或いはこんな織斑一夏   作:鱧ノ丈

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 なんやかんやで六十話となりました。ちなみに、にじファン時代の旧作の六十話は学園祭のシンデレラ劇の話でした。果たして読者の一体何割に通じるかは分かりませんが。

 さて、サブタイにもある通り扱いとしては日常回。つまり、ここ最近の作者のノリが炸裂です。相変わらずと言うか、日常回の平常運転でお送りさせて頂きます。


第六十話:祭りのちょっとだけ前 日常回だ、内容はお察し

 学園祭もいよいよ間近に控え、IS学園内の雰囲気も常日頃の研鑽の日々のソレから一時の催し物を楽しむソレが色濃くなっている。何気ない日常会話にもサラリとIS絡みの専門用語や課題のこと、実機訓練の成果などが入り混じることが普通なIS学園だが、今はそれも鳴りを潜めがちでそこかしこでされるお喋りの話題は学園祭のことが多くを占めている。これは、そんな年頃らしい享楽を控えた少年と少女たちの一幕である。

 

 

 午前五時、太陽もやっとこさ顔を出したばかりという時間帯に一年生用の学生寮の一室では本来ならば二人用の部屋を一人で使うという贅沢をしている少年が寝返りを打つ。言うまでもなく一夏だ。

さて、基本的に一夏はそれなりに規則正しい生活をするタイプだ。曲がりなりにも武術家の端くれ。早々体調を崩すようなヤワな鍛え方はしていないが、日々の生活リズムを始めとする健康管理にはそれなりに気を遣う方だ。それは一日の始まりである起床にしても同じことで、余程のことが無い限りは目覚まし時計の類は無くとも早朝の定刻に目を覚ますことができる。

そしてこの午前五時は一夏の基本的な起床時刻だ。普段ならばこの前後にはパッと目を覚ましているのだが、ここ最近の一夏はそれをしていない。ダラけるようになったのか? それも違う。その気になればすぐにも目を覚ませる。敢えて寝たままなのだ。その理由は彼の枕元にある。時計はあるにはあるが、目覚ましのタイマーはセットされていない。そしてもう一つ、充電器に繋がれた一夏の携帯もある。その時計が五時になった瞬間、携帯のスピーカー部分から音声が流れる。

 

『お兄ちゃん、起きてください』

 

 流れた音声はどこか舌足らずさを残した少女の声だ。最初の声が流れて程なくして次のボイスが再生される。そして予めセットされておいた組み合わせのボイスが再生されきった所でボイスはまた最初から再生され、それと同時に一夏はムクリと起き上がる。

枕元に置かれた携帯に映し出された画面の一部分をペタリと押して一夏はボイスの再生を終了する。そのまま画面を眺めて数秒――

 

「ぬるふふ」

 

 どこぞのタコ教師のような声で一夏は含み笑いを漏らす。画面には音声を喋っていた(という設定の)キャラが映っている。これが一夏が自分から目を覚まさない理由。つい最近ダウンロードした目覚ましアプリである。「ご○うさアラーム~チノ編~」Goo○lePlay並びにAp○Storeにて好評配信中である。(有料)

これを見つけた時、一夏は迷うことなく購入ボタンを押していた。その使い勝手は如何ほどか、親友たる数馬にはこのように語っている。「値段の割にボイスも多いし良い出来だな。朝からこころがぴょんぴょんして実に良い目覚めをさせてくれるよ。もう可愛い妹が出来た気分だ。というわけでリゼ編早よ」

 

「ん~」

 

 上半身を伸ばしながら軽く体をほぐす。寝起きに弱いというわけでも無いので既に頭も目もしっかりと覚めている。そのままベッドに腰掛けたままスルスルと画面の上で指をスライドさせてお気に入りのゲームの操作をする。少しプレイすればすぐに使用するポイントの回復に時間がかかるなどの状態になるため、パパッと済ませて後はしばらく放っておくだけの状態にしておく。

なのだが、起動したゲームの一つを見て一夏の表情は再度ニヘラと笑みを浮かべる。カードを集めて育成し、チームのようなものを編成して遊ぶこのゲーム、ユーザーの多くは「推し」、早い話がお気に入りのキャラが居るものだが、それは一夏とて例外では無い。どこぞの本性腹黒仮面優等生な友人の影響で、すっかりこの手のものにも抵抗なく関わるようになった一夏も、ゲームの中でお気に入りのキャラというものを見出していた。そして先日、ソーシャルゲームの代名詞の一つとも言えるガチャにおいて、その一夏が推すキャラがメインに据えられたものが実施されていた。

 そのガチャの報を知った時、一夏は千冬も同意の下の完全に一夏の管理下にある一夏個人用の口座の残高を数えていた。通帳に刻まれた数字は公的に特殊な立場にあるとはいえ、一介の男子高校生のものとしては破格過ぎる大きさだ。理由は過日の地下闘技場でのファイトマネーやら賭けの勝ち額やら。師である宗一郎の下に行った分、一夏の下に来ながらも貯蓄用の口座などに行った分などを差っ引けば一夏が自由に使える分として受け取ったのは全体のほんの一部に過ぎない。だがそれでも十分すぎるほどに高額だった。そして懐の余裕と推しキャラの魅力というダブルパンチは精神面では割と普通なところも多い一夏を見事に打ち据えていた。

