絶唱光臨ウルトラマンシンフォギア2nd   作:まくやま

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EPISODE 05【世界侵食】

 

 元の世界に帰還した響とマリア。翼も一緒に戻って来たものの、張り付いた心配そうな顔はマリアは勿論響にも看破されており、すぐにあちらへ行くよう促された。そんな顔でいるよりも、あちらで奏と一緒に居て欲しいと背を押されたのだ。

 二人の気遣いに礼を言い、再度ゲートを潜る翼。残った二人も、いまやるべきことをする為に発令所へと歩を進めていった。

 

 弦十郎からの労いの言葉も僅かで済まし、すぐにギアのチェックを申請する。報告すべきことは多々あれど、先ずはそこからだ。

 そうしてエルフナインにギアペンダントを預け、その内に弦十郎への報告を済ませる。頻発するノイズの出現とその変異体。何処より現れる漆黒の怪獣。そして並行世界に存在する差異……天羽奏の存在。

 報告の一つ一つに驚きを見せながらも、弦十郎はそれらを受け止めるように聞いていく。二人が見てきた全てを信じる為に。

 

「……まったく、改めてとんでもないな、並行世界ってヤツは」

「はい。師匠も師匠だけど師匠とは全然違いますし、奏さんや了子さんとまた会うことが出来るなんて、思いもしなかったですッ!」

「……了子くんは、元気にしているのか?」

「はい、了子さんは了子さんのまま、すっごく元気でしたッ!」

「──そうか、それならいい」

 

 おもむろに尋ねた弦十郎の言葉に少し疑問は感じたものの、彼の優しい微笑みは返す言葉を拒絶しているようでもあった。

 そうして報告がひと段落着いたとき、エルフナインが発令所へと入ってきた。

 

「響さん、マリアさん、ギアのチェックが終わりました。それでイグナイトモジュールについてですが……」

「どうだったの、エルフナイン?」

「……結論から言うと、何の異常も見つかりませんでした」

「え……制御できなかったのに?」

「はい……すみません」

 

 思わず絶句するマリア。エルフナインを疑っているなんてことはない。彼女なら確実に、極細部までしっかりと検査している。その上で出した結論が『異常なし』なら疑うなどないが、事実二人は……特にマリアは強い異常と共に倒れ込んでまでいたのだ。

 実体験と検査の間で生じた齟齬、それは決して見逃してはならないところであり、マリアも自然とそれを追求していくようにエルフナインへ質問をしていった。

 

「……他に考えられる可能性は?」

「ご存じの通り、イグナイトモジュールは魔剣ダインスレイフの欠片を触媒としています。そして、ダインスレイフは心を蝕む魔剣です。

 ですので、使用者側の心に隙が出来れば制御が難しくなります。大きく動揺したり、焦ったり……肉体の疲弊から来る精神の均衡不全も要因になるかと……」

「……うーん、そんな事なかったと思うんだけどなぁ」

「そうね……。どちらも皆無という訳ではないけれど、魔剣の呪いを入り込ませる程の隙は作らなかったはず……」

 

 考え込む響とマリア。しかしどれほど思い直しても、エルフナインが言う程に大きな心の変化や肉体へのダメージは無かったと言える。だからこそ、理解らない。

 出ない答えに悶々としているところで、エルフナインからまた一つ提案が出された。

 

「念のため、お二人はメディカルチェックを受けてください。並行世界への移動や変異体ノイズ、別種の怪獣との戦闘で何か影響が出ているのかもしれません」

「……そうね、分かったわ」

 

 彼女の勧めに従いメディカルルームへ向かおうとする二人。だがその瞬間、警報が発令所に響き渡った。これは──。

 

「ノイズですッ!」

「……メディカルチェックの前にやることが出来たわね」

「待て、二人とも。今の状況での出撃は許可できない」

「でも師匠ッ!」

「そうそう、二人は留守番だ」

 

 扉の開く音と共に聞こえる声。響とマリアにとっては数日間聞くことが無かったせいか、何処か懐かしく聞こえてしまう頼もしい仲間たちの声だった。

 

「クリスちゃんッ!」

「メディカルチェックは大事。ちゃんとやっておかないと」

「デスデス。ノイズはアタシたちに任せるデス」

「調……切歌も」

「そういうことだ。こっちのノイズはアタシたちの担当だからな」

「……わかった。クリスちゃん、お願いねッ!」

「おう、任せとけってのッ!」

「調、切歌も気を付けて。無理はしないようにね」

「うん、大丈夫」

「泥船に乗ったつもりで待ってるデスッ!」

「切ちゃん、それだと沈んじゃう。正しくは『大船』」

「おおう……間違ったデス。とにかく、安心して待っているデスよ」

「ふふ……ええ、分かったわ」

「よし、それじゃ行くぞお前らッ!」

「はいッ!」

「了解デスッ!」

 

