SAO/「さぁ――ソードアートオンラインを始めよう――」 作:必殺遊び人
楽しんでいただけると幸いです!
よろしくどうぞー
石垣に腰を下ろして足をブラブラさせてたらアルゴに「ガキみたいだからやメロ」と注意されてから数分が経った。
手持ち無沙汰な僕には、もはや空に浮かぶ雲を眺めることしかやることはない。
ていうかこのグラフィックすごいな、マジでどうやって作ったんだ?
ここがゲームの世界だと思い出し、素直に感嘆する。
広場に集まっているのは四十四人。
うーん。これが多いのか少ないのかわからないな。そんな僕の内心に答えるようにアルゴが言う。
「・・・・・・少ないナ。
なるほど。確かにそれじゃ少ないのかもしれない。
僕もアルゴからある程度の基礎は学んでいる。
ボス攻略で死者を出さないようにするには、上限四十八人の
それを考慮するとこの人数はあまりにも少なすぎる。
まぁ、ボス攻略に参加しない僕がいくら考えても他人事程度にしかならないんだけど。
うーん? もしかしたら僕って結構クズい?
と、とうとうボス攻略すら関係ないことを考え始めたところで、パン、パンと手を叩く音と共に、一人の男の声が広場に響いた。
「はーい。それじゃ五分遅れたけど始めたいと思います。みんなもう少し前の方に・・・・・・後、二・三歩こっちへ来ようか!」
煌めく防具と片手剣を装備した男は、さわやかそうな笑みを浮かべて広場の中央に立つ。
わーおイケメンだ。
と言っても、この世界には主要キャラ以外にも美少年や美少女がなかなか多い、曲がりなりにもここはアニメの世界と言うことだろう。
そんな感じで、僕のどうでもいいい思考と並列に、イケメン君の自己紹介は進んでいく。
どうやら彼の名前はディアベルと言うらしい。
聞いたことのある名前だ。この世界ではなく、前の世界で。
(なるほどね、彼がそうか・・・・・・)
これは僕だから気づけた事実。
ディアベル、彼が僕たちが探していたキリトの情報を売ったプレイヤーで・・・・・・・・・・・・ボス攻略最初の犠牲者、つまりは――――ここで死ぬ人間だった。
会議は進み、ディアベルの演説のおかげか、会議のボルテージはマックスまで上がっている。
一人の男が声を上げるまでは。
「ちょお待ってんか、ナイトはん」
それはこんな髪型リアルにいるんだ、って思うほどのツンツン頭をした男性プレイヤー。
「そん前に、こいつだけは言わせてもらわと、仲間ごっこはでけへんな」
「こいつってのは何かな? まぁ何にせよ意見は大歓迎さ。でも、発言するなら一応名乗ってもらいたいな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・フン」
あーこんな展開あったなー。でもなんかこう・・・・・・映画の中に入ったようで感慨深いものがあるよね。
「わいは《キバオウ》ってもんや」
これから始まるのは無意味問答、でも僕はこういったのは嫌いじゃない。だって他人事だしね!
「こん中に、何人か詫び入れなあかん奴がおるはずだ」
「詫び? 誰にだい?」
「決まってるやろ! 今まで死んだ二千人にや! 奴らがなんも感も一人占めしたから、一ヶ月で二千人も死んだんやろ!」
二千人、一ヶ月の死亡者にしては大きすぎる数字だ。と言っても、これから先も同じペースで死ぬとは限らないしありえないだろう。
今までに死んだ者達は、主に自殺だ。”現実を直視した”からこそ絶望し死んでいった。
これから攻略はどんどん進んでいく。それが希望となり、そういった死亡者は減っていくはずだ。それをなしにしても、今生き残っているプレイヤーは、ある程度この世界で生きていく決心がついているはずだからね。
「――キバオウさん。あなたが言っている『奴ら』っていうのは、元ベータテスター達のこと、かな?」
「決まってるやろ! ベータ上がりどもは、ビギナーを見捨てて真っ先に次の街へ行きよった。うまい狩場やボロイクエスト一人占めして、自分らだけ強くなった後は知らんぷりや。ここにもおるはずや、ベータだとい言うことを隠してボス攻略に参加しようとしている小狡い奴らが。そいつらが土下座してため込んだアイテムや金をこの作戦のために吐き出してもらわな、パーティーメンバーとして命は預けられんし預かれんと、わいはそう言うとるんや!」
その声に、広場にいる全員が黙る。
僕から言わせてもらえばこの発言は的外れもいいとこだ・・・・・・けど間違ってはいない。
