東方香靈記   作:114

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第3章 ドラキュラとヴァンパイア
第18話「父と娘」


 

8月24日

 

 

(……ここは…天国か…?何故俺は花畑で寝て…う…身体中が痛い…まるで金槌で全身を叩かれた様だ…)

 

 

歳40代ほど、彫の深い顔立ちに少しくせっ毛気味な黒い長髪に口髭と長い顎髭を蓄え、鉄の鎧を身に纏い、腰に剣を差し、真っ黒なマントを付けた男が花畑にうつ伏せで倒れていた。

 

男は花畑の上で四つん這いで起きる

 

辺りは夜なのかまだ暗い

少し暑く、かすかに鈴虫の声がする

 

 

(…う…)

 

 

少しめまいがしたのか男は四つん這いから仰向けに寝転がる

 

 

 

男「…此処はどこだ……」

 

 

「…えっと…どちら様ですか…?」

 

 

男「……」

 

 

 

男は空を見たままぼうっとしている

 

 

「あのー…」

 

 

男は目を瞑り空に向かって1つ息を吐く

 

 

「もしもーし!」

 

 

そこで男は気がつく、仰向けになっている自分の真横にしゃがみ込んでいるほぼ全身緑色の服装をした赤毛の少女に

 

 

男「…!?」

 

 

少女「あっ…生きてた…」

 

 

男「…あー…すまない…気がつかなかった…」

 

 

少女「え?…あ〜…そうですか…」

 

 

男「…」

 

 

少女「…えっと…立てますか?」

 

 

男は腕に力を入れるがまだ痛みがあるのか上手く動かない

 

 

 

男「…いや…立てそうもない…」

 

 

少女はニコッと笑って

 

 

少女「わかりました!」

 

 

男「…ぅおっ!?」

 

 

少女は男を片手で持ち上げる

 

 

少女「とりあえず詳しいお話は屋敷でしましょう!」

 

 

男「…や…しき?」

 

 

少女の肩に担がれた男が眼にしたのは暗い景色にひっそりと佇む大きな屋敷だった

 

少女は笑顔で言った

 

 

 

少女「紅魔館へようこそ!侵入者さん!」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

紅魔館、大広間

 

 

少女「よっ…こいしょ…」

 

 

少女が大広間の壁にあるソファーに男を座らせる

 

 

 

男「…すまない…恐らく時間が経てば身体の自由も効くと思うんだが…」

 

 

少女「お気になさらず!…今メイド長を呼んできますのでそのまま待っててくださいね!」

 

 

男を運んだのは紅魔館の門番、紅美鈴

 

彼女は白のシャツを肌着に、上下緑色の武道着、明るい赤色のロングヘアーに龍と刻まれたエンブレムが付いた緑色の人民帽を被る、にこやかで愛想のいい優しい雰囲気を持った少女である

 

 

「その必要は無いわ」

 

 

美鈴「のわっ!?」

 

 

 

男「!?」

 

 

声がすると銀髪のメイド長、十六夜咲夜が美鈴と男の真横にいた

 

 

 

咲夜「ねぇ、美鈴さん?貴女のお仕事って何かしら?」

 

 

笑顔で美鈴に問いかける咲夜

 

 

美鈴「あー…あはは…門番…です。はい…」

 

 

冷や汗をかきながら答える美鈴

 

 

咲夜「門番のお仕事って何をするのかしら?」

 

 

美鈴一歩後ろを下がりながら

 

 

 

美鈴「えーとあの…敵が紅魔館に入れないように門前で番をするのが…仕事です…」

 

 

美鈴、数本下がった後、壁に背をつく

目の前には咲夜が立つ

 

 

咲夜「あら、そこまで解ってて勝手に、誰の断りもなくこの人を紅魔館に入れたの?美鈴さん?」

 

 

美鈴「いやぁ…っははは…」

 

 

顔が引きつりながら頭をかく美鈴

 

 

美鈴「…すいません…」

 

 

しゅんとなり素直に謝る美鈴

 

 

咲夜「…全く…」

 

 

