東方香靈記   作:114

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第27話「8月27日後編」

8月27日

 

寺子屋を出て私は博麗神社へと向かうため、霧雨の降る幻想郷の空を飛ぶ

 

 

香を探す、ただこれだけのために

 

 

 

…しかし

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

魔理沙「…手紙?」

 

 

寺子屋を出発する時、私は慧音から一枚の手紙を受け取っていた

 

 

慧音「ああ、まぁ、もし会えたらで構わないんだ。今日会えなければ捨ててしまってもいいさ」

 

 

魔理沙「…竹林の方には行かないんだけどな…」

 

 

そう言いながら渡された慧音の手紙を見る

 

葉書サイズの白い封筒、裏を見ると実に慧音らしい達筆な文字で上白沢慧音より、と書かれていた

 

 

 

 

魔理沙「おい…恋する少女じゃないんだ…これくらいなら自分で…」

 

 

手紙に書いてある慧音の名前から本人の顔へと視線を変えると手紙の差出人は顔を背けた

 

 

 

 

魔理沙「…お前らまさか…」

 

 

ピクッと慧音の肩が震える

 

 

 

魔理沙「…喧嘩したのか…」

 

 

 

慧音「いやっ!ちがぅ!…ただ、その…妹紅とは意見の相違があってだな…」

 

両手をわたわたさせながら上手いこと説明しようとする慧音

 

 

 

魔理沙「…妖怪の世界じゃなんて言うかしらんが世間一般ではそれを喧嘩って言うんだぜ」

 

 

慧音「う…」

 

 

 

…しおらしくなった慧音を見てから手紙をポケットに入れる

 

 

 

 

魔理沙「まぁ…会えなかったら手紙は返しにくるよ」

 

 

 

慧音「…すまん」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

はぁ、めんどくさいな…

 

まぁ、それはともかくとも

 

 

 

魔理沙「…霧雨だからって舐めてた…もう服がびしょびしょだぜ…」

 

 

美女がびじょびじょ…なんてな

 

ああ、わかってる。

誰も突っ込んでくれないんだよな…

 

 

 

途中家に寄って着替えていくか?

いや…なんとなく、なんとなくだが…

 

 

魔理沙「早く行かなきゃ、だな」

 

 

 

私は箒の速度を上げ博麗神社へ向かう

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

人里からいくつかの山を越え、霧雨も止む頃に博麗神社の鳥居が遠くから見えてくる

 

 

貧乏巫女の神社にしては少し大きめの見慣れた拝殿へと続く参道に昨夜対峙した少女が脚を肩幅に広げて私の方を向いている

 

 

まるで私が来るのを待ち構えていた様に

 

 

 

香「やぁ、魔理沙」

 

 

香はニコリと笑い右手を上げ挨拶する

 

 

香の姿を確認した私は思わず周りを見回す

 

 

香「大丈夫、今はウチしかいないよ」

 

 

魔理沙「信用できるわけないだろ」

 

 

 

この少女の唱えたスペルであんだけ多くの人が集まってきたんだ

 

 

辺りを注意しない方がどうかしてる

 

 

 

警戒しながらも箒から参道へと降りる

 

 

私と香は鳥居を挟んで再度対峙する

 

 

 

香「びしょびしょだねぇ、魔理沙」

 

 

魔理沙「…ああ」

 

 

香「ねぇ、怪我はしてない?」

 

 

魔理沙「あ?…は?怪我?…別になにも?」

 

 

何を言われるかと思えばそんなこと…

 

 

相変わらず香はニコニコしたまま続ける

 

 

香「よかった。あの天狗の人は大丈夫?」

 

 

 

魔理沙「…大丈夫な訳あるかよ…羽根も身体も穴が開いたんだぞ!」

 

 

香「そっか…」

 

 

香は二歩私を歩み寄る

 

 

私は身構える

 

 

香「昨日は…怖がらせてごめんね」

 

 

私は驚いた

 

 

昨日突然襲ってきた少女は何を思ったのか私に頭を下げてきたのだ

 

 

魔理沙「…な、なんだよ」

 

 

香は頭を下げたまま

 

 

 

香「…信じてもらえないと思うけど、ウチは魔理沙達を殺そうとしてたわけじゃないんだ…」

 

 

魔理沙「そうか?昨日のお前は随分とヒールな感じがしてたけどな」

 

 

香「…勢いで、やっちゃったのもある…かな。ホントごめん」

 

 

魔理沙「…頭下げるなら文や椛達に下げてやれよ」

 

 

 

香「…無理だよ。多分ウチ嫌われちゃったから」

 

 

そう言って香は頭を上げる

 

 

 

魔理沙「…どうして、私が博麗神社に来るってわかってたんだ?」

 

 

 

香「昨日の魔理沙の記憶を見て、ここのイメージがすごく強かったから…ね」

 

 

 

 

 

魔理沙「…私に何をした?」

 

 

 

何を、多分いろんな意味を込めた一言だと思う

 

香「…何も?魔理沙の記憶を見ただけだよ」

 

 

魔理沙「…あの夢はなんなんだよ」

 

香「…夢?」

 

 

魔理沙「なんで霊夢に関わってるんだ!なんで私にあの夢を見せ続ける!」

 

 

魔理沙「…お前は…一体なんなんだよ…」

 

 

香「瑠歌香、反魂香だよ」

 

 

魔理沙「…付喪神…なのか?」

 

 

 

香「付喪神?…違うよ?」

 

 

 

ちがうのか?

でもあの時文が言ってたのは…

 

 

 

魔理沙「お前の目的はなんなんだ?なんで霊夢と行動を共にしてる?霊夢がお母さんって呼んでたのは誰なんだ?昨日のスキマはなんだ、紫も関わってるのか?」

 

 

香「いっぺんに聞かないでよ…」

 

 

魔理沙「あ、悪…い…」

 

 

 

私は思わずたじろぐ

 

 

香「…ウチの目的は…ただの観光、幻想郷を観光することだよ」

 

 

香はヘラヘラ笑いながら説明する

 

 

 

魔理沙「…かんっ?…は?」

 

 

『…お母さんっ!』

 

 

香の話を聞いて私は思い出す

 

 

あの時香が私に流し込んできたと思われる香の記憶を

 

 

あの時の香の必死な叫び

 

 

 

 

魔理沙「観光…ねぇ、へぇ」

 

 

 

香「な、なにさ…」

 

 

私は帽子を被り直す

 

 

 

 

魔理沙「なぁ、そんな嘘はどうでもいい、ちゃんと話してくれないか?」

 

 

香の表情が曇る

 

 

香「…なにを…」

 

 

魔理沙「何もかもだ」

 

 

 

私達の間を湿気った風が吹き抜ける

 

 

 

香「…魔理沙は…」

 

 

 

魔理沙「?」

 

 

香「魔理沙は自分のお母さんのこと…覚えてる?」

 

 

魔理沙「お母さん?」

 

 

香は神妙な表情で私に問いかけてくる

 

 

魔理沙「…私に母親なんていないぜ?」

 

 

 

香「…なんでそう思うの?」

 

 

は?

思うもなにも…最初から私に母親なんて…

 

 

魔理沙「あ…れ?」

 

 

私の視界、目の前に一瞬ノイズが走る

 

 

 

頭がぐらつく

 

まるで風邪の時のように

 

 

知っているのに知らない感覚

 

 

 

母親

 

 

母親?

 

 

 

魔理沙「な、わ、私…私は…」

 

 

思わず頭を抱える

 

 

 

母親はいる

 

 

いや、正しくはいた

 

 

今は?

 

何故記憶がない?

