響かない声 完結 作:レイハントン
絶賛続きを書いてる途中ですが、途中報告も込めて1話完結の短編を書きました! 実はあの約束の続きだったり………。ここのアニメ回に関してはいろいろ言いたい事があります。香澄だって悪気があって声を潰したわけじゃないと思うんですよ。
長くなるので、続きは読んでから!
最近風邪を引いてしまった。熱はないけど、鼻づまりが凄くてね。梅雨に入る前は少し気温が高くて、梅雨に入ってからは気温が低い。そんな感じで気温の変化が激しかったから、風邪を引いてしまったわけでこうして病院に居る。
やっぱり風邪を引いて病院に来る人は沢山居るみたいだ。周りを見ると、まだ小学生くらいの子をよく見かける。まだまだ成長期の子供だから、風邪を引くのは当たり前だね。僕もよく風邪引いてたし。中学生くらい頃から引かなくなってきた。高校1年生になって初めての鼻風邪はとても辛い。鼻で呼吸出来ないのが特にね。
そんな僕だけど、ふと気になったのが隣に座る不思議な髪型をしている茶髪の女子高生。制服を見る限り、花女──つまり花咲川女学園の生徒さんかな? あそこは中高一貫の女子校だから、よく女の子が中学を受験するときによく行くんだよね。僕の通ってた花咲川中学からもかなりの人が受けたらしい。因みに、ごっちゃにならないように、花咲川女学園は花女。花咲川中学は花中。花咲川高校は花高と略されて呼ばれている。ややこしいね。
スマホを取り出してなにか通知が来ているか見ると、友達から一件来ていた。
えっと………『サボり?』と一言だけのメッセージに『違うよ』とだけ返してポケットにしまった。・・・・隣だとどうしても視界に入っちゃうものだ。どうやら今は診察を受ける前に、どういう症状か書く所みたいだけど………看護士さんに質問されてるけど、声が小さくて聞き取れていないのか、看護士さんは微妙な表情をしていた。
それも仕方ないだろう。病院内は静かと言っても雨が降っていたり、小さい話し声が響く空間。おまけに泣いてる子供も居る。自慢じゃないけど、僕は耳だけはいい。こんな状況でも彼女の小さくか細い声は聞こえていた。
「声出ないって言ってますよ」
彼女の言葉を看護士さんに伝えると、「そうでしたか。聞き取れなくてすいません」と彼女に謝っていた。周りの事を考えると看護士さんを責められる人はどこにも居ない。人間誰にだってそういう事はあるから。
しばらく1人で上に設置されている診察番号を眺めていると、肩をトントンと叩かれた。隣を見ると肩を叩いた人は、さっきの花女の生徒さんだ。
「ありがとうございます」
小さな声でお礼を言われた。
「いえいえ。声、枯れちゃったんですか?」
無言で首を振る。でも、今考えたら枯れてるわけではなさそうなんだよね。ガラガラしてる感じはないし。
「大きい声……出せなくなっちゃって」
「そうですか…。声出ないって大変ですね。さっきみたいな事があったりしますから」
また無言で頷く。大人しい子なのかな? 彼女を見ていると、隣に置いてある大きな鞄に視線がいった。あの形……大きさ、間違いない。ギターだ。この子もギターやってるのかな? ってことは歌い過ぎて声が出なくなったとか?
