或いはこんな織斑一夏   作:鱧ノ丈

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 投稿日時を気にしてはいけません。えぇ、絶対に。
決して、投稿日と登校時間の数字だけを抜き取って繋げたりしないように。
オナシャス! センセンシャル! 何でもしますから!

 活動予告でも書いたように、今回は夏休み編と同じ形式です。
今後続きが書きあがり次第、追加をしていこうと思います。その際にはお伝えできる種々の方法でお伝えしようかと思います。


第六十二話:学園祭小話詰め合わせ 人物紹介もあるYO

「CASE 1:御手洗 数馬、IS学園を歩く」

 

 機嫌の良さを表すような鼻歌が鳴る。鳴らしているのは一夏と一度分かれた数馬だ。ちなみに弾は今も別の品に舌鼓を打っているだろう。

普通でありながらも軽やかな足取りに迷いの類は一切ない。明確に定めた目的地に向けて一直線に進む確固たる足取りだ。入場時に配布されたパンフレットには案内図や各所での展示の概要紹介が載っている。そして案内図と建物の外観から九割五分、先に一夏の下に向かうにあたり実際に歩くことでほぼ完璧に歩くに困らないだけの構造は把握した。本来であれば簪の所属する一年四組は一夏達のいる一年一組の教室と同じ階、廊下をただまっすぐ歩けば着く場所だが、展示の性質上それなりのスペースが簪らの展示には要求されたため、通常の教室よりやや広い別の部屋が一年四組の展示場となっている。

学園と銘打ってはいるものの、曲がりなりにも兵器に運用できる代物を扱う施設だ。どうせ外部の客には知らせられ無いような部分もあるだろうが、さして興味は無い。そんな役に立たないもの、例えそれが何であれ役立たずという時点で数馬には塵芥でしかない。それよりも彼にとっては目的地にいるであろう一人の少女の方が重要だ。

 

「おっじゃましま~す」

 

 目的の教室に来た数馬はルンルン気分が乗った言葉と共に室内へと入る。受付係らしき生徒からの歓迎の言葉と展示についての概説が書かれたプリントを受け取り、目当ての簪を探すべく数馬は室内を歩いていく。とは言え、そこまで広い教室というわけでもないのですぐに見つかるだろう。折角来たのだから、もののついでに展示も眺めていく。

一夏らの出店、喫茶店とは異なりここの展示はこの学園で生徒が学ぶであろうISの種々の理論について、外部からの業界とは無関係だろう人間にも分かりやすいように解説がされたパネル展示だ。このような学術的展示はまさに学校の文化祭の定番と言っても良いだろう。

 

(なるほど、流石というべきか。よく纏められている)

 

 よほど出来の悪い者でもない限り、パネルで解説がされている理論は基本や特色を外さず、その上で分かりやすい例えを用いるなどして十分に噛み砕かれた解釈での説明がされている。ISに限った話では無いが、このような技術的専門理論を一般に分かりやすく説明するにはどのような形にすれば良いか、その一つ手本として挙げられて良いと言えるものだ。

この展示の全体の監督を務めたのは簪だと、数馬は彼女自身から伝えられている。彼女への好意的な感情も理由として無きにしも非ずだが、やはり流石と数馬をして唸らざるをえない。とは言え、この出来栄えなら仮に監修したのが誰であれ数馬としても評価をするに否は無いわけであるが。

 

(ま、他所向けにだいぶヌルいチョイスにはしてあるみたいだけど)

 

 あくまで対象としているのは、どちらかと言えば生徒側の招待客、その大部分を占めるだろう家族などのIS絡みの知識に乏しい一般客と見る。あいにく、その程度を対象としたぐらいの解説では数馬にとっては児戯も良い所である。

 

「どうかな、君から見た評価は」

「内容自体は僕にとっては大したものじゃないが、分かりやすさを出しているという点では素直に見事と。それが君の手に因るものならば、評価は猶更というものさ」

 