おそらくベータテスターは何も知らずに勝手なことを! そう思ってるだろう・・・・・・これも間違ってない。
今この場において、ベータテスターとビギナー、二つの意見はどちらも間違っていない・・・・・・けど、正しくもない。
なぜなら、これは全員の思想などではなく、あるのはただの”都合”だからだ。
誰かが死んだ理由を、自分の都合のいいように解釈して、自分の都合良いように捻じ曲げる、こんな議論的外れ以外の何物でもない。
まぁ良いと思うけどね、僕は。
他人の死を誰かのせいにして自分の心を救う。人間なら仕方のないことだし、むしろ必然だ。
――ただ、この場で発言するべき内容じゃないけどね。
「やっぱりこうなるカ」
アルゴはこの展開を仕方ないと受け入れているみたいだ。
「アルゴは分かってたの? この展開になるって」
「なってほしくないって思ってたサ」
・・・・・ほんと、あくどいと思いきや優しくて、お調子者と思えばだれよりもまじめで、僕のマスターはこういう奴なんだ・・・・・・でも・・・・・・・・・・・・。
「でも気づいてるよね? アルゴも・・・・・・」
僕の質問にアルゴの目が厳しさを増す。
「まあナ、あいつ、キバオウの発言はベータテスターへのものじゃなイ。いや、それもあるだろうが本命は――」
僕はその言葉を引き継ぐように言う。
「――キリト、そういうことだよね」
そう、これはベータテスターではなくキリトへメッセージ。
僕たちはキリトの《アニーブレード+6(3S3D)》の取引相手を知っている。その相手がキバオウだ。
この取引方法を行ってる時点で、キバオウの頭はそこまで悪くない。そんな奴が今この場でこんな発言をするだろうか? 普通ならしない、つまりは裏があると考えるべきだ。
取引が成立しないと判断したキバオウは、この場でキリトを引きずりだそうとしているのだろう。
それにしても手の込んだことをするなー。
ディアベルも強力者と見るべきだけどまだそれは分からない。もしかしたらキバオウが暴走している可能性もあるけど。
「発言良いか?」
この空気の中、声を上げたのは頭がスキンヘッドの・・・・・・まぁなんて言うか外国人っぽいプレイヤーだ。
「俺の名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたいことはつまり、元ベータテスターがいなかったからビギナーが死んだ、その責任をとれ、と言うことだな」
「そ・・・・・・そうや」
その風貌とは対称的に流暢な日本語で話すエギルさん。その少し強面な体格に気おされたのか、少しどもりながらエギルさんの発言を肯定する。
「あいつらが見捨てへんかったら、死なずにすんだ二千人や! しかもただの二千人ちゃうで、そのほとんどが他のMMOじゃトップを張ってたベテランや、あほテスターがしっかり協力しておったら、今頃一層どころか二層、三層も歩突破できとったかもしれへんのやぞ!」
なるほど、咄嗟に考えた発言にしては合格点だね。
まぁ、じゃあなんでMMOのベテランばかり・・・・・・”ベテランなのに”死んでるの? って思わせちゃう当たりまだまだなんだけど・・・・・・。
「あんたはそういうがキバオウさん、金やアイテムはともかく情報はあったと思うぞ」
そう言って取り出したのは、僕らが配布した鼠のマークが特徴的のガイドブックだ。
「この攻略本、あんたも貰っただろ? いろんな町の道具屋に無料配布していたんだからな」
この発言で少しばかりざわめきだすプレイヤー。
うわー、これで誰がベータテスターかわかっちゃうわー。だってベータテスターの人たち『あの鼠のアルゴが無料配布!?』みたいな顔してるんだもん。
いや、僕はベータの時にはいなかったからあれだけど、マジでどんな商売してたんだようちのマスター・・・・・・。
「――貰ったで、それが何や」
「俺たちが町に着くとこの攻略本は必ず置いたあった。けどおかしいと思わなかったか?」
「な、なにがや」
「情報が早すぎる、そう思わなかったかって、聞いてるんだだけどな」
「せやから、早かったら何やっちゅうや!」
「こいつに乗ってるモンスターや、クエストの情報を提供したのは、元ベータテスターしか有り得ないってことだ」
プレイヤーたちが先ほどよりも騒ぎ出す。
いや、普通気づくでしょ。まぁゲーム初心者なんて所詮こんなもんなか。
「いいか、情報は誰にでも手にすることができた。なのにたくさんのプレイヤーが死んだ。その原因がベテランMMOプレイヤーだと俺は考えている」
