東方香靈記   作:114

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ちなみに私は串団子はあんこが好きです


第11話「人里の団子屋はみたらし団子がお勧め」

 

 

8月25日

 

 

 

掘っ建て小屋から森を抜け、人里方面へ向かう途中にある浅川の橋にアドルフと小傘はいた

 

 

 

アドルフ「…何故すぐ言わなかった…?」

 

 

真顔で小傘に問うアドルフ

 

 

 

小傘「き、聞かれてなかったから…」

 

 

 

気まずそうに答える小傘

 

時は遡ること20分ほど前になる…

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

森の中を歩いて進む2人

 

 

 

アドルフ「な、ななな…なんだ!?どうなってる!?」

 

 

 

小傘「ふぇ?」

 

 

 

開いた傘を肩に乗せ、ふよふよ飛びながら進む小傘

 

 

 

小傘「飛んでった方が楽だよ〜」

 

 

アドルフ「と…飛ぶ?」

 

 

 

小傘、ニッコリと笑う

 

 

 

アドルフ「君は…なんなんだ?」

 

 

 

小傘「え?妖怪だけど…」

 

 

 

キョトンとした顔で答える小傘

 

 

 

〜少女説明中〜

 

 

小傘「へぇ〜、外の世界には妖怪はいないんだ〜」

 

 

アドルフ「…」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

そして現在

 

 

 

アドルフ「…髪の色や顔立ちもおかしいと思ったんだ…」

 

 

 

ぶつぶつと独り言を言うアドルフ

 

 

 

小傘「そ、そんな怒らないでよ〜」

 

 

 

アドルフ「…はぁ…」

 

アドルフ(まぁ…彼女を見る限り危険な生き物ではなさそうだ…なにより未開の地で一人っきりよりコミュケーションがとれるだけ幾分マシだろう…)

 

 

アドルフ「いや、随分驚いたが、怒ってなどいないよ」

 

 

小傘「良かったぁ〜」

 

 

元気を取り戻す小傘

 

 

アドルフ(しかし…あとどれくらい歩くのだろう…)

 

 

 

アドルフ「小傘…あとどれくらい…」

 

 

 

アドルフが小傘に話しかけたその時だった

 

 

ドォンッ!

 

 

アドルフ「!?」

小傘「うわわっ!ビックリした!」

 

 

 

2人が後ろを振り返り、抜けてきた森を見る

 

森から黒煙が空に上がる

 

 

 

アドルフ「…早く、急ごうか」

小傘「は、はぃい!」

 

 

 

急ぎ足で人里に向かう2人

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

さらに1時間ほど歩いて人里前に着いたアドルフと小傘

 

あたりは夕焼け色になっていた

 

 

 

アドルフ「ようやく着いた…此処が人里か…」

 

 

 

想像していた場所よりも大分大きい規模の街並みだった

 

高く大きな建物は無くとも民家や商店などが並び、人も大勢いる

 

 

 

小傘「なんか久しぶりに歩いたから疲れたよ〜お団子でも食べに行く?」

 

 

 

アドルフ「おだんご?」

 

 

 

小傘「レッツゴウ!」

 

 

 

アドルフの話も聞かず彼の手を掴み人里へ入っていく小傘

 

 

人里、商店街

 

晩御飯のおかずなどを買いに来た人で賑わう商店街…八百屋、肉屋、呉服屋、総菜屋などが並ぶ

 

 

 

アドルフ「活気のある商店街だな…」

 

 

 

まじまじとあたりを見て呟くアドルフ

 

 

小傘「あそこ!あそこのお団子屋さんが美味しいんだよー!」

 

 

少し離れたところから小傘が手招きをする

 

 

 

アドルフ「ああ…」

アドルフ(…少し休みたかったんだが…)

 

 

 

小傘「こんにちわ〜」

 

 

 

明るい声と笑顔でのれんをくぐる小傘

 

中にいたのは数人の客と茶髪で妙齢の女店主がいた

 

 

 

女店主「あら、小傘ちゃんじゃないかい、食べてくかい?」

 

 

 

女店主は明るく小傘に挨拶する

 

 

 

小傘「うん!みたらしと三色を2本ずつ!」

 

 

 

女店主「おや、今日はよく食べるねぇ」

 

 

 

少し遅れてアドルフものれんをくぐる

 

 

 

アドルフ「…失礼」

 

 

 

女店主はアドルフを見て少し驚いて

 

 

 

女店主「ん?あんた小傘ちゃんと一緒かい?」

 

 

 

アドルフ「あ、ああ…」

 

 

 