 

 

 

私の頭はどうなったのか…

 

 

 

 

香「ウチなら…」

 

 

魔理沙「え?」

 

 

 

香「ウチなら思い出させてあげられるよ」

 

 

何を…

 

 

香「その鍵のかかった記憶、ウチなら開けられる」

 

 

魔理沙「お前…私の敵…なんだろ?」

 

 

香「それは魔理沙が勝手に考えてるだけだよ。ウチは魔理沙を敵とは見てない」

 

 

 

香「昨日だってそう、ウチは魔理沙の事を助けるために近づいた…邪魔が入ったから攻撃する形にはなったけど」

 

 

 

邪魔…文たちのことか

 

 

 

魔理沙「…助ける?」

 

 

思わず反応してしまった

 

 

香「そう、魔理沙を助ける」

 

 

 

 

そう言い香は参道から空へゆっくりと浮かび、スペルカードを取り出す

 

 

魔理沙「!?」

 

 

 

 

香「ちゃんと、幻想郷のやり方で勝負するよ…昨日はめちゃくちゃにやってちょっと怒られちゃったしね」

 

 

 

…誰に怒られたのかは想像できるが…

 

 

 

 

 

魔理沙「上等だっ!」

 

 

 

そう言い放ち私も箒に乗りスペルカードを取り出す

 

 

 

博麗神社上空、私と香は昨夜に続き再度対峙する

 

 

香『覚符、ダンチェンマイ』

 

 

魔理沙「!」

 

 

香がスペルカードを唱えると、私と香との間に直径5メートル程の紅く、霧がかった大玉が現れ、その周りを白い手のひらサイズの白い球が大量に現れ私に向かって飛んでくる

 

 

魔理沙「…弾幕っ!?」

 

 

私は更に上空へ逃げる

 

 

無数の白い球は直線に飛ぶ、飛んでくる方向がわかれば避けるのは簡単だ

 

 

でも

 

 

魔理沙「あの大玉…追ってくるのか…」

 

 

白い球よりもかなりスピードは遅いが私を追いかけてくる赤玉

 

 

私はミニ八卦炉を香に向けレーザーを放出する

 

 

香「あはははっ!追いかけっこだよ!」

 

 

笑いながら私の弾幕を避ける香

 

 

 

魔理沙「…ちっ!」

 

 

よそ見してると白球が勢いよく飛んでくる

 

 

魔理沙「っぶなっ!アイツを攻撃してるとこっちの白球が容赦なく飛んできやがる…」

 

 

ちらりと赤球を見る

 

 

魔理沙「…更に赤いのはずっと追いかけてくるから常に移動してないと、か」

 

 

…でも

 

 

香「っ!?」

 

 

香の顔面間近を私のレーザーが通る

 

 

魔理沙「面白い弾幕だけどなっ…幻想郷じゃあ基礎みたいな弾幕だぜっ!」

 

 

 

 

香「っちっ!」

 

 

 

香に向けて2発、3発と弾幕を打ち込む

 

そしてそれを避ける香

 

 

魔理沙「やっぱな!弾幕ごっこじゃあまるで初心者だ!…勝てる!」

 

 

私は香よりも更に上空に飛び上がる

 

 

香「…まっだまだぁっ!」

 

 

白と赤の弾幕は相変わらず私を狙い飛んでくる

 

そんな状況で私は想う

 

 

まさか博麗神社の空で弾幕ごっこをするとはな

 

 

 

霊夢がいたらどやされるな

 

 

そんな事を考えた瞬間、私の肩を香の白い弾幕が掠る

 

 

魔理沙「っうおっ!」

 

 

 

 

香「…やった!」

 

 

 

空中でバランスを崩しそうになるがなんとか持ち堪え、ミニ八卦炉を香に向ける

 

 

魔理沙「…やってねぇよっ!」

 

 

 

魔理沙「魔符『ミルキーウェイ』!」

 

 

 

スペルを唱えるとミニ八卦炉から7色の光が放射線状に解き放たれ香に向かって飛んでいく

 

 

香「うっうわっ!覚符!『イーチャンヤ…」

 

 

魔理沙「…バカめっ!」

 

 

香が次のスペルを唱えようとするが、私のスペルの方が攻撃速度が早かった

 

香の周りに様々な大きさの半透明の星々が現れると、香を中心にドーム状に周りながら近づきつつ、標的に近づくとさらに速度が上がっていき、そのまま高速でぶつかりにいく

 

 

香「がっががががががっ!あばばばばばっばばばっ!!」

 

 

全弾命中

 

 

 

勝敗は…

 

 

 

 

香「…うぇあ〜…」

 

 

 

 

白目を剥き、黒コゲになった香はフラフラと博麗神社に落ちていく

 

 

魔理沙「…勝負あり、だな」

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

香「う、うぅん…」

 

 

魔理沙「お?目を覚ましたな?」

 

 

 

香との弾幕ごっこ後、私は参道に墜落し、気絶した香を拝殿側、賽銭箱のある段に寝かせた

 

 

香「あーあ…負けちゃった。強いねぇ、魔理沙」

 

 

起き上がり、少しいじける様に笑いながら吐く香

 

 

魔理沙「…なぁ」

 

 

香「ん?」

 

 

魔理沙「私を助けるって…なんのことだ?」

 

 

香「…」

 

私は参道に視線を向けたまま香に問いかける

 

 

香「霊夢から、お願いされたの」

 

 

魔理沙「は!?」

 

 

思わず勢いよく香の方を向く

 

 

香「お、落ち着いてっ…」

 

 

少し前かがみになった私を香がどうどうと抑える

 

 

香「5日くらい前かな?霊夢と初めて会った日にね…魔理沙を助けてあげてほしいって」

 

魔理沙「なんで最初に私と会ったときにちゃんと言わなかったんだよ!」

 

 

香「あはは…ごめんごめん」

 

 

魔理沙「それに…霊夢からもきちんと話を聞きたかったのに…」

 

 

 

香「…あー…それはね…」

 

 

 

香が続きを喋ろうとした時、私と香の間を何か光る物が高速で風を切って通り抜けた

 

 

魔理沙&香「!?」

 

 

その飛んできた何かは拝殿の壁に突き刺さっていた

 

高そうな洋物のナイフ、まるでお金持ちの家の食卓時に使う様な銀細工の施された取手

 

 

そんな"時を止めて"ナイフを飛ばしてくる奴なんて私が知る限り1人しかいない

 

 

魔理沙「…正直誰かしら来るだろうなとは思ってたけど…まさかお前とはな…」

 

 

私はゆっくりと立ち上がりナイフが飛んできた方、鳥居のある参道の方を見る

 

 

 

魔理沙「…咲夜」

 

 

 

そこにいたのは紅魔館のメイド、いや、メイド長の十六夜咲夜だった

 

 

咲夜はいつもの冷え切った眼差しで私と香に視線を向ける

 

 

 

香「あ、えーと…紅魔館の、人!」

 

 

 

咲夜は私達のいる拝殿に向かってツカツカと歩いてくる

 

 

右手には2本のナイフを指に挟んだまま

 

 

魔理沙「…良い予感は…しないな…」

 

 

 

逃げようと一歩脚を出そうとした時、私の足下にナイフが突き刺さる

 

 

魔理沙「!?」

 

 

香「え?うわっ!」

 

 

咲夜の能力を理解していない奴なら驚いて当然だ

 

まるで突然そこにナイフがある様に見えるだろう

 

 

魔理沙「…なんの用だ?」

 

 

咲夜「…事情は説明要らないでしょう?せめてもの情けよ。大人しくその子をこちらに引き渡しなさい」

 

 

魔理沙「…そうすれば怪我はさせないってか?」

 

 

 

無言で肯定する咲夜は私に向けナイフを構える

 

 

 

魔理沙「こういう時は弾幕ごっこじゃないのか?」

 

 

 

ガチの闘いでコイツに勝てるわけないだろ…

 

 

 

咲夜「ごめんなさいね、もうごっこ遊びじゃあ無くなったのよ」

 

 

 

魔理沙「…あっそ」

 

 

勿体無いけど仕方ない!