結果、「つ、使いすぎも良くないし、ちょっとだけにしとくか」→「琴葉ガチャの誘惑には勝てなかったよ……。いやマジで今回のSR最高だって。オレもあんな風にカフェデートとかしたいし」という二コマ即堕ちを晒す羽目になっていた。

 

「我が課金に一片の悔いなし」

 

 とは言え、懐に物を言わせてガチャを回しまくった結果、パーティ一つを件の推しキャラの強化verのみで構成させる程にしたことに一夏の表情はむしろ誇らしげなものになっていた。ちなみにこのことを一夏本人から聞かされた割と他人をマジで道具扱いする下衆い親友はと言うと、すっかりコチラ側に来た一夏にニッコリと笑顔を浮かべると共に、ちょっとだけ巻き込んで悪かったかなーと家族親友を主としたごく少数の人間のみに向けられる良心に感じ入るものがあったとかなんとか。

とりあえずはゲームの方も一区切りついたことだしいつも通りに朝のトレーニングに励もうと、一夏はベッドから出るといそいそと着替えを始める。最近買った寝間着代わりのTシャツ、その前面にはデカデカと「働いたら負け」とプリントされていた。ちなみにコ○パの通販で仕入れたものである。

 

 

 

 

 

 

「んむむむむ……」

 

 朝食の席で凰 鈴音は珍しく眉間に皺を寄せた表情をしていた。闊達な気性をしている彼女は大抵のことでは早々悩んだりはしない。悪く捉えてしまえば楽観的とも言えるのだろうが、課題や問題を前にしても「何とかなる」の心構えで真っ向から受け止められるのは彼女の持つ長所の一つとも言える。

 

「よう、珍しいな。お前がそんな顔してるなんざ」

 

 そう言って向かいの席に座るのは一夏だ。朝食時ゆえにそれなりに人が居るとは言え、食堂内にはまだまだ空いている席もそれなりにある。その中で敢えて真向かいを選んだということは、やはり一夏も自分の今の顔が気になったからと言ったところだろうと鈴は当たりをつける。一夏の交友関係の中ではそれなりに長いと双方で認め合っている間柄だ。今の自分の様子が気になってもおかしくないと鈴は小さく嘆息する。

 

「まぁね。ちょっとそれなりに真面目に考えなきゃいけないことだからさ。あぁ、折角だしちょっと手伝ってよ」

 

 そう言って鈴はホイと一夏に手にしていた紙を渡す。それは先ほどまで朝食を進めながら鈴が睨めっこをしていたものだ。受け取った一夏は書かれている内容を読み取っていく。羅列された文字は全て漢字、中国語と見て良い。依然、語学にはやや疎い一夏にとっては中国語もロクに読めるものではない。何となく見知った漢字があればそこから文脈を察することはできるが、それ止まりだ。ただ、この紙に書かれていることに関しては少々違う。並ぶ文字はどれも文というよりは何かの名刺を示している。そしてその中には一夏が見覚えのある単語もある。程なくして一夏はそれが何の羅列かを悟った。

 

「これ、全部中華料理の名前だよな?」

「そ。まぁ話してもそんな大げさになるようなもんでもないから話すとね、二組(ウチ)が中華系の食事処やるのは知ってるでしょ?」

「あぁ。オレはともかく、他の連中何人かは張り切ってたな。飲食系が並ぶなら負けられないって。ほら、オレら喫茶店(サテン)やるだろ? お茶関係はセシリアが統括してくれてるんだけど、自分が纏めるからには負けられないってだいぶ気合い入ってたわ」

「あぁ、そりゃセシリアらしいわね。で、これなんだけどさ、メニューの候補なのよね。一応、この時点でも学祭用にある程度は絞り込んだんだけど、こっからまた絞りこまなきゃいけないのよね。アンタ的にはどんなのが良いかなって思って。ちょっと意見聞かせてよ」

「やっぱ全部は無理なのか?」

 

 その問いに鈴は思わず苦笑を浮かべる。分かり切っているくせにわざわざ聞いてくるとは。

 

「そりゃ無理よ。使える設備やら規模やらに限界があるもの。後はコストとか利益も考えなきゃだし。それに、半端な代物は出せないわ」

「そういやお前、親父さん呼ぶんだっけ?」

 

 双方の事情故に互いに納得の上での離縁となった鈴の両親。鈴を連れて中国に戻った母親とは異なり、日本に残った父親の方は家族で切り盛りしていた中華店を閉業すると共に、料理関係の古い知人の誘いで現在では都内にある高級ホテルで腕を振るっているという。一夏も鈴からの又聞きでしか知らないが、既にそのホテルの厨房で中華料理全般のトップと同等のポジションに就いているとかなんとか。それを聞いた時は思い返せば鈴の親父さんの中華は安さの割に滅茶苦茶美味かったなーと合点いったものだが、今回鈴がその父親を学祭に招待したということを思い出し、ようやくその緊張も得心がいった。

