また気分が乗ったので書きました。
短いですがどうぞ生暖かい目で読んでってください。
後日。朝宮龍斗はまた湘南へと来ていた。前回訪れて、次の日も来ようとしていたが第八拳豪のバルキリーがやられたという結果を聞いてすぐに湘南にへと訪れなかったのだ。
武田一基の脱退リンチを任せていたはずだが謎の助っ人である『新白連合』というチームが助力して逆に負けたと言うのだ。
(バルキリーを倒す奴がいるとは面白い。今度会ってみたいものだ)
何故か分からないが昔出会った金髪の少女を思い出す。そしてバッジを賭けて決闘をしようとした親友も思い出した。
(…ケンちゃん)
駅の改札を出て湘南の空を浴びる。理由は分からないがここはいつも暑い気がするのだ。
(新白連合とやらは気になるがロキに一任している。潰されればそれで終わり。生き残れば、それはそれで面白い)
武人の勘が訴えている。『新白連合』は面白いチームになるだろうと。
「ま、今は三大天だな」
『三大天』を探しながら湘南へと歩き出す。目指すは七里学園だ。今度こそ『江乃死魔』と『皆殺し』に出会えると思いながら。
「ねえ、あれって例の奴じゃないかしら?」
「それっぽいな。よし、尾行すっぞ」
朝宮龍斗は後ろから尾行している不良を最初から気付いている。もしや『江乃死魔』かと予想する。
もちろん正解であり、後ろにいる2人は『江乃死魔』の部下だ。流石に大通りで戦うはめになったら面倒なので一旦無視をする。
最初の目的である七里学園を向かう。相手から話しかけてくればそれで良し。七里学園でリーダーの片瀬恋奈に会えればなお良し。
「さっさと行くか」
七里学園までの道のりを歩く。ここでふと思い出して、堤防の方を見る。前回、堤防の上で青髪の女学生が寝ているのを思い出したのだ。
彼女は見ただけで才能があるのが分かった。だからスカウトでもしようと思っていたのだ。だが今回は居ないようである。そもそも堤防の上で寝る女学生は珍しすぎると思うのだが。
(居ないか。まあいい)
特に気にせずに歩く。そしてすぐにでも七里学園に到着した。そして道ゆく人に『江乃死魔』の片瀬恋奈と『皆殺し』の腰越マキについて聞き始める。
そんな中で急に後ろから声を掛けられた。
「おい。私を探してるのはお前か?」
いきなり背後から良い殺気を醸し出しながら近づいてくる少女。久しぶりの殺気に武者震いをしてしまう。
つい潰してしまいたくなる衝動が出るが抑える。しかし「私を探している」と言って来たなら間違いなく目的の人物だ。
「お前誰だ。恋奈の差し金か、それとも辻堂のもんか?」
どうやら『江乃死魔』か『辻堂軍団』かと勘違いされているらしい。しかし、後ろ向きの会話はいただけないので顔を向けようとする。
「待ちな。顔を向けたらぶっとばす。お前は答えるだけでいい」
「人と話す時は顔を合わせるものだろう?」
殺気の醸し出す少女の言葉を無視して顔を向ける。すると目の前には拳がいきなり映った。
「顔を向けたらぶっとばすって言っただろうが」
「良い突きだ。だが素人だな」
「なにっ!?」
朝宮龍斗の顔面の前で拳は止められていた。
「チッ…」
間合いを取る少女。
「君がもしかして『皆殺し』の腰越マキか?」
「てめえは誰だ?」
正解。そもそも彼女の言葉から『江乃死魔』か『辻堂軍団』と聞いてきたなら三大天の残りである『皆殺し』のはずだ。
「質問を質問で返されてもな?」
「先に質問したのはこっちだ」
「そうだな。僕はラグナレクの第一拳豪。オーディーンだ。だから江乃死魔でも辻堂軍団でもない」
「ラグナレク? オーディーン?」
「知らないのか。これでも強大なチームなんだがな」
「知らねえな。で、何か用か?」
「君が皆殺しで間違いないようだね」
「そうだ。で、さっきも言ったが何の用だ?」
「スカウトさ」
今回の彼の目的は『三大天』のスカウトである。ロキの提案でラグナレクの戦力強化をするからだ。
彼女の実力は突きを受けてもう分かった。実力的に合格でもっと鍛えれば間違いなく拳豪入りできるだろう。
「君の実力は十分だ。ラグナレクに入らないか?」
「…知らねえチームに入るつもりは無い。そもそも私は一匹狼だ!!」
またも拳が朝宮龍斗に近づく。しかし、制空圏を発動している彼には届かない。
「この!!」
連続で突きを繰り出すが全て受け止められ、弾かれる。
「良い突きだ、鋭さだ、速さだ。しかし僕には当たらないよ。なぜなら僕の制空圏は破れないから」
「せ、制空圏?」
「知らないか」
「知らねえよ!!」
今度は鋭い蹴りが繰り出される。だが避けられる。
「悪いが戦いに来たわけではない。話にきたんだがな」
「うるせえな。てめえと話すことは無い。今は機嫌が悪いんだ!!」
彼女が機嫌が悪いのは腹が減っているから。そして更に朝宮龍斗を簡単に殴り飛ばせると思っていたが実践できていない事実も追加される。
(な、なんでだ。なんでこいつに拳が届かないんだ?)