 背後から掛けられる少女の声、感想を問う言葉に数馬は先ほど感じた、思った通りの感想で返す。そして後ろを振り返り声の主を見る。

 

「こちらから見つけるつもりだったが、逆になってしまったね。――来させてもらったよ、簪さん」

「どっちでも変わらないと思うよ。――いらっしゃい、数馬くん」

 

 

 

 

 

「いやしかし、今回は本当にありがとうね。チケットの件」

 

 来客へのサービスとして置かれている紙コップに入ったお茶を受け取りながら、改めて招待券のことについて礼を言う数馬に大したことじゃないと簪は首を横に振る。

 

「他に特に送りたいって相手もいないし……」

 

 娘からの招待券を心待ちにしていた父親のことを分かっていながらスルーした、とんだ面の皮の厚さを見せた発言である。しかしながらさしもの数馬もそこまでは事情を知らないため聞いて特にどうという反応はしない。

 

「けど、やっぱり君には簡単な内容だった? 一応、それなりには深いところも載せたつもりだけど」

「いや、あくまで知識に乏しい一般来客に向けてなら十分さ。ただあの内容、普段の授業などで使っている教本をベースに、精々突っ込んで少し応用を入れたくらいのレベルでは無いかな?」

「分かっちゃうんだ」

「これでも一夏と話が合うように、あるいはなにがしかの力になれればと、そして今はそこに君も加わって、要は一夏と君の二人に合わせられるように僕なりに学んではいるつもりさ。この学園の理論教本自体、専門書の類とは言え通販で仕入れることも普通にできる。既に物はあるし、その内容も大方は把握しているつもりだよ? あのくらいなら一、二度読めばだいたい分かるさ」

 

 あくまで会話をしているのは二人だ。だがこの場には二人以外にも来場者や、案内役として常駐している生徒もいる。特段小声で話しているというわけでも無いので数馬の言葉も周囲の耳には普通に入るものであり、そしてその言葉を聞いた幾人かの生徒は信じられないようなモノを見る目で数馬の方を向く。

だが一斉に向けられた視線にも数馬はまるで動じない。そもそも気に留めて、歯牙にもかけていないと言わんばかりにあくまで簪の方を向いたままだ。そして簪もまた数馬に言葉驚く様子は欠片も見せず、ただ小さくクスリとだけ笑いをこぼす。

 

「じゃあ、ここの展示だけだけど一緒に見て回る?」

 

 聞きようによってはそれは年頃の少年の身分としては魅力的な誘いに聞こえるだろう。事実、これがその他の有象無象ならともかく簪からの誘いという点で数馬にとっては十分に価値を感じるものだ。だがそれだけではない。誘いをかけた簪の声、そして顔に浮かぶ微笑、それらには僅かだが挑発的な色が混じっている。先の数馬の不遜とも言える物言いを聞いた上でこう誘いをかけたのだ。

試されている、すぐにそう察した。そして相手が例え簪であれ、むしろ彼女が相手だからこそ数馬としても俄然乗り気になる。

 

「是非とも」

 

 ゆえに即答だ。実際のところ、より専門的な部分になれば数馬とて簪には敵わないだろう。自身の頭脳に自負はあるし、それ故に相応に不遜にも振舞うが、だからと言って客観的評価、対比ができないほど愚かでも無い。ただ今回の場合は数馬が知識としての習熟をある程度のラインに達していると示せばいいだけの話。それならばさしたる苦労でも無い。

 

「じゃ、行こう?」

 

 そう誘われて二人は並んで室内を歩き出した。

 

 

 

 

「いや、有意義な時間だったよ」

 

 展示されたパネルの一通りを見終えて、数馬は思ったままの感想を言う。パネル一つ毎にあれやこれやと意見を交し合う。そういったアカデミックな行為は彼としても大いに好むところだ。やはり会話をするのであれば知性を感じさせる相手とだろう。それを感じられない猿の鳴き声なぞ聞くに値しない。そして自分と近しい年代の者、必然的にソサエティにおいて身近にあることの多い者にはそういう手合いが多いのが考え物だ。