 

「あたしの料理はさ、全部お父さんに習ったものだから。セッティングとか他の色々な部分じゃあたし以外の娘たちにも頑張ってもらってるけど、料理に関しちゃ中華だからあたしが一番の責任者みたいなもんなのよ。だから、出すものは全部あたしの料理と言っても良い。それを久しぶりにお父さんに食べてもらうんだから、そりゃ気合も入るわよ」

 

 一夏の記憶にある鈴の父親は別に厳格な人物というわけではない。豪放磊落、というのでもないが陽気、朗らか、気さくと言える人柄だ。それは鈴に対しても同じであったと記憶しているし、同じく記憶から引っ張り出せばお父さんに自分の料理を食べて貰って褒められた、なんて話を鈴が嬉しそうにしていたこともちょくちょくある。

 

「まぁ昔だったらこんなに気負っちゃいなかったのかもしんないけどね。あたしもいい年で、久しぶりに会うわけだし。流石に緊張もするわよ」

 

 鈴が父親と直接会うことになるのは、両親の離婚以来のことだろう。以後も手紙やメールなどのやり取りは行っていたらしいが、やはり直接会うのとそれ以外では重みが違う。そこのところは一夏としても十分に分かることであるため、鈴の気持ちも何となく察することができた。

 

「そっか……、まぁ成長したトコを見てもらうわけだしな」

「そういうこと。料理とか、まぁ色々。手紙とかでさ、結構心配してくれてんのよ。実際、中国(ムコウ)のお母さんの家でも色々忙しかったりで大変だったところもあるし。だから、あたしは元気でやってるってとこも見せたいのよね」

「なるほどな」

 

 そういう気持ちはよく分かる。それは一夏が師に対して思うことに似通っているからだ。

 

「しかし成長な。まぁ確かに、中二の終わりで越してく前とは変わったトコもあるわ。いや、上手く言えないんだけどな。こう、感覚的によ」

「そうねぇ。肩書とか色々はあるけど、何だかんだであたし自身はそう変わっちゃいないかもね」

「あ、それは言えてるわ。ラーメン好きなトコとか、気が熱くなりやすいとことか。あとは身長(タッパ)に胸――」

 

 言い終えるより早く、傍から見れば感嘆するだろうキレと早さの無言の顔パンが鈴から繰り出される。だが向けられた一夏はと言えば涼しい顔でそれをパシリと受け止める。小柄とは言え鈴も候補生としてそれなりに鍛えている。今の拳だって並の男子くらいなら余裕で大きく仰け反らせるだけの威力は持っていたのだが、受け止められた瞬間の手応えの軽さにパンチの切っ掛けの言葉とか諸々込みで舌打ちする。受け止めた瞬間、一夏は全身を使って衝撃を流し散らしていた。言ってしまえば運動エネルギーへのアースのようなものだ。

 

「悪い悪い。ちょっと口が滑っちまったよ。ただ、(パンチ)は通じねぇぞ? そもそも今のお前の位置は完璧にオレの間合いの中だ。後ろからの不意打ちだったとしても、対処はできてたさ」

「胸のことは当然だけど、そういうとこはホント癪に障るわね。いつか一発叩き込んでやるわ」

「おう、是非頑張ってくれ。オレも張り合いがある。それと、もしそれができたら女子ボクシング辺りにチャレンジするのもおススメするぜ。オレ相手にそれができたら、お前わりとマジで世界狙えるぞ」

「気が向いたらね。ったく、嫌なからかい方すんじゃ無いわよ。大体、あたしはまだ成長期よ。見てなさい、いつかビッグな女になってやるんだから」

「ま、頑張ってくれや。ただ鈴、別にオレはその、なんだ。お前のサイズがどうだろうが、特に気にしやしないよ」

「あっそ。まぁ腐れ縁みたいな付き合いも長いし、ある意味じゃしょうがないわね」

「いや、それもあるんだけどさ。基本オレが胸のサイズとか気にしないだけだから。オレ、太もも派だし」

「……」

 

 あー、そういえばそうだったなー、そんなこと数馬が前に言ってたなー、などと鈴は無言のまま思い出す。数馬で思い出したが、ここ最近一夏の言動にしょーもないものが多々見受けられるようになったのはやはり数馬の影響なのではないだろうか。やっぱりいっぺんくらいはド突いておいた方が良いのだろうか、そんなことも考えてしまう。

 

「まぁそういうわけでだ、鈴。オレは別にお前に無理なサイズアップなど決して望まん。自然体なままのお前でいてくれ。その上で、今の眩しい健康的絶対領域を維持してくれればそれで十分だ」

「死ね、変態」

 

 多分セクハラで訴えたら勝てるような気がする。そして決めた、やはり数馬はいっぺん引っ叩いておこうと。

 

 

 

 

 