1つため息をつくと咲夜は男の方を向く

 

 

咲夜「…それで、貴方はどちら様かしら?」

 

 

男「…」

 

 

男はソファーに座ったまま咲夜をじっと見る

 

 

男「…すまない、気がついた時には外の花畑にいたんだ…名はヴラド…それ以外のことは何も覚えていない…どうやら侵入者らしい…」

 

 

 

咲夜は特に動じずに答える

 

 

咲夜「…その名前…本当?」

 

 

 

美鈴「さ、咲夜さん?」

 

 

男「…ん?…ああ…本当だ…」

 

 

咲夜は男から視線を外し、しばし考える

 

 

咲夜(…外来人?)

 

 

咲夜は再度男を見ながら

 

 

 

咲夜「…その様子だとまだ動くのは無理そうね…今主人に話してくるわ…待ってなさい」

 

 

男「…すまないな」

 

 

咲夜は美鈴に顔を向け

 

 

咲夜「美鈴も来なさい」

 

 

美鈴「…はい」

 

 

咲夜と美鈴は部屋から出て行く

1人残されるヴラド

 

 

ヴラド「…なんなんだ…一体」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

紅魔館、廊下

 

主人の元に早歩きで進む咲夜とその後ろをついて行く美鈴

 

 

美鈴「ちょっ…ちょっと咲夜さん!?さっきはどうしたんですか!?」

 

 

咲夜「…何が?」

 

 

咲夜は振り返らずに前に進みながら美鈴の問いに簡単に答える

 

 

美鈴「いやいや…さっきあの人の名前聞いた瞬間能力使いましたよね!?」

 

 

咲夜「……さぁ?」

 

 

次の廊下に続く扉を勢いよく開け、咲夜が立ち止まった

 

 

美鈴「らぅおっと!」

 

 

咲夜の動きに合わせて急ブレーキで止まる美鈴

 

 

美鈴「…あ、あぶな…」

 

 

咲夜が美鈴に振り返る

 

 

美鈴「うわ…凄い汗ですよ…」

 

 

振り返った咲夜の顔は運動後の様に汗だくになっていた

 

咲夜はハンカチで額と頰を拭う

 

 

美鈴「いくら真夏だからってそんな汗かきます!?…どこか体調悪いんですか?」

 

 

美鈴が心配そうな顔で咲夜に問いかける

咲夜は1つため息を吐き

 

 

咲夜「…暑くて汗かいてたんじゃないわ…美鈴…あの名前聞いて何も感じなかったの?」

 

 

美鈴「…え?…えっと…ヴラド…さん…でしたよね?知ってる人ですか?」

 

 

少し自信なく咲夜に確認する美鈴

その言葉を聞いた咲夜は廊下の窓側に近づき暗くなった外を窓ガラス越しに観ながら小さく一言

 

 

咲夜「…貴女はもう少し本を読んだ方が良いわ…美鈴」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

レミリアの寝室

 

西洋の館に相応しくモダンな内装の部屋、少女1人には広すぎるキングサイズのピンク色のベッドカバーのベッド、枕元には20冊ほどの大量の本、そのベッドの上で寝転がりながら本を読む紅魔館の主人、いつものナイトキャップを被り、薄桃色のドレスを着たレミリアスカーレットがいた

 

 

レミリア「…はぁ…なかなか難しいものね…」

 

 

こんこん

 

 

レミリアの部屋の扉がノックされる

 

 

レミリア「…咲夜ね?何の用かしら?」

 

 

咲夜の声「レミリアお嬢様、ご報告があります」

 

 

レミリアはガバッとベッドの上で起き上がる

 

 

レミリア「…入りなさい」

 

 

パッパッと、ドレスや髪を手直しするレミリア

 

 

咲夜の声「失礼します」

 

 

 

扉が開き咲夜と美鈴が入ってくる

レミリアはベッドから窓側の椅子に座っていた

 

 

レミリア「美鈴?…何?どうしたの?」

 

 

咲夜だけかと思っていたのに美鈴も一緒に入ってきてレミリアは一瞬驚く

 

