閃乱カグラ 少女達の記録 【忍の業】   作:なまなま

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 忍の業を背負った飛鳥たちと冷音の戦いは終わった。しかし全てが明らかになったわけではない。
花田が残した疑問、葛城の発した言葉に答えたのは予想外な声だった。神成流との戦いはまだ終わっていない・・・


第五話 真実

「それはわらわのことぢゃのう」

 

 忍たちの間に差し込まれた鈴のように澄んだ声。聞きなれない声色にその場の全員が固まり、目で声の主を探す。

 

「お、まえ・・・か?」

 

 葛城が信じられないといった風に、視線を落とす。そのほかの全員も彼女の視線を追った。

ただ一人を除いては。

 

「うむ。いかにも」

 

 声の主は水模だった。言葉の意味と理解不能な状況に、誰も動けず、声を出せない。ただ水模を凝視することしかできない。

 当の水模は口元に手を当ててくすくすと笑ったかと思うと、するりと葛城の腕から難なく抜け出る。まるで液体のように滑らかに脱出し、皆の中心に降り立った。

 がっしりと掴んでいたつもりだった葛城が目を丸くして水模を見る。なぜ逃げられたのかが全く分からない。

 全員が混乱する中、冷音が全身を恐怖でガタガタ言わせながら、小さな声を絞り出す。

 

「ま・・・り・・・さ、ま・・・?」

「そうぢゃよ、臆病風」

 

 水模の言葉で神成流の忍たちが体をビクッと震わせ、片膝で跪いて大地に手をつき、頭を垂れる。満身創痍の冷音さえも一瞬で下僕の姿勢となる。

 水模はおもむろに左足を上げ、冷音の頭を思いきり踏みつける。女の美しい顔が地面に叩きつけられ、忠誠の姿勢が崩れる。しかし冷音は苦痛の呻きすら上げず、踏まれるがままになっている。黒装束たちも上司が虐げられているというのに、誰も止めようとしない。

 事態を飲み込めない飛鳥と葛城がなんとか構えの姿勢をとるが、相手は水模だ。いったい何をどうすればいいのか。

 

「ど、ういう・・・こと?」

 

 飛鳥が混乱から精一杯の疑問を紡ぎ出す。

 問われた水模が少女たちへと振り返った。その顔にはあどけなくて小生意気な雰囲気はなく、全てを見透かすようなトビ色の瞳が二人を捉え、唇が妖艶にも思える笑みを形作る。目の前の水模は、すでに二人の知っている水模ではなかった。童女の姿をした何者かが口を開く。

 

「一応はじめまして、と言っておこうかの。わらわは神成流現当主の長女、魔裏ぢゃ」

 

 美しい声で言い放たれた言葉の意味することに、時が止まったように少女たちの体が動かなくなる。言葉の意味はわかっても、脳の理解が追いつかない。

 二人の様子を見て、マリと名乗った幼い忍が面倒くさそうに続ける。

 

「あー、見せた方が早いかの」

 

 気怠そうに言った幼女の姿が、きらびやかな銀色の着物をまとう妙齢の美女に変貌を遂げた。かかとのあたりまで流れる黒く長い艶やかな髪。切り揃えられた前髪の下には、吸い込まれるような漆黒の瞳と端正な目鼻立ち。透き通るような美しい肌を、一目で一級品だとわかる長い長い幾重もの着物が引き立て、豊かな胸を押し込めている。だがしかし、着物に金の刺繍で描かれているのは地獄絵図であった。傷つき、病に侵され苦しむ人々が、悪鬼によってあらゆる辛苦を加えられている。

 飛鳥たちが目の前に現れた美女を呆然と見つめる。水模の姿から魔裏へと変身する、その瞬間が全く分からなかった。水模の言葉を聞き終わった時には、すでに水模が消え失せて魔裏が現れていたのだ。瞬きもしなかったはずなのに。まさに神速の変化術であった。

