東方香靈記   作:114

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頭の中で描いている景色を文字にするのは大変だな、と…
最近よく思います


第12話「とある総統殿の演説」

8月25日

 

 

人里、寺子屋

 

辺りはまだ夕焼け色

団子屋にいた時よりも人は減っていた

 

 

寺子屋と言っても建物は寺ではなく、少し大きめの民家の作りだった。

小傘が寺子屋のドアに付いてる呼び鈴を鳴らす

 

 

 

呼び鈴「ビィィー」

 

アドルフ「…大きな家だな…」

 

 

 

「はーい」

 

 

 

中から女性の声がした

 

ガラッと木の引き戸が開く

 

 

 

女性「どちら様…」

 

 

白くふわりとした半袖を下に着て、上から襟のあるワンピースタイプの青い服を着た、白髪の女性が中から出てきてアドルフを見る

 

 

女性「…ですか…?」

 

 

ーーーーーーーー

 

寺子屋、客間

 

低い机を中心にアドルフ、小傘、ナズーリンが座布団を敷き、座っている

 

そこへ襖を開けお茶を持ってきた女性が来た

 

 

女性「どうぞ、お茶です」

 

 

アドルフの机の前へお茶を置く

 

 

アドルフ「これはどうも…」

 

 

軽く会釈をするアドルフ

 

女性はアドルフの机向かいに座る

 

 

 

女性「挨拶が遅れました。寺子屋で教師を、そして人里では里の代表の1人としてやってます、上白沢慧音と言います…貴方のことはナズーリン と小傘から色々とお聞きしました」

 

 

慧音も少し頭を下げ自己紹介をする

 

 

アドルフ「上白沢さん…アドルフです。どうぞよろしく」

 

 

雰囲気に飽きたのか、小傘は客間から外への襖を開け縁側の方へ鼻歌交じりに向かう

 

 

ナズーリン「…」

 

 

ナズーリンはアドルフを見て

 

 

ナズーリン「礼儀があるのは結構だが少し硬すぎやしないかい?」

 

 

アドルフ「…え?」

 

 

ナズーリンがお茶を一口飲み湯呑みを机に置く

 

 

ナズーリン「ナズーリンさん、や上白沢さん…とか、別にそこは呼び捨てにしても良いんじゃないかな?」

 

 

慧音「確かに…上白沢さんなんて呼ばれるのはどれくらいぶりだろう…」

 

 

腕を組んで少し考える慧音

 

 

アドルフ「…」

 

 

慧音「私のことは気軽に慧音、と呼んでください」

 

 

ニコッと笑いながらアドルフに言う慧音

 

アドルフは一瞬考えて

 

 

アドルフ「わかった、よろしく頼む…慧音…ナズーリンも気を使ってくれてありがとう」

 

 

ナズーリン「構わないよ」

 

 

ナズーリンは掌をひらひらと振る

 

 

慧音「それで、これからのあなたの事ですが…」

 

 

慧音がアドルフにこれからのことを話そうとしたその時

 

 

 

小傘「っ痛っ!!」

 

 

 

アドルフ、ナズーリン、慧音「!?」

 

 

 

3人は縁側の外に目をやる

小傘が庭の地面にしゃがみこんでいる

 

 

ナズーリン「どうしたんだ!?小傘!」

 

 

ナズーリンが縁側に向かう

 

ナズーリンは何かを見た

土色…いや灰色の小銭程度の大きさの物体を…灰色の物体はナズーリンの目の前を素早く通り

 

 

 

小傘「痛いっ!」

 

 

 

小傘が悲鳴を上げる

ナズーリンは小傘の足元を見る

そこにはいくつかの石ころが転がっていた

 

 

 

「やっりぃー!当たったー!」

「10点ゲットー!」

「あははははっ!」

 

ナズーリンとアドルフが縁側から出て声のする方をすぐ見る

 

 

 

アドルフ「…なんてことを…」

 

ナズーリン「お前達!何をしてるんだ!!」

 

 

 

ナズーリンが怒鳴った先にいたのは庭の塀の上に立ってる年端10歳程度の少年3人組だった

 

 

 