女店主がニコッと笑って

 

 

 

女店主「2名様なら外の長椅子で待ってな!美味しいの持って行くから」

 

 

小傘「はぁーい!」

 

 

小傘は元気いっぱい笑顔で返事をする

女店主は奥の厨房へ入っていく

 

 

女店主「しっかし昨日今日と親子連れが多いねぇ…」

 

 

 

店の外にある長椅子で団子を待つアドルフと小傘

 

 

 

アドルフ「…」

 

 

 

アドルフは夕焼け色の街並みを、人を見る

 

アドルフ(私の世界と違って此処は平和だな…侵略する者もされる者もいなく…)

 

 

 

子供達「きゃはははっ」

 

 

 

アドルフ(子供達の笑顔も輝いている)

 

アドルフ(私は…一体何をしたかったのだろう…何を目指していたのか…平和な世界、理想郷とは一体…)

 

 

 

小傘「おじさーん?」

 

 

 

小傘がアドルフの目の前にひょっこり顔を出す

 

 

 

アドルフ「ぬぉっとっと!」

 

 

 

後ろに仰け反るアドルフ、倒れてはいない

 

 

 

小傘「あははは…おじさんの驚き方良いね!驚かせがいがあるよっ!」

 

 

コロコロと笑う小傘

 

 

 

アドルフ「…む…」

 

小傘「はい、お団子」

アドルフ「!」

 

 

 

小傘はみたらし団子を一本アドルフに渡そうとした

 

 

 

アドルフ「…」

 

 

 

小傘と団子を見て少し惚けるアドルフ

 

 

 

小傘「あれ?お団子嫌いだった?」

 

 

 

アドルフ「いや、頂こう」

 

 

 

お団子を受け取るアドルフ

 

小傘が一口食べる

 

 

 

小傘「んん〜おいひぃっ!」

 

 

 

アドルフ(本当に…よく表情が変わる子だ…)

アドルフ「あむっ…」

 

同じく一口食べるアドルフ

 

小傘「どう?」

 

アドルフ「うむ…これは美味い、甘すぎなく歯ごたえもモチモチで…とても美味なる食べ物だ」

 

 

 

女店主「うちの小麦は特別だからねぇ」

 

 

女店主が小傘とアドルフにお茶を出す

 

 

 

女店主「見たところアンタ外来人かい?この辺でそんな良いスーツ着てる奴なんていやしないよ?」

 

 

 

女店主がアドルフの格好を見て言う

 

 

 

アドルフ「ああ、そうらしい。店主殿、人里で物知りの方はいないかな?色々情報が欲しいんだ」

 

 

 

小傘はもぐもぐと団子に夢中である

 

 

 

女店主「物知り…なら慧音先生のとこだねぇ。この商店街を北に抜けたところに寺子屋があって、そこに住んでる半妖の先生だよ」

 

 

 

アドルフ「また…妖怪か…」

 

 

 

がっくりと肩を落とすアドルフ

 

 

 

女店主「妖怪っても慧音先生はこの人里の守護者みたいなもんだからねぇ、まず人を襲うことなんてないよ!」

 

 

アドルフ「ああ、ありがとう…お代は…ドイツ紙幣でも良いかね?」

 

 

小銭入れを出そうとするアドルフ

 

 

女店主「ああっ!良いって良いって!来たばかりの外来人からお金なんて取らないよ!」

 

 

 

いい笑顔で笑いながら言う女店主

 

 

 

アドルフ「すまない」

 

 

 

軽く頭を下げるアドルフ

 

 

小傘「ほんとに!?やったー!」

喜ぶ小傘

 

 

女店主「小傘ちゃんは払いな!」

 

小傘「ええぇぇ…」

 

 

 

涙目な小傘

 

 

 

「小傘?小傘じゃないか」

 

 

 

小傘を呼ぶ少女の声がした

アドルフと小傘が声のする方を見る

 

そこに居たのは深い鼠色のショートの頭から出た大きな2つの耳、首元から胸が隠れるくらいの長さのグレーのスカーフ、白のブラウスを下着に裾をなぞるように一列にいくつもの四角形の穴が空いた黒のワンピースを着た毘沙門天の使いの妖怪ねずみ、ナズーリンだった

 

お尻から生えた尻尾の先には小鼠の入ったバスケットを持っている

 

 

小傘「ナズーリン!」

 

 

 

ぱぁっと明るくなる小傘

 

 

 

ナズーリン「小傘も団子屋にいたのか…来る時間を遅らせれば良かったな」

 

 

真顔に小傘に言うナズーリン

 

 

 