 IS学園の授業は午前に四時限、午後に二時限の計六時限が一日のカリキュラムと定められている。決して多いというわけでもない数でありながら、一般教養を始め専門科目もあるために授業一つの内容や進度といった密度は濃い。そのために学園の基本方針としてなるべくカリキュラムを削るようなことはせず、仮に行事などで授業が無くなったとしても十分なカバーができるよう補填が効くようになっている。

そのような事情から授業が無くなる、あるいは置き換わるということは滅多に無いのだが、その滅多に無い状況がこの日は起きていた。このような表現をするとさぞや大事に聞こえるが、実際のところはそんな重大なことではない。学園祭の準備のために午前の授業の後半二時限が充てられたというだけである。普通の学校であれば割とよくありそうなことだが、IS学園に関してはカリキュラムの性質上、滅多に無い事例に当てはまるのだ。

 

「どうかな、セシリア? 似合ってる?」

「えぇ、大変よくお似合いですわ。サイズも丁度良いようですし、この分なら他の方々も問題はなさそうですわね」

 

 そう朗らかに言葉を交わすシャルロットとセシリアだが、二人の装いは普段の学園生活で見慣れたIS学園の制服とは異なっている。所謂『メイド服』、昨今の流行りであるファッションやサービス業で用いられるようなものではなく、古くからの伝統を受け継いだ本格的なものだ。そしてそれを着ているのは二人だけではない。見れば教室内のあちこちで同じようにメイド服に身を包み、サイズのチェックを行っている一組の面々が見受けられる。

 

「どうやら、皆さん気に入ってくれたようですわね。一緒に手配をした甲斐がありましたわ」

 

 上々と言える級友たちの反応にセシリアも嬉しそうに顔を綻ばせる。

元々、このメイド服は出し物の計画に入っては居なかった。当初はあのアイドルプロデュースにやたら熱を入れていた一夏の言っていた通り、学園の制服のままで喫茶店の運営をしようとしていた。しかし茶葉などの手配を請け負ったセシリアが業者との連絡の仲介として話した、実家でセシリアの側仕えを務めているチェルシーと話した折にメイド服をホール担当の衣装にしてはどうかと提案されたのだ。

チェルシーから現在の日本では給仕服姿の女性が接客をする店が一部で人気を博していると聞き、使えると思ったセシリアはクラスに提案。満場一致で受け入れられていた。そうして茶葉と共に手配を頼んだ必要分のメイド服が届いたのが数日前。学園祭本番を控えた今、クラス全員誰が接客担当になっても大丈夫なように、各々に合うサイズのメイド服のチェックなどを行っているのが現状況というわけである。

 

「けどオルコットさん。このメイド服、オルコットさんの実家から借りたものだって言うけど、大丈夫なの?」

「えぇ。元々、使用人用の服ですし予備などはちゃんと揃えてありますので。その一部だけですから、特に問題はありませんわ。それに、そのオルコット家の者であるわたくしが良いと言っているんですもの。気になさる必要はありませんわ」

 

 清香が投げ掛けた疑問にセシリアは笑顔を崩さないまま答える。言ったことは事実なのだから何も問題は無い。それに、今もこうして大勢で和気藹々と一つの目的――今回であれば学園祭の出し物の成功に向けて一丸となるというのは、あまり多くは無い経験だが嫌いでは無い。そして自分がその成功に向けて大きく協力できた、それはセシリアにとっては嬉しいことであり誇らしく思えることでもあった。

それにしてもと、セシリアは軽く周囲を見回してどこか興味深げにクラスメイト達の様子を見ていく。今回手配したメイド服、全員に対応できるように異なるサイズのものを相応に用意はしたが、そもそも着慣れない服であるために着ることに、あるいは着てもその後の動きにぎこちなさや四苦八苦している者もいる。もっとも、それも最初だけの話ですぐに全員が慣れるだろうが、この光景は中々に面白い。例えばこの一組で最も小柄なラウラ。勿論、抜かりなくラウラの体型にも合うようなサイズの物も用意はしたが、このような服は初めてであるためか、普段のピシリとした様子はどこへやら無事に着れても自分のあちこちを確認しながら右往左往し、時折他の者に手伝ってもらいながら細かい部分を整えたりしている。

ラウラが目立つだけで、他にもそうした感覚を抱く者はいる。四十院という古くからの名家に生まれたという、セシリアと似通ったルーツを持つ神楽はメイド服という仕える側の立場の装いながらも貴人然とした佇まいは薄れていない。先ほど話していたシャルロットは持ち前の器用さがここでも発揮されたのか、すっかり着こなして他の面々のサポートをしている。そのサポートの一環かどうかは知らないが、時折ポーズや仕草のようなものも教えている。しかもそれが妙に様になっていると言うか、同性であるセシリアから見ても可愛らしいと思うほどだ。ふと、以前同じように同性の目から見ても可愛らしいと仕草をしていたのを目の当たりにした時のことを思い出す。あの時、たまたま近くで同じく目撃していた一夏が「あざとい。実にあざとい」と言っていたが、どういう意味だったのだろうか。そして一夏と言えば――

 

(これは、ちょっと見ものになりそうですわね)