少年A「ああ!まだ化けもんがいたぜ!」

少年B「また石投げようぜ!」

少年C「おっさんもいる!」

 

 

 

アドルフは小傘に駆け寄り小傘が抑えていた額を見る、少し赤く腫れている

 

 

小傘「ぅぅう…痛い…」

 

アドルフ「…」

 

 

 

持っていたハンカチで小傘の額を抑えるアドルフ

 

小傘とアドルフの光景を見たナズーリンがまた少年達に

 

 

ナズーリン「自分達が何をしてるのかわかってるのか!?」

 

 

ナズーリンの眼が真っ赤に輝く

 

 

 

少年A「はぁ?妖怪退治に決まってんじゃん!見てわかんねぇのかよ?」

少年B「俺らでハクレイの巫女がやってる妖怪退治の手伝いをしてるわけだっつの!」

 

 

ナズーリン「……!!!」

 

 

少年達の理不尽な投石の理由を聞いて今にも飛びかかりそうなナズーリン

 

 

 

慧音「お前たち!何馬鹿なことをしてるんだ!」

 

 

少年C「ちっ…妖怪先生まで出てきやがった」

 

 

慧音はまっすぐな瞳で少年達に向けて言った

 

 

慧音「博麗の巫女は特別な修行を通して妖怪退治を含め巫女の仕事をしてるんだ、お前達が遊びでやっていいことではない!」

 

 

少年A「あっそ、知らなかったわ〜…なら、そこの傘の化け物だって遊んでもらいたくていつも人里に来てるんだろ?俺らはあそんでやってるだけだぜ?」

 

 

ナズーリン「お前達がやってるのはただの暴力だ…!」

 

 

少年B「お前ら妖怪は人を襲うんだろ?そっちこそ暴力だろ!」

 

 

ナズーリン「…なにを…!!」

 

 

 

少年達とナズーリンは睨み合う

 

 

慧音「もうやめるんだ…ナズーリンもいい…」

 

 

慧音がナズーリン の背後につき、背中をさする

 

 

アドルフ「小傘…大丈夫か…?」

 

 

小傘の額にハンカチを当て、抱きかかえるアドルフ

 

 

アドルフ「…!」

 

小傘「…だ、大丈夫…」

 

 

涙を目に浮かべてぎこちなく笑顔になる小傘

 

 

アドルフ「…」

 

 

アドルフは思わず小傘から目を逸らす

 

 

(こんな悲しい笑顔があるものか…)

 

 

アドルフは小傘を丁寧に抱き上げ、縁側まで運ぶ

 

それを驚き顔で見るナズーリンと慧音

 

 

少年B「おいおっさん!なにしてんだよ!」

少年A「まだ俺らと遊んでんじゃん!」

 

 

少年達がアドルフに絡みはじめる

 

 

少年B「おっさん人間のくせに化け物の味方すんのかよ!」

 

 

 

アドルフは1つ呼吸をし、一瞬考え、少年達に振り返る

 

 

 

アドルフ「君の親、兄弟、親族はこの子に殺されたのか?」

 

 

アドルフは少年Bを見る

 

少年B「はあ?んなわけねぇじゃん」

 

 

アドルフ「この子が盗みを働いたか?誰かを怪我させたか?」

 

 

次に少年Cを見る

 

少年C「ぅ…あ、う、うるせぇな!」

 

 

アドルフ「畑を荒らしたか?神を冒涜したか?夜中に騒いだか?」

 

 

少年達にゆっくり近くアドルフ

 

 

少年A「…く…」

 

 

アドルフ「妖怪だからと言って、人間と違うからと言って、それで暴力を振るっていいものかね?私はそうとは思えん、ここに来る間幾人かの人々を見てたが誰もナズーリンや小傘を見て目の色を変えたようには見えなかったが?」

 

 

少年達はたじろぐ

 

 

アドルフ「この人里ではある程度のルールや掟があるように見えた、恐らく人間に危害を加えない、もしくは人間の守護を条件の元、妖怪や人外は人里に居られるのではないかと」

 

 

慧音は更に驚いた顔でアドルフを見る

 

 