 

咲夜「…実は美鈴が屋敷の敷地内に入ってしまった人間を更に勝手に屋敷内に入れたんです」

 

 

美鈴「…げっ!」

 

 

レミリア「…はぁ?」

 

 

美鈴「いやそのあの…あはは…」

 

 

焦る美鈴

 

 

レミリア「…そんなこと…その人間を挽肉にしてハンバーグにしてフランに出してあげたら?」

 

 

レミリアはつまらなさそうに窓の外を見る

 

 

咲夜「…それがその…」

 

 

レミリア「ん?」

 

 

咲夜が少し緊張しながら小声で話し始めた

 

 

咲夜「…恐らく外来人かと思うのですが…その…」

 

 

 

レミリア「…?」

 

 

咲夜「…自分はヴラドだと…」

 

 

 

レミリア「…え?」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

大広間

 

ソファーに座っているヴラド

来た時よりも少し身体の痛みは退いていた

 

右手を握ったり開いたりして自分の握力を確認するヴラド

 

 

ヴラド「…うむ…だいぶ楽になって来たな…」

 

 

 

「あら、想像してたより細身なのね…てっきり豚肉とママリガばかり食べて肥えた人だと思ってたけど」

 

 

ヴラド「!?」

 

 

可愛らしい声がする方を向くと大広間の扉を開け、腕を組んでヴラドを見るレミリアとその後ろに静かに立つ咲夜がいた

 

 

ヴラド「……羽根…?お前は?」

 

 

ヴラドはソファーから立ち上がる

 

 

レミリア「…貴方、その腰にぶら下げてる剣は使えるの?」

 

 

そう言われたヴラドは自分の腰に差してある剣を見る

 

 

ヴラド「…?ああ…本物だと思う…が…!?」

 

 

自分の剣からレミリアに視線を向けるとレミリアがヴラドに向かって高速で突っ込んで来た

 

 

咲夜「お嬢様っ!」

 

 

レミリアは右手を振りかぶりヴラドを切り裂こうとする

 

 

ヴラド「……ぬぅっ!!」

 

 

高速で突進してくるレミリアの攻撃をギリギリで横に飛び、側にあった椅子にぶつかり床に転ぶヴラド

 

 

ヴラド「う…ぐぅ…」

 

 

まだ身体の痛みが取れ切らないのか右肩を押さえる

 

 

ヴラド「…ふぅっ…ぐっ…何を突然…」

 

 

レミリア「これまた意外…反射神経も人間にしては悪くないわね」

 

 

口元を吊り上げながらヴラドを見るレミリア

 

 

ヴラド「…勝手に敷地内に入ってしまった様で悪かったな…だがこの歓迎方法はどうかと思うぞ?」

 

 

肩を押さえながらなんとか立ち上がるヴラド

 

 

レミリア「ならその腰に差してる剣で応戦すれば?」

 

 

レミリアは再度ヴラドに向け構えの姿勢をとる

 

 

ヴラド「…」

 

 

ヴラドは剣を抜く

 

抜いた剣は刀身が長く、その刃は青白い光を反射していた

 

 

 

レミリア「素敵…銀の剣ね」

 

 

ヴラド「…」

 

 

レミリアは不敵に笑い

ヴラドは静かに剣を構える

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜は静かに佇む

 

またもヴラドに向かって突進するレミリア

そのレミリアの突進をひらりとかわし剣先でレミリアの横顔をかすめる

 

数本レミリアの髪が切られる

 

 

レミリア「…ふふっ…お見事」

 

 

ヴラド「…?」

 

 

戦闘の姿勢を解きヴラドに対し拍手を送るレミリア

 

 

レミリア「良い反応…流石ね、十分よ…」

 

 

そう言って倒れた椅子を起こしてその椅子に座るレミリア

 

 

ヴラド「…紅魔館は侵入者に対してなかなか手厳しい歓迎をするんだな…」

 

 

ヴラドも戦闘態勢を解き、剣を腰の鞘に収める

 

 

レミリア「試したのよ、どんなもんか」

 