うん、まぁ突っ込まれるよね。
「このゲームを他のタイトルと同じ物差しで測り、引くべきポイントを見誤った。だが今はその責任を追及している場合じゃないだろう。これを加味して、俺達自身はどうするべきか、これがこの会議で話されると俺は思っていたんだがな」
エギルの発言に誰もが口を閉じる。
その発言が正しいから、間違ていないから誰もがそのことに反論できない。
ただ足りないかな。
正しさなんて、自分のためなら簡単に切り捨てられる代物だ。正しすぎるからこそ、正しくないものを傷つける。そして、多くの人間は正しくは生きられない。
大袈裟だと思うかな・・・・・・僕は思わない、これがSAOだからこそ、デスゲームだからこそ、現実よりも現実に、現実よりも残酷な、現実よりも深い部分を見るべきだ。
それにエギルさんが言ってるのはこの会議で話すべきことは何か、ってことになる。それじゃあ死んでいった二千人のプレイヤーの責任は先延ばしにしただけだ。
まぁこれをどうにかできるかって言われるとできないんだけどさ。
「キバオウさん、君の言うことも理解できるよ。でもエギルさんの言う通り今は先を見るべきだろ? 元ベータテスターだからこそ、今回の・・・・・・いや、これから先のボス攻略には必要な力だ。彼らを排除して攻略を失敗したら元も子もないだろ」
わーお、言っちゃいけないことを思いっきり言ったねナイトくん。
今の発言じゃ、元テスター達は必ずボス攻略に参加しないといけないみたいな風潮になっちゃうじゃないか。
「ふん、情報があっても二千人死んでるんや、アルゴっていう奴も大したことあらへんな」
キバオウは吐き捨てながら、それでいて押し殺すような声で言った。
はは、言ってくれるなーキバオウさん。まぁ確かに二千人の死者を減らせたのは恐らくアルゴだけだしね。と言っても子供の駄々っ子みたいな理屈だ。さして突っかかるほどのことでもない。
それに、アルゴの事バカにされても、僕には関係ないことだし、マスターの代わりに怒るのが仕事ってわけでもないしね。
いつもいじられてるからむしろスカッとしちゃったよー。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
”あーもう。仕方ねーな。情報屋がどういったもんか見せてやるか。・・・・・・ついでだ、全部ここで解決してやるよ”。
「お、オイ。どうしたムーちゃん?」
突然立ち上がった僕に戸惑いの声を上げるアルゴに「行ってくる」とだけ答える。
背後から何か言っているようだが、それを無視して、僕は今もなお話し合っている広場の中央へ足を進めた。
「・・・・・・・・・・・・ええは、今回はあんさんに
「いやね、僕もキバオウさんの意見が正しいなーて思ってさ、いてもたってもいられなかったんだー」
僕の発言に先ほどまでと空気が変わる。
「さっきも言ったが、俺たちはベータテスターたちに情報と言う面でかなり助けられていたんだ」
僕が子供だと思っているのか、いやまぁ子供なんだけれども、キバオウよりも優しめでいうエギルさん。
違うんだよ、エギルさん、それじゃダメなんだよ。
「えっ? だからなに?」
「・・・・・・どういうことだ?」
「だから元テスターは悪くないの?」
周りの温度が少し下がる。
「確かに、ベータテスターがすべてのビギナーを救うのは不可能だったかもしれない。たった二百人のテスターで残りの数千人をコーチすることは事実上不可能だろうしね」
「なら・・・・・・「けど――――」・・・・・・?」
「――――”それがどうした”?」
僕は蔑むように、それでいて可愛い笑みを浮かべながら言った。
「ベータテスターはそんな事考えずにビギナーを助けるべきだった。幸い、茅場昌彦が最初に現れた時、プレイヤー全員が集まったてたんだ。その場でみんなをまとめることはできた。その時は動揺していても、その後に自分なりにビギナーを助ける行動をとるべきだった。そしたらここまで、元ベータテスターが悪いなんて風潮はなかったんじゃないのか? 良かったんだよ一ヶ月・・・・・・いや、たった数日面倒を見るだけで、たったそれだけでこの状況は変わっていたはずだ」
「・・・・・・つまり、あんたもキバオウさんと同じように金やアイテムををここで渡して謝罪して欲しいってことかな?」
この質問を待っていた。
僕は優しい笑みをディアベルに向ける。フードで見えないかもだけどね。