アドルフ「そうであるならば条件違反をしているのは君達ではないか?これが君たちの親、人里の人間の代表者に知られれば罰を受けるのは君たちではないかな?いや、下手をすれば君たちの親族にまで迷惑が及ぶ可能性もある。」

 

 

ナズーリン「…」

 

 

ナズーリンはアドルフをじっと見る

 

 

アドルフ「幸いなことに今此処にいるのは我々7人だけだ、今なら他の誰にも知られることなく、今起きた状況を無いことにも出来るぞ?」

 

 

少年達「…」

 

 

少年達は焦る

こんな脅し混じりの怒られ方をされたことがなかったので、なんと答えれば良いのかわからないのである

 

少年Cが少し涙目になる

 

 

アドルフ「回れ右して帰りなさい。そして小傘には二度と近くんじゃあない。そうすれば今日見たものは忘れよう。それでどうかね?ナズーリン、慧音」

 

 

ナズーリン「ああ、それなら私は構わない」

 

ナズーリンは目を瞑り即答

 

 

 

慧音「…良いだろう」

 

少し考えて慧音も答える

 

 

少年A「…ちっ!ふざけんなジジイ!」

少年B「覚えてろよ!」

 

暴言を吐きながら少年達は逃げていく

 

 

アドルフ「…はぁ…」

 

ぱちぱちぱち

 

アドルフ「?」

 

 

後ろを振り向くとナズーリンがアドルフに向かって拍手をしていた

 

 

ナズーリン「…驚いたよ。まさかあんな短時間の少ない情報でここまで話せるなんてね…」

 

 

拍手をやめるナズーリン

 

 

慧音「え?…情報?」

 

 

ナズーリン「まあまあ…中で話そうか、庭で立ち話なんて日焼けしてしまうよ」

 

 

アドルフ「…」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

日はすっかり落ちて辺りは暗くなる

 

 

寺子屋の客間では再度ナズーリン、慧音、アドルフが机を囲んで座っている

隣の部屋では小傘が額を氷袋で冷やしながら布団で寝ている

 

 

慧音「…で、短時間の少ない情報ってのは?」

 

 

慧音がナズーリンに話しかける、ナズーリンはああ、と言いながら

 

 

 

ナズーリン「彼と小傘で寺子屋に向かう途中の数分間、この人里について簡単に説明していたんだ。誰が管理してるとか、どこになにがある、とかね」

 

 

慧音「…そうだったのか」

 

 

ナズーリン「人里のルールの事なんて一言も言ってなかったけど…やはり人里の雰囲気で何となくわかるものなんだろうね、現に彼は私の話を聞きながらも人里をよく見ていた」

 

 

アドルフ「いや…適当にそれらしく言ったのがたまたま当たっただけだよ…私こそもう少し小傘を気にしていれば怪我なんかせずに済んだのに…すまない」

 

 

慧音「いやいや…小傘を守ろうと彼らにあれだけ言ってくれたのは立派だと思います。」

 

 

 

ナズーリン「全く…あの子供達は…」

 

 

 

ナズーリンが息混じりに話し始めた

 

 

ナズーリン「…実を言うと私が今日寺子屋まで付いてきたのは小傘を見守るためだったんだ…」

 

 

 

アドルフ「見守る?」

 

 

 

ナズーリン「ああ、命蓮寺…と言うところで小傘を世話しているんだけど、そこの住職から頼まれててね…」

 

 

 

ナズーリン「最近小傘が人里でイジメを受けてるらしいから、出来る限り見守ってあげて、もしもの時は助けてあげてほしい、ってね」

 

 

慧音「白蓮さんがそんなことを…」

 

 

ナズーリンは改まってアドルフに頭を下げる

 

 

ナズーリン「小傘を助けてくれてありがとう」

 

アドルフ「う…い、いや…私は…」

 

 

 

ナズーリンは頭を上げ、少し意地悪な笑顔で

 

 

 

ナズーリン「流石は第三帝国の総統殿だ…見事な演説だったよ」

 

アドルフ「…!!?」

 

 

アドルフは驚きお茶をこぼす

 

 

アドルフ「…私のことを…知っていたのか…!?」

 

ナズーリン「そんな気がしたからカマをかけたんだけども…本物だったのかい?」

 

 