 

 教室の一角を見てセシリアはまた別の好奇心、むしろ悪戯心に近いものが湧き上がるのを感じる。いや、きっとこれは話せば多くの賛同を得られるだろう。このクラスならほぼ確実と言えるくらいにはだ。ただそれが見られるには、ある一名が教室に来なければならない。

そして胸中でとは言え噂をすればというのだろうか。閉じられたドアの向こうから声が掛けられたのは。

 

 

 

「おーい、今入って良いかー?」

 

 閉じられた一組のドアの前で一夏は中に呼びかけて許可を求める。職員室にいる千冬への連絡やら提出書類の処理やらでしばし教室を離れていた。進行はともかく、準備や物資の手配に関してはセシリアが積極的に買って出ているので、一夏もセシリアへの信頼度の高さから教室のことを任せていた。

そうして職員室での用事を終えて教室に戻る最中、また別の用事で廊下を歩いていた癒子と出くわし、教室の現状を聞いていた。曰く、以前にセシリアが提案、手配したメイド服の準備ができたので教室に残っている者達で試着をしていると。一応着替え用の仕切りを作るなどで配慮はしているが、教室に戻るなら注意はしておいた方が良いと。一夏としてもその事前注意はありがたかったため、癒子に礼を言うとそのまま教室に向かい、先ほどのようにドア越しに声を掛けたのだ。

 

「あー、ごめん。ちょっと待ってー」

 

 ドアの向こう、教室から返って来た返事に一夏は適当に返事を返すとそのまましばし教室の前で待つ。ドアの向こうからは何やら言い合う声が聞こえ、慌て気味の気配が伝わってくるが、大方いきなり自分が戻ってきたことで支度に慌てているのだろうと適当に当たりをつける。それよりも今の一夏にとっては暇つぶしにいじり始めた携帯のゲームで、文字通り稼いだファイトマネー諸々に物を言わせて揃えた三属性ことエレめぐ艦隊を愛でるほうがその場の気分的には優先事項だった。

 

「良いよー」

 

 少しして教室から声が掛けられたため、一夏はすぐに応じてドアを開けて教室の中に入る。直後、一夏の視界に飛び込んできたのは――

 

「お、おかえり……なさい、ませ……。ほ、本日は当店記念日、なので……ス、スペシャルサービスを、実施、しております……」

 

 うつむきがちに、しかし頬を赤く染めて――多分あれは恥ずかしがってだろう、そういう雰囲気がありあり伝わってくる――出迎えの言葉を掛けた箒であった。それもメイド服着用の。

 

「……」

 

 一瞬、一夏の思考から言葉というものが吹き飛ぶ。しかしほぼ同時と言えるほどの早さの次の瞬間には高速で思考が回転しどう対応すべきかを考えだす。そしてコンマ0以下の早さで掛ける言葉は四つに絞られた。

 

  1.可愛いじゃないか箒

  2.箒、お前、頭大丈夫か?

  3.メイド服萌えぇぇええええええええ!!!

  4.プリチーうさタンオムライスGREATほんわか風味を一つ

 

(オーケーオーケー。be cool、フラットに行こうじゃないか、オレ)

 

 選べる選択肢は一つしかない。人生にセーブ&ロードなどありはしないのだから、選択肢は慎重に選ばねばならない。

 

 ▶ 1.可愛いじゃないか箒

 

(うん、悪くない。実際似合っているのは確かだし、褒めているわけだから無難――いや待て。今の箒の様子、明らかに恥ずかしそうだ。まぁ普段強気な娘が恥じらう姿というのは中々にソソるものがあるけど。テレ顔の摩耶様とか弱気なトコを見せちゃう那智姉さんとかクッソ可愛いもんな。いやそうじゃなくて。少なくとも箒にとってこの状況は不本意と見て良い。ということは安易に褒めたとしてもそれは逆効果じゃなかろうか?)

 

 一時保留。他に候補が無ければこれにするしかないが、まだ決めるには時期尚早だ。

 

 ▶ 2.箒、お前、頭大丈夫か?

 

(いや、流石にこれはダメでしょ。箒が嫌そうなのは明らかなのに、そこに追い打ちとかオレは鬼かよ)

 

 却下である。

 

 ▶ 3.メイド服萌えぇぇええええええええ!!!

 

(何故オレはこんな選択肢を思いついたのだろうか。いや、確かにメイド服は良いと思う。最近のコスプレ的なミニスカメイドとか太ももが眩しくて実に結構だが、奥ゆかしさと大和撫子の美学に通じるトラディショナルなメイド服にも認識のイノベーションがコミットされる。が、しかし。駄菓子かし、これをおもっくそ大声で言ってしまうと、なんか終わる気がする。こう、オレの評判的なアレコレが)

 

 とっくにIS学園生のネタ枠に放り込まれているのはここだけの話である。

 

 ▶ 4.プリチーうさタンオムライスGREATほんわか風味を一つ

 

(こ れ だ!! そうだ、箒を対象に取る言葉では褒めようが苦言を言おうが良い反応を得られない! ならば言葉のベクトルを別方向に、箒を対象に取らなければ良い。やっぱ対象に取らないっていいな、トリシュ素敵! 満足するしかねぇ! 敢えて何にも触れずにその場に合わせたクールな対応、幸いみんなノリが良い。上手い具合に流してそのままなぁなぁにできるはず。エンディングが見えた! これだ!)

