目が覚めると知らない天井だった。もしかして夢の中にいるのかと思いながらあたりを見回す。あたりは非常に暗く目の前の机にある、火のついた蝋燭以外の光源は見当たらなかった。私は飛んで火にいる夏の虫のように、光に近寄る。
机の上には、蝋燭とドロドロした赤い液状の物体が入った皿と、古いぼろぼろの紙切れが存在したのが確認できた。私はとりあえず、この怪しげな紙切れを読むと以下のことが分かった。
帰りたいのであれば、毒入りのスープを飲むこと。
時が来れば、迎えが来るということ。
このことから恐らくスープとは、赤い物体が入った皿のことではないかと推測できる。とはいえ、この怪しげな物体を飲む勇気が私にはまだなかったので、ひとまず、あたりを調査することにした。これにより、前方には小窓付の扉、左にはさびた鉄の扉、右には頑丈そうな木製の扉、
後ろには、白い扉があることが分かった。
前方の小窓から、中をのぞくと中学生ぐらいの子供の影がうっすら見えた。
「そこにだれかいるか!」
呼びかけてみるが返事がない。私は扉を開けて中を確認すると、そこには片手に拳銃を持った血まみれの少女がいた。
「どうしたの大丈夫?」
私は威圧感を与えぬよう目線を下げて、できる限り優しく意志疎通を試みる。少女は、うん、とうなずく。
会話ができることが分かった私は、身の安全のために、少女の持っている拳銃を取り上げようと画策する。
「それ、危ないからお兄さんに渡して」
少女にそう言うと素直に拳銃を私に渡してくれた。後、少女には安全のために私の後ろについてくるように指示した。奥には、血まみれの、動かなくなった人型の物体が見えたが見なかったことにした。
次に、左のさびた扉を調べると獣のうなり声が聞こえてきたので中を調べるのは安全のために諦めた。
後ろの白い扉を開けると中にはキッチンがあった。鍋がことこと煮えていて、中に何が入っているのかとふたを開けると臓物や血液があり、その強烈なにおいで吐き気がしたため、ふたを閉めそれ以上鍋を調べるのはあきらめた。
戸棚を調べていると高そうな銀の食器を見つけた。そういえばかつてのヨーロッパでは毒を調べるのに使っていたなと思いだした。とりあえず銀のスプーンを1つポケットにしまった。
最後に右の木の扉を開けるとその部屋は、書庫のようで雑多な本が置かれていた。これ全部調べるのは骨が折れるなと思っていると、黒いカバーをしている本を見つける。触ってみると何やら甘い香りを放つ、液状のものがべとべと付着している。銀のスプーンですくって見るとスプーンが黒く変色した。
スープの毒はこれのことであろうと、スプーンですくったそれを机の上の赤いスープに入れて、少女と一緒にその毒入りスープを飲む。
そうすると、だんだん意識があいまいになっていき、気がつくといつもの天井であった。いったいこの出来事はなんだったのであろうかただの奇妙な夢だったのか。