 

 

 

私は肩から下げていた袋と箒を左側に投げ、咲夜に向かってミニ八卦炉を構える

 

 

咲夜「…抵抗するのね?」

 

 

魔理沙「…抵抗するさ!」

 

 

 

ミニ八卦炉から向かって咲夜の左手側にレーザーを撃つ

 

 

 

香「えっえっ?」

 

 

 

瞬間咲夜は消えて私の右側数メートルまで移動した

 

 

魔理沙「わかってたさ!」

 

 

すかさず正面を向いたまま右側にミニ八卦炉を向け同じくレーザーを放つ

 

 

 

咲夜「無駄よ」

 

 

 

今度は左側から声がかかってきたが

 

 

 

 

…ああ、わかってたよ

 

 

そっち側に来るのは

 

 

 

 

魔理沙「そこに来て欲しかったんだ」

 

 

 

 

そう呟き左手に持っていた小さな起爆スイッチを押す。それと同時に何が起きてるのかわかってない呆けてる香の手首を掴む

 

 

香「え?」

 

 

 

ぼんっという音と共に黒煙が私の投げ捨てた鞄から吹き出す

 

 

そう、咲夜は2回目の移動で私の投げ捨てた鞄の近くまで移動してたのだ

 

 

咲夜「くっ!煙幕!?」

 

 

 

私は咲夜の声を無視して香を引っ張り逃げ出す

 

 

魔理沙「煙幕だけじゃないぜ!」

 

 

 

咲夜「…ぐっ…これ…は…」

 

 

煙幕が咲夜の周りに上がったためはっきりとはわからないが間違いない、効いてるな

 

 

魔理沙「…痺れ煙幕さっ!」

 

 

追ってこないのをみるとバッチリ効いてるんだろうな

 

 

咲夜が追ってこないのを確認すると私は香を連れ博麗神社から逃げる

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

「はぁっ!はっ!はっ!」

 

 

荒い息を吐き香と山道を走り抜ける

 

 

博麗神社から飛んで行けば楽なんだが、私の予想が合ってれば多分こっちの方が良い

 

 

 

香「痛っ!木の枝がっばっ、ばばばっ!」

 

 

魔理沙「我慢しろ!」

 

 

後ろは見てないが多分草木が香にぶつかってるんだろう、いや、この場合香がぶつかりに行ってるのか…

 

 

 

香と走ってるとどこからかどん、どん、と連続で爆発する音が聞こえたり森から空へ向かって炎が上がったりしていた

 

 

 

魔理沙「はぁっ!はあっ!やっぱり…なっ!」

 

 

香「な、なにがさっ!?」

 

 

魔理沙「細かいことは今は話せないがっ!…はぁっ、はぁっ…」

 

 

私達は一度その場で止まる

 

 

魔理沙「…"あいつら"はお前を狙ってんだよ!…だからとにかくここから逃げる!」

 

 

多分、コイツは理解してないだろうな

 

きょとんとした顔で全く事を理解してない

 

 

香「ウ、ウチの事を…?なんで?」

 

 

っていうかこんだけ走って息切らしてないって…流石妖怪…

 

 

 

魔理沙「それはとりあえずここから逃げたら話す!…というかお前からも話を聞くことが山程あるから…」

 

 

 

私はまた走り出す

 

私が走り出すのを見て香も一緒に走り出す

 

 

魔理沙「とにかくここから逃げるぞ!」

 

 

 

香「わかった!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

魔理沙と香が逃げた後の博麗神社

 

 

魔理沙の放った痺れ煙幕の黒い煙が晴れるとその場に片膝を付くメイド長が1人

 

 

咲夜「…はぁ、やられたわ…」

 

 

1つため息を吐き、自分の右手をフルフルと振る

 

 

咲夜「…人間用…かしら…準備が良いのね、魔理沙…」

 

 

そう呟き立ち上がる。

そして魔理沙の逃げて行った方をじっと見る

 

 

 

「あら、やられちゃったの?」

 

 

声がする方、咲夜が空を見あげるとそこには背中の小さな蝙蝠の羽根をパタパタと動かしながら空を飛ぶ紅魔館の主人、レミリア・スカーレットがいた

 

 

 

咲夜「申し訳ありません。お嬢様」

 

 

レミリアは不適な笑顔で神社に降りる

 

 

 

 

レミリア「珍しく咲夜が1人で様子見に行きたいって言うから行かせてあげたんだけど…やったのは反魂香かしら?」

 

 

咲夜「…恐らく…神社に降りた瞬間に麻痺効果のある煙幕でやられてしまいまして…」

 

 

レミリアは驚く

 

 

 

レミリア「咲夜がやられるなんてね…」

 

咲夜「時を止めようとする直前でやられてしまったので…」

 

 

 

咲夜はまだ痺れの残る身体でレミリアに向け頭を下げる

 

 

 

レミリア「…構わないわ。とにかくホシはここにいたって事よね。辺りを探しましょうか」

 

 

 

咲夜「…はい。お嬢様」

 

 

レミリアは飛び上がり、残った咲夜は賽銭箱裏の拝殿の戸を開ける

 

 

あうん「むーっ!むーっ!」

 

 

 

もともと灯りが無かったであろう拝殿内に日の光が差し込む。

 

咲夜が戸を開けたおかげだ

 

 

だがそこにいたのは両手足を縛られ口元を布で巻かれた悲しき狛犬、高麗野あうんだった

 

 

咲夜「手荒な事して悪かったわね。でも最初に突っ込んできたのは貴女よ」

 

 

そう呟きながら咲夜はあうんの手足を縛っている紐を解く

 

 

あうん「なんえ…あんなおおを…」

 

 

口元を巻かれたままあうんは問いかける

 

 

 

咲夜「?…ああ、なんであんなことを?」

 

 

両手足が自由になったあうんは自分で口元の布を取る

 

 

あうん「魔理沙さんのこと、なんで言わなかったんですか?」

 

 

 

咲夜を警戒しつつ問いを続けるあうん

 

 

その問いに咲夜は直ぐには答えず、あうんを縛っていた紐と布を丁寧に畳みながらエプロンのポケットにしまう

 

 

 

咲夜「…なんとなくよ」

 

 

 

咲夜の返しにあうんは眉をしかめる

 

 

あうん「…貴女、自身の主人のためならどこまでも冷酷になれると話を聞きましたが…」

 

 

咲夜「失礼なわんちゃんね。私がなんとなくと言ったらなんとなくなのよ」

 

 

あうん「…うう」

 

 

 

紅魔館のメイド長はやっぱり怖い

 

 

改めてそう思った狛犬だった

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

私と香はしばらく山中を駆け巡った後、山の斜面に出来た小さな洞穴を見つけすぐさまそこに隠れた

 

 

…っていうか敵対した奴と一緒に逃げて更に一緒に隠れるなんて…

 

 

洞穴の外じゃ相変わらず爆発音が聞こえる

 

 

 

魔理沙「厄日だな…全く」

 

 

ぼそり、と私は思わず呟く

 

この先が思いやられる…

 

 

魔理沙「まぁ良い…くないな…とりあえずあいつらがこの辺を離れるまでちょっと待つか」

 

 

私は入り口近くで外の様子を見ている香に伝える

 

 

香「ねぇ、あいつらって言ってるけど、誰なの?」

 

 

香は不思議そうな表情で私に問いかけてくる

 

 

 

魔理沙「…誰か、ってのははっきりわからないがな…多分幻想郷の各勢力連中だろうな」

 

 

…咲夜の話、それに慧音の話から考えると間違いないだろうな…

 

 

 

洞穴で少し待つと音が遠ざかっていく様な気がした

 

 

 

魔理沙「…そろそろ行くか…」

 

 

香「うん!」

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

結果から言えば失敗した

 

もう少し待ってから出ればよかった…

 

 

 

山中、咲夜に次いで次に出逢ったのは永遠亭の鈴仙だった

 

所々服が汚れてるのは弾幕ごっこをした直後だからだろう

 

 

 

鈴仙「…見つけた…!反魂香!」

 

 

 

鈴仙は右手に持つラッパ型の銃を持ち、私と香の方へ向ける

 

 

魔理沙「…鈴仙…!」

 

 

鈴仙「魔理沙!大人しくその子を渡して!早く!」

 

 

 

魔理沙「お、おい、待てって…」

 

 

 

私は少し興奮したであろう鈴仙を落ち着かせるために右手を向ける

 

 

鈴仙「時間ないの!…早く…」

 

 

 

魔理沙「時間が無い?どういう…」

 

 

 

私が鈴仙に問いただそうとすると、突風が私達のいる林の中を通り抜ける

 

 

 

鈴仙「きゃっ…!」

 

 

魔理沙「!?」

 

 

 

その突風は鈴仙を吹き飛ばし、鈴仙を後ろの木にぶつけた

 

 

鈴仙「んがぁっ…こ、腰が…」

 

 

魔理沙「…お前…!」

 

 

風と共に現れたのは命蓮寺の御本尊、寅丸星だった

 

 

 

星「…」

 

 

魔理沙「お前…そんな目つき悪くなかったよな?」

 

 