 

ヴラド「…何故だ?」

 

 

そう言ってヴラドは鋭い目つきでレミリアを睨む

 

 

 

レミリア「…だって私の館に侵入して、自分はヴラドだなんて…偽物だったら喧嘩売ってるとしか思えないじゃない」

 

 

ヴラド「…お前は何を言っているんだ?」

 

 

レミリア「あら、失礼…申し遅れたわね」

 

 

レミリアは椅子から立ち上がり、両手を自分の胸の前へ出しドヤ顔でポーズをとる

 

 

 

レミリア「私がこの紅魔館の主人、誇り高き吸血鬼、ツェペシュの末裔レミリア・スカーレットよ」

 

 

ヴラド「…???」

ヴラド(串刺しの者の…末裔?)

 

 

レミリア「…ん?」

 

 

訳がわからず固まるヴラド

 

 

咲夜「…お嬢様」

 

 

 

すかさず咲夜がレミリアに近づき耳打ちする

 

 

レミリア「……え!?そうなの!?」

 

 

ヴラド「…?」

 

 

ソファーに座り、険しい顔で咲夜とレミリアを交互に見るヴラド

 

 

レミリア「…知ってたんなら言ってよ」

 

 

咲夜「ですから…お教えしようとしたのに突然お部屋を飛び出されたのはレミリアお嬢様ですよ」

 

 

 

レミリアは顔を赤くし、ヴラドをちらりと見る

 

 

ヴラド「…?」

 

 

ヴラドと目が合うと彼に背を向け腕を組んで

 

 

 

レミリア「あ、あー…なんか貴方まだ体調も万全じゃないみたいだし、今夜は此処で泊まって休んでいったら!?」

 

 

ヴラド「?????」

 

 

ヴラドは少し考えてから

 

 

ヴラド「待ってくれ…さっきから訳がわからん…いきなり外で倒れていたと思ったら担がれて…侵入者扱いされたかと思えば羽根の生えた子供に殺されそうになって…更に泊まれ!?」

 

 

レミリア「…」

 

 

ヴラド「何がなんだかだ…わかるように説明をしてくれないか?」

 

 

咲夜「…」

 

 

レミリアは腕を組んだままヴラドの方を見る

 

 

レミリア「…はぁ…わかったわよ」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

少女説明中

 

ヴラド、レミリアが大広間のテーブルの席に着き、咲夜が2人にお茶を出す

 

 

ヴラド「…幻想郷…妖怪…俄かには信じられんな…」

 

 

レミリア「そうでしょうね」

 

 

ヴラド「だが…その羽根と先程の疾さを目の当たりにしたら信じざるを得ないか…」

 

 

レミリア「…意外にも理解が早いのね」

 

 

ヴラド「…何故かな…お前の言葉が嘘とは感じなくてな」

 

 

レミリア「レ・ミ・リ・ア!お前じゃないわよ!レディーに対して失礼じゃない!」

 

 

 

レミリアは少し膨れながらヴラドに物申す

 

ヴラドは一瞬驚いてから

 

 

ヴラド「ああ…すまなかった…レミリア」

 

 

レミリア、満足そうに頷く

ヴラドは咲夜が淹れてくれたお茶を一口飲み

 

 

ヴラド「ところで…結局俺はこれからどうすれば良いのだ?」

 

 

レミリア「…え?…あー…」

 

 

 

レミリアはプリティー連合会合時の会話を思い出す

 

 

 

ーーーーーーーー

 

紫『何日かすれば幻想郷を管理している者が現れるのでしばらく待っていてほしい』

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

レミリアは目を閉じ、頭をぶんぶんと横に降る

 

 

 

レミリア「…そうだわ!」

 

 

ヴラド「?」

 

 

レミリア「そういえば咲夜!貴女この前紅魔館には男手が足りなくて困るって言ってたわよね!?」

 

 

 

レミリアは咲夜に向かって少しわざとらしく問いかける

 

咲夜は一瞬考え

 

 

 

咲夜「…はい、男性の力でないと困ることは多い…ですわ」

 

