ当な反撃を受けることもなく殲滅を完了させた。
黒塵が漂う中に佇む三人は、警戒を僅かに緩めつつ周囲を見回して異変が無いかを確かめていく。幸いと言って良いのかは分からないが、これ以上の出現は無いようだ。
「これで全部か」
「ただのノイズしかいませんでしたね……」
「恐らく向こうで聞いたように、カルマノイズには現れる周期があるんだわ」
そのまま一息吐く三人。おもむろに奏が空を見上げる。陽が西にあることから時刻は昼過ぎ、見上げた彼女の眼には昼の月が見えていた。
自分が見てきた月とは違う、歪と化したモノが。
「……なあ、おい。あれって……」
「どうしたんですか、奏さん?」
「月が、欠けてる……」
「……ああ、貴方は初めてだものね。あれが、ルナアタック、フロンティア事変の傷跡よ」
今度は響とマリアも月を見上げる。二人にとっては最早見慣れた光景。あの欠けた月こそ、自分たちの戦いをずっと見つめてきたモノでもある。
このなによりも明確な差異を目にして、奏は改めて息を吐きながら感嘆を口にしていた。
「……本当にあたしは、別の世界に来たんだな」
「──はい、ようこそ奏さんッ! わたしたちの世界にッ!」
「……ああ、ようやく実感が湧いてきたよ」
「さて、今はこれ以上ここに居ても仕方ないわ。本部へ向かいましょう」
S.O.N.G.移動本部艦橋。
自分たちの居場所に帰って来た響とマリアに連れられ、奏が初めてこの場に足を踏み入れた。周囲から齎されたのは、驚きの視線。だがそれは奏自身も同じことだった。
「ここが、S.O.N.G.か……」
「……そんな、嘘……」
「ど、どうして……。じゃあ、さっきのガングニールの反応は間違いじゃなくて……」
「奏、なのか……ッ!?」
表情を固めたまま奏を見つめる弦十郎、友里、藤尭の三人。奏は少しばかり照れ臭そうに頬を掻いており、説明も兼ねて響とマリアが割り込んできた。
「あはは~、やっぱりビックリしますよね」
「……この人は、向こうの世界の装者よ」
「並行世界、か……。報告には聞いていたが、こうして目の当たりにすると不思議な気分だな……」
「本当に……。記憶にある奏さんのままだわ……」
「あたしから見ても、弦十郎のダンナやオペレーターのみんなはそのままに見えるよ」
「本当に、そんな世界があるんですね……」
並行世界の存在証明たる人物との邂逅にただただ感嘆する三人だったが、本題はそこじゃない。それをハッキリさせる為にマリアが言葉を放っていった。
「驚くのはそれくらいにして、状況を教えてもらえるかしら。……切歌は? クリスは無事なの?」
「そうだな、わかった。エルフナインくん、頼めるか?」
「はい。それではボクから説明します。
此方にあのカルマノイズが現れたのは三日前。今度は前回とは異なり、存在が固着した状態で現れました。クリスさんたちがすぐに迎撃に当たりましたが、勝つ事は出来ず、逆に怪我を負ってしまいました……。
ノイズはその後消失。ですが、以前とは違い、こちらの世界での存在を確定させてしまっています。
……今、こちらには戦える装者がおらず、あのノイズが次にいつ現れるか分かりません。そういった状況だったので、比較的怪我の軽い調さんに、皆さんを呼びに行ってもらったという状況です」
「……切歌とクリスの怪我の程度は?」
「二人とも無事だ。命に別状があるほどではない。だが、あのノイズの持つ呪いに当てられたのか、衰弱が激しい。当分は戦えるような状況ではないだろう」
「でも無事なんですよね、よかったぁ……」
響の大きな安堵と共に、マリアも小さく溜め息を吐きながら微笑んだ。大切な義妹と仲間の安否だ、心配するなと言う方が無理であった。
二人の様子を一度確認し、エルフナインがまた現状の説明に当たっていく。のんびり過ごして良い状況ではないのだ。
「今、この世界は並行世界同様にカルマノイズの脅威にさらされています。
何とか対策を練らないといけないのですが、あのノイズについては知らないことが多すぎて……」
「あ、そうだった。エルフナインちゃん充てにこれ、了子さんから預かってたんだ」
言いながらエルフナインに小さなチップを手渡す響。それは了子から預かっていたデータチップだった。
「前にくれたデータのお礼だって」
「ちょっと見てみます……」
すぐに自らの端末にデータチップを挿し込み認識、データを開くエルフナイン。書かれている内容にザッと目を通すだけで、その情報量に驚きを隠せなかった。