「花高の人ですよね?」
いろいろ考えていると、以外にも質問が飛んできた。
「そうですよ。それがなにか?」
「大切な友達が通っていたので……」
「そうなんですか。……通っていた?」
思わず、“通っていた”という言葉に違和感を感じ聞き返してしまった。“いた”ってことは今はもう居ないってこと……だよね? 卒業したとかかな。
「はい。引っ越しちゃったので」
「そうですか……」
なぜここで、僕は彼女に名前を聞こうと思ったのだろうか。小学生の頃から友達が少なくて、女の子の友達なんて1人も居なかった。接し方もわからなくて、何を話せばいいかも。そんな僕だけど、なぜかここでは彼女と仲良くなりたいそう思った。
「「あの……名前は」」
「「あっ……」」
ハモった。名前を聞きたかったのは彼女も同じらしい。
これが、僕──石川優都と戸山香澄ちゃんとの出会い。
Episode 声を出ない少女
どうや彼女はPoppin'partyというバンドをやっていて、ヴォーカルなんだけど練習のし過ぎで声が出なくなってしまったらしい。バンド活動をしてる以上それは困ったことだ。落ち込む戸山さんを僕は見ることしか出来なかった。
だけど、やりたい事が出来ない辛さはなんとなくわかるかもしれない。僕が好きなギターを弾けなくなったらと考えると辛い。後、鼻づまり辛い。
ずずーっと鼻をすすっていると、戸山さんがおもむろにポケットティッシュを渡してくれたのを「ありがとう」と言って、受け取った。ちょうど切らしてたから助かったよ。
鼻をかんで、ゴミ箱を探すが見つからずとりあえずポケットにしまった。
「こういう時、石川くんならどうする?」
「んー。そういう立場で考えられるかわからないけど、僕なら今出来る事をするよ」
「今、出来ること?」
「うん。今出来なくたって、いつか出来る日が来ると思うから」
戸山さんを見ながらそう答えた。我慢強いというよりかは、マイペースなのかな? 僕は。焦ったって意味がない。余計に状況を酷くすることだってある。
「だから……戸山さん。焦っちゃダメだよ?」
「………うん。ありがとう」
この時見せた彼女の笑顔はどこか寂しそうだったけど、可愛かった。
その後は診察して薬を貰って、帰るだけになったけど、戸山さんの姿はどこにもなかった。きっともう帰ったのだろう。最後にもう少し話たかったな~なんて………。思うくらいなら罰は当たらないよね。
雨が振る中、傘を差して花高へと向かった。授業はほとんど頭に入ってこなかったのは此処だけの話。
この日から普段、彼女はどんな声で話すのだろうか。そんな事ばかり考えるようになった。戸山さんの事を考えるとなんでか、胸が苦しくなる。どうしてだろう………。その日の夜はなかなか寝付けなかった。
今日は昨日と違って晴れた。教室の端っこの自分の机に座って授業も聞かずに外を眺めている僕はどうもおかしい。いや、行動とかじゃないからね? 昨日から戸山さんの事を思い出すと、ドキドキするし、胸が苦しいし、忘れられないのだ。忘れたいわけでもないけど………。本当にどうしちゃったんだろう、僕。この日も授業は頭の中に入ってこなかった。
時間はお昼休み。午前中の授業は何を学んだかわからない。来月テストあるのに、このままだとヤバいかも………。赤点取ったらお母さんに叱られるんだよね。そう考えた瞬間、背筋が凍る。それほど怒ると怖いということ、怒ってる時には角が見えるくらいだよ。実際は生えてないけどね。
そんな怒ると怖いお母さんが作ってくれた弁当を食べながら外をぼーっと眺めていると、昨日サボり? と連絡をしてきた張本人が現れた。
「どした? 元気ないな~優都ー」
「なんか食欲なくてね」
空いてる前の席に座って購買で買ったのであろう、メロンパンを食べる僕の友達、宇崎徹君。たまに僕の所にお昼を食べに来るのだけれど、最近は毎日来る。いったいどうしたのだろうか。……そうは思っても聞く気にはなれず、目の前で、「ここのメロンパン不味い」と平気で言う徹君。購買の人に失礼だよ。
「不味いとか言っちゃダメだよ」
「いやいや。やまぶきベーカリーのメロンパンを食べたらわかる。ここのメロンパンは死んでる」
「そんな、お祭り男みたいな言い方されてもね………」
「あーあ。やまぶきベーカリーのパン食べてー」
さっきから徹君が言っているやまぶきベーカリーのパンは商店街にあるパン屋さんで凄く美味しい。たまにしか行かないけど、あそこの娘さん? なのかな。花女に通ってるみたいなんだよね。花女………戸山さん元気かな?