 

 そう、これこそ最もパーフェクトな選択と確信した一夏は即座に映る。ちなみに箒の恥ずかし台詞からここまで一秒半程度。一夏の思考モーメントは高速回転でアクセラレーションだ。

 

「プリチーうさタンオムライスGREATほんわか風味を一つ、至急用意してもらいたい」

 

 決まった、我ながらパーフェクト。言い終えた一夏の心は妙に晴れ晴れとしていた。ともすればこの爽快感に酔いそうにもなる。やったことは無いしやるつもりも無いが、麻薬をキメた人間はその瞬間に一時的に得も言われぬ快感に浸れるらしい。中学の保健体育の教科書に書いてあったことだが。あるいは今の気分がそうなのか。生まれてこの方十五年とウンヶ月、行った行動の直後に「これは決まった」と感じ入ることは決して多くは無いが、今はその一つに数えて良いと言える。阿片あたりをスパァして羽化登仙するとはこのことかもしれない。

 

『……』

「……あり?」

 

 だが予想に反して周囲の反応は良くない。いや、決して悪いというわけではないが、強いて言うなら良し悪しどちらでも無いと言うべきだろう。最初、教室に入ってきた直後の一夏はあまりに予想外だった箒の姿に思わず困惑した。それが今度は、その箒に対しての一切動じぬクールな、しかし微妙にズレているとも言える対応に今度は周囲の面々が先の一夏と同じように困惑していると、そういうことだろうか。それを理解して一夏はふぅーと軽く息を吐き出す。そして片手で目を覆い――

 

(ス、スベッたぁぁあああああ!!!」)

 

 前言撤回、決まったどころか見事にスベリ芸を決めてしまったことに言いようのない羞恥心を覚えた。

 

「あ、うん。箒、別にオレは悪くないと思うぞ」

 

 それだけ言い残すとクルリと踵を返してさっさと教室から出ることにする。この微妙な空気を払拭するには時間の経過が必要だ。ほとぼりが冷めるまで適当に外で時間を潰すことにした。戦略的撤退というやつである。断じて逃げ出したわけではないそうじゃない。

そして、一部始終を見ていたセシリアは噴き出して笑いたいのを、顔をプルプルと震わせながら必死でこらえていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 さて、場所と時間は変わってここはとある公園。一角に設けられたブランコには学校帰りの途中の二人の男子高校がキーコキーコとブランコを漕ぎながら座っていた。

 

「そういえば弾、そっちにも届いた? 一夏からのIS学園学園祭の招待チケット」

「ん? おぉ、昨日来てたぞ。『も』ってことは、数馬にもか?」

「うん。原則、生徒は一人しか招待できないらしいからね。僕は、簪さんから招待されたよ。何でも一夏が僕ら二人を呼ぶのにどうしようかと悩んでいたら、簪さんが呼ぶアテが無いとのことらしくてね。ご厚意に甘えさせてもらったらしい」

 

 その裏には娘からハブられた世界最強の格闘家にして妻に頭が上がらない親バカなアラフォーの魂の慟哭があったのだが、そんなことはこの二人が知る由もない。

 

「そうだったのか。いや、なんか申し訳ねぇな」

「とは言え、招待をしてくれたのは向こうなんだ。ここは、一夏と簪さんに感謝の念を忘れず、楽しみに行くべきだよ」

 

 そう語る数馬の表情はにこやかなものだ。実のところ、最近数馬は親友である一夏と話を合わせられるためにも市販のISに関する本やネットなどで一般公開されている論文などを読みISに関する知識も蒐集していた。その過程でIS学園にも、その内部設備などで興味を抱いており、それを目の当たりにすることが期待できる今回の招待は結構嬉しいものだったりする。勿論、一番嬉しい要因は"簪から"招待をされたということだが。

 

「しっかしIS学園の学祭なぁ。そういや、俺らの学校(トコ)も学祭、結構近いよな」

「あぁ、それね」

 

 IS学園の学園祭、それに遅れること三週間ほどで数馬と弾の通う高校でも学園祭が催される。学校において秋というのはイベントシーズンであり、彼らの学校も例に漏れず秋に文化祭を控えていた。

この学祭というものは勉学が基本の学生生活において、それから離れて純粋のお祭り気分を楽しめるイベントだ。よってこれを嫌わない者など普通は居ない。だが何事にも例外というものは存在するもので、弾が自分たちの学祭の話をした瞬間、数馬は目に見えて表情を不機嫌そうなものに変えた。

 

「弾。念のため確認だけど、IS学園の学園祭招待のこと、誰かに話した?」

「あん? そうだなぁ、チケットが郵送だったから家族は知ってるけど、今のトコは誰かに話しちゃいないな。家族も、親父がこういうのはあまり吹聴しちゃいかんって言ってるから、お袋や蘭も多分外じゃ話さないだろうし」