 

寅丸はまるで猛獣のような目つきで私達を睨みつけ、手に持った鉾を構え直す

 

 

 

鈴仙「…ぐぐぐ…こ、腰ィ…」

 

 

 

腰を強打した鈴仙は木の下でうずくまる

 

 

 

 

魔理沙「…弾幕ごっこするつもりはないのかよ?」

 

 

 

こいつ…

 

 

香「ま、魔理沙…」

 

 

 

まさから洞穴出てすぐにこいつらに出会うなんて…

 

 

北は博麗神社、多分咲夜やこいつら以外の奴らがいるし

 

南、洞穴の裏側から山を降りるか…

 

 

東には寅丸と鈴仙がいる

 

西の方は山が続くから行くのはやめた方がいい、と

 

 

 

魔理沙「どこまで行けるかわからんが…」

 

 

香「え?」

 

 

私は香の手を掴み駆けだした

 

 

 

星「!?」

 

 

 

私と香は鈴仙と寅丸のいる方とは逆、洞穴の入り口横を走る

 

向かうは南方向、山を降りて…人里、いや、私の家の方へ向か…いや、うーん…

 

 

 

走りながら自分のスカートのポケットを生地の上からぽん、と叩く

 

 

 

魔理沙「…あった!」

 

 

手製の痺れ煙幕。

 

1つだけ残ってたぜ

 

 

…というか咲夜の時に鞄ごと放り投げたのは失敗だったな

 

他のやつもいろいろ入ってたのに…

 

 

 

魔理沙「これでも食らえっ!」

 

 

 

後ろを見ずに寅丸達のいるであろう方向に走りながら痺れ煙幕を放り投げる

 

 

 

ぼん、という音と共に黒煙が寅丸達のいる森林を包む

 

 

 

香「すごい!これも魔法!?」

 

 

 

…緊張感のない奴め

 

 

 

私と香は南へと走り出す

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

南に向かって走る

 

 

なんとか山の麓の森を抜けるとただっ広い草原に抜けた

 

 

遠くには人里が見える

 

 

魔理沙「…はぁ、はぁ…」

 

 

…わかってる

 

森の中からこんな草原に出たら格好の餌食だ

 

 

魔理沙「…はぁ…はぁ…暑い…」

 

 

 

こんな真夏の中、雨に当たった後に湿度のすごい森を駆けたんだ

 

…汗で下着までぐっしょりだ

 

 

ふと私は走ってきた森の方を見る

木々の間からは誰の姿も見えない

 

 

香「ね、ねぇ魔理沙…」

 

 

魔理沙「ん?」

 

 

両膝に手を乗せ、息を切らせてる香が私を呼ぶ

 

 

香「もうこのまま一気に人里まで行っちゃおうよ」

 

 

 

一気にって…

 

 

 

魔理沙「だめだ、私達の場所がバレる」

 

 

…というか…

 

 

 

魔理沙「お前…仲間はどうしたんだよ」

 

 

香「ぇえ?」

 

 

魔理沙「昨日の奴らだよ!あの、ほら!大勢いた!」

 

 

香「あー?…あーあーあー…」

 

 

魔理沙「?」

 

香「あの子達なら城を作ってくれてるよー」

 

 

魔理沙「は?城?」

 

 

 

香「そうそう、なんかねー、試練の塔的な!」

 

 

 

何言ってんだこいつ

 

 

 

魔理沙「…じゃあ本当に一人で来てたんだな…お前…」

 

 

 

香「もっちろん!ウチ、嘘言わないよ!」

 

 

魔理沙「…ふん、どうだか…」

 

 

 

…じゃあ、改めてここから離れる方法考えないとな

 

 

…と、その前に

 

 

 

香「んぁ?」

 

香の身体全体がぼんやりと青白く光る

 

 

魔理沙「この系統の魔法はちょいと苦手なんだがな…」

 

 

香「…魔法…」

 

 

 

今香に向かって唱えてる魔法は…まぁ、なんだ…反射と身体強化のバリアってやつだ

 

 

魔理沙「そう、万が一のための…バリアみたいなもんだ」

 

 

私がそう言うと香は目をキラキラ輝かせて

 

 

香「バ、バリヤー!?」

 

 

魔理沙「お前が意識的に攻撃されるってわかってる攻撃を敵に返す魔法だ。あとお前自身の防御力を上げる…ちょっとだけな」

 

香「凄いね魔理沙!魔法使いみたい!」

 

 

 

魔理沙「…ん…まぁ…いいや…」

 

 

…魔法使いなんですが…

 

 

香「ならウチもお礼に…」

 

 

そう一言言って香は私に向かって人差し指を向ける

 

 

瞬間、紫色の淡い光が私を包み、すぐ消える

 

 

魔理沙「…何を?」

 

香「後で説明してあげるよ〜」

 

 

魔理沙「…???」

 

 

なんかの罠か?

いや、この状況で私に罠なんかかけるか?

 

考えていると私達の後方、洞穴があったであろう方向で3.4回爆発音が鳴った

 

 

音を聞いて私と香は木々の間から空を見上げる

 

 

少し曇り気味の空には先ほど見た光景、炎の柱がまるで天に向かって吹き出すようにいくつも空に上がっていた

 

 

香「ね、ねぇ魔理沙…あの炎…こっちに向かってきてない?」

 

 

冷や汗をかきながら私に問いかけてくる香

 

 

魔理沙「…ゃ…いや…」

 

 

言われなくてもわかる

さっきはこの山の中で誰かと誰かが戦ってるんだろうって思ってたけど…

 

 

香「うわっ!」

 

 

私達の目の前にもその炎の柱が上がった

 

 

真っ赤に燃え上がるそれはただの炎ではない、自然発火や幻術でもない

 

湧き上がる命の灯のような熱を持った炎はさながら不死鳥の炎の様だ

 

 

 

 

そんな炎を使う奴なんて幻想郷には1人しかいない

 

 

 

魔理沙「…まさかこいつと出会うとはな…」

 

 

炎の柱がやがて人の形になる

 

 

「やぁ、筍狩りの季節には遅いんじゃあないかい?」

 

 

 

そこに現れたのは白いシャツに赤いモンペを着、足首辺りまで伸びる真っ白で長い髪を持った永遠の命の少女、藤原妹紅だった

 

 

妹紅「こんな所で会うなんて奇遇だね、魔理沙」

 

 

炎の中から現れた妹紅は左手をモンペのポケットに突っ込み、右手で自身の口元にタバコを1本持っていく

 

香「だ、誰?」

 

 

 

魔理沙「…妹紅、不老不死の蓬莱人だ」

 

 

香「…ほうらい?」

 

 

 

妹紅「そう、よろしくね。瑠歌香」

 

 

 

妹紅は香に向かってニコッと笑う

 

 

 

しまった

 

こいつも香目当てで…

 

 

香「あっよろしくね!」

 

 

妹紅につられて笑顔で返す香

 

 

 

 

香の表情を見て妹紅は人差し指から小さな火をつけ、口元に加えたタバコに火をつける

 

 

 

魔理沙「…お前、タバコなんて吸ってたか?」

 

 

 

妹紅「んーん…気分、かな」

 

 

煙を肺に吸い込みふぅ、と肺に入った煙を出す

 

 

妹紅「さて、さてさてさて…早速で悪いけども香。1発アンタの顔に拳を叩き込んでもいいかな?」

 

 

魔理沙「…はぁ!?」

 

 

香「…え?」

 

 

 

私と香が呆気にとられていると、妹紅は右手に炎を纏わせる

 

 

まるで親の仇を見るような眼で香を見ながら彼女に向かって一歩近づき右手を振り上げ

 

 

魔理沙「…っ!くそっ!」

 

 

一瞬で香に反射の魔法防御を張る

 

…苦手な分野だけど2回も一発で出た!ラッキー

 

 

妹紅「!?」

 

 

妹紅が振り下ろした拳はガラスを割ったような音と共に香の前に張った反射の魔法防御を破った

 

 

香「う、うわっ!」

 

 

驚いて仰反る香

 

 

妹紅「…ちっ、余計な事を…」

 

 

舌打ちをした妹紅が瞬時に後方へ下がる

 

 

 

 

 

「やめなさーい!」

 

 

妹紅「…」

 

 