それに、ただ話している。簪が相手であればそれだけでも良いものだと感じる。一応は年頃の少年なのだ。好意的に思っている異性と話をしていて悪い気にはならない。

 

「で、どうするの? 私のクラスの展示はここまでだけど……、この後は他の場所を?」

「そうだね。そろそろ弾も一夏のところから離れている頃合いだろうし、適当に見つつ落ち合うかな。簪さんは?」

「私は、もうしばらくここに居なきゃだから。でも時間ができたら、私も適当に見て回るかな」

「な、ならその時はもし君さえ良ければだが、一緒にどうかな?」

「別に良いよ」

 

 数馬としては割と頑張って誘いをかけたつもりだったが、あっさりとOKで返されたことに表には一切出さずに心の中でガッツポーズを決める。

 

「どうする? 織斑君や、五反田君も誘う?」

「それは良いね。魅力的な提案だ」

 

 わざとらしく手を広げて賛同する数馬に簪は小さく微笑みながら言葉を続ける。

 

「けど、私は別に二人でも構わないよ?」

 

 囁くように、どこか妖艶さも含んだ言葉に数馬は思わず鼻息を吐き出す。絵にするならば顔だけヒョウタンツギ状態だ。

 

「ま、まぁその辺は追々ということで……。じゃ、僕はそろそろ行かせてもらうよ」

 

 動揺の抜けきっていない様子の数馬に簪は面白そうに小さく笑うと頷いて数馬を見送る。そうして出口でもある最初に入ってきた入り口の方に足を向けると同時に、先の数馬と同じようにこの部屋の展示を見るために来たのだろう、簪と同じIS学園一年を表す制服に身を包んだ少女と目が合った。

 

「あれ、あんた……」

 

 数馬の顔を見た瞬間に少女の方が反応する。自分を見て何か気付いたような反応をされたことで、数馬も足を止めて少女の方を見る。

 

「あんた、御手洗数馬じゃない?」

「そうだけど、君は……。あぁいや待ってくれ。見覚えはあるね。……そうだ、確か宮下さんだったかな? 小5の時に転校していった」

 

 察するに宮下という生徒、簪の記憶が確かなら三組の所属である彼女は数馬の小学生時代の同級生なのだろう。そして彼女の方が転校という形で学校から去り、今ここで再開に相成ったと見るべきか。だが数馬にとって彼女は大した意味を持たないのだろう。会話をしていた先ほどまでと打って変わって自分に強い自信を持つ不遜さが雰囲気に滲み出ている。いや、宮下を見下してすらいる。そこまでを何てこと無いように(・・・・・・・・・)簪は見取った。

 

「私のこと、覚えてるのね」

「同級だったのが小学五年の一時期までとは言え、君はクラスの中でも派手めなグループの一員だったからね。否応なしにクラスの中では目立っていたんじゃないかな? まぁもっとも、そのグループも終いには険悪だったようだが」

「嫌なこと思い出させないでよ。というか、なんでここに居るのよ。多分招待なんだろうけど、いつも本ばっか読んでた地味男のあんたなんか呼ぶ奴がいるの?」

「あぁ、いるんだよねそれが。それと、読書家をそう呼ぶのはあまり良くないと思うがね。読書家というやつは往々にして博識だ。時にはその知識に敬意を払うべき場面もある。君も、当時はそれなりに成績も良かったようだし、ここの生徒として居る以上は相応の学力は修めたのだろうが、所詮はそれだけだ。品格には繋がらない。当時の君とその友人が、他のクラスメイトにちょっかいをかけていたようにね」

「っち……」

 

 痛いところを突かれたと言うように宮下は顔を顰める。だがそんな彼女などお構いなしに数馬は言葉を続ける。

 

「いや、実はあのころは僕も内心ではヒヤヒヤしていてねぇ。いつ君らの矛先がこちらに向かないか、不安だったよ。だが運が良かったのか、君らの仲が険悪になってからその懸念も消えた。僕からも、他のクラスメイトからもね。もしかしたら、君の転校は君にとって好都合ではなかったのかな?」