「そうか。君のお父さんは賢明だね。弾、念のため家族には他言無用を再確認した方が良い。それとツイッターとかのSNSも込みで一切外に、というか他人には漏らさない方が良いよ」

「なんだよ、随分と物々しいな。まぁ広まり過ぎるのもどうかと思うけど、そんなに気を張るようなことか?」

「別にね、知られることは大した問題じゃないんだよ。生徒に招待されたのはIS学園の生徒数だけ居るんだから。僕らがその内の二人と知られるくらいは別に良い。けど問題は知った連中の、特に学校とかの奴らの行動だよ」

 

 どういうことかと弾は考え、チケットを譲って欲しいと言ってくるとか? と予想を言う。だが二人が受け取った招待券には招待した生徒と招待された者の名前が、今回ならば一夏と弾、簪と数馬の組み合わせで予め記されており、更に入場時には本人確認も行うと招待券に記載されている。それを思い出した弾はすぐにそれは無いかと立てた予想を否定する。

 

「まぁ弾の予想も間違っては居ないね。まさか全人類が招待券の制限を知っているわけでは無いし、知らない蒙昧が寝言ほざいて来てもおかしくは無い。けどまだあるね。弾、さっき君自身が言ったろう? 近く、ウチの学校の文化祭もある。そこへ僕らが別の学校、それもIS学園なんて超有名校の学園祭の行くと知られてみな。無駄に要らん気合いを入れたサルが『文化祭の参考のために!』とか何とか言って調査だレポだのを要求するのが目に見えてる」

 

 言われて弾は、あーなるほどなーと数馬の予想に大いに在り得ると頷く。

 

「まぁ他にも色々と面倒はあるだろうね。何にせよ、僕らの周りが羽虫の雑音で騒がしくなるというだけさ。冗談じゃない、誰があいつら如きのために労をかけなきゃならないんだ。まさか僕が本当にそうするとでも? おめでたい、実にめでたい思考だよ。お前らの頭はハッピーセットか。ふざけるな塵芥が」

「ハ、ハ、相変わらずだなぁホント……」

 

 他人を平然と、かつ思い切り見下す数馬のスタンスはとっくに慣れたものとはいえ見るたびに苦笑を禁じ得ない。勿論誰に対してもそうというわけではない。例えば家族、例えば親友である一夏や弾、数馬がそうすべきと認めた人物相手には彼は実に誠実的に振舞う。だが逆に、彼の内で彼にその価値無しと判断された者に対してはとことこん酷薄だ。

 

「まったく、品行方正な優等生の仮面をかぶり続けるのも疲れるよ。いや、それも人生というやつかね」

 

 とは言え、そういう態度を表に出し続けると上手く立ち回れないということも彼は重々に理解している。故に彼は人前では仮面をかぶり続けるのだ。品行方正にして理知博学な優等生という分厚き仮面(ペルソナ)を。その下に隠れたどす黒い悪辣な面は、おそらく一夏と弾くらいしか知らないだろう。彼の言に偽りが無ければ両親にすら欠片も悟らせていないのだから。

 

「そういやウチの担任がボヤいてるのを聞いたんだけどよ。ウチのクラスの文化祭実行委員、できれば数馬にやってもらいたかったと」

「やだ、絶対やだ。あークソ、こういう所で要らんポイント稼いでしまうのが優等生の仮面のデメリットだね。早めに手を打っておいて良かった」

「……何したん」

「そうたいしたことじゃあないさ。ただ、やれそうな奴を見繕って実行委員に自分から希望するよう上手く誘導しただけだよ。その周りも軽く、ね」

 

 結果はまぁまぁ満足のいくものと数馬は思っている。過日の文化祭に関するHRでクラスからの実行委員を決めた折、自分から名乗りを上げた数馬がそう仕向けた生徒がその役に収まった。仮に誰も立候補をせずにいた場合はどうなっていたか、そうした状況を良しとしない担任は表向き優等生で通している数馬に白羽の矢を立てようとするだろう。そしてその仮面優等生ぶりはクラスにも浸透しているため、数馬曰く考えなしの馬鹿共が口々に賛同していたはずである。それを回避するのはできるが、そんなことに労力を割きたくないと考えた故の手回しだった。

 

「ついでに言えば、僕はあまりあの担任を好いてはいなくてね」

「そうか? まぁちょっと熱いトコはあるけど、良い人だとは思うけどなぁ」

「そうだね。客観的に見て良い教師に分類されるのは確かさ。ただ今回の場合は、単純に僕の性格との相性の問題さ。あぁいうのは合わないんだよ。しかも、不本意ながら立場的には教師と生徒で僕が下ときた。真っ向ぶつかっても面倒だし、仕方なくやり過ごすのがベストなんだよ」

 