妹紅の後ろより聞いた声がする

 

 

見ると妖夢とジャンヌがこちらに走ってくる

 

 

魔理沙「ん?…んん?」

 

 

よーく見ると妖夢の背中に誰かがおぶさっていた

 

 

妹紅「なんだ、もうついてきたのかい」

 

 

 

妹紅は視線を私達に向けたまま振り返らずに一言

 

 

 

魔理沙「…なんて様だよ…」

 

 

妖夢の背中にいたのは恐らく妹紅に燃やされたために身体と顔に所々煤を付けた鈴仙だった

 

 

 

あぁそうか…

 

さっきの寅丸の衝撃で…

 

 

 

アレで走れなくなったのか

 

 

 

鈴仙「ふんっ!永遠亭の兎を舐めないでよ!」

 

 

 

妖夢の背中に乗ったままドヤ顔の鈴仙

 

 

 

 

ジャンヌ「…なら妖夢様から降りては?」

 

 

ジト目で鈴仙を見るジャンヌ

 

 

鈴仙「う…ぐ…こ、腰をやられたので…」

 

 

 

妖夢「あはは…構いませんよ、ジャンヌさん」

 

 

 

渇いた笑いでジャンヌを制する妖夢

 

 

妖夢「…妹紅さん、何があったかはわかりませんが、ひとまず落ち着きませんか?」

 

 

 

妖夢は鈴仙をおぶったまま妹紅に問いかける

 

 

 

妹紅「おや、かつての辻斬り娘の言葉とは思えないね…でも安心しな、私はこれまでになく落ち着いてるよ」

 

 

 

…嘘つけ

 

 

香「ま、魔理沙」

 

 

香は心配そうに私の服の裾を掴む

 

 

 

魔理沙「…妹紅、なんで香を攻撃しようとした?香を連れて行くのが目的なら先に私を倒した方が良かったんじゃないか?」

 

 

警戒は怠らない

視線を妹紅から外さず問いかける

 

 

妹紅「…はぁ?」

 

 

 

魔理沙「え?」

 

 

妹紅「…言ったでしょう?私はそいつを一発ぶん殴りたいんだって」

 

 

なに…言ってんだ?

 

 

そう笑いながら呟き妹紅は炎を纏い飛び上がる

 

 

「寅符『ハングリータイガー』」

 

 

 

風と共に何かが、ものすごい勢いで妹紅に激突する

 

 

妹紅「…ぐっ!」

 

 

 

飛ばされた妹紅は林を抜け、草原まで吹き飛ばされた

 

 

魔理沙「…と、寅丸?」

 

 

 

突っ込んできたのは鈴仙と同じく煤だらけの寅丸星だった

 

 

寅丸はすっと立ち上がり服についた煤を手で払う

 

 

 

お燐「まだまだぁっ!」

 

 

さらに林から飛び出してきたのは地霊殿の火車、こちらも煤だらけの火焔猫燐だった

 

 

お燐は両手の平に青い炎を作り上げ、草原に横たわる妹紅に向けて放つ

 

 

お燐「『死灰復燃』!」

 

 

妹紅「!?」

 

 

お燐の放った炎が妹紅の周りを円を描くように燃え広がり妹紅を包む

 

 

 

魔理沙「…おいおい…」

 

 

 

香「す、凄い…」

 

 

 

青い炎が燃えがったと思うと次第に中から真っ赤な炎が膨れ上がる

 

 

 

お燐「あちゃー…やっぱダメか…」

 

 

 

そして真っ赤な炎が妹紅のいた所を中心に左右に大きく広がる

 

 

まるで大きな燃え盛る鳥が羽を広げるように

 

 

 

 

妹紅「…全く…猫ってのはしつこい生き物だねぇ」

 

 

無傷の妹紅が炎の中からなにもなかったのかのように歩いてくる

 

 

 

妹紅「…で?あんたらの攻撃はもう終わりかい?」

 

 

 

寅丸とお燐はたじろぎ、妖夢とジャンヌも固まる

 

 

鈴仙「…解ってはいたけど、不死身にはなにやっても倒せないか…」

 

 

妖夢におぶった鈴仙が吐き捨てる

 

 

 

万事休す、か

 

 

 

「どきなさいっ!猫ども!」

 

 

 

後方からそう叫び声がし、寅丸とお燐は後ろを振り返る

 

 

 

妹紅「おや?あいつは…」

 

 

 

 

レミリア「デーモンロードアロー!!」

 

 

 

魔理沙「レミリア!?」

 

 

 

魔理沙(くそ…まさかレミリアもいたのか!?)

 

 

レミリアはまるで砲弾のように木々の茂る林から妹紅へと高速で一直線に飛んでいた

 

 

 

そして着弾

 

 

妹紅「っぉおっ!!」

 

 

 

レミリアの頭突きが見事妹紅の腹部にヒットする

 

 

レミリア「あ〜んど…」

 

 

攻撃の直後、レミリアは妹紅の足元に着地

 

 

レミリア「ロケットキックアップ!!」

 

 

 

妹紅「!?」

 

 

 

地面すれすれから妹紅を蹴り上げ空まで飛ばす

 

 

 

レミリア「おまけよ」

 

 

 

レミリアの右手に赤いオーラが集まる

 

すると先端の鋭い太く大きな赤い槍が出来上がる    

 

 

レミリア「神槍『スピア・ザ・グングニル』」

 

 

 

レミリア自身の身の丈以上の赤い槍を妹紅目掛けて思い切り飛ばす

 

 

 

妹紅「ゔっ!」

 

 

投げられた槍は妹紅の胸部を貫く

 

 

レミリア「…ふんっ」

 

 

つまらない、と言った風に腕を組み仁王立ちのレミリア

 

 

槍が刺さったままの妹紅は草原に倒れた瞬間、自身の身体が燃え上がる

 

新たな炎の中から無傷の妹紅が歩いて出てくる

 

 

妹紅「あの天の邪鬼の起こした逆さ城異変の…飲み会以来か…」

 

 

妹紅「久しぶりの再会にしてはご挨拶だねぇ」

 

 

レミリア「貴女の相手はこの私がしてあげるわ。光栄に思いなさい」

 

 

 

妹紅「へえ」

 

 

 

香「…凄い…」

 

 

幻想郷では当たり前の光景だが香にとっては"人外同士の戦い"は未知なる体験だったらしい

 

目をキラキラさせて妹紅とレミリアの戦いを見ている

 

 

魔理沙「っと、そんなことよりもっ!」

 

 

妹紅とレミリアは抜きにしても他の奴らからの攻撃が必ずある

 

 

そう思い私は奴らのいる方に振り返る

 

 

 

魔理沙「…んぁっ?」

 

 

 

いかんいかん…思わず間抜けな声を出してしまった…

 

香「こ、これは…」

 

 

その光景を見て香も驚愕する

 

 

 

地底と寺の猫2匹はレミリアの突進の餌食になったのか草原で気絶しており、何故か林の近くでは妖夢がうつ伏せに寝そべった鈴仙の腰をマッサージして、それをジャンヌが怨みのこもった眼で見ている

 

 

魔理沙「…鈴仙…すげぇ顔してるな…」

 

 

なんというか…鈴仙の顔は言葉では表現できないそれになっており、痛くてそうなのか、マッサージの気持ちよさでそうなのかは私の知るところでは…

 

 

 

はっ!