「――あれは、あいつらが悪いのよ」

 

 吐き捨てる宮下はただ怒りの矛先を喧嘩別れに終わった友人だった者達に向ける。それを見て数馬は歪んだ笑みを深める。

 

「さてどうだか。僕は互いに自業自得だと思うがねぇ。例えば君が友人の好きな男子を狙っているだとか、逆にその友人が君を内心ではバカにしていたとか。互いが互いにやましい所があって、それが表層化しただけだろう?」

「っ!? なんであんたがそれを――」

 

 当時、宮下をはじめとする少女達のグループの仲が険悪化したのは、それ自体は周囲にも目に見える形で伝わっていたが、その原因や経緯の仔細については当事者たちしか知らなかったはずだ。それを何故、まるで無関係だったこの男が知っているのか。疑問が宮下の脳裏に湧く。

 

「成績が良いだけ、振る舞いが派手なだけ、後は品性に欠けるただのバカ、それだけでいたら良かったのだがね。あぁ、僕を僅かでも君らのくだらないちょっかいの狙いにしなければ、君らの掃き溜め以下の仲良しごっこは続いていたかもしれないねぇ」

 

 瞬間に悟る。かつての仲たがいはグループの各々が秘していた、相手への悪感情が唐突にグループ内で流れ出したことが原因だ。こうして時を経て冷静になって考えれば思い当たる違和感、何故急にそのようなことになったのか。今ようやく理解した。

 

「あんたが――」

 

 過ぎたこと、終わったこととはいえ当時の嫌な気分を思い出せば怒りを覚えずにはいられない。たまらず詰め寄ろうとするも、その足は他でも無い数馬の手によって制される。

 

「あぁ、止めた方が良い。今の僕はゲスト、ホスト側の君がそんな野蛮に絡んではマズイだろう? 今はこの場だけだが、君の出方次第では事が大きくなってしまう。それは何より君に取って好ましくないことになると思うけどねぇ?」

「ぐっ……」

 

 腹立たしいが言われた通りだ。彼女とて曲がりなりにも狭き門を通過してこの学園の生徒としているわけではない。数馬の言葉、それが意味するところを解さずに動くほど彼女も馬鹿では無い。

 

「まぁ良いじゃないか。どうせ、僕らの再会は今この時の偶然。少なくとも僕の側にこれからもという意思は欠片もありはしないし、君とてそうだろう? それに、さっさと忘れてしまえ、そんな下らないことは」

 

 それだけ言ってもう用は無いと言わんばかりに数馬は立ち去ろうとする。だが、すれ違いざまに宮下は淡々とした声で再び数馬に問うた。

 

「何がくだらないことよ。あの時、私らはみんな散々嫌な気分になって散々苦しんだのよ。学校に来るのが減った奴だっていた。あんた、それでも何とも思わないの?」

「あぁ、全然?」

 

 心底どうでも良いと思っている、そう言外に語る返事に宮下は怒りの目を数馬に向ける。

 

「あんた――」

「次に君は"人の気持ちを何とも思わないのか"、あるいはそれに類する言葉を言う。違うかな?」

「――っ」

 

 言わんとすることを悟られたことに思わず息を呑む。

 

「分かるに決まっているだろう?」

 

 さも当然と言うように語る数馬、その目を見た瞬間に宮下は背筋に寒気が走るのを感じた。

 

「君らの気持ち? あぁ、その程度なら把握することなんて造作もない。少し難しめの入試問題の方が手こずるくらいだ。当時の君らの怒りや不安、後は悲しさとかもかな? その程度、よぉく分かっているさ。で? だからどうしたんだい? 僕がわざわざそんなものを斟酌してやる必要があるとでも? あるわけないだろう? 分際を弁えなよ」

 

 今度こそ用は無いと、数馬は立ち去ろうと動き出す。そして去り際、最後の言葉を宮下に投げ掛けた。

 