 

 

レミリア、したり顔

 

咲夜の言葉を聞くとヴラドに向かって

 

 

レミリア「…というわけで、ちょうどいいし、しばらく紅魔館に居て咲夜の手伝いをしなさい!」

 

 

ヴラド「…はぁ…?」

 

 

レミリアのドヤ顔にヴラドは眉をしかめる

 

 

ヴラド「…ふむ…」

ヴラド(まぁ…話を聞く限り、全く知らない土地…更に妖怪とかいう危険な生き物が徘徊してる世界に一人で出歩くわけにはいかないか)

 

 

レミリア「…」

 

 

ヴラド「わかった、俺にできることがあるなら手伝わせて貰おう」

 

 

 

レミリアの表情がぱぁっと明るくなる

 

 

 

レミリア「ほ、骨身を惜しまずにがんばりなさいよ!」

 

 

ヴラド「…ああ、よろしく頼む」

 

 

咲夜「…それではヴラド様」

 

 

 

初めて会話した時との違いに驚くヴラド

 

 

 

咲夜「改めましてヴラド様、私は紅魔館のメイド長、十六夜咲夜と申します。先程の無礼な振舞い、失礼致しました」

 

 

 

姿勢を正し、丁寧にお辞儀をし、自己紹介をする咲夜

 

 

ヴラド「…居候になるんだ…様付け

はやめてもらえないか?」

 

 

咲夜はレミリアを一目見て

 

 

咲夜「…そういうわけにはいきません…ご迷惑でしょうか?」

 

 

ヴラド「…いや、まぁいいが…」

 

 

レミリアは腕を組んで

 

 

レミリア「じゃあ決まりね!よろしく、伯爵!」

 

 

ヴラド「伯爵?」

 

 

レミリア「あら、貴方にはお似合いだと思うけど?」

 

 

ヴラド「やめてくれ…伯爵なんて大層な呼びは俺には合わない」

 

 

レミリア「…なら…」

 

 

 

レミリアはもじもじとぎこちない動きをし、上目遣いでヴラドを見ながらか細い声で

 

 

レミリア「お、お父様、とか…どう?」

 

 

咲夜「…!!」

 

 

咲夜、レミリアの言葉を聞いた瞬間鼻から血を吹き出す

 

 

ヴラド「…お父様…?」

 

 

レミリア「……」

 

 

レミリア、これ以上ないくらい顔が真っ赤である

 

ヴラドはソファーに少しもたれかかるように座り

 

 

ヴラド「…見ず知らずの男に対して父親と呼ぶとは…どうかと思うぞ?」

 

 

レミリア「見ず知らずじゃないわよ!」

 

 

 

レミリア、思わず声が大きくなる

 

 

ヴラド「…何故だ?」

 

 

レミリア「…あ、えーと…うん、そう…」

 

少し焦りながら手をあたふたするレミリア

 

 

レミリア「こ、この紅魔館にいる以上は家族みたいなものよ!ええ!そうなの!紅魔館のしきたりよ!それにこの紅魔館に居候が居る、なんて噂が広がったら変なやつらも増えるし、それならスカーレットの父親として紅魔館に居た方が絶対良いに決まってるわ!」

 

 

咲夜(…お嬢様、なんて苦しい…)

 

 

鼻紙でちーんと鼻をかむ咲夜

 

ヴラドはじっとレミリアを見る

 

 

 

レミリア「…うう…」

 

 

ヴラド「…わかった…そう言うのならそのしきたりに従おう」

 

 

レミリア「ほ、ほんと!?良いのね!?」

 

 

レミリア、キラキラした目でヴラドの前に出る

 

 

ヴラド「あ、ああ…」

 

 

レミリアの勢いに若干たじろぐヴラド

 

 

ヴラド「お前…いや、レミリアが俺を父と呼ぶのなら…俺はレミリアを子と呼ぼう」

 

 

ヴラド(吸血鬼とはいえこんな幼い子だ…ただの遊びだろう…)

 

咲夜(…とか思ってるでしょうね)

 

 

 