腰越マキの攻撃は全て受け止められ、弾かれ、避けられる。こんな経験は彼女の中で絶対に無かったことだ。
今まで一発でも殴れば終わりだったはずだ。なのに終わらない。その結果が彼女の機嫌を更に悪くし、冷静さも削られていく。
「このお!!」
「冷静さが欠けているぞ」
「五月蠅い!!」
「全く、今日はスカウトの話にきたのにこれでもは話にならんな」
「私はさっき断ったはずだ!!」
「せめて少しくらい話を聞いてからでも良いだろう?」
「聞くことは無い!!」
「では、どうすれば話を聞いてくれるんだ?」
「だから聞くことは無い!!」
この否定っぷりにため息を吐きたくなる。これではスカウトの話どころではない。さっそく『三大天』の一角である『皆殺し』はスカウト失敗であった。
仕方ないと思って次の『三大天』である『江乃死魔』と『辻堂軍団』と接触するかと考えを改める。
「分かった。一旦この話は止めよう。だけどもう一度スカウトの話をしに来る。その時までに詳しく話を聞くかどうか考えてくれ」
「必要ない。今ここでてめえは殴り飛ばされるからな!!」
「そうか。ではまた」
朝宮龍斗が気当たりを放つ。その一瞬で彼女は隙を作ってしまった。自分に気当たりをぶつける奴なんて辻堂愛か片瀬恋奈くらいだが、その2人よりも上の気当たりをくらってつい手を止めてしまったのだ。
(こいつ…な!?)
気が付いたら彼女に朝宮龍斗の突きが届いていた。
「グングニル」
百発百中の突きが全て命中し、腰越マキを海へと突き飛ばした。
「冷静さを欠けていたからな。海で頭を冷やすといい」
腰越マキが海に落ちたの確認して、その場から去るのであった。
「う、嘘だろ…あの皆殺しを!?」
「恋奈様に報告を!!」
・・・・・・・
2人の江乃死魔の者が本拠地に急いで戻って来た。
「「恋奈様ぁぁぁぁ!!」
「どうしたお前たち。静かにしろ。今はカップラーメンを作ってるところだぞ」
「それどころじゃないっすよ!! 緊急事態っす!!」
「何だ。まさか辻堂でも攻めてきたか?」
「それはヤバイっすね~」
「んなもんアタイがガツンと潰してやるっての!!」
「3分たったシ」
片瀬恋奈たちはカップラーメンを食べながらノンビリしている。部下たちとは反応の差がすごく正反対だ。
説明も何もなければ当たり前の差ではある。何も知らない者とビックなニュースを知った者ならば尚更である。
「で、何があった?」
ズルズルとカップラーメンを食べながら説明を求める。
「あ、あの皆殺しがやられました!!!!」
「ブバッ!!」
「うわ、きたねえ!?」
麺が口から噴出された。だが片瀬恋奈たちはそれどころでは無い。なにせ『三大天』の一角が崩されたとなれば当たり前の反応である。
「ほ、本当か!?」
「は、はい!! マジです!!」
「どこのどいつだ!! まさか辻堂か!?」
片瀬恋奈は焦る。まさかあの化け物である腰越マキが誰かに負けるなんて思えなかった。もしもの可能性があったとして辻堂愛くらいしか思えない。彼女の知らぬ間にあの2人が決着でもつけたのだろうかと考える。
「あ、相手は前にうちらや辻堂軍団、皆殺しを嗅ぎまわってた白服眼鏡の男です!!」
「何だと!?」
これもまた驚いてしまう。あの彼女が辻堂愛以外に負けたのは本当に信じられないのだ。
そもそも腰越マキが負けるなんて想像ができない。湘南の天下を取るためにいずれは倒す相手ではあるが片瀬恋奈はまだどう倒すかまでの道筋はできていない。
そういう意味では倒す羽目が無くなって良かったと思うが、それどころではない。今まで彼女が他の奴らに負けるわけがないと、ある意味信頼にも似た確信があったからこそこの報告は心底驚く。
「どんな状況だったんだ!?」
「え、えっと、皆殺しの攻撃がまったく当たらずに一方的に攻撃されてました」
「マジかよ。それも信じられないってーの!!」
「嘘じゃないっすよね」
「嘘じゃないっす。こんなこと嘘ついてどうするんですか!!」
確かにそうだ。こんな嘘ついたところで意味はない。だがそれではよく分からない奴に『三大天』の一角である腰越マキが負けたことになる。
「そいつの名は!?」
「えっと…たぶんコードネームか二つ名だと思いますがオーディーンと名乗ってました」
「オーディーン?」
「それって北欧神話に出てくる神様っすね」
「どこかのチームか?」
「確かラグナレクっていうチームに所属しているみたいです」
「ナグナレク? きいたことないシ」
「そいつが言っているのが本当なら大きいチームらしいですよ」
「うーん。聞いたことが無い。まあいい、ソイツは今どこにいる!?」
「稲学の方に向かったんで辻堂に会いにいったかと思われます」
「そうか。ならすぐに向かうぞ!! 腰越の奴を倒した男だ。兵を集めろ。リョウにも連絡しろ!!」
戦いはこんな感じで書きました。