「お前ら程度の塵を配慮なぞするかよ。友情もどきがぶっ壊れようがストレスでもだえ苦しもうが、それこそ人生オジャンになろうが、どうなろうが知るか。その程度なんだよ」

 

 それと、と前置きをしてから数馬は念押しのように言う。

 

「お互い不干渉が最良とは言っておこうかな? あいにくだが、例え離れていようが君一人ごとき、社会的にどうこうするくらいは訳無い」

 

 宮下の心境は一転していた。先ほどまで感じていた怒り、それらは一気に消え失せ代わりに恐怖と不安のみが胸中を占めている。間違いなく、この御手洗数馬という男はかつての同級生だ。だというのに、今こうしてここにいる彼はまるで初めて見るような存在だ。かつてのただ黙々と本を読むだけだった姿からは想像できない、ただ相対しているだけで不安になっていく。

そんな宮下の胸中など知ったことかと言うように、言うべきを言い終えた数馬は去っていく。去り際、入り口の所で簪の方を振り返ると小さく手を振る。それを見て簪もまた他には気付かれないように手を振り返す。その表情は最後に数馬に向けた笑みそのままであった。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、次はどこを見てみるかな。その前に弾と落ち合うか……」

 

 行動の予定を考えながら数馬は何気なくパンフレットを取り出す。廊下の端によけて一しきり眺め、行先を決めたところで再び歩き出そうとし、不意に目の前の現れた人影と軽く接触した。

 

「あ、すみません――」

 

 公共の場でのマナーや礼節というものは弁えているつもりだ。ついでに言えばぶつかったのも自分の注意が前からやや逸れていたのも理由の一つ。ごく当たり前のように詫びの言葉を言ってぶつかった相手を見た瞬間、確かに一瞬だが数馬は自分の中の時間と言うものが止められた気がした。

 

「いや、こちらこそ不注意だったからね。すまなかったね。ここは、お互い様かな?」

「あぁ、いえ……。こっちこそすいません……」

「じゃ、私は行かせて貰うよ。グッドラック、少年」

 

 ぶつかった相手はスーツを着こなした長身の男性だった。スーツ姿など全国どこでも普通に見かけるが、あれは違う。着こなしも見事な上にある種の貫録まで出ている。

片手を挙げながら歩き去っていく姿は颯爽としており、ぶつかった数馬にも欠片も不満など見せず笑顔と親しげな雰囲気を出したままの姿は見事なまでに紳士と言える。だがそれ以上のことが数馬の胸中を占めていた。

 

「なんだよ、あの人……」

 

 一目見た瞬間に悟った。あの男は格が違う。人と人とを比べる要素は色々とあるが、そんなどれとどれを比較してなどというチンケなレベルじゃない。アリが巨象にどうあっても及ばないのと同じ、比べるまでもない程に圧倒的な差だ。

 

「いや全く、世の中は広いよ」

 

 色々感じるものはあったが、出てきた感想はそれだけだった。ほんの一瞬の邂逅だったが、これも一つの良い経験かと脳裏で処理をすると、数馬も再び歩き出していった。

 

 

 

 

 続くよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 EX Part1『人物紹介:いっぴー』

 

織斑一夏

 

身長:178cm 体重:68kg

好きなもの:武芸全般、アニメ・漫画・ゲーム、アイドル声優、二次元の女の子? 挙げたらキリがねぇよ(by一夏)

嫌いなもの:牛乳(某ニーサンと同じく風味が駄目)、チンピラやDQN、カルトなど

フェチ:尻・太もも なに? おっぱい? 等しく愛でよう(by一夏)

好みのタイプ:無条件で甘えられるような包容力のある人、人知れず崩れ落ちそうないざという時に自分が力になれる人(一夏曰く「前者なら楓さんで後者ならしぶりんだよなぁ」とのこと)

将来の夢:師と同じく武の極みに至り更に昇華させること、それら武芸を自分なりの方法で世に活かす、食う寝る遊ぶ(ゲームしたり漫画読んだりアイドル声優の追っかけしたり)の合間に働くとかの人生があるような平穏な暮らし