 呆気にとられた二人を眺めて魔裏となった水模がにんまりと笑みを浮かべる。

 

「いいものが見られてよかったのう。今夜は月も美しいし、ちょいと奮発してやろうかの」

 

 言った魔裏が長い袖から細長い小枝のような左手を出して掲げると、その指先にそれぞれ狼、猫、牛、ロバ、狸の小さな頭が生まれる。それらはまるで生きているかのように動き、鳴き声を発する。目や耳だけでなく、筋肉の動きまで忠実に再現されていた。変化術の次元が違う。

 幻想的かつ不気味な光景に飛鳥と葛城は目を疑ったが、これほどの変化術を難なく使いこなすなら、二人はもちろん手練れの冷音をも騙し果せたのにも納得がいく。

 忍学生たちが見ていた生意気で、意地っ張りで、弱くても強く生きようとしていたあの水模は、全てこの変化の達人が演じてみせた偽りの姿だった。二人の少女が抱いていた憐れみや正義感が虚ろなものになっていく。

 だが、それを受け入れるわけにはいかない。自分たちが水模のためにしようとしていたことを、無になんてさせない。偽りの魔女に立ち向かわねばならない。

 

「なぜ、水模ちゃんに変化して・・・」

 

 飛鳥が声を振り絞って対決に臨む。

 魔裏は飛鳥の方を見もせず、指先の動物たちを眺めながら言葉を返す。

 

「理由はいろいろあるがの」

 

 話し始めた魔裏の着物の上で地獄の人々と鬼たちが動き出す。虐げられる人の叫びと鬼の笑い声が聞こえてきそうなほど、生々しい惨劇が開始される。魔裏自身は変わらず、面白げもなく指先を動かして動物たちを翻弄している。

 

「まあ、よくある損得勘定で動いたまでぢゃよ」

 

 地獄絵図に惑わされながらも聞いている二人には、まだ話が見えてこない。わかるのは魔裏が嫌がらせのためだけに地獄絵図を動かしているだろうということくらいだ。

 最低な美女が話を続ける。

 

「絵狸は本当に使えない女でのぅ。渋樹を使って追い出すのには苦労したわい・・・まったく、あれがわらわの双子の妹だとはいまだに信じがたい」

 

 魔裏の言葉に飛鳥が反応する。双子だったということにも驚いたが、それよりも!

 

「ち、ちょっとまって!渋樹さんを使って、ってどういうこと!?」

 

 魔裏の黒い瞳が飛鳥へと動く。口元には意地の悪い笑み。

 

「そのままぢゃよ。神成流の汚点を末端の渋樹に落とさせ、始末する。無能とはいえ神成流の血が流れる女ぢゃ、捨て身で暴れられてはちょいと困るんでの。渋樹にそそのかさせて自ら出て行ってもらった」

「し、渋樹さんは絵狸さんを愛してたんじゃなかったの・・・!?」

 

 魔裏がふーっと息を吐く。

 

「愛していた。愛してしまったんぢゃ。思っていた以上に阿呆だったんぢゃよ、渋樹は」

 

 望まれぬ生を受けた絵狸は、神成流の策によって渋樹とともに秘伝忍法書を持って離反し、消された。予定通りに抹殺作戦が進んでいたかに思えたが、渋樹の裏切りによって計画の変更を余儀なくされ、長い長い暗殺作戦が始まったのだ。

 

「当初の計画では、離反後まもなく始末する予定だったんぢゃが、渋樹が絵狸側について逃げ回り始めた。駆け落ち前から子供まで宿していたと聞いた時は、はらわたが煮えくり返る思いぢゃったよ」

 

 飛鳥と葛城が水模の姿を脳裏に思い浮かべる。絵狸の子供は確かに存在していた。だが、なぜ魔裏が彼女に変化していたのか。

 二人の内心をよそに魔女が指遊びをしながら続ける。

 