 威勢の良い言葉と共に駆け出していくクリス、調、切歌の三人。彼女らの背を見送りながら、響は激励の念を送っていた。

 一方でマリアは自然と弦十郎の隣に立ち、少し声を抑えて話を切り出した。

 

「……あの子たちのLiNKERは?」

「余裕がある、とは言い難いな。ノイズの出現頻度が長期的に増加する可能性を鑑みれば、悠長なことは言ってられんが……」

「エルフナインにこれ以上負担を強いるのも酷だものね……。アルケミースターズの結成で知識面での増強は出来ても、そこに技術と資本を伴わせるにはまだ時間が足りない、か……」

「情けないことにな……。マリアくんの方はどうだった?」

「上々以上の成果があったわ。並行世界の天羽奏が此方と同じ第二種適合者で良かった。相応の対価は差し出したけど、最低限の流通確保は出来そうよ」

 

 マリアのその言葉を聞いて薄く微笑む弦十郎。それは飽くまでもその場凌ぎの手段である事は理解っているが、それでも無いよりマシというもの。

 未だ幼く未来ある少女らの命を戦場で散らすなど、もう許せるはずもないのだから。

 

 

 一方、時を同じくした並行世界。そちらでも現在、ノイズ出現の報を受けて奏、翼、ミライらが出動したところだった。

 眼前に広がるノイズの集団。蠢く極彩色の群れを前に、翼の口からは素直な感想が漏れ出ていた。

 

「……また大量に出て来たものだな」

「なんだ、ブルっちまったのか?」

「そうじゃない。負けられないと思っただけよ」

「……そうかい。ま、あたしの邪魔だけはしないでくれよ」

「……ええ」

 

 奏の隣に立つ翼。隣りに佇む彼女の存在に、翼は言い得もない感情が沸き上がって来た。もう二度と感じることのないと思っていた、不思議な懐かしさだ。

 

(立花やマリアがいないのは少々心細くもある……。だが、奏と二人というのは、昔を思い出すな……。

 私と奏、ツヴァイウィングの両翼が揃っていた頃を……)

 

 其処に想いを馳せている中で、ふと奏に目を向ける。

 あの時のように明るく……とまでは行かずとも、彼女はまだ自分の名を呼んでくれることは無い。彼女が自分の記憶に彩られている”奏”ではない事は理解っていることだ。

 だがそれでも……違うと理解っていても、”奏”と同じその声で自分の名を呼んで欲しい。仲間として、友として、自分という存在を受け入れて欲しい。そんな風に考えていた。女々しいと一笑に付すべきことだと分かっていても……。

 翼のその目線に気付いたのか、奏もそちらに一瞬目を向ける。冷徹な、内なる鬼気を抑え込んでいるような目。

 すぐに視線を前へ戻し、吐き捨てるように翼へ声をかけた。

 

「ボーっとしてるんじゃねーよ。やる気が無いなら、そこでつっ立ってなッ!」

「……やる気ならある。この剣で、あらゆる危難に立ち向かってみせるッ!」

 

 

 

 =

 

 戦いは、二つの世界で並行して起こっていた。

 クリス、切歌、調の前に並み居るノイズの群れ。三人の装者はそれぞれが纏うギアを駆使して、ノイズの群れを攻撃していった。

 クリスの両手に携えられたボウガンから絶えず放たれる真紅の嚆矢がノイズを貫き、一見すると己が翠刃に振り回されているようでありながらも大振りの斬撃で刈り取る切歌が群れに穴を開ける。そしてその穴を広げるかのように、舞い踊るように廻る調の緋刃が更に群れを砕いていく。

 少女らの圧倒的優勢で進む戦いは、数多の努力と経験に裏付けられたもの。それを見せつけるかのように、三人は瞬く間にノイズの群れを掃討した。

 

「……はッ、ざっとこんなもんだ。あたしらの敵じゃねーなッ!」

『まだだッ! 12時の方向に新たな高エネルギー反応があるッ!』

「問題ない」

「一気に片付けるデスッ!」

 

 本部からの連絡を受け、そこへ向かって走り出すクリスたち。それを追うように司令室でも素早いモニタリングを開始する。

 そこに映し出されたものは、彼らにとっては思いも寄らぬ存在だった。

 

「なんだ、あのノイズは……。通常のノイズとは比べ物にならないエネルギーだと……ッ!?」

「あ、あれはッ!」

「カルマノイズ……。何故、あのノイズがこちらに……!?」

 

 驚愕に顔を歪める響とマリア。さもありなん、アレこそが異変の原因であるカルマノイズなのだが、それは並行世界にのみ存在するものだと思い込んでいた。だからこそ、自分たちの世界で現れるなど想定もしていなかったのだ。