 

 ご存じ本作の主役。原作との相違点は色々あるが、結局は「武術」の一言に集約される。……はずだったが、最近は「ただのオタ」も含まれるでも無い。

原作における箒との離別イベまでは殆ど同じだが、その後にかろうじて箒の父と千冬が連絡を取れる段階で現在の師を紹介してもらったのが転換点。

確固とした指導の下で鍛えた結果、年齢を鑑みれば破格の武術的技量を持つに至る。とある武術家が彼を評して曰く「特上の才を特上の師に鍛えさせたらどうなるか、その一つ典型だよ。惜しむらくは環境。仮により武に浸れる環境にあれば、今以上になっていたのは間違いない。あるいは、あの娘よりも上回っていたかもねぇ」とのこと。

 

 性格は良くも悪くも自分に忠実。決して悪人と言うわけでは無く、育った環境自体はごく普通の少年のソレであるため一般的な良識も持ち合わせてはいるが、自分の中で問題ない、あるいは必要と判断し周囲、つまりは社会ともすり合わせた上でイケると彼の基準で判断した場合には、聞いた者が眉を顰めるような行動も辞さない。

また、自身が鍛えてきた技には並々ならぬ自負を持ち、身体能力やスポーツへのセンス共々に自信が優れる者と公言して憚らない。ただしこの辺に関しては客観視もきっちりとできており、武術に関してはその上でも不遜だが他のスポーツ類に関しては人並み以上でしかないと自覚している。

例えばの話、バスケでもやらせればトントン拍子に成長し、その気になれば全国クラスのエースになることだって可能だが、その分野における真っ当な天才には確実に勝てない。要するに行けて無冠とか室ちんレベルでキセキにはどうやっても勝てないということ。ただし身体能力に関してはその限りではない。お分かり?

 そんな彼の武術へのこだわりだが、実は誘拐事件を境に歪なものになっており、姉による救出で安全を確保すると同時に積み上げてきた鍛錬の成果などの非力さを自覚し精神的に壊れかけ、それを師の跡を継ぐなどの義務感やより固執した自負でごまかしていたのが福音戦までの状態。

そこを白式の中の人に突かれ、再び壊れそうになるも過去の振り返りでただ「好きだったから」という原点を再認、それさえ忘れなければ良いと身も蓋もない言い方をすれば開き直って復活する。この時、性格面にある種のパラダイムシフトが生じており、作者的にも福音戦前後でその辺は意識して書いているつもりだが、実際どうかは読者諸兄の判断に委ねたいところ。

福音戦後には周囲のクラスメイトを筆頭に「角が取れた」と言われるようになり、言動も比較的穏やかなものになっている。ただしそれは=優しくなったというわけではなく、言うならば角が取れて丸くなったというより、パッと見では分からないだけで実際にはより鋭利になったが正しい。ただ普段はそういう素振りを見せないだけである。

 

 決して脳筋バカというわけではないが、頭脳面では基本的に普通。武術関係のみ頭は回るが、それ以外は本当に普通なので、学業面で見ればIS学園においては周囲が基本選り抜きの優等生揃いなためランクは低い。ただし補習などのラインは頑張ってクリアしている。

ちなみに中学生時代からそれ以前も学力は並であり、中学時代も決して悪くない学力ではあったがそれはひとえに親友である数馬の助力によるものが大きい。

 また肉体派ではあるものの、元々漫画などを好むインドア寄りの嗜好であり、幼少から特撮作品なども好むためソッチ方面への適性は普通にあり、確信犯的な親友に布教された結果が今のアレ。本人はまるで恥じることはなく、むしろ「人生に新しい世界が広がった」と公言して憚らない。

白式関係や夏の地下格闘などで高校生にしては多めの懐事情にあるため、時に課金ガチャの鬼と化す。お気に入りのキャラが目玉に来ようものなら無言で回し続ける。

 