「どしたー? そんな恋煩いみたいな顔して。一目惚れでもしたか?」
「一目惚れ? そんなのするわけ………一目惚れ……」
「ん? 心辺りが?」
じーっと弁当を見つめながら、一目惚れという言葉が頭の中で響く。そうか……僕は戸山さんに一目惚れしたのか。え? でも一目惚れってこんな感じなの? 経験したことないから全然わからないや。
「おーい。優都くーん? 聞いてますかー?」
「ねぇ……徹君。ある人の事を忘れられないのはなんでかな?」
「忘れられない? なに? 恨みでもあるの?」
「違うよ。なんかこう、胸が苦しくて、その人の事を考えるだけで、ドキドキしたりするんだけど」
するとメロンパンを僕の机の上に置いてなにやら深刻そうな表情を浮かべる徹君。思わず唾を飲み込んだ。少しすると、さっきまでのテンションの高さはなかった。冷静に話始めたのだ。こういう時の徹君は本気だ………と思う。
「いいか、優都。それは病気だ。決して薬で治ることのない不治の病」
「不治の……病? そんな大きな病気なの? 僕は」
「ああ……でもな。1つだけ治す方法があるぞ」
「本当に?!」
不治の病と聞いた時はもうダメかと思ったけど、治る可能性はあるんだ! ん? 待てよ。そんな病気聞いたことないんだけど。
すると徹君はメロンパンを人かじりして袋にしまった。あっ……もう要らないんだ。
口に含んだメロンパンを飲み込むと、天上を見上げてなにやら思い出話を始めた。
「これは聞いた話なんだが。その人も優都と同じ不治の病にかかった人の話だ。そいつは……不治の病に気付いてた。でもな。治そうという努力はしなかったんだ。小学生の頃からその病と戦っていた」
小学生の頃から……凄いな。僕なんて小学生の頃はこうして教室の端っこで本読んでたっけ。でも、1年だけ2人だったんだよね。僕とは違う感じで教室で本を読んでいた。でも僕みたいに絵が多めの本じゃなくて、音楽に関する本だったかな? ギターの本だったけ? もう忘れちゃたけど、その子も1人だった。
「中学生になっても同じように。だが、中1の頃にその病は一旦、体を蝕むのを止めたんだ。処方箋が効いたんだな」
「それで治ったの?」
「いいや。高1で病は再びそいつの体を蝕み始めた。でもな、そいつは不治の病と戦う決意をして、必死に戦ったんだ。そして最後は………」
どこか上の空で話す徹君。
「治した。想いを伝えるっていう薬を使ってな」
「それが……薬なの?」
「もち。“恋”っていう病には、自分の想いを伝えるって方法がオレ的には、最高の特効薬だと思うぜ」
恋………想いを伝える。そんな事、今の僕に出来るのかな………? 戸山さんに好きって伝える。ん~考えただけでも顔が熱くなるし、胸が張り裂けそうだ。
結局、徹君が言ってた事を実践出来るかかなり不安のまま1日が過ぎていった。
─────☆
まさか、優都に好きな人が出来るとはな~。友達として鼻が高いぜ! ・・・・あれ? もしかして先越されそうな感じ? それと、好きな人の名前を聞くの忘れた~。まぁ、いっか。
…………そう言えば、あいつ、オレにはなんも言わないで行っちまったけどー、何も言わなくてもわかるってことだろ? さっすがオレの親友だぜ。
──────☆
学校の帰り道。いつも僕は1人だ。同じ方向に帰る友達が居ないからなんだけど………今は1人が凄い心地いい。徹君と話た後は、ため息が止まらなかった。そこからさらに戸山さんの事が忘れられずに居た。おかげで授業はいつの間にか終わってるし、ノートは真っ白。症状が大きくなりすぎだよ…………。
「あ~どうしよう………」
ぼーっと歩いているうちに公園にさしかかった。この公園には大きな滑り台があって、よく小学生が集まるんだよね。前に一度見たんだけど、大きな人も居た。男の人、1人と女の人が2人だったかな。時間は確か夕方だったはず。
「ちょっと寄って行こうかな」
公園に足を踏み入れて、階段に鞄を置いて座った。鼻風邪はまだ治っていない。寝るときが本当に苦しいし、恋の事があったからなかなか寝付けないしで………。
疲れが溜まっているのか、だんだん眠気に押されてきた。少し寝ようかな……。目を瞑って下を向いた。頭をかくん、かくんと揺らしていると、後ろから足音が近づいてくる。慌てて起きると、たぶん………いや、間違いなくあの人の声が聞こえてきた。
「石川……くん?」
「戸山さん?」
後ろに振り返ると、そこには昨日と同じ格好でギターケースを背負った彼女の姿。飛び上がりそうなくらい嬉しい気持ちを抑えつつ、立ち上がる。いつの間にか眠気はどこかにいった。声は相変わらずか細いけど、聞き取れる。
「ここでなにしてるの?」
「いや……ちょっと休憩してた」
「そっか」
そう言うと戸山さんはギターケースを下ろして僕の隣に座った。僕もゆっくり再び腰を下ろし公園を眺める。昨日は普通に戸山さんの事を見れたのに今は直視出来ないでいた。心臓がドクンドクンと早鐘のように打つ。告白するってわけじゃないのに何を言っていいかわからない。