「……すごい。これを作った櫻井了子さんという人は、本当に天才なのですね……!」
「役に立ちそうなの?」
「はい。これなら対策が立てられます。わぁ……こんなデータまで……!」
興味深そうにデータの閲覧を続けていくエルフナイン。だが読み進めていくと、徐々にその顔が険しさを増していく。事実を知る事で立てられる精度の高い推憶。それがエルフナインを激変させる原因だった。
小さな頭脳の中で高速演算される各種データ。そこから導き出された回答はあまりにも単純で、しかし導き出した結果を偽ることなく伝えていった。
「──みなさん、大変ですッ!」
「どうしたの?」
「このデータから推察すると、カルマノイズの次の出現予測は──今晩なんですッ!」
==
S.O.N.G.移動本部内メディカルルーム。
クリスと切歌が安静に休んでいるところへ帰還した響とマリアが奏を連れて訪れた。
「クリスちゃんッ! 切歌ちゃんッ!」
「う……お前、戻って来てたのか……」
「怪我の具合はどうなの?」
「もう大丈夫デス。でも……」
「当分は戦闘は禁止、だとよ」
自嘲するかのように鼻で笑うクリス。彼女の変わらぬ態度に安堵したのか、おもむろに響が飛び付いた。
「でもよかったよぅ~、クリスちゃん~」
「バッ……抱きつくなッ! あ、暑苦しいんだよッ!」
「そんなこと言わないで~」
思わぬ事態に顔を赤らめながら引きはがそうとするクリスとそれでもくっつき続けようとする響。ドツキ漫才にも似たいつもの二人のやり取りに、切歌もマリアも微笑みながら見つめていた。
「……安心したデス。マリアが戻ったという事は、調は無事着いたデスね」
「ええ、調もあっちで治療してもらってる。切歌も、怪我は大したことなさそうで安心したわ」
「アタシは大丈夫デス。でも、クリス先輩はアタシたちを庇ったせいで、満身創痍なのデス……」
「はーなーれーろってのッ! あたしは怪我人だぞッ!」
力を込めて響を引き剥がそうとするクリス。だが無理に入れた力が傷に響き、余計に痛みを起こしてしまった。
「──ッ!? あいてててて……」
「あわわッ! ご、ごめんッ! 大丈夫……?」
「あああッ! だから抱きつくなって言っただろうがッ! このバカッ! ったく……」
クリスが痛む度に響が心配して抱き付くように距離を詰め、またクリスの傷が痛む。そんな堂々巡りを終わらせるように、マリアが響を引き剥がし、代わるようにクリスの隣に座っていった。
「クリス」
「……何だよ?」
「調と切歌を守護ってくれてありがとう。礼を言うわ……」
「なッ! そ、その……い、いいって事よ……」
「……クリスちゃん、照れてる?」
「て、照れてなんかいねぇッ! ──ッ!? あいたたた……」
「あわわわわ……ご、ごめんッ!」
「もうお前は動くなッ! 喋るなッ! あたしをゆっくり休ませやがれェッ!」
その場の感情に任せて喚くクリスや慌てる響。戦場に身を置く者にしては和気藹々とした年相応の少女たちの姦しさを、後ろで見ていた奏は微笑ましく……何処か遠くに見ながら佇んでいた。
(……そうか、これが翼の仲間たちなのか。良い仲間が出来たんだな……本当に)
自分の周りには無かったもの。自分と翼だけでは成し得なかった光景。”天羽奏の死”を経た世界に立つ”風鳴翼”が得たモノ。
目の前に広がっているそれは、見つめる奏にとっても奇跡と同義の世界だった。
そんな風に眺め見ていた奏を目にし、クリスが尋ねていく。
「ところで、そっちのはどこのどいつなんだ?」
「奏さんだよ~。天羽奏さん」
「……どっかで聞いたことあるような……?」
「天羽奏……って、確かガングニール装者デスッ!」
「そうそうッ! それに奏さんは翼さんのパートナーで、ツヴァイウィングなんだよッ!」
「ツヴァイウィングって、確か昔に……。おいおい、どういうことだよッ!?」
「ま、まさか幽霊デスッ!?」
驚く二人へマリアがなだめるように声をかける。
「二人とも落ち着きなさい。並行世界の方はこちらとは歴史が異なるのよ」
「歴史が違う、デスか?」
「ええ。だから彼女は今、こうして此処に居る」
「なるほどな……。まあいいや。あたしは雪音クリスだ。よろしくな」
「アタシは暁切歌デスッ! 奏さん、よろしくデスッ!」
「天羽奏だ。こちらこそよろしくな」
状況を受け入れつつ奏に明るい挨拶をするクリスと切歌。奏もまた二人に気さくに返事をしていく。