「その通りだよディアベルさん。ほら、元ベータテスターさん達、隠れてないで出ておいでよ、情報があったから何? 情報だけ与えて贖罪のつもり? 隣の友人が許してくれたからいいと思った? 『死んだプレイヤーの内、多くがベータテスター』だから悪くないと思ってる? ・・・・・・”ちょっと甘すぎるぞ、お前ら”」
あはは、流石に言い過ぎたかな、これじゃ元テスターが切れかねない。
「お、おい。ちょっと質問良いか」
来たね。その声に僕はたくらみが成功したことを確信する。
ん? ってあれはキリトじゃん、まぁ気づくならキリトかアルゴだと思ってたけど。
「なに? ベータテスターだって告白するの?」
「いや、そうじゃない。俺はキリトっていうんだが、君はさっき死んだ人間の多くがベータテスターって言っていたけどほんとなのか?」
「ほんとだよ、情報だと現在の死亡者の二千人の内三百人ほどが元テスターだ。人数でえったら大した数字じゃないかもしれないけど比率で言ったらかなりの数字だ。つまりさ、ベテランMMOプレイヤーだけじゃない、ベータテスターもこのゲームの物差しをはき違えたってことだよ。ほんと間抜けなやつらだよね」
周りからは、嘘だろ、とかこれじゃクリアーなんて・・・・・・とかビギナー達が騒ぎ出している。
「そ、それはもしかしてベータテスターは俺たちに情報を与えるために無理していたんじゃないのか?」
キリトがさらに踏み込んでくるがそれはやりすぎだ。
「どうして?」
「だってそうじゃないか? 元テスターはこのゲームの危険度を分かっていたはずだ。なのにそれだけの死亡者が出ている。それは情報を入手するために、危険なクエストに最初に向かっていったからじゃないのか」
うーん、無理やりベータテスターをヒーローにしようとしてる感が否めないな。仕方ない、ここは・・・・・・。
「それは違うんじゃないかな。それは僕らビギナーのためじゃない、自分たちのためだよ。自分たちが強くなるために、無理なクエストに挑んだんだよ、きっと。まぁその点、今生き残ってるベータテスターは無理なクエストをせず、”僕たちと変わらない実力程度の”腰抜け君たちってことだけどね」
情報リテラシー。
簡単に言えば情報を正しく理解し正しく使える能力の事だ。それにはある程度の根拠が必要になる。
だから与えた。
死んでいるベーターテスター人数とその死因を明確にすることで、”生きていることが自分たちを見捨てたベータテスターとは違うということ”の証明にする。
ベータテスターの二分化。死んだ者達と今生きている者。両者を分けることで怒りの矛先をなくさせる。
さらに、情報は誇張、変化、複雑化する。
今いるベータテスターはビギナーと同じ被害者、そう思わせれば完璧だ。それは後々の行動でどうにかするしかないだろうけど。
無数に存在する情報と言う概念の方向性を操作する。それができるから――
――僕らは情報屋なんだよ。
ここでようやくディアベルがこの話をおさめに来る。
「君の言いたいことは分かった、けどさっきも言ったけど、ベータテスターを排除してボス戦で負けたら元も子もないだろ?」
ほんとはここで占めてもいい、だけど――
――本命はこっちなんだよね。
「あのさ、それぐらいみんな覚悟できてるに決まってるじゃないか」
「どういうことだい?」
「ベータテスターから武器なんかをもらったら事実上攻略できるのは僕たちだけだ、それなら僕たちは絶対に死ねない・・・・・・いや、しているはずだよ、誰よりも生き残る覚悟をね。・・・・・・そうだよね、キバオウさん」
「なっなんや、そんなの当たり前のことやんけ」
「ほらね、しかもこれを言い出したのはキバオウさんだ、ボス攻略を失敗したときの責任は全部キバオウさんに行くはずでしょ? それを理解しないでこんな事言うはずないじゃん。だから僕はすごいと思ったんだよ、戦力を減らすことになっても、失敗することは事実上攻略不可能の絶望をみんなに与えることになるかもしれないのに、元テスターに謝罪をさせるべきだというその主張。僕は大いに賛同するさ・・・・・・ね、キバオウさん」
僕はこれが無垢なる笑顔だよ、と言わんばかりの顔をしてキバオウさんに問う。
「い、いや、わいはそこまで・・・・・・」
「え? 違うの!? はぁー、なんだよ・・・・・・その程度の覚悟もないならあんな発言なんてするなよ」
後半を吐き捨てるように僕は言う。