無言の時間が続く。
その時間を破ったのは、戸山さん。
「今日…石川くんに会えて良かった」
「え? 僕に?」
無言で頷き、話を続ける。
「学校いったら、友達に怒られちゃった……」
「そうなの? でも……戸山さんの事が心配だったんだよ。優しい友達だね」
そう声をかけて、隣に座る彼女を見るとなぜか涙を流していた。
「え!? あっ、その! 僕──」
「違うの……。石川くんのせいじゃなくて……」
戸山さんはそれ以上なにも言ってくれなかった。僕は心が締め付けられる思いでいっぱいだ。少しでも彼女の悲しみを癒やしてあげたい。そういう思いが強く前に出たのかな。気が付くと戸山さんの手を握っていた。
「大丈夫。声なんて明日にでも出るよ。それに……歌えないのが辛いなら、一旦歌うって事から離れてみない? 僕、結構そういう所があってさ。ギターで出来ないコードがどうしてある時は一旦離れて、しばらくしてからやったら出来たとかあるよ?」
どんな事を言っていいのかよくわからなかったけど、とりあえず今は戸山さんが落ち着ければそれでいい。悩みなんて誰にでもあるし、立ち止まる事だってある。でも、今の戸山さんにとっては歌えないのがかなり重くのしかかっているのだろう。
「私……どうしたら……」
「バンドの仲間にちゃんと悩みを打ち明けてみたら? そしたら楽になるよ。僕に話したら少しは楽になった?」
「うん」
「じゃあ、信頼出来る仲間ならもっと楽になるよ。こんな普通の僕に話して楽になるんだから」
笑顔でそう言うと、戸山さんは涙を拭いて優しく声をかけてくれた。
「そんなことない。石川くんは優しくて、格好いいよ」
途中まで僕の事を見て言ってくれたのに、格好いい辺りで顔を逸らされた。嬉しいけど、なんで顔が赤くなっているのかが僕にはわからない。それでも戸山さんは再び僕に視線を向けてくれた。
お互いじっと見つめあう。
忘れていたドキドキ感が再び僕の中にこみ上げてくる。何を思ったのか、僕はここで────
「戸山さん……僕と───」
あの時の事は今でも鮮明に覚えている。僕の目の前で楽しそうにオレンジジュースを飲みながら、香澄ちゃんの会わせたい人が来るのを待っていた。どんな人なのか聞いてはみるものの「秘密~」と何ひとつ教えてくれなかったんだよ。ちょっとくらい教えてくれてもいいのにさ。
「まだかな~」
鼻歌を歌いながらそういう香澄ちゃんを眺めながら、コーヒーの入ったカップを口まで運ぶ。一口飲んでから、カップを置いて腕時計で時間を見ると約束の時間の5分前。再び視線を上げる。ふと香澄ちゃん越しに見えた1人の男の人。どこかで見覚えもある。その男の人が香澄ちゃんの後ろで立ち止まった。するといきなり───
「急に呼び出してなんの用事だバ香澄。こっちは忙しいんだよ」
優しくチョップをしてからそう言ったのだ。というより、バ香澄って………人の彼女をそんな呼び方するのはいったい誰だよ。なんて、若干怒りにも近いような感情が湧いてくるも、香澄ちゃんが立ち上がって講義を始めたので、その怒りがどこかにいってしまった。講義する彼女はとても楽しそうだったから。
「え~良いじゃん! せっかく会えたんだから!」
「はいはい」
すっごい仲良さそう。いったい誰なんだこの人は。よく見ると結構なイケメン………僕とは大違いだ。
「あっ! この人私の彼氏の石川優都くんだよ!」
いきなり紹介された僕は立ち上がって頭を下げて挨拶をした。すると、「お、おう」と若干引き気味で答えてきた。もしかしてうざいとか思われちゃったかな?! ヤバいヤバい! なんとかイメージを変えなければ!
「つうかさ。お前の彼氏の紹介よりも、俺の紹介しろよな」
「ごめ~ん。コホン。改めて紹介するね! 優都くんに会わせたい人! 神山恵ちゃん!」
「おい。紹介するときくらいちゃんはやめろ。………あ~俺は神山恵。よろしく」
そう言って右手を差し出してきたのを握り返して、僕も自己紹介をしてた。
「石川優都です。よろしくお願いします」
こうして僕は新たな出会いを果たしたのだった。
前書きの続きですが、香澄だって一番出来てなかったと言われれば落ち込むし、練習だってたくさんするでしょう。あんまり香澄を好きになれないあなたへ! そんな悪い子じゃないですよ~香澄は! ということで香澄回でした。徹の話の内容は……ね?
途中報告
続きの内容ですが、すでに決まっていますので書き上がり次第投稿します! 他には、読者様のリクエストがあれば、リクエストに沿って書こうかなと思っているので、新作が投稿されましたらTwitterの方にこご一報ください!
クロスオーバーの方ですが、短編小説なのでそんなに長くは書きません。クロスするライダーはまだ秘密ですが、ヒントです!
2色
これがヒントです。具体的には赤が入っていますよ。作者は赤が大好きなので。
それとどうでも良い話をここで、1つ。今回のバンドリのイベントは頑張っております。順位は7000より上ですかね。
それでは続きの小説で会いましょう!!