 

魔理沙「逃げるぞ香!」

 

香「はっ?えっ!うん!」

 

 

私は香の手を取りその場から逃げようとする

 

 

鈴仙「んっぐっぁっあっあ"あ"!」

 

 

寝そべっている鈴仙が私達に向かって何かを叫ぶ

 

 

香「魔理沙!あの人!」

 

 

魔理沙「無視しろ!」

 

 

 

レミリアと妹紅が起こしてる爆発音を聞きながら私と香は人里に向かって草原を駆け抜ける

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

…あ

 

ここは…

 

 

 

アタイは気怠さの残る身体を起こす

 

頭をふるふると振る

 

 

頭を振った遠心力で自慢の真っ赤な三つ編みが頬にぺちんと当たる

 

 

そうだそうだ、アタイはあの反魂香をとっ捕まえるためにここに…

 

 

…そういえばあの吸血鬼の攻撃に巻き込まれて…

 

 

お燐「…いたた…」

 

 

 

妹紅「やぁ、目が覚めたかい?」

 

 

明るく、友達に話しかけるようにその声はアタイにかかってきた

 

 

お燐「あれ…?おねえさん?」

 

 

 

立ち上がり、目の前を見ると1人の少女がいた

 

アタイとあの寺のヤツを黒こげにした不老不死の少女だ

 

 

でも少女はアタイに背を向けている

 

妹紅「起きたところすぐに悪いんだけどね…お互い敵同士ってのもわかってるんだけど」

 

 

お燐「え?え?」

 

 

レミリア「そうね、人手は多い方が良いし」

 

 

おねえさんの横にはあの吸血鬼もアタイに向けて背中を見せている

 

 

 

…違う、2人はアタイに背中を向けているんじゃあない

 

 

…目の前の敵に構えているんだ

 

 

 

妹紅のおねえさんと吸血鬼の人が向く先には、丸い鉄兜に猟銃のようなものを持ったアタイは今まで見たことのない服装に身を包んだ30人程の男達が並んでいた

 

 

 

 

隊長「もう一度聞こう、母は何処に行った?」

 

 

1人だけ被っている帽子が違うおじさんが妹紅おねえさんに問いかける

 

その言い方はなんていうか…

 

 

上からな感じ

 

 

 

妹紅「もう一度言ってあげるよ。母って誰よ?その歳でまだ親離れ出来ないの?」

 

 

レミリア「いい歳こいてまだ母乳が足りないのね、可哀想に」

 

 

 

え…

 

なんでこの2人こんなに煽ってんの?

 

 

隊長「…ふん、"強者"とは実に愚かな者達だ」

 

 

 

多分この中ではリーダーっぽいおじさんが言い捨てる

 

 

妹紅「…ん?」

 

 

妖夢「…この人達、何かおかしいです。今は助太刀します」

 

 

そう言って庭師の人と金髪のおねえさんが妹紅おねえさんの横で剣を構える

 

 

ジャンヌ「お供します。妖夢様」

 

 

 

妹紅「…それは助かるね」

 

 

レミリア「…?あら、貴女も戦ってくれるの?」

 

 

 

 

あ…寺のヤツ…

 

 

寺のヤツも吸血鬼のおねえさんの横で鉾を構える

 

 

星「…彼等を武装解除するだけです。攻撃はしません」

 

…アンタも前へ出るなら…

 

 

お燐「アタイだって!」

 

 

少しフラつくけど、人間相手なら問題なし!

 

 

咲夜「お嬢様」

 

 

ぅえっ!?

 

…いきなり現れた…

 

 

紅魔館のメイド長は吸血鬼のおねえさんの後ろに立つ

 

 

レミリア「遅かったわね。咲夜」

 

 

咲夜「申し訳ございません。少々狛犬が暴れまして」

 

 

いや、初見でもわかるその嘘は何…?

 

 

レミリア「はいはい、これからコイツら殺すから」

 

 

咲夜「承知致しました」

 

 

…紅魔館、こわ…

 

 

 

 

「ぬ"、ぬほぉぉおお…」

 

 

…林の方から呻き声なんて聞こえない

 

 

隊長「いいだろう、我々の技術、この愚かな妖怪共に解らせてやろう」

 

 

そう言っておじさんが右手を上げると、後ろに並んでた鉄兜の男が風呂敷に包まれた物を取り出す

 

 

 

隊長「…殺しはしない、それは母との約束だからな…」

 

 

しゅるりと茶色の風呂敷を解く鉄兜の男

 

 

お燐「…水晶?」

 

 

男が風呂敷から取り出したのは手のひらサイズの何らかの紙が半分埋め込まれた水晶だった

 

 

妹紅「…なんだい、そりゃあ」

 

 

隊長「…このままの我々では貴様らに勝つことは不可能、人間と妖怪だからな」

 

 

レミリア「…ん?…あれは…」

 

 

 

隊長「…これが我々人間の戦い方だ!」

 

 

鉄兜の男が水晶に半分埋め込まれた紙を強く引っ張る

 

 

すると水晶は怪しく光り、その光をアタイ達と鉄兜の集団を照らす

 

 

隊長「…グーテナハト」

 

 

おじさんがなんて言ったのかアタイにはわからなかった

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

博麗神社から山道を下って林を抜け草原を駆ける

 

 

…いや、草原を飛ぶ、か

 

 

私と香はなんとか人里まで来た

 

木を隠すならなんとやらだ

 

ここならアイツらも襲ってこないだろう

 

 

 

 

魔理沙「んで…なんでここなんだよ」

 

 

今私達は団子屋で茶を飲みながら団子を食べている

 

 

 

香「んむ、んむ…っくん…だって人里でゆっくり出来るところなんてここしか知らないんだもんっ!」

 

 

このチャイナ娘は口元にきな粉をつけ憤怒する

 

 

魔理沙「…全く…」

 

 

 

魔理沙「…で、最初の質問だ。まずはお前だ。反魂香って言ったが、妖怪なのか?」

 

 

私の質問に香はキョトンとし

 

 

香「妖怪?」

 

 

魔理沙「いや、反魂香そのものに魂が宿って付喪神化したとか…」

 

 

香「ウチは付喪神じゃないよ?…多分」

 

 

 

魔理沙「多分?」

 

 

香「ウチはお母さんによって作られたから」

 

 

その時の香の笑顔を見て、なんとも言えない気持ちになった

 

 

嬉しそうにではない、少しばかり悲しそうに、寂しそうに笑った

 

 

魔理沙「お前の母親って…誰なんだ?紫か?」

 

 

香「…ぷっ、紫がお母さんって…ふふふ。ないない」

 

 

魔理沙「…なら」

 

 

香「お母さんはねー…沢山名前があるんだ」

 

 

…沢山?

 

香「2つ、かな?特に呼ばれてる名前があるよ」

 

 

魔理沙「…2つ…なんて名だ?」

 

 

 

 

香「だきにてんとだーきにー」

 

 

魔理沙「…は?」

 

 

だきにてんって…

 

 

荼枳尼天!?

 

 

魔理沙「だ、荼枳尼天って…!天部じゃないか!?」

 

 

意外な名前が出て思わず椅子を倒し立ち上がる

 

 

 

香「ふぅぉわっ!?…なにさなにさ」

 

 

 

椅子を立て、ゆっくりと座る

 

 

魔理沙「…荼枳尼天が香を作って…何のために…」

 

 

香「魔理沙?」

 

 

魔理沙「…いや、2つ目の質問だ。私を助けるってどういう意味なんだ?」

 

 

 

香「うん、元々は霊夢のお母さんを呼び戻すためにウチは創られたんだ」

 

 

魔理沙「霊夢の母ちゃんを?誰に」

 

 

香「紫に!」

 

 

…んぁ?

 

魔理沙「…なんで?紫が?」

 

 

香「さぁ?まぁそれで霊夢のお母さんを呼び戻して、そのあと霊夢と会った時にウチの力で魔理沙を助けて欲しいって言われたんだ」

 

 

魔理沙「香の…力?」

 

 

 

香はお茶を一口飲み

 

 

香「紫が言うにはウチには「記憶を呼び起こす程度の能力」ってのがあるんだって」

 

 

魔理沙「…記憶…」

 

 

香「魔理沙」

 

 

 

魔理沙「ん、え?」

 

 

目の前の顔を見ると香の瞳は深い深い闇のように真っ黒だった

 

 

香「…もう一度聞くけど、魔理沙はお母さんの事をどれだけ覚えてる?」

 

 

博麗神社で聞かれた質問だ

 

 

 

 

魔理沙「…正直、覚えてない、いや、知らないって言った方が良いのかもな」

 

 

私は香の目を見ることが出来ずに答える

 

 

魔理沙「…思い出そうとするとまるで頭の中にフィルターがかかったかの様になるんだ…だから、知らない」

 

 

嘘だ…

 

 

香「嘘、魔理沙は本当はわかってるはずだよ。自分の記憶に鍵をかけてる」

 

 

魔理沙「…どうだろうな…それで?3つ目の質問だ。幻想郷を攻めるってのはどういうことだ?」

 

 

香「ん?なにが?」

 

 

魔理沙「いや、お前昨日言ってたろ」

 

 

腕を組み香は少し考える

 

 

香「…あ、うーん…そうだね、言ってたかも…」

 

 

魔理沙「あの軍隊呼び寄せて、「幻想郷を攻めるなら3枚で十分」って…」

 

 

香「ああ、はいはいはい…言ったね」

 

 

魔理沙「幻想郷を支配するつもりか?」

 

 

 

香「そんなことしないよ?」

 

 

 

…は?