 そんな中で冷静さを保ちながら、エルフナインが即座に構築した考察を話していく。

 

「今この世界に出現しているノイズは、バビロニアの宝物庫を介さず並行世界から流れてきています。ですから──」

「並行世界側の脅威が現れる可能性もある、ということか……。三人とも注意するんだッ!」

 

 弦十郎の言葉に力強く了解を伝えながら走るクリスたち。到着した其処はとある公園。そこに漆黒のノイズが動きを見せずに佇んでいる。

 

「こいつかッ! って、おい……何だよこれはッ!」

 

 敵の姿を視認すると共に戦闘態勢へ入るが、すぐにその周囲で生じている異常に気が付いた。

 

「人が、人を……襲ってる?」

「まるで地獄絵図デス……!」

 

 周りに居たのは人間たち。昼間の公園ともなれば、色んな人がたむろしていても不思議ではない。故にこその異常がある。

 人間同士の殴り合い……それもただの喧嘩などではない。老若男女が誰彼問わず凄惨な殴り合いを繰り広げていた。老人は幼子の首を絞め、その老人の腕へ別の子供がしがみ付き齧る。うら若き乙女は筋骨が隆々とした青年の上に跨り、互いに血を撒き散らしながら拳をぶつけ合う。

 切歌の呟いた通り、今此処は常軌を逸した地獄と化していた。

 

「──お前が元凶かッ! なら、さっさとぶっ倒してェッ!」

 

 迷わずカルマノイズへと引鉄を引くクリス。だが放たれた矢は標的に当たるより前に、壁のように地面からせり上がって来た極彩色──ノイズの群れに阻まれた。

 それを呼び水にしたかのように次々と現れるノイズ。まるでカルマノイズとの隔たりのように、どんどん出現してきた。

 

「の、ノイズが大量に現れたデスッ!?」

「これじゃ、あのノイズに攻撃できない……。それどころか、周りの人まで……!」

「クソ、オッサンッ!!」

『民間人の救助保護は既に向かっているッ! 急ぎノイズを殲滅するんだッ!』

「ちッ! 雑魚が、邪魔をしてぇッ!」

「デェェェェスッ!!」

 

 真っ先に飛び出したのは切歌。群れの中央目掛けて突進し、大鎌のアームドギアを振り回して立ち回ることで、ノイズの意識を自分に向けている。

 その隙を見計らい、殴り合っている人たちの近くにいるノイズたちを狙い撃つクリスと調。まばたき一つ許されぬ緊張と集中を最大まで高め、絶えず攻撃を続けていく。

 息も吐かせぬ戦いの中、民間人へ目を向け続けた二人の視界の端々には何処か見知った黒服の男たちが暴れる人たちを羽交い絞めにして離れて行く姿が見えた。その僅かに見えただけの姿が、戦う彼女たちに力を与えていった。

 目視範囲でのノイズの数はもう数えるほど。人的被害がどれだけ出たかも気にはなるが、それ以上に優先すべきは被害を拡大させる元凶であるカルマノイズの討滅に他ならない。三人とも、それはハッキリと理解していた。

 

「──奴への道が開けたッ! 一気に行くぞッ! イグナイトモジュール──」

「「「──抜剣ッ!」」」

 

 クリスの先導で三人がイグナイトモジュールを抜剣。その発動と共に残ったノイズたちを殲滅しつつカルマノイズへ速攻を仕掛けるべく襲い掛かる。だが……。

 

「ぐッ!? なッ……あああああああッ!?」

「あッ!? う、ああああああッ!?」

「くッ……な……うううううッ!?」

 

 肉薄した瞬間、突如呻き出すクリスたち。身の危険を感じて即座にイグナイトを解除するものの、倒れ込んだ三人は唄うことも出来ずに痛苦を吐き出していた。

 その姿、司令室で見守る響とマリアには覚えがあった。これこそが、彼女たちが感じたイグナイトの不調そのものだったからだ。

 

「そんな……クリスちゃんたちまで……」

「まさか、カルマノイズがイグナイトを封じている……?」

 

 状況を照らし合わせながら目測を立てるマリア。だが状況は更なる変化を続けていた。

 

「目標のエネルギーが急速に減衰していきますッ!」

「どういうことだッ!?」

「……目標、消失しました」

 

 戸惑う弦十郎の言葉に答える暇もなく、オペレーターたちはただ目の前の状況を伝えていった。

 困惑しているのは司令室だけではない。現場の装者たちもまた、ただただ理解に苦しむ結果を目の当たりにし、クリスは思わず地面を殴りつけていた。

 

「……消えた……? んだよッ! わっけわかんねーッ!」

「でも、助かった……」

「デス……」

 

 

 

 戦闘を終え本部へ戻って来たクリスたち。

 不穏そうな調と切歌の隣では、苛立ちを怒りに変えたクリスが拳を握りしめながら食って掛かるように叫び散らした。

 