 人間関係として、まず第一に挙げるべきは実姉である千冬。関係は良好であり、若くして二人の生活を支えんと外で稼ぐ彼女に対し、一夏もまた家の中の事を自分が行うことで支えるべきと思っており、時に悪態を言い合い時に喧嘩もしたり、それでも良い姉弟をやっている。

ただし、千冬の家事関係のダメ振りに関しては最近「もう良い歳なんだしそろそろできるように……」と一言物申したい気分。その他にも「つーかいい加減男の一人も見つけろよ」とか「もう専業主夫志望の婿でも見つけないかな」と、その方面に関しても割とガチで心配している。

 実のところ、家族や姉弟としての関係は良好なのは間違いないが、両者の個人として自分がどうあるべきかという考え方については結構な部分で相容れないものだったりする。現状ではそれは表面化しておらず、一夏も自分の考えを見つめた上でそんな予感がしている程度だが、それがこの先どうなるかはまだ分からない……

 

 第二に師匠である海堂 宗一郎。とにかく懐いていて物凄く慕っている。多分一夏本人を馬鹿にするよりこっちを馬鹿にする方が確実に一夏はキレる。

この両者については後々の宗一郎個人の紹介で仔細を書くが、とにかく仲の良い師弟である。使う技の物騒さの割にはだ。

 

 第三に親友である弾と数馬。一夏にとってこの二人は千冬、宗一郎とはまたカテゴリーの異なる、最上級の特別であり例えばの話、この二人に危害を加えようものなら間違いなく一夏の最大の怒りを買う。

一夏も自身の立場ゆえのアレコレはそれなりに分かっており、近しい立場にある二人のことは気にかけている。もしもその手の勢力が彼らを狙う場合、一夏は迷うこと無く関係者全員の首を取りにかかり、「親友二人の命に比べたら、それを狙うバカの命なぞ億千万だろうが比べるまでも無い」と言い切る。

ちなみに、この二人と一緒にいる時が一夏が最も年相応の少年らしくなる時であり、三人一緒の空間はまさに馬鹿全開の男子高校生である。

 

 

 

 実力面では、生身ならば既に十代最高峰。本人曰く若気のヤンチャである中学時代の喧嘩などでそれなりに場馴れもしている。剣は語るまでも無く、武術関係なら22世紀の猫型ロボ並に万能な師匠のおかげで無手でもかなりのものを誇っている。

使用する技は流派の剣術はもうちょっとでフルコンプであり、格闘系は現在も勉強中である。割とどっかで見たような技も多いけど、気にしたら負けというやつである。悪しからず。 

 ISを用いてでは、基本的に千冬の戦法を一番の手本としているため、何だかんだで彼女の後継的なスタイルを取っている。ただし武器の威力が低いわけでは無いものの、本作では零落白夜を持たないため、千冬をベースに自分なりの戦法を模索、確立している。実際、一度クロスレンジの斬り合いに持ち込めば学園の生徒レベルなら殆どの相手に勝てるため、そこから一気に斬りつけて削り切るという戦法である。

それまでの蓄積を活かした近接戦に重きを置くことで経験を鑑みれば破格の実力を有している。ただし他の専用機持ちと比べても特に尖ったスタイルであるため相性の悪い相手にはとことん悪い。その最たる例が簪であり、同時に組んだ場合に最も最適なのも彼女である。

「間合いに捉えられなければ良い」、「間違っても近接戦だけは挑むな」と、対策などが一番分かりやすい立場でもある。

 得意とする近接戦に関しては完全に周囲と隔絶しており、それに長けている候補生クラスでようやく勝負になる(勝てるわけではない)レベル。それ以外なら間合いに捉えられた瞬間に一気に切り刻まれる宿命である。ただし空中での切り合いとなると若干難度が下がる。ただし地表付近は難度増大、閉所になれば最悪である。要は地下駐車場でガチタン相手にしたりクラニアムで真改相手にするようなもんである。ハメ殺しをすることもあればされることもあるのだ。

 

以下、専用機持ち面々との相対評価

箒:基本完勝。唯一怖いのは絢爛舞踏。ただし何だかんだで一夏と真っ当な斬りあいのできる数少ない存在である。

 