慧音「…さっきの話し方からただの外来人じゃないとは思っていたが…」

 

 

慧音もアドルフに驚く

 

 

アドルフ「……?」

 

 

ーーーーーーーー

 

少女達説明中

 

 

客間のカレンダーは8月を指している

 

 

アドルフ「…やはり…異世界か…」

 

 

机の上で手を組んで額を乗せ下を向くアドルフ

 

 

ナズーリン「相当のオカルト好きという噂を聞いてたが…本当だったんだね」

 

 

アドルフは苦そうな顔をして

 

 

アドルフ「…今思えば無茶苦茶な事をしていた…聖遺物を兵隊達に探しに行かせたり特殊な飛行兵器を開発させたり…」

 

 

慧音「…人体実験させたり、ですか…」

 

 

アドルフ「…ああ…」

 

 

アドルフは慧音の顔を見ずに答える

 

 

ナズーリン「…」

 

 

ナズーリンはアドルフの顔を見る

 

 

ナズーリン「そうだ慧音大先生!」

 

慧音「っとぁ!?」

 

突然思い出したかのように大声を出すナズーリンに驚く慧音

 

 

 

ナズーリン「今日は泊まらせてもらえないだろうか?外はもう日が落ちて暗いし、命蓮寺からここまで歩いてクタクタなんだ」

 

 

慧音「あ、ああ…構わないが…」

 

 

ナズーリン「貴方もどうだろう?特に行くあてがないのなら今日はもう休まれた方が良いと思うんだが」

 

 

アドルフ「…だ、だが…」

 

 

アドルフは慧音を見る

 

 

慧音「…構いませんよ」

慧音は少し微笑む

 

 

 

慧音「此処は幻想郷、外の世界では何をしようとも、貴方がまだ生きているなら幻想郷は貴方を受け入れているはずです。…それに先程の小傘を守ろうとする貴方の姿勢を見れば今の貴方は悪い方ではないと…私は思ってます。」

 

 

アドルフ「…ありがとう、慧音、ナズーリン」

 

 

慧音「…ところで、これからの貴方のことですが」

 

 

アドルフ「…え?」

 

 

慧音は改まって話しだす

 

 

慧音「数日もすればこの幻想郷を管理してる妖怪の賢者が貴方のことを見つけるでしょう。そうすれば元の世界に帰れる手立てが見つかるはずです。だからそれまでは人里にいることをおススメします」

 

 

ナズーリン「…」

 

アドルフ「うむ…そうさせて頂けると非常に助かる…人里の外は危険な雰囲気があったからな」

 

 

慧音「この寺子屋でも構わないですし、気を使うようなら人里のどこか空き家にでも手配をつけますよ」

 

 

優しい笑顔でアドルフに語りかける慧音

 

 

アドルフ「ああ…それは有難い…なら今日だけは此処で休ませてほしい」

 

 

慧音「もちろん!」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

また別の部屋

夕食を頂き、風呂も頂いたアドルフ

浴衣に着替えて早速布団に入る

 

 

アドルフ「ああ…ちゃんと寝るなんて久しぶりだ…」

 

 

アドルフ(地下壕では気を張ってばかり、仮眠だけしか取れなかったからな…)

 

 

アドルフは仰向けになり天井を見る

隣の部屋ではナズーリンと慧音の話し声が聞こえる

 

聞こえる…?

 

 

アドルフ(そういえば…耳が良くなっている気がする…)

 

 

聞く感じだとアドルフの事を話しているのではなく別の話をしてるようだ…

 

 

ナズーリンの声『だからいつもご主人は…』

 

 

慧音の声『ナズーリンも大変なんだなぁ』

 

 

アドルフ(平和だ…少なくともベルリン…いや、ヨーロッパより全然平和だ…)

 

 

睡魔が襲ってくる

 

 

アドルフ(もし戻れた時は…どうすれば…)

 

 

さらに睡魔が襲ってくる

 

 

アドルフ(…ベルリン……ユダ…)

 

 

 

アドルフの意識は落ちる

 

 

ーーーーーーーー

 

 

アドルフが眠りについている部屋の隣…客間ではナズーリンと慧音が小さな飲み会をしていた

 

 

ナズーリン「いつもいつも…ご主人は毘沙門天様の代理としての自覚を持ってほしい」

 

少し顔を赤くしたナズーリンが愚痴る

 

 

慧音「自覚か…寅丸さんしっかりしてるように見えるがな…」

 

 

ナズーリン「こないだなんて…ご主人の気まぐれでご主人がその日の命蓮寺のみんなの夕食を作ると言い出したんだ」

 

 

慧音(…オチは夕食作る事を忘れたのかな?)