「──何だってんだよ、あのノイズはッ!!」

「あれがカルマノイズ……私たちが並行世界で遭遇した敵よ」

「そういうことを聴きたいんじゃねぇッ! イグナイトの異常も、人が殴り合ってたことも、なんもかんもが分からねぇって事だッ!!」

「それは……」

 

 思わず言葉を詰まらせる響とマリア。だがそうなるのも仕方ない。彼女たちとて、それについては何も理解らぬままに戻って来たのだから。

 なんとか皆でクリスの激昂を抑えているものの、簡単には収まりそうにない。そんな時に、エルフナインが入って来た。

 

「先ほど出現したカルマ化したノイズ……、カルマノイズについて、分かったことがあります」

「話してくれ」

 

 弦十郎の許可を得て、みんなの前に出るエルフナイン。冷静に、観測したことを正確に語り出していく。

 

「……まずあのノイズは、正確にはまだこちらに出現していません」

「現れたのに出現してないって、意味わからねーっての……!」

「先ほど現れたのは、鏡像のようなものと思ってください。一時的にこちらの世界へ干渉してきた幻のようなものです」

「幻……あれが……」

「はい。だから並行世界側からの揺り戻しで、消えたと考えられます」

「周りの人たちが争っていたのは何なんデスか?」

「それはあのノイズの能力でしょう。あれは、人へ破壊衝動を植え付ける呪いのようなもの……マイナスエネルギーを持っているようです。

 発症に個人差があるのは、精神面での差異や呪いの圏内に居た時間、ノイズとの相対距離が関わっているものだと思われます」

「破壊衝動の呪い、マイナスエネルギー……。だから、あそこに居た人たちが……」

 

 心配そうに呟く響。それに釣られるように皆が沈痛な面持ちとなる。あのような凄惨な現場は、ノイズや怪獣との戦いを含めてもこれまで見た事が無かった。

 並行世界側からも話は聴いていたにせよ、この惨状を実際己が目で見てみると確かに恐怖が湧いてくる。だが故にこそ、装者たちは絶対に止めなければならないと心を強く持つことが出来た。”マイナスエネルギーとの戦い”は、初めてではないのだから。

 皆がそう思う中でふと、マリアが気付いたことを呟いていった。

 

「破壊衝動の呪い……。それって、イグナイトと一緒……?」

「そうですね……厳密には違いますが、イグナイトの不調の原因はそれに間違いないと思います。

 ダインスレイフの呪いにカルマノイズの呪いが重なり、より強い破壊衝動を呼び起こしていたのでしょう」

「だからイグナイトが制御できなかったのね……」

「はい……あのノイズが相手の場合、イグナイトの使用は自殺行為です。イグナイト無しで戦うしかありません。

 それと、さっきのカルマノイズですが、このままだと遠からずこちらの世界に存在が確定してしまうかも知れません」

「存在が確定……?」

「此方の世界に、実体を持って出現するということです」

「そ、それってかなりのピンチじゃないデスかッ!」

「はい……。それどころか、彼方の世界で出現している怪獣、ベゼルブの出現も予想される事態になり兼ねません。とにかく急いで、発生源である並行世界側の異変を治めないと……」

「……急ぐ理由が増えたわね」

「そうですね……」

 

 

 

 =

 

 明滅を続けるギャラルホルン。その前にギアを纏った響とマリアが立っている。仲間たちの目を受けながら。

 

「それじゃあ、行ってくるわ」

「ごめんなさい、あの呪いについて上手く対処が出来なくて……。LiNKERにしても、ボクがずっと解析を怠っていたばっかりに……」

「気にしないで、エルフナインちゃん。あのノイズの秘密が分かっただけで十分だよッ!」

「そうよ。それにLiNKERについても、前の戦いのことを考えればそんな暇は無かったのはよく知ってる。貴方を責めるようなことはしないわ」

 

 目線をエルフナインに合わせて微笑むマリア。隣にいる響もまた明るい笑顔を彼女に向け、肯定しているようだった。

 

「響さん……マリアさん……ありがとうございます。代わりと言っては何ですが、お二人にお願いがあります」

「何かしら?」

「このチップを向こうの櫻井了子さんに渡してください。ボクの方で分かったことをまとめておきました。あと、LiNKERの提供についてボクからもお礼を」

「ありがとう。必ず渡すからねッ!」

「はい、宜しくお願いします」

 

 そうしてまた二人はギャラルホルンの作り出すゲートへと飛び込んでいった。

 道行く先は並行世界。翼たちが待つ別世界。其処では今もなお、ノイズとの戦いが続いていた……。

 

「はぁ……、はぁ……。さすがに、数が多すぎる……」

「ハッ……息が、あがってる……な……。はぁ、はぁッ……。疲れたなら、一人で帰ったら、どうだ……」

「絶対に……帰らないッ!」

「なら……気合入れなッ! さあ、まだまだ行くよッ!」

 