「だ、だったらお前は、その覚悟があるっていうんかい!」
「あるよ」
僕は間髪入れずに答える。
「たとえ僕一人になってもボス攻略を行う、それぐらいの覚悟は持って言ってる。この発言はそれほど重い。覚悟がないなら二度とこんな事言わないほうが良いと思うよ」
僕の言葉に誰もが言葉を紡ぐ。
これで当分ベータテスターたちの装備を剝ぎ取ろうなんていう奴は出てこないだろう。
恨み妬みなんかは仕方ないけど、僕もそこまでしてあげる義理なんてないしね。
「まぁ今回は見逃してあげるよ。ビギナーを見捨てたとは言え、情報がなかったらより多くの人間が死んでただろうしね。それは残りの生き残っている人間を救ったのと同義にもなりうる。それは評価されるべきことだと僕は思うしね」
「なんや、偉そうに言う割にやっぱり自分も覚悟ないんやないか」
「かもしれないね。でも別にいいんじゃないそれで、さっきディアベルさんも言ってたけどベータテスターがいた方が情報面でも技術面でも戦力になるのは本当だし。今ここで僕が命を懸けるメリットがないでしょ。みんな自分の命は大切でしょ? SAOはデスゲーム、なら僕はただ最善の行動をとり続けるだけだよ」
まだ何か言いたそうだけど最後まで聞いてあげる義理はない。
「あっあとディアベルさん、僕今回の攻略参加しないから」
「「『・・・・・・・・・・・・』」」
一瞬の沈黙の後、僕の何でもないその発言に今度は全員が怒りの声を上げる。
「ふ、ふざけるなー! 攻略にも参加しないやつが覚悟だのなんだの言ってんじゃねーよ」
「そうだ、このチキン野郎が!」
そんな罵詈雑言を浴びながら僕は広場の出口へ向かう。
だってこれ以上いると目から汗が出てきそうだし、SAOの感情表現はかなり大げさだから我慢とかできないんだよ。
でもその前に。
「最後にディアベルさん」
「な、なんだい?」
「明日配布される攻略本、ちゃんと読んだ方が良いよ。頑張ってね。応援してるから」
どういうことだい? そんなことを言いたそうな顔をしてるけど僕ができるのはここまでだ。
僕は原作を変えようと躍起になったりしないからね、結局は自分次第だ。
もちろん。最後にみんなを怒らせたことにも理由はある。
今回僕が行ったことは、言ってしまえばブラフとハッタリ。
だからこそ、僕が与えた情報を最新の情報として認知させたくはなかったんだ。つまり、僕という『調子に乗っているプレイヤーがいる』と言う情報を最上位に置くことで、大事な情報の価値を下げた。
何故そんなことをしたかと言うと、まぁそこまで大した理由はないし、保険みたいなものだ。
最上位、簡単に言うと『今最もあつい情報』は、それだけでみんなが興味を持ち、知りたいと思ってしまう。故に調べられてしまう。
だから、それを防いだわけだ。
まっうまくいくかなんてわからないけどね。
これ以上は知らない、だって僕もう限界だもん・・・・・・。
僕が広場から抜けた後も、ディアベルさんがうまくまとめてくれたようだ。
そして僕はと言うと・・・・・・。
「わーん、おねーちゃーん!!」
みんなの罵詈雑言にガラスの心は限界だった。
アルゴに抱き着いてしまうほどに僕は悲しみの雨に濡れていたんだ。
「何やってるんだヨ、ムーちゃん。ほら胸貸してやるカラ」
いつもとは違い、優しく頭を撫でてくれて微笑むアルゴ。
優しい声、優しい表情、僕はアルゴと見つめ合う。
そんな彼女に僕は・・・・・・、
「気持ち悪い!」
思いっきり突き飛ばした。
はっ! しまった、いつもと違いすぎるアルゴに思わず本音が・・・・・・っ!
ゆっくりと立ち上がるアルゴは、今までにないほどの満面の笑みを浮かべている。
「・・・・・・・・・・・・なームーちゃん、実はオネーサン装備が結構余っててナ、これがなかなか可愛いんダ」
「へっへーそうなんだー、お、おねーちゃんの可愛い姿み、みてみたいなー」
ふっ・・・・・・棒読みって素で出ることもあるんだね。
「着るよナ」
死刑宣告だった。
笑顔で迫りくるアルゴに僕『はい』以外の返事をすることができなかった。
今回も読んでくださった方ありがとうございます!!
アルゴはヒロインと思いきや、実は違う! みたいな展開になりましたね(笑)
もちろんこれからヒロインへ昇格していく可能性もありますが・・・・・・気分次第です(笑)
一人称だと書くのすごく難しいです。これからの話考えてないよー
と言うわけで気長にお待ちいただけると嬉しいです。
ありがとうございました!!