そんな奏の姿を見てマリアは少しばかりの安堵と強い確信を得ていた。今の彼女にはもう出会った頃に感じた強く張り詰められたモノは無く、新たな仲間を受け入れる余裕がある。
彼女にとって見知らぬ別世界、不慣れな環境で肩を並べて戦うのに、その余裕は頼もしさにもなってくるものだとマリアは感じていた。
戦いの時は、もうすぐそこまで迫っていた。
『……そろそろ現れるはずです。準備はいいですか?』
「いつでもオッケーだよッ! エルフナインちゃんッ!」
「問題ないわ」
「ああ、任せておきなッ!」
『──来ましたッ! 12時の方向にノイズ反応ですッ! おそらく、これと戦っていれば──』
「あいつが出現する、というわけね。なら行くわッ!」
三人の眼前に出現するノイズの群れ。復興の手も入らぬ荒れた地が瞬時に戦場へと姿を変え、駆け出す三人の装者の歌声が鳴り始める。
「装者三名、戦闘に移行ッ!」
「フォニックゲイン、順調に増幅していますッ!」
「あとはこれで、本当にカルマノイズが来れば……」
「来るさ。なんたって、了子くんの叩き出した計算だからな」
直接面識のないはずの”並行世界の櫻井了子”の齎したデータの正確性を、弦十郎は自信を持って肯定していった。
彼がデータ一つで何を察したのかはエルフナインには到底理解できないところだ。だが、彼女もまた強く信を置く司令官である彼の言葉を、今は信じていようと思い装者たちの戦いを見守っていた。
一方で彼女らの戦いは進んでいく。
しかし相手は変哲のないノイズの群れであり、場所も戦闘に適した民間人のいない地域。周囲に一切気を使う必要のない戦闘区域では装者たちの動きも自由度が上がり、ノイズ殲滅の流れに滞りを見せることは無かった。
三人それぞれの歌は高まり続け、フォニックゲインは順調に上がっていく。本部のモニタリングではその数値はすぐに基準閾値まで上昇していた。
『高質量反応増大……来ましたッ! カルマノイズですッ!』
エルフナインの言葉に合わせたかのように黒い瘴気が集まり形作られていく。
月明かりの下に現れたのは大型飛行型と同系統のカルマノイズ。そしてそれに釣られるかのようにノイズの群れも新たに出現してきた。
「……さあ、ここからが本番よ」
「ああ、そうだね」
『あのノイズの出現に合わせて通常のノイズも新たに出現していますッ! みなさん、気を付けてくださいッ!』
「ならまずは普通のノイズを倒して、カルマノイズに全力攻撃ッ!」
「マリアさん、S2CAは……」
「最後の手段ッ! 貴方が戦えなくなるのが現状一番の痛手だからね」
「──はいッ!」
マリアからの注意を受け、再度ノイズの群れに突き進む三人。
今度はそこにカルマノイズの強襲が加わる上にフォニックゲインの現状維持まで保たないと逃げられる事が分かっている。
それ故に狙うは短期決戦。ノイズ殲滅も必要だがそこからの動きも速やかなものが求められる状況だった。
知らず司令塔になっていたマリアは勿論、隣で唄い戦う響も奏も何処かでそれを察しており、解き放った力をカルマノイズに叩き込むべく力を貯め込むような戦い方を行っていた。
「くうッ! テメェの相手はあとで嫌ってほどやってやるから──」
「大人しく、待ってなさいッ!」
急降下攻撃を仕掛けるカルマノイズを奏が大槍で受け止め弾き飛ばし、マリアの蛇腹剣が追撃する。
当然この程度ではダメージらしいダメージにはならないだろう。だが今の優先事項を考えるとそれは些事。ノイズの数を減らすのが先決である。
響もまたそれを理解しているのか、地面を巻き上げながら徒手空拳のみでノイズを打ち砕いていく。軽快にカルマノイズからの攻撃を回避しつつ、マリアと奏の援護を受けて確実にノイズの数を減らしていった。
やがて三人の視線が一か所に集中する。
極彩色の壁が大きく瓦解し、開いた空間を通して目に入る黒紫の鋭嘴。標的であるカルマノイズの姿を目にした瞬間、全員が息を合わせたかのように飛び出した。
「──今ッ!」
「行くぞッ!!」
「はあああああああッ!!」
脇目も振らず三方からの同時攻撃──乗せるフォニックゲインは先程まで可能な限り貯め込み続けた必殺に相違無い威力を持つ初手猛撃。
貯められるだけ貯めたこの一撃を……カルマノイズは自身の形態が持つ高機動加速を発揮し即座に離脱、初撃を回避した。
「外れたッ!?」
「手を止めないッ! 攻め続けるわよッ!」