セシリア:互いが互いに相性の悪い相手であり、間合いに捉えた一夏がハメ殺すか、間合いを取らせないセシリアがハメ殺すかである。勝率は五分五分

 

鈴:近接戦ではほぼ勝ち目が無いため、遠距離攻撃の衝撃砲をどう使うかが肝。伊達に候補生やってるわけではないので時たま一矢報いるも、勝率は一夏の方がずっと高い

 

シャル:銃器を中心とした武装のテクニシャンということで相性面ではシャルに大きく軍配が上がる。ただし一部装備を除き決定打にやや心許なさがあり、一夏の突撃一番にやられることも少なくは無い。勝率は若干のシャル優勢

 

ラウラ:総合面では一年トップクラスであり、一夏と斬りあいのできる数少ない一人。AICに捕まると一夏としてもアウトなので、ブラフも含めそれを如何に効果的に用いるかが肝。ただし機体の性質上やや近接寄りで、斬りあいとなるとやはり一夏に上回られるので、最終的な勝率は五分に落ち着く。

 

簪:一夏にとって相性最悪の相手。一夏にとって彼女を相手取る場合、開幕速攻を仕掛け何かされるより前に倒しきるが現状唯一の戦法。時間を掛ける程に勝率は下がり、簪も意図的にそれを狙うため模擬戦などでカードが決まった場合、一夏は絶対に一度は嫌そうな顔をする。勝率は簪の圧倒的優勢。

 

白式

 名前こそ原作通りだが、仕様が原作とは異なる。武器は刃の部分のみ某MVSみたいな感じであり、高威力だが零落白夜が無いため必殺性に欠ける。

本体面では全体的に装甲がややスリムであり、全高も他のISに比して僅かに低いためやや小柄な方。見る者に「騎士や侍の甲冑をISにすればこんな感じになるだろう」という評を言えばほぼ全員が頷く。

各種スラスターは直進性に特化しており、方向転換含めて動きは鋭角的なものになりやすい。それを一夏は高い反応力で高速でブン回し、負荷なども機体が軽減する分をある程度カットしリソースなどに回し、受ける分は強引にねじ伏せている。

簪の補助などを受けつつちょくちょく調整した結果、シールドの展開範囲なども弄って回避を基本としており、高機動格闘戦にステ極振りの上、トップクラスの身体能力と格闘戦の技量が無ければまともに扱えないという代物と化している。どこの白兜だと思ったそこの貴方、正しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 数馬君と簪ちゃんメインの回。そして数馬の本性がちょっと出た回でもあります。
本作の数馬、作者としては松井優征先生の作画が合っていると思ったり……
まぁ後は、簪ちゃんに関しても何となく流れを見ていれば性根のあたりで「あっ……」ってなるかも……

 今回、最後の部分で以前に活動報告で書いた一夏の紹介について加筆修正したものも載せました。活動報告をご覧になられていない方もいらっしゃるかもしれないので、そういった方々向けですね。
今後も他の話に別の紹介を付け加えるかもしれませんが、いずれはまた別枠で一つにまとめるかもしれません。

 次回の話はこの話に付け加える形で投稿しようと思います。前書きの通り、その際には何かしらの形でお伝えしようと思いますので、よろしくお願いします。現状では活動報告と以下にお知らせするツイッターを考えています。

 ツイッターアカウント作りました。
『@hamonojo009』
 こちらでも更新の予告ですとか何かしらのお知らせ、設定に関する何気ない呟きなどをやっていこうと思いますので、よろしければご贔屓にして頂ければと。


 改めまして、訃報がお伝えされました声優の松来未祐さんについて深く哀悼の意を捧げさせて頂きます。
自分がアニメや漫画に傾き始めた頃に最初に見たハヤテのごとくから知ってた声優さんですからね。自分のオタ生活の初期から知っていた方だけに本当に悲しい限りです。
本当に、訃報を聞いてからずっとそのことが頭から離れん……


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