「ぢゃが一方で、わらわはその子供に興味があった。神成本流の血を引く子ならば、母親より使える可能性がある」

 

 魔裏は生まれてくる水模を神成流の道具として見ていた。月下に立つ妖艶な女の損得勘定が始まる。

 

「わらわは、絵狸の子が生まれるまで追跡の手を緩めさせ、生まれて物心がつく前にちいっとキツめの奇襲をかけてやった。乱戦の中で子供をすり替えるためにの」

 

 忍学生たちの呼吸が止まる。絵狸は血を分けた双子の姉から居場所だけでなく、愛する娘まで奪われていた。神成流は考えていた以上に非情であった。

 楽しい子供時代でも思い出すかのように懐かしみながら、女は邪悪な計画を口にしていく。

 

「これが大当たり。隔世遺伝というやつかのぅ。水模と名付けられていた赤子は母上の子として育てられ、五歳ごろには神成流に相応しい変化術の才を開花させ始めた。それこそ、血統など比較にならぬほど素晴らしい才能を」

 

 魔裏が指先を見つめながら嬉しそうに笑う。

 胸の悪くなるような話に、飛鳥が湧きあがる疑問を怒りとともにぶつける。

 

「絵狸さんに別の子供を育てさせた理由はなに?長い間、決着をつけずに泳がせていた理由は!」

 

 全身に力を込めて怒気を放つ飛鳥を、冷めた目でちらりと一瞥した魔裏はつまらなそうに言葉を返す。

 

「神成流のお家騒動はなかなかの関心事ぢゃからのぅ。下から上まで、いろいろな組織の輩が隠れて様子を見に来る。見られているのは自分たちだと気づきもせずにの」

「くそったれ、だな」

 

 葛城も怒りを吐き捨てる。裏路地に現れたあいつも、魔裏の生餌に騙された一人だったということだ。

 葛城の心を見透かすように、魔裏が顔を向けてくる。

 

「そうそう、花田はわらわが雇った忍ぢゃよ。本人は真の雇い主が神成流とは知らんぢゃろうが、わらわもあやつの本当の忍名を知らぬから、おあいこぢゃ」

「はっ!?」

 

 神成流の女が軽く言い放った言葉に、飛鳥と葛城が思わず声を上げる。嫌な予感が二人に押し寄せてくる。

 

「十年で諸勢力の内情もかなり把握できて、神成流は優位な立場を築けた。お家騒動ごっこも頃合い。幕引きはどうしようかと配役を考えておったら、半蔵様の孫が気になったので、繋がりのある花田を使ってみた・・・といっても、ちょいと神成流のお勉強をしてもらい、絵狸の死を目撃させ、おぬしらのもとへ走らせただけぢゃが。わらわの水模役だけでは不足かとも思ってのぅ」

 

 魔裏の口が怪しく歪み、付け加える。

 

「水模も育ったし、機は熟しておった」

 

 最悪だ。飛鳥は魔裏の気まぐれな計画へ意図的に参加させられていた。

 よく考えれば不自然な点はいくつもあった。かよわい水模が強盗団から花田の名前を引き出せていたり、花田が潔癖な神成流と騒動にやたら詳しかったり、一流の忍である花田が絵狸の死に場所で未熟な水模に目撃されていたり・・・

おそらくおまけの飛鳥たちを使った、魔裏のお遊びだろうが疑う余地は残されていた。気づくべきだった。

 水模への想いも、冷音との激闘も、この恐ろしい女に踊らされていたにすぎなかったと知り、少女たちは再び動けなくなる。

 対する魔裏は楽しげに足の下にある傍流の頭を踏みにじる。魔女の内心を示すように、指先の動物たちが興奮したように吠え、着物の地獄に鬼が増える。

 

「いやしかしよかった。さすがは半蔵様の孫娘。ぜひ本気で殺し合うところを見てみたかったが、お前は小心者ぢゃからのぅ」

「申し訳、ありません・・・」

 