 

 

魔理沙「え、じゃあなんでお前あんなこと言ったの?」

 

 

香「…支配っていうか…」

 

 

魔理沙「?」

 

 

香「フリ、なんだよね」

 

 

魔理沙「支配する…ふり?」

 

 

 

香はにこにこと

 

 

香「そーそー!」

 

香「お母さんにウチの事を知ってもらうために」

 

魔理沙「ますますわからん」

 

 

香「あはは…そうだよね…ウチね、お母さんとちゃんと会ったことは無いんだ」

 

 

魔理沙「?…さっき荼枳尼天に創られたって」

 

 

 

香「そう、創られただけ。だからお母さんの顔しかわからないんだ」

 

 

そう話すと香は泣きそうな表情になる

 

 

香「産まれて、すぐに紫に引き取られてすぐ力を使わされたから」

 

 

 

魔理沙「そう、だったのか」

 

 

香「だから幻想郷で大きい事をすればお母さんもウチの存在に気付いてくれる!そのために幻想郷を支配したことにしたいんだ!」

 

 

 

魔理沙「…それを紫には話したのか?」

 

 

香「んーん、霊夢と魔理沙…あとウチの子の合わせて3人にしか話してないよ」

 

 

魔理沙「…でもだからって文達を殺そうとするのは違うんじゃないか?」

 

 

私が少し強めに問いただすと香はしゅんと小さくなる

 

 

香「…それは…本当にごめん。まさか呼び出した子達があんなに攻撃的だとは知らなかった…ウチはあそこまでやるつもりはなかったんだ…」

 

 

魔理沙「…こども…か…」

 

 

ぼそりとそう呟く

 

 

 

香「え?」

 

 

 

魔理沙「いや…じゃあ4つ目の質問だ。お前が呼び寄せたのは霊夢の母ちゃんだけか?」

 

 

香はふるふると首を横に振る

 

 

香「…ウチの能力は必ず誰かだけを呼び寄せられるわけじゃないの。霊夢のお母さんを呼び寄せようとするとその人の能力や年齢、歴史に影響を与えた人とか…そういう近い人にも影響が出て呼び寄せちゃうことがあるんだ」

 

 

魔理沙「???」

 

 

香は少し考えると私達のテーブルに置かれた、食べ終わった団子の串を入れるある程度深さがある緑色の器を見る

 

 

香「例えば…まぁ空の串だけど、この串の先には色々なお団子が付いてるとするね?」

 

 

魔理沙「ん?…ああ」

 

香「あん団子の付いた串だけを抜ける?」

 

 

魔理沙「…なるほど、先端が器で隠れてれば一本ずつ抜いてみないとわからないな」

 

 

香「そう、多分この辺だろうってのはわかるんだけど、そっから先は抜いてみないとわからないの」

 

 

そう言って香は一本串を抜く

 

 

香「よもぎかもしれない、きな粉かもしれない…」

 

 

魔理沙「…なんか話の方向が少し違う気がするが…なんとなくわかった」

 

 

香はニコッと笑う

 

 

香「よかった」

 

 

 

ん…まてよ…ってことはだ…

 

 

魔理沙「霊夢の母ちゃんは、その…歴史の偉人並みってことか!?」

 

 

香「そうみたいだね〜皇帝や武将、大統領に英雄並みの何かを持ってるのかもね」

 

 

魔理沙「…それで幻想郷中にはあんなに歴史の有名人だらけになったのか…」

 

 

 

 

魔理沙「…お前はこれからどうすんだ?」

 

 

香「ん?…うーん…」

 

 

魔理沙「お前がここにいるってお前の母ちゃんが知れば良いんだろう?わざわざ幻想郷を支配する必要も無いわけだ」

 

 

香「そう、なんだけどね…」

 

 

魔理沙「…なら私が協力して一緒に荼枳尼天を探してやるよ」

 

 

 

香は私の言葉に驚く

 

香「あ、ありがとう…でも」

 

 

魔理沙「ん?なんだよ?」

 

 

香「ううん。なんでもないよ」

 

 

…?

変なやつだな

 

 

 

女店主「さーそろそろ片付けたいんだけどね〜」

 

 

魔理沙「あ」

 

 

気がつくと団子屋には私と香だけになっていた

 

 

 

魔理沙「らと、とりあえず一度出るか」

 

香「あ、うん」

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

支払いを済まし店を出る

 

 

時刻は夕刻、真っ赤な夕日が街並みを照らす

 

 

魔理沙「さて、このあとはどうするか」

 

   

私は考えながら空を見上げる

 

 

 

 

 

「どうもさせないわ。香を返しなさい」

 

 

 

懐かしくいつも聞いている声がした

 

 

 

私は声の主の方を見る

 

 

 

 

魔理沙「…『私に関わらないで』じゃなかったのか?」

 

 

 

そこにいたのはいつもの赤いリボンと脇部分の生地のない巫女装束を着た少女

 

 

 

魔理沙「…霊夢」

 

 

 

博麗霊夢がいた

 

 

香「…霊夢」

 

 

霊夢「香、どこに行ったかと思えば…」

 

 

霊夢「早く戻るわよ」

 

 

霊夢は香に右手を差し出す

 

 

 

魔理沙「いいや、香はもう少し私といてもらうぜ。こいつの母ちゃんを探さなきゃなんだ」

 

 

私は霊夢と香の間に入る

 

  

 

霊夢「香からなにを聞いたかは知らないけど、アンタには関係のない事よ。首を突っ込まないで」

 

 

相変わらずその言い方…

 

…というか…

 

 

魔理沙「なんか…ムカつくな、その言い方」

 

 

私の返にさらにムッとする表情をする霊夢

 

 

霊夢「…スペルカードは3枚で良いわね」

 

 

魔理沙「…いいね、わかりやすくて」

 

 

霊夢は人里の上空へ浮かぶ

 

下にいた人達は皆驚いていた

 

 

「なんだなんだ?」

 

「行方不明の博麗の巫女見つかったのか」

 

「喧嘩か?」

 

 

魔理沙「ギャラリーも増えてきていい感じじゃないか」

 

 

私も飛ぼうとした時、博麗神社に箒を置いてきた事を思い出す

 

 

魔理沙「あ…うーん…」

 

 

周りを見回すと、私は団子屋の壁に掛けてある竹箒を手に取る

 

 

女店主「あ!ちょっと!」

 

 

魔理沙「少し借りるぜ」

 

 

 

箒に跨り霊夢と同じく上空へ飛び上がる

 

 

 

 

 

霊夢「…今日こそは懲らしめてやらないといけないわね」

 

 

魔理沙「…まぁ、負けたら仕方ないから今回も帰って寝るよ…負けるつもりはないけどな」

 

 

 

 

 

私は霊夢の眼をまっすぐ見る

 

 

多分こんなにはっきりと霊夢と目が合うのは偽月の時以来かもな

 

 

ふと下を見ると香が私と霊夢の事を心配そうに見ていた

 

 

 

 

魔理沙「さて」

 

霊夢「行くわよ」

 

 

 

霊夢は最初のスペルカードを取り出す

 

 

霊夢「霊符『夢想妙珠』」

 

 

 

魔理沙「え?おっ…おいっ!?」

 

魔理沙(いきなりこれかよ!)