 強く息を吐き出してノイズの群れへと向かう奏と翼。二人の闘志は未だ尽きず、並み居る敵に怯むこともない。

 決して退かぬは人の為であり己の為。意地を力と握り締め、二人は尚も戦場を駆ける。

 

 

 

 

 同刻。避難誘導を行っていたミライは、またも謎の人影と遭遇していた。

 帽子、服、靴、ステッキに至るまですべてが黒尽くめ。だがそれと相反するかのような白い顔と、空いた片手に持っている水晶球。トライガーショットを構えながら相対するミライは、二度目の遭遇となったこの人物のことを記憶から取り出していた。

 

「お前は……ブラック指令、か……」

「フフフ……」

 

 ブラック指令。そう呼ばれた男はただくぐもった笑いを返す。その男がどんな存在か、ミライの記憶にはしっかりと記されてあった。

 ブラックスターと呼ばれる暗黒惑星を根城とし、其処に控える怪獣を使役して地球侵略を推し進めていたブラック指令。当時の防衛組織を壊滅させ、侵略と共に民間人へ多大な被害を与えたことが記録されていた。

 思い出すと共に、自然と銃把を握る手に力がこもっていた。目に宿る光は戦意に依るもの。目の前にいる者は平和を脅かす”敵”なのだと、ヒビノ・ミライは直感したのだった。

 

「目的はなんだッ!」

「知れたこと。”世界の侵略”よ」

「カルマノイズやベゼルブは、お前が送り込んでいるのかッ!」

「そうだな……イエスでありノー、とでも言っておこうか」

「それは、どういう──」

 

 ミライからの更なる問いを聞く間もなく、ステッキを突き出し光弾を発射するブラック指令。それを即座に躱して反撃に出るミライだったが、漆黒のマントはトライガーショットの光弾を弾き飛ばしていく。

 そこからリロードにかかる一瞬の間隙──その瞬間に天へ掲げた水晶球が輝きを放つ。思わず引鉄を引こうとするミライだったが、強い輝きに眼が眩み照準を外してしまう。

 もう一度目を開いたときには、その場にブラック指令の姿は存在しなかった。

 

「──ッ!」

(貴様の相手をしている暇など無いのだ、ウルトラマンメビウス。総ては大いなる終焉の意思のままに……フハハハハッ!)

「大いなる、終焉の意思……?」

 

 聞き慣れぬ言葉に困惑を見せるミライ。その場で思考を巡らせてみても答えは出ない。

 もっと情報を引き出したかったのが率直なところではあるが、即座に消えたブラック指令にはそんな心算など毛頭無かったであろう事は明らかだ。

 結果に口惜しさは残るものの、いま自分のすべきことはこの場で立ち竦んで思案に暮れる事ではない。そう思考を切り替えたミライは、二課へ周辺地区の避難完了報告を行うとすぐに走り出していった。

 目指すところは多数のノイズが出現している地区……奏と翼が戦っているところ。上空には突如、暗雲が渦巻き始めていた。

 

 

 

 =

 

 大きく息を切らせる奏と翼。延々とノイズを狩り続け、もう日も傾いている時間帯。疲れるなと言う方が無理である。

 それでも眼前には、未だノイズの群れが魍魎跋扈している現状。戦いはまだ終わりを見せてはいないのだ。

 

(一体どれだけのノイズが……。流石に私も奏も限界が近い……このままじゃ……)

 

 出来るだけ冷静に、平静を保ちながら状況を分析する翼。戦意はあるものの、それだけで肉体を行使するにはいささか力不足なのも何処かで理解していた。

 そんな時、上空に暗雲が渦巻いた途端その中央部から漆黒の蟲型怪獣が飛び出してきた。

 

「ベゼルブッ!? こんな時に……ッ!」

 

 驚きを隠せない翼。隣の奏も忌々しそうに、その漆黒の威容を睨み付けていた。

 だがそれと同時に奏もまた現状を整理する。ノイズの大群とベゼルブの出現、両方に対応できる手段は無い……。

 

(……いや、あたしなら──)

 

 両者を見て即座に思考する奏。だが下手な考えに興じている暇など無く、奏は自分の考えた最善手と思しき手段を使う他なかった。

 まるで決意の証のように一息吐いて、翼の前に一歩躍り出た。

 

「……唄うしかないな」

「奏、まさか絶唱をッ!?」

「……それ以外にこのノイズの群れを倒す手段があるのかい?」

「いや、しかし──」

「躊躇うんならそのまま見てな。……あたしはもう、躊躇なんてしない」

 

 見据える奏の眼は何処までも真っ直ぐで、揺らぎが無かった。

 あの眼を知っている。数年前の、あのライブの時と同じ眼。だからこそ翼は動いた。動かざるを得なかった。

 