 校内きっての、全国上位クラスに容易く食い込む成績優秀者でもある数馬は、本人的には不本意ながら担任を始めとする教員たちと会話をすることが多い。その担任についてだが、数馬の見立てでは先ほども言ったように一般的には良い教師なのだろうが彼の感性では合わない人間だ。時折熱血や強引さの入る性格や、清々しい情熱や人間関係の面倒くささなど良いも悪いも全てひっくるめた上での"青春"を貴ぶ気質。やや男勝りな部分もあるその女性担任が是とするものはどれもが数馬にとっては"知るかバカ"で唾棄できるものだ。

御手洗数馬という人間にとって常に求めているものは己の利だ。そのために使えるものを道具として使い、使えないものは放置する。使えぬ分際でこちらにちょっかいを掛けようとするなら容赦なく潰す。それだけのことである。もっとも、一夏あたりに言わせれば「いやでもあいつ結構甘いトコあるぞ」とのことらしいが、それもそんなつもりは無いはずである。

 

「まぁウチの文化祭なぞに興味は微塵もありはしないからね。上手い具合にノータッチを貫いていくさ」

「そういやお前、中学の時もそうだったよな。まぁ体育館で発表を見るばっかりだったけど、お前殆ど寝てたよな」

「興味ないし。出てたのは出席にカウントされるからだよ。でなきゃ普通にフケてたね」

「ん~、そこはちょっと分かるわ。中学のは、ちょっと退屈だったからな~」

 

 そんな会話を続けながらも依然キーコキーコとブランコはこぎ続けている。だがその音は不意に止む。示し合わせたようにピッタリのタイミングでこぐのを止めていた。

 

「帰ろうか」

「だな」

 

 結構久しぶりにこいだブランコは予想外に楽しかったが、いつまでもこうしているわけにも行かない。立ち上がった二人はそのまま帰路に着く。夕焼けに照らされながら歩く男子高校生二人。彼らの頭の上ではカラスがカァーと鳴いていた。

 

 

 

 

 

 

 そうしてまた日数は経ていく。人口メガフロートの上の学び舎で高まる少女たちの熱気はその日、最高潮を迎えた。この日、IS学園学園祭は一日限りの祭りの幕を上げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、楽しませて頂きましょう。何もなければそれで良し。ただお祭りを楽しむだけ。けれど何かあるというならば、私流の楽しみ方をさせてもらいましょうか。フフ、ウフフフフフ」

 

 

 

 

 

 




 チノちゃんこそ理想の妹。異論は……受け付けますけどね。ここ最近の妹キャラじゃトップですよ。ウチのいっぴーも、アイツの場合は甘えられる存在に飢えているのかも。
 そしてソシャゲ。数馬の布教は見事の彼の魂にまで浸み込みました。今や立派な課金勢です。ゲームと一夏の推しキャラについては、分かる人には分かるでしょう。
ちなみに彼の場合、好みのタイプはありますがそれが理由で好きになるというわけではなく、フィーリングでティン!と来たら気に入るという感じです。だからまったく違うタイプのキャラを好きになっているというのも普通にあります。でもこれ、割とよくあることだとも思っています。

 ところで今回は一夏ではなく、なるべく他のキャラ達にスポットを当てることを意識して書いてみました。その成果が出ているかどうか、気になるところです。
 鈴のところと言えば、そうですね。彼女の父親について。実は凄腕の中華の料理人という裏設定があったり。その腕前は中華に関しては弾が純粋に敬意を抱き慕うレベル。食べた瞬間、服が弾け飛ぶイメージが出るとかなんとか。

 セシリアパート。
え? なんか選択肢が見たことある?
(゚∀。)y─┛~~ <お前がそう思うのならそうなのだろう、お前の中ではな。それが全てだ。愛い、愛い。痴れた音色を聞かせておくれ。
何気にクラスのハッチャけ具合を内心では結構楽しんでいます。作者のさじ加減次第では今後それがぶっ壊れになるかもしれません。そう、薔薇な世界を楽しんじゃうお嬢様とか。え? それはクラリッサの役目? 細かいことは気にしない。

 弾&数馬パート
本作の設定では数馬の性格は割と悪いところもあるという風になっています。今回ではそこを改めて出してみました。早い話、マイルドになった束というのが近いですね。ただ、外道ぶりに関しては彼女を超えるやもしれません。
更に裏設定として、数馬はいざという時のために護身用のアレコレを調達、あるいは作って用意していますが、ほとんどが護身のレベルを超えているという危険物だったり……
弾に関しては色々な意味で懐が広いという感じです。多分、親友が(どちらがとは言わない)世紀の大悪人になったとしても、友人として「まぁ程々にしろよ」と忠告をするだけで、普通に友人として接して頼めば料理を作ってくれます。そしてそんな彼の存在が一夏と数馬にとってはある意味でメンタル面でのストッパーに近いものだったり。弾がいるからこそ、無茶が過ぎることはあまりできないという感じで。

 こうしたキャラの掘り下げ、今後もできたら良いと思っています。
次回はいよいよ学園祭本番。ついにあの連中が表に出てきて、あの人も本格始動。
というわけで読者の皆様、また次回更新の折にお会いしましょう。

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