ヴラドを見ながら咲夜は考える

 

 

レミリア「ふふふん♪」

 

 

レミリア、ニッコニコである

 

 

 

レミリア「じゃあ咲夜っ!早速お父様のお部屋を…」

 

 

ばっ、とレミリアが咲夜に向かって手を伸ばしポーズを決めようとした時

 

 

咲夜「お嬢様、既に用意してあります」

 

 

いつのまにか鍵を持った咲夜がヴラドの横に立っていた

 

 

ヴラド「!?」

 

 

レミリアの横に立っていたはずの咲夜が突然ヴラドの座っているソファーの横に居たことに驚くヴラド

 

 

ヴラド「…一体…」

 

 

レミリアはドヤ顔をする

 

 

レミリア「咲夜の能力よ」

 

 

ヴラド「…能力?」

 

 

咲夜が目の前に懐中時計を取り出す

 

 

咲夜「私は時を操る能力を持っています。主に私以外の時を止めたり、早めたり遅くしたり…」

 

 

ヴラド「…俺たちの時を止め、止まってる間にこちらに来たのか…」

 

 

咲夜「はい、驚かせてしまった様で申し訳ありません」

 

 

ヴラド「いや、気にしないでくれ」

 

 

レミリア「じゃあお父様の部屋へ案内するついでに紅魔館の事…いろいろ教えてあげるわ!」

 

 

レミリアがニコニコしながら扉へ向かう

ソファーから立ち上がるヴラド

 

 

咲夜「もうお身体は大丈夫なのですか?」

 

 

ヴラド「ああ…2人と話してたお陰で大分楽になった…そういえば門番…美玲…だったか?彼女は?」

 

 

咲夜「…持ち場に戻らせてあります。まだ仕事終わりの時間ではないので…」

 

 

ヴラド「そうか…なら彼女にも礼を伝えておいてくれないか?…ありがとう、と…」

 

咲夜「かしこまりました」

 

 

レミリア「早く行くわよ!」

 

 

大広間の扉を開け、ヴラドに向かって声を張るレミリア

 

 

ヴラド「ああ」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

真っ赤な絨毯の敷かれた廊下を歩くヴラド、レミリア、咲夜

 

先頭はレミリアである

 

 

 

レミリア「…で、そこが12番客室よ」

 

 

 

ヴラド「…外観よりも中は広くていくつも部屋があるんだな…紅魔館は…」

 

 

咲夜「私の能力でこの紅魔館の中を広くしているんですよ」

 

 

 

ヴラドの横を歩く咲夜が歩きながら答える

 

 

ヴラド「…時を止める能力でか?」

 

 

咲夜「時間と空間とは、実は密接した関係があるんですよ?」

 

 

ヴラド「…そういうもの…なのか…?」

 

 

レミリア「さ、じゃあこの階段を降りるわよ」

 

 

ヴラド達は地下に続く階段への入り口へ到着する

 

 

ヴラド「…地下?」

 

 

レミリア「地下には紅魔館が誇る大図書館があるのよ」

 

 

ヴラド「ほぅ…図書館…」

 

 

興味が湧いたのか本という単語に少し反応するヴラド

 

 

レミリア「世界中のありとあらゆる本がだいたい置いてあるわ!」

 

 

ヴラド「…ふむ…」

 

 

3人は階段を降り、地下へ向かう

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

紅魔館の地下、大図書館よりも更に地下にその部屋はあった

 

部屋の天井、壁はピンク色、キングサイズの天蓋付きのベッドのシーツもほぼピンク一色と、幼い少女が好みそうな色合いの寝具、その周りに散らかされたクマや犬の可愛らしいぬいぐるみ

 

そんなぬいぐるみ達の真ん中に少女はいた

 

輝くような金髪の髪をツーサイドアップにし、裾にフリルのついた真っ赤な生地のベストにスカートを着、背中から出ている色鮮やかな宝石のようなものをいくつも吊り下げたような羽根

 

少女は暗い表情で茶色のクマのぬいぐるみを抱きかかえていた

 

 

 

 

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