「──待って、奏ッ!」

「……邪魔をするんじゃないよ」

「ううん、絶唱ならわたしも唄う。……もう、奏独りを唄わせるのはたくさんだから」

「お前……そうか、そっちではあたしが唄ったんだったな……」

 

 以前に翼が言っていたことを思い出す奏。眼前の”翼”が生きてきた彼方の世界では、此方とは違い自分が絶唱を唄い散ったのだと。

 その想いに、少しだけ共感した。大切な片翼を喪ったという事実だけは、何方であっても同じなのだから。

 

「……いいよ、それじゃ派手にぶちかまそうかッ!」

 

 自然と奏の隣に立つ翼。互いに目を合わせることもなく、手を重ねることもなく、しかして目線は同じ敵へと向かわせながら、どちらからともなく歌を唄い始めた。

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal.

 Emustolronzen fine el baral zizzl」

「Gatrandis babel ziggurat edenal.

 Emustolronzen fine el ……」

 

 唄と共に高まり始める二人のフォニックゲイン。それが今にも爆発せんと膨れ上がった瞬間──

 

「その絶唱ッ! ちょぉーっと待ったぁッ!」

 

 翼たちの背後から金色の光が槍のように伸び、ノイズの群れを貫いた。

 

「立花ッ!?」

「全く……だから翼からは目が離せないのよね」

「だけど、間に合いましたッ!」

「マリア……ヒビノさんも、戻って来てくれたのかッ!」

「……ったく、いい所で再登場か」

 

 二人に並び立つ響とマリアとミライの三人。確認するまでもない状況にも怯むことなく、為すべきことを言葉にしていく。

 

「あとはわたしたちが引き受けますッ! 二人は少し休んでから──」

「バカ言ってんじゃねぇよ。こちとらようやく身体が温まってきたところなんだ」

「ああ、夷敵を前にしてただ見ているだけなど、防人としてできる訳がないだろう」

「……全く、意地の張り方はそっくりね、あなたたちは。でも、流石にあっちは骨が折れそうね……」

 

 五人の視線が向かったのはノイズの先に居る巨大な怪獣、ベゼルブの存在だった。

 甲高い鳴き声が響く中、それぞれがアレを打倒する思索を巡らせる。いくら交戦経験があるとは言え、相手は巨大怪獣。装者の一人二人が寄り集まったところで必勝には程遠い。頼みの綱とも言えるイグナイトモジュールは使用を控えるべきとの話も出ている以上使えない。響たちにもウルトラマンの力は無い。

 ならばいまベゼルブへの対抗手段となるのは、ウルトラマンであると言うミライだけ。それを言わんとして彼に目配せを送っていた。

 無論ミライもその結論に辿り着いており、今こそ自分が変身して戦う時だと考えていた。勿論正体を明かさぬように。だがその為の方便を口にしようとした瞬間、先に奏が口を開いていた。

 

「……あのデカブツは、あたしが相手をする」

「奏ッ!? そんな無茶な……ッ!」

「そうよ、策もなく怪獣と単騎で戦うのはただの自殺行為よ。理解らないわけないでしょう?」

「……策は、あたしが”持ってる”。だけどそれをやるには、お前たちの力が必要だ。──頼む」

(奏が、自分から『頼む』って……)

 

 此方の世界の天羽奏と出会い、肩を並べる中で始めて見せた彼女の真摯な言葉。翼とマリアはどうしても少し困惑してしまったものの、肯意を真っ先に示したのは響だった。

 

「はいッ! どーんと頼りにしちゃってくださいッ!」

「──……あたしはあいつをぶちのめしに行く。木っ端は任す。行くぞッ!」

 

 アームドギアを握り締め、奏が真っ先に攻め込んでいく。大きく薙いだ攻撃は数体のノイズを巻き込み吹き飛ばしていく。それでも尚も途切れぬ群れ。しかし彼女の往く道を拓くかのように、マリアのEMPRESS†REBELLIONが群れを引き裂き、空中から襲う響の拳が地面へ通す衝撃波が更にノイズの壁を瓦解させる。

 だがそれも所詮は一方向のみの点穴。左右より襲い来るモノには無防備……ではなかった。あるノイズはその場で足を止め、またあるノイズは奏の周囲に張り巡らされた光壁によって攻撃を弾かれる。装者たちの後を追い脇を守るミライの仕事は匠の技だ。

 知れず互いを庇いながらも奏の進む道を抉じ開けていく装者たち。眼前にそびえる大型の建物を模したノイズですら、翼の放つ蒼ノ一閃が容易く両断していった。

 

「奏ッ!」

「ってらぁッ! コイツを、喰らえぇッ!!」

 