「おらぁああッ!!」
マリアの指示に従い再度攻撃を仕掛ける響と奏。
エネルギーを衝撃波に変えて放つ奏と左腕のガントレットに短剣を装着し高めたエネルギーを纏わせて発射するマリア。それらの攻撃を回避するカルマノイズだったが、その進行方向に合わせる形で響が前に現れ拳を打ち付けた。
杭打ちの要領で撃ち込まれた一撃はカルマノイズの肉体の一部を貫通するが、破片が崩れただけで即座に復元してしまう。
そして続けざまに繰り出される高速旋回と体当たりの連続攻撃。なんとか防御と回避は間に合っているものの、ただただ弄ばれてる状態でもある。
威力はともかく掠める程度の攻撃では密度が足りない。しかし捉えようとも動きに追い付けない。三人ともその結論に至っていた。
「ッくしょう……なら、あたしが変身してとっ捕まえて──」
「駄目よ。あのサイズの標的をウルトラマンの力で追い回したり光線を当てようとしても周辺被害が広がるだけ……。
それに、ウルトラマンの身体でもノイズに対する確実な防衛力は無いわ。死に至る程のダメージにはならないと言うだけで、炭化攻撃自体は通じてしまう。ただのノイズなら大したことは無くとも相手は自壊する事のないカルマノイズ……その案には乗れないわ」
「ならどうするってんだッ! このままアイツの良いようにされててもジリ貧だぞッ!?」
口論するマリアと奏の間を高速で通り抜けるカルマノイズ。巻き上げられた砂塵と衝撃波が二人を襲い跳ね飛ばしていく。
すぐに駆け寄る響だが、二人に寄り添いながらカルマノイズの姿を見た時に異変を感じ取った。
「マリアさん、カルマノイズがッ!」
「揺らぎ透けている……フォニックゲインが減っているというの……ッ!?」
此方に戻る前に了子から聞いた説明からすれば、カルマノイズを繋ぎ留めているのはフォニックゲインに他ならない。
そのカルマノイズの存在が不安定になっていると言うことはフォニックゲインが弱まり存在を繋ぎ留められなくなってきている事に相違ない。それをさせてはならぬという想いが、響の口から提案の言葉を放っていた。
「使いましょう、S2CA。このままにはしておけませんッ!」
「……分かったわ。ぶっつけだけど、翼の代わり、頼めるかしら?」
「ああ、任せとけッ!」
響の手をマリアと奏が繋ぎ、同時に絶唱を唄い始める。
紡ぐ詩に呼応して、シンフォギアから強力なフォニックゲインが放たれていき身体の中を巡っていく。身体を通じ、繋ぐ手を介し、力が響へと流れていく。
やがてそれが最高潮へ高まり行く時、響が意気高く声を上げた。
「セットッ! ハーモニクスッ! S2CA──トライバー……ッ!?」」
両腕のガントレットを合体させて右腕側に一対のタービンと化す。左腕を前に出して構えを取り、カルマノイズに向けて目線を向けていた。
しかし迸るS2CAの力を目にしたからか、カルマノイズは空へ急上昇し、更に高速での機動を開始していった。
「くッ!? コイツッ!」
「こ、これじゃあ狙いを定められないッ!」
中空高速移動と高頻度の急旋回に三人は翻弄されるばかり。加速するカルマノイズの動きは鋭角的に軌道を変え、三人へ狙いを定め突撃していった。
思わず構えを解いて防御する響。奏とマリアも思わず中央に位置する響を守るように防御姿勢を取るも、超高速での突撃には耐え切れず揃って吹き飛ばされてしまった。
その影響で三人の繋がりも崩れ、高めたフォニックゲインも霧散してしまった。
「──あッ!? ぐうううッ……」
「おいッ! 大丈夫かッ!」
「な、何とか……でも、今のでS2CAが……」
「……くッ、こうなったらもう一度──」
「落ち着いてッ! さすがにこの短時間でもう一度は無理よッ!」
即座に響の手を握る奏。だがその上からマリアの手が添えられ響から離していった。
響の顔には疲れが見えている。三人分の絶唱をその身一つで束ねているというS2CAの仕組みを言葉だけではなく奏も自身の五感で理解した瞬間だったが、それ故の口惜しさが現れてしまった。
「……ちッ!」
「二人とも、ノ、ノイズが……」
「──消え、た」
与えたのは僅かな隙。だがそれが決定的な間隙となり、その場で制止して浮かぶカルマノイズが闇に溶けるように消えていった。
生体反応やその場にあるフォニックゲインの減少……理由は色々あれど結果は一つ。
彼女らはカルマノイズに敗北し、取り逃がしたのだ……。
end.