 魔裏の足の下で冷音が消え入りそうな声で謝る。この目玉使いも翻弄された一人だった。水模の正体も知らされずに、秘伝忍法書奪取の命を受けて戦っていたのだ。

 飛鳥がはっと思い出す。

 

「秘伝忍法書は!?」

「神成流が才能もない小娘や雇われ忍に、そんな大事なものを触らせるとでも?本物だと思わせることが、変化術の基本ぢゃぞ」

 

 哀れな抜忍は切り札として盗み出した巻物が偽物だったとは、最期まで気がつかなかっただろう。愛を貫こうとした二人の忍に、初めから勝ち目などなかった。

 飛鳥と葛城の胸中に、再び怒りがこみあげてくる。人の愛を虚仮にし、忍学生と従者たちが命懸けで探し出そうとしていたものさえ、お遊びの道具に過ぎなかったのだ。

 少女たちが体に力をこめる。このまま引き下がるわけにはいかない。

 

「秘伝忍法、夢幻交叉」

 

 魔裏の口がそう紡ぐと、着物の裾から細い糸が無数に打ち出され、飛鳥たちが反応する間もなく一瞬で周囲に張り巡らされる。糸は極細の剣と化しており、少女たちの動きを封じるように、接触する寸前で静止していた。身じろぎ一つしようものなら、動いた端から体が切断されていってしまうだろう。恐るべき秘伝忍法だった。

 

「ほれ、お前の術でももう少しマシな戦いができるんぢゃ。本当に胆の小さい女よ」

「そ、それは・・・殺しのための忍法ですので・・・」

 

 踏みつける主と踏みつけられる従者の会話。花田が話していたように、神成流の実力者は他者の変化術を自らに取り込んでいた。おそらく魔裏は亡き絵狸や渋樹の術も難なく使うだろう。

 ふいに夢幻交叉が解かれ、飛鳥と葛城が止めていた息を吐く。悔しいが、今の二人ではそれこそ本気で死ぬ気にならないと魔裏を倒せない。だが、冷音と約束した。まだ死ぬわけにはいかない。

 ならばせめて、真実だけでも持って帰る。

 

「水模ちゃんとすり替えられた子は、今どこにいるの」

 

 飛鳥の挑むような声に、魔裏はあっけらかんとして答える。

 

「どこというか、あの時の赤ん坊は父上だったからのぅ。居場所を言うなら我が家かの」

 

 少女たちが今日何度目かの衝撃にうたれる。水模の代わりに絵狸が育てていたのは、女性の赤ん坊に変化した彼女の父であった。神成流は歪に過ぎる。

 

「さすがは父上。赤子の成長を、母親を騙すほど見事に演じてみせるとは、素晴らしい。六歳頃からはわらわでも代わりがやれたので交代したが、あの時に父上がかけてくださった『自らの務めを果たしてきなさい』という激励は、今でも忘れられぬのう!」

 

 似つかわしくない興奮に目を輝かせながら魔裏が思い出を語る。左手が空に掲げられ、狸が鳴く小指に右の掌を添える。

 

「そしてわらわはやり遂げた!」

 

 右手が小指を握り込み、狸がくぐもった断末魔を上げて潰される。握られた小指から血が流れ出し、露わになった前腕を伝っていく。歓喜を表すように、残った動物たちが一段と大きく鳴き、鬼たちが楽器を叩くように人を痛めつける。

 魔裏の狂気に、飛鳥は冷音の姿を重ねていた。魔裏もまた、冷音と同じように自らが信じるものに、その身を捧げる忍であったのだ。

しかし、飛鳥の純粋な心は魔裏を受け入れることはできない。

 

「妹である絵狸さんを弄ぶことが、あなたの忍の道なの?」

 

 魔裏の指から動物たちが消えていく。白い腕が下ろされ、鬼たちが動きを止める。飛鳥に向けられた魔裏の漆黒の瞳には光がなかった。

 