 崩れ落ちる大型ノイズを足場に跳んで、ベゼルブと同じ目線に到達する奏。即座にアームドギアを構えて振り被り、そのまま力任せに投擲。一瞬の静止と共に奏の手を離れたアームドギアが無数に分裂し、ベゼルブの巨体目掛けて突進していった。主に広範囲への殲滅時に用いる奏の技の一つ、STERDUST∞FOTONである。

 数多の槍の連撃を受け思わず怯むベゼルブ。だがその程度では大したダメージにはならないとばかりに身体を振るい、即座に奏へ向けて光線を放つ。思わず両腕で防御姿勢はとるものの、直撃と同時に爆炎が巻き起こった。

 見届けていた翼たちも二課指令室も息を呑んでいたが、奏の姿は見当たらない。思わず彼女の名を叫びそうになる翼だったが、それはミライによって静止された。彼の眼は、確信めいた力強さを湛えていた。

 

「──ジュワッ!!」

 

 突如響く重低音。それはベゼルブの顎へと打ち込まれた銀色の拳が起こした音。そしてそれは爆炎の中から光と共に顕現した戦士の嘶き。

 光の巨人──ウルトラマンベリアルの出現を意味するものだった。

 

「奏……」

 

 彼の者の姿を見て思わず呟く翼。

 何処かで察しが付いていた。ベゼルブを相手取るもう一つの手段……奏が言っていた、彼女が”持っている”と言った策。それが、目の前にいる巨人なのだと。

 そしてミライもまた、まるで幾度でも彼の光を見定めるように巨人の姿を目で追い続けていた。

 

 

 

 =

 

 ベゼルブを前に構えを取るアーリーベリアル。拳を握り締めてじりじりと距離を推し量るような姿は、これまで見てきた戦いとは違って見えた。

 荒れ狂う感情のままに暴力を振るってきた巨人とは、何かが違うようだった。

 

「奏……まさかさっき……ッ!」

 

 先程の、ベゼルブの光線が直撃したことを思い出す翼。確かに普通であれば、装者であっても無事で済むような攻撃ではない。それで受けたダメージが、アーリーベリアルに反映されているのではないか。そう考えたのだが……。

 

「大丈夫です」

「ヒビノさん……」

「理解るの? ……いえ、貴方には”何が視えている”の?」

 

 断言するもマリアからの問いかけには言葉を噤んでしまうミライ。少しの時間を空けて、彼はまた声を出していった。

 

「……光が、揺らいでいます」

「揺らいでいる、ですか……?」

「はい。まるで、彼女の複雑な想いと呼応するかのように……。でもそれは別の意味で言うと、これまでと比べてずっと落ち着いているとも言える状態です」

「奏の、想いが……」

 

 以前にはあった暴虐性が減っている。それは奏が、ほんの少しでも自分の事や仲間たちの事を認めてくれたからではないかと、翼は思わず夢想して顔をほころばせる。

 彼女にとってそれは、喜ばしい大きな一歩だった。

 

 

 

 そんな彼女らの想いに気付く事もなく、アーリーベリアル……彼と共に在る奏は前を見てベゼルブとの戦いに走り出した。

 ベゼルブの放つ火炎弾を弾き飛ばしながら近寄り、顔面に拳を打ち込むアーリーベリアル。一瞬のよろけを見てすぐに胸部目掛けた膝蹴りを数回打ち込み、小さく跳び上がってその頸へ手刀を叩き込む。

 その連撃にベゼルブも怯むものの、これまでの蹂躙する暴力ではないせいか、すぐに姿勢を戻して襲い掛かって来た。両腕から伸びた爪が、アーリーベリアルの胸を切り付けていく。

 

「グ、ウゥ……!」

(どうした、ってんだよ……!)

 

 光の中で困惑を浮かべる奏。いつもより力が出ない、そんな感覚がある。

 違いは無いはずだ。目の前のあいつをブチ殺したいと思っているし、そも意志を以て進んだはずだ。なのに、何故か──

 

(迷ってる……惑っている? 一体、なにを──)

 

 そう考えていた矢先にベゼルブの口針が目の前へと迫ってくる。思わず両手で捕まえるものの、拮抗する力は首を振り回すだけになっていく。再び目が合った瞬間、ベゼルブの火炎弾がアーリーベリアルの胸部へと発射、直撃した。

 

「グアァッ!」

「奏ェッ!」

 

 吹き飛ぶ巨人の姿を見て思わず彼女の名を呼ぶ翼。だがその声は届いていないのか、はたまた届くはずもないのか、アーリーベリアルは瓦礫を押し退けて立ち上がっていく。

 其処へ追撃するかのように火炎弾を連続で放つベゼルブ。握りしめた拳で打ち砕き相殺していくアーリーベリアルだったが、その流れ弾がビルに直撃した時、図らずも目に入っていた。