 

 

ナズーリン「私は影からこっそり見ていたんだが、ご主人は失敗しながらも…包丁で指を切っても頑張って夕食を作ったんだ…出来上がった後にご主人ってば絆創膏を指に貼ったまま夕食をみんなで食べて…その姿と言ったら…もうキュンキュンしてしまって…!!」

 

 

慧音「それは…大変だったな…(あ…これは惚気かな?)」

 

 

ナズーリン「あんな綺麗で素敵で可愛い毘沙門天代理なんていないっ!…あーもう!可愛いなぁ!」

 

 

ナズーリンはガシガシと頭を両手でかく

 

慧音(寅丸さんも大変だなぁ)

 

 

ナズーリンの意外な一面を見た慧音だった

 

 

 

ーーーーーーーー

 

夜中…丑の刻

 

 

アドルフ「うう…トイレトイレ…」

 

 

アドルフは部屋から縁側に出る、厠は縁側の奥、外側にあるからだ

 

 

アドルフ「ぬ?」

 

 

縁側にだれか座っている

暗くて見えないが誰かがいる

 

 

アドルフ「…誰か…いるのか?」

 

 

アドルフが目を凝らして良く見る

空は雲が晴れ、月の光が降りてくる

 

 

小傘「おじさん!」

 

アドルフ「小傘…起きてたのかい?」

 

 

 

縁側に座っていたのは小傘だった

額の腫れもひいて昼間見た元の笑顔で笑っていた

 

 

小傘「うん、夕方から零時近くまで寝てたから…おじさんは?」

 

 

 

アドルフも小傘の隣に腰をおろす

 

 

 

アドルフ「私はトイレで起きただけだよ…怪我はもう大丈夫かい?」

 

 

小傘は額を手のひらで少し擦って…

 

 

小傘「バッチリ!」

 

アドルフ「それはなによりだ…」

 

 

小傘「…」

 

 

小傘はアドルフの顔を見て驚く

 

 

アドルフ「…何か…?」

 

 

小傘「おじさん今凄く優しい笑顔だったから…今日初めて見たよ」

 

 

アドルフは小傘から顔をそらす

 

 

アドルフ「あ、あー…目の前であんな光景を見たからかな…そう、それなりに心配してたからな」

 

 

少しキョどりながら話す

 

 

小傘「おじさん…昼間はありがとう、助けてくれて」

 

 

アドルフは小傘の顔を見る

 

赤と青の宝石のような輝きをするオッドアイ

ずっと見ていると遠い記憶の中の何かを思い出しそうになる

 

アドルフは小傘から外に視線を向け

 

 

 

アドルフ「…私は…お礼を言われるような人間ではないよ…何人も…何十人も何千人も…不幸にしてしまった」

 

 

 

過去に自分が起こしたことを思い出す

少し思い出すだけで自分の頭を撃ち抜きたくなる

 

 

 

アドルフ「あの時も小傘を助けた訳ではない…ただ、あの光景を私が見たくなかっただけだ…私のためだ…」

 

 

小傘「それでも」

 

 

アドルフは小傘を見る

 

 

小傘「おじさんのおかげで私は不幸にならなかった…とっても嬉しかった」

 

 

アドルフの心は揺れる

アドルフ(私は…許されざる者だ…)

 

 

 

アドルフ「さぁ…もう寝よう、小傘」

 

 

小傘は腕を上に伸ばし、あくびをかきながら

 

 

小傘「はぁ〜い」

 

 

小傘は元いた部屋へ戻っていく

 

 

 

アドルフ「…明日も暑くなるのかな…」

 

 

 

アドルフも自分が寝ていた部屋へ帰っていく

 

 

 

 

 

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