「わらわは絵狸に感謝している。絵狸が才に恵まれなかったからこそ、神成流は水模と、諸勢力の情報と弱みを手に入れ、傍流たちの手綱を引き締めることができた。ああ、それにおぬしの素晴らしき素質は眼福ぢゃった」

 

 飛鳥に向けて笑みを送る魔裏だったが、褒められた方は全く嬉しくない。

 空を見上げて魔裏が絵狸との戦いを思い返す。

 

「ぢゃからわらわは闇討ちではなく、正々堂々本気の一騎討ちで絵狸を殺した」

 

 絵狸は困惑したはずだ。水模が双子の姉に姿を変え、炎の変化術で殺しに来たのだ。その段になって正々堂々も何もない。

 

「しかし、あやつも思っていたよりは強かったのう。墨で召喚する妖狸の群れにはちと驚いた。しかし墨ではのぅ・・・わらわが火炎を選べば、屠るのはそう難しいことではなかった。ごく最近会得した火炎の変化術ぢゃったが、うまくいったわい」

 

 述懐を終えた魔裏が飛鳥と葛城を見据える。口には笑み。

 

「これがわらわの死の美ぢゃ。絵狸の苦しみと死は、神成流に少なくない恩恵をもたらした。わらわはそれを糧に前へ進むだけじゃ」

 

 飛鳥はようやく理解した。魔裏も自分とそう大きくは違わない。魔裏は神成流の障害を取り除き、変化術を極め、死んでいくだろう。それは彼女が信じる神成流の隆盛のため、術を繋いできた先達と、自らの術を昇華していく後進のためだ。冷音への態度は渋樹のような裏切りを予防するための見せしめであり、半蔵学院の術も変化術の糧となっていくだろう。

 理解はできる。でも・・・

 

「私の道はあなたとは相いれない」

 

 魔裏をまっすぐ見つめ返す飛鳥の琥珀の瞳。美しき忍は視線を逸らし、冷音から足を退ける。

 

「では、いつかおぬしがわらわの前に立ち塞がることもあるかもしれんのう」

 

 魔裏の視線が戻ってくる。不敵な笑みを浮かべ、楽しそうに言葉を続ける。

 

「怖いのう怖いのう。飛鳥様と呼べる日を楽しみに待っておるよ」

「アタイを無視すんなよ?」

 

 飛鳥を静かに見守っていた葛城が言葉で軽く蹴りを入れる。

 魔裏は嬉しそうに微笑む。その性格を知らなければ、誰もが見惚れる美女の笑顔だった。

 

「怖いのう怖いのう。忍の未来は明るいのう。」

 

 歌うように返した神成流は、身を翻して木々の中へと歩き出す。地に座していた傍流の忍たちもすかさず立ち上がり、主人の後を追う。

 冷音が二人の方をちょっと振り返り、申し訳なさそうな顔をして口を開く。

 

「公園の修繕はこちらでやっておきます。人払いも半時間後には終わりにするので、早めにお帰り下さい」

 

 重症を負った女の事務的な連絡。思わずキョトンとしてしまった飛鳥と葛城だったが、緊張を解いてくれた冷音へ、苦笑しつつ礼を言って見送る。敗北したとはいえ、主人の台本に付き合わされた彼女が粛清されることもないだろう。

 と、先頭の魔裏が足を止め、背後に向けて言葉を投げる。

 

「そうそう、水模は近頃、ようやく真の神成流として覚醒した。お前たちが心配せずとも、立派な忍として生涯を全うするぢゃろう」

 

 飛鳥と葛城は言葉の真意を測りかねたが、とりあえず水模の健在を知って少し安堵した。

 魔裏は止めていた足を再び踏み出し、従者を引き連れて夜の闇に消えていく。残った二人は大きなため息を吐いて武器を収める。

 忍たちの長い長い夜の終幕を、輝く星々と丸い月が見下ろし続けていた。

 

                                      最終話へ続く

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