 壊れ瓦礫と化す建物、地面へと落下するその先に、三人の装者たちと一人の青年が居ることを。

 ──”風鳴翼”が居ることを。

 

「──ッ!!」

 

 轟音が鳴り渡り、咄嗟のことで頭を庇い目を閉じてしまっていた翼たち。だが肉体に何も衝撃がないことを察し、恐る恐る目を開ける。

 眼前にはアーリーベリアルがしゃがみ込み、落ちてくる瓦礫を遮蔽していた。

 

「……守って、くれたの……?」

 

 思わず発した翼の声に何かで応えることもなく、ただ起ち上がり背を向けるアーリーベリアル。そして地面を強く踏み込み、ベゼルブへと向かっていった。

 

 

 

(──ブッ殺すッ!!)

「オオオオォォォッ!!」

 

 昂ぶりを更なる力に変え、ベゼルブへ突進するアーリーベリアル。またも放たれる火炎弾の全てを、今度は流れ弾すら許さぬように叩き潰し握り潰していく。

 そして射程内に捉えた瞬間、速度を乗せた全力の拳を相手の顔面に叩き込んだ。

 甲高い奇声を上げながら退がるベゼルブ。だがそこから逃がさないように、アーリーベリアルが更に飛び蹴りを放っていく。力を込めた追撃はベゼルブを吹き飛ばし、立ち上がれぬ程のダメージへとなっていった。

 握り締めた拳を開き、暴魔の如く爪を立てると共に両腕へ光のエネルギーが迸る。それと共に両目もまた輝きを増し、腕を十字に構えて溜め切った光の力を解き放った。

 

「ジュワァァッ!!!」

 

 光波熱線はベゼルブに直撃し、その漆黒の身体は雷電を伴う光で染まっていく。やがてベゼルブの身体は白熱し、臨界へ達した瞬間に爆発した。

 交差した腕を下ろしたアーリーベリアルは肩で息をするかのように上下させながら後ろを振り向く。視線の先には嬉しそうに巨人を見上げる響とマリアとミライ、そして翼の無事な姿があった。

 一瞥するかのように確認してから彼女らに背を向けて、夜天へと飛び立つアーリーベリアル。数秒もしない間に巨人は光となり消えていった。

 

 

 

 

 瓦礫の中、既に月が上った空を、奏が何処か虚ろに眺めていた。

 

(……っかんねぇなぁ。力が出たり、出なかったり……今まで、こんなこと無かったのに……)

 

 どれだけ思い返しても答えは出ず、夜の静寂に吹く風は奏の頬を優しく冷ましていく。

 そんな空気を大きく吸って、ゆっくりと吐き出していく。そうしている内に、何処より覚えのある声が聞こえてきた。自分の名を呼ぶ翼の声だ。

 呼び返すこともなくジッとしていると、さも当然のように翼は自分を見つけて駆け寄って来た。

 

「終わったか……」

「うん……。なんとかなって良かった……。それに、奏が無事で、良かった……ッ!」

 

 膝を付き手を取って話す翼は、安堵の笑顔をしながらも目頭に涙を溜めていた。

 ”そんなところ”まで、彼女は”風鳴翼”だった。

 

 

 

 

「奏さん、翼さんッ!」

「大丈夫ですかッ!?」

 

 翼の肩に手を回し、身体を預けて歩いてくる奏。それを見てすぐに駆け寄ってくる響とミライの言葉に、翼は凛々しい笑顔で返答し、奏は小さく微笑むだけで返していった。

 

「無事でなによりね。だけど……貴方たち、一体どれだけの時間ノイズと戦ってたの……?」

「そんなの、覚えちゃいないよ」

「わたしもだ。攻め入るモノから襲い掛かるモノまで、片っ端から斬り続けていた……」

「はぁ……まったく貴方たちと来たら……。ベゼルブまで出現して絶唱まで使おうとして、私たちやウルトラマンが来なかったらどうするつもりだったのかしら」

 

 マリアの御小言に小さく笑って返す翼。何はともあれこの場は上手く事が終わったのだ。今はその安堵を感じていたかった。

 

「ところで二人とも、戻るのが随分早かったんだな……」

「そう、それなんですッ! 実はわたしたちの世界にも、カルマ化したノイズが現れて──」

「──なんだとッ!」

(カルマノイズが、彼方の世界にも……ッ!?)

「こちらの異変を治めなければ、次はわたしたちの世界ということよ。

 ……いよいよ、他人事ではなくなってきたわ」

 

 一瞬で神妙になる静寂。その中で独り、ミライが思考を急ぎ巡らせていた。

 二度に渡るブラック指令との邂逅、彼が放った言葉、カルマノイズの出現、ベゼルブの出現……。少しずつ、彼の中でブラック指令に関する輪郭が出来始めていた。

 

 

 

 

 end.

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