小傘「んもー!またそんなこと言って!」

 

 

頰を膨らませる小傘

 

 

アドルフ「…」

 

 

ナズーリンがアドルフを見て

 

 

ナズーリン「こちらは?」

 

 

アドルフ「…アドルフだ、私は外来人らしい。小傘に人里まで案内してもらったんだ」

 

 

ナズーリン「なるほど、私はナズーリン。見ての通りの妖怪ねずみだ。小傘みたいな変態にまとわりつかれるなんて君も不運だったね」

 

 

愛想のない真顔でアドルフに話しかけるナズーリン

 

 

小傘「変態って…なんで〜」

 

 

 

涙目でナズーリンにしがみつく小傘

 

ナズーリン「…やめるんだ…」

 

 

両手で小傘の頭を離そうとするナズーリン

 

 

 

ナズーリン「むやみやたらに人を脅かそうとしたり、訳もなく傘持ってフラフラと徘徊したり、人からしたら君は立派な変態だ」

 

アドルフ(…違いない)

 

 

 

小傘「ひっどーい!徘徊なんてしてないもん!それに今日はちゃんと人助けしたから聖は褒めてくれるよ!」

 

 

 

ナズーリン「はいはい、偉いでちゅね小傘ちゃん」

 

 

小傘「棒読み!」

 

 

アドルフ「…あー…君はどうしてここに?」

 

 

 

アドルフから言われはっとするナズーリン

 

 

 

ナズーリン「ああ、そうだった。ご主人からのお使いの途中だったんだ…」

 

 

そう言って小傘を見てから

 

 

 

ナズーリン「変態に捕まったから無駄な時間を過ごしてしまった!」

 

小傘「ううう…しどい…」

 

 

 

ナズーリンが1つ咳払い

 

 

ナズーリン「で、君たちはどこかに行くのかい?」

 

 

 

アドルフ「ああ、この商店街の先にある寺子屋という場所に行こうかと思っているんだ…私一人で」

 

 

小傘「私も行くよー!」

 

 

アドルフ「え?」

 

 

小傘「なんか面白そうだし…付いて行ったら駄目…かな?」

 

 

 

上目遣いでアドルフを見る

 

アドルフ「…」

 

 

 

1つため息

 

 

 

アドルフ「…ここまで来て断ることもないか……構わないよ」

 

 

ナズーリン「…」

 

 

 

アドルフと小傘を見るナズーリン

 

 

 

ナズーリン「なら私も付いて行こう」

 

小傘「えぇ!?」

 

 

小傘が驚く

アドルフ「おつかいは良いのかい?」

 

 

ナズーリン「なんでそんなに驚くんだい…それにおつかいは別に急ぎではないからね。」

 

 

ナズーリン「なにより小傘だけじゃ色々説明に手間が掛かるだろう。ただの人助けさ」

 

 

少し笑いながら話すナズーリン

 

 

 

アドルフ「うむ…それはとても助かる。お願いしても良いだろうか?ナズーリンさん」

 

 

ナズーリン「…!」

 

 

 

ナズーリンが驚いた顔でアドルフを見る

 

 

 

アドルフ「…な、なにか?」

 

 

ナズーリン「いや…ナズーリンさんなんてどれくらいぶりに呼ばれたかと思ってね。君は外来人にしては礼儀がなってるようだ」

 

 

 

小傘「ナズーリン、お寺じゃねずみ、とかナズ公とかって呼ばれたことあったもんね」

 

 

 

小傘がニコニコとナズーリンの黒歴史をほじくり返す

 

 

ナズーリン「うるさいな…行くなら夜になる前にさっさと行こう」

 

 

 

3人は団子屋を後にする

 

 

 

その団子屋の中で団子を食べる少女が1人

 

その少女は少し長めの黒髪をサイドテールにまとめ、肌は少し小麦色、上半身は橙色の長袖で裾が腰くらいまであるチャイナ服、下半身は白い武道着に黒靴を履いていた

 

 

少女「おねぇさーん!みたらしおかわりー!」

 

 

少女はお皿を高く掲げ女店主に言う

 

 

女店主「あら、お嬢ちゃんよく食べるねぇ」

 

 

 

少女「ウチはこれから大仕事だからねぇ!沢山食べとかないと!」

 

 

少女はにひひと笑う

 

 

女店主「はいはい…で、お嬢ちゃんお代はあるのかい?」

 

 

少女「…え?」

 

 

 

 

どこからともなく味噌汁の匂いが民家からする。

 

夕焼け色の幻想郷はまさに幻想的で人々の心を温めてくれる。

 

 

 

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