 

 

霊夢の背後から無数の光る光弾が私目掛けて高速で飛んでくる

 

 

魔理沙(この弾の雨を避けながら攻撃って考えたら)

 

 

 

私もスペルを取り出す

 

 

魔理沙「『彗星ブレイジングスター』」

 

 

私の乗った箒に魔力が纏う

瞬間、まるで穂先からジェットエンジンが点火されたような勢いで霊夢のいる方へ突っ込む

 

 

 

 

霊夢「くっ…!?」

 

 

さしずめ特攻のような私の攻撃を上手いこと霊夢は避けたが、このスペルは突っ込むだけじゃあない

 

 

私の通った後には星形の弾幕がフヨフヨと漂う

 

 

霊夢「こざかしいっ!」

 

 

 

魔理沙「まーだまだぁっ!」

 

 

大きく右に曲がり再度霊夢を狙う

 

 

魔理沙「もう一丁!」

 

 

標的をロックオンして突っ込む

 

霊夢の光弾も私に向かって飛んでくる

 

 

 

魔理沙「…ぶなっ!」

 

 

 

それらを紙一重で避ける

 

避けた私はすぐさま霊夢目掛けて突っ込む

 

霊夢「甘いっ!」

 

 

霊夢は突っ込んでくる流れ星のような私の攻撃を見切り避ける

 

 

 

魔理沙「…なんてな」

 

霊夢「!?」

 

 

霊夢の視線の先には誰も乗ってない箒が星屑を撒き散らしながら大きくUターンする光景があった

 

 

そう、霊夢が避ける瞬間に私は箒から更に上空へ飛んでいた

 

 

魔理沙「スキアリだぜ!」

 

 

私はミニ八卦炉を霊夢に向けレーザーを発射する

 

 

霊夢「…ぐっ!!」

 

 

見事霊夢の背中にヒットするレーザー

 

 

戻ってきた箒に着地

 

 

魔理沙「さあ、一度目の被弾だ!」

 

 

 

霊夢「…く…やるわね、魔理沙」

 

 

まだ動ける霊夢は2枚目のスペルカードを取り出す

 

 

 

霊夢「夢符『封魔陣』」

 

 

 

魔理沙「げっ!」

 

 

魔理沙(このスペルはまずい!)

 

 

霊夢がスペルを唱えると、大量の護符が私目掛けて飛んでくる

 

 

魔理沙(くっ!速い!)

 

 

1枚目のスペルとは段違いにスピードの速い弾幕に少し避けるための初動動作が鈍る

 

 

魔理沙「ぅぉぉおおおっ!!」

 

 

ジグザグに動き弾幕を避ける

 

 

霊夢「逃がさないっ!」

 

 

 

 

逃げる私

追ってくる護符

 

 

避けて逃げながらもミニ八卦炉をちらりと見る

 

 

魔理沙(まだ魔力の溜まりは浅い…)

 

 

マスタースパーク…私の強力なスペル…でも私だけの魔力じゃあ威力も大きさも大したことない

 

マスタースパークの真の力はこのミニ八卦炉の溜まり具合による

 

今撃ってもカラス数羽追い払う程度だ

 

 

魔理沙「仕方ねぇっ!」

 

 

魔理沙「魔符『ミルキーウェイ』」

 

私自身の魔力だけで創りあげた星空のカーテンが私と霊夢を囲む

 

 

霊夢「遅いわね、魔理沙!」

 

 

 

弾幕は濃いがスピードのない私の星形の弾幕は霊夢には簡単に避けられてしまう

 

 

 

魔理沙「やっぱこの弾幕じゃあ霊夢からしたらイージーモードか!」

 

 

ミニ八卦炉を構えレーザーで反撃する

 

 

 

弾幕が早く、範囲が少し広い霊夢のスペル

 

弾幕が遅く、霊夢のスペルの倍以上の範囲が広い私のスペル

 

 

レーザーを使っても明らか私の方が分が悪い

 

 

そんな事を考えていると霊夢の姿が消える

 

 

魔理沙「なっ!」

 

魔理沙(こいつはっ!?)

 

 

霊夢のこの攻撃方法に気がつき、すぐに後方へ逃げようとするが反応が遅かった…

 

 

 

魔理沙「がががっばっばばばば!!」

 

 

霊夢の護符が私の後頭部へ降り注いできた

 

 

 

魔理沙「…ぅう…」

 

箒にしがみつき空をふよふよ漂う

 

 

ゆっくりと霊夢が降りてくる

 

 

霊夢「どう?アンタの考案してた攻撃方法でやられる気分は?」

 

 

イタズラな悪い笑顔で腕を組む霊夢

 

 

魔理沙「…流石私の考案した技だ。効果は抜群だな」

 

 

霊夢「さぁ、これで1対1…次のスペルで最後よ」

 

 

魔理沙「…帰ってもまだ寝ねえよ!」

 

 

霊夢「いいえ、もうお休みの時間よ」

 

 

魔理沙「…!?」

 

 

 

霊力が霊夢の身体を纏う

 

霊夢「霊符…『夢想封印・密』」

 

 

霊夢が静かにスペルを唱える

 

 

魔理沙「…密?」

 

聞いたことない…知らないスペルだ

 

 

私と霊夢との距離、約30m…その私達の間に直径5m程の虹色の光弾が発生する

 

 

 

魔理沙(…ハズレ?)

 

 

私がそう思っていると何か違和感を感じる

 

 

魔理沙(…ん?)

 

 

霊夢が未知のスペルを唱えると同時に私は霊夢から離れた

 

いや、離れているはずだった

 

 

魔理沙「なんだ!これ!」

 

 

 

霊夢から離れているはずなのに私と霊夢の距離は変わらない

 

 

光弾はどんどん大きくなっていく

 

 

魔理沙「…身体が光弾に吸い寄せられてる!?」

 

 

あれだ…地霊異変の時の…核カラスのスペルの…サブ…カンターレ…タンサンだっけか…?

 

 

アレに似てる…

 

 

魔理沙「って、んな事考えてる場合かっ!」

 

 

光弾から遠ざかろうとしながらミニ八卦炉を霊夢に向け構える

 

 

光弾はどんどん大きくなっていく

 

 

魔理沙「…この魔力量なら…行ける!!」

 

 

ミニ八卦炉に電撃が走る

 

 

魔理沙「恋符『マスタースパーク』!!!」

 

魔理沙(この霊夢のスペルごと…っ!)

 

 

 

 

ミニ八卦炉から虹色の巨大レーザーが発射される

 

 

 

目の前が真っ白に広がる

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

魔理沙「…ぁ…?…はっ…ぁ…」

 

 

気がつけば私は空をゆっくり、ふらふらと落ちている最中だった

 

 

魔理沙「…負けた…のか…」

 

魔理沙(あんだけ啖呵きっといてこれだもんな…だっさいな…)

 

 

節々の痛みが残る身体をひねり、霊夢の方を見る

 

 

魔理沙「……ははっ…なんだよ…」

 

 

 

霊夢も私と同じように人里に向かってふらふらと落ちていた

 

 

 

魔理沙(……引き分け…か…)

 

 

 

 

 

 

 

私達は人里の商店通りに降りる

 

私は座り込み、霊夢は片膝をつく

 

 

 

霊夢「…まだまだ、改良が必要ね…」

 

 

悔しそうな霊夢はそう呟く

 

 

 

魔理沙「…あんなスペル無かったろ…いつ作ったんだ?」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢は立ち上がり

 

 

霊夢「教えてもらったのよ。お母さんに」

 

 

 

魔理沙「…そうか」

 

 

 

香が私と霊夢を心配そうに見ている

 

 

 

少しの間沈黙が流れる

 

 

霊夢「…動けそうにないみたいね、魔理沙」

 

 

魔理沙「…あ?…まぁな」

 

 

霊夢「なら、香は私が連れて行く」

 

 

そう言って霊夢は香の手を掴む

 

 

魔理沙「は?…おいっ!ふざけん…」

 

霊夢「アンタには関係ないって言ったでしょ!」

 

 

 

霊夢が声を荒げる

 

一瞬身体が熱くなる

 

 

 

魔理沙「…なんで…」

 

 

霊夢「…親の大切さがわからないアンタには…何も分からないわ…」

 

 

言葉が刺さったって…こういう時に言うんだろうな

 

 

霊夢のその言葉は私の服を、皮膚を静かに貫き私の心の臓に届く

 

自身の鼓動を感じる

 

 

同時に世界から音が消える

 

 

霊夢はまだ私に向かって口を動かしている

 

少し辛そうな表情で

 

 

魔理沙(…はは…そんな表情するくらいなら… )

 

 

霊夢と香の背にスキマ空間が広がる

 

 

魔理沙(ああ…香が連れて行かれる…)

 

 

 

…でも

 

 

魔理沙(まぁ…いいか…)

 

 

 

香「魔理沙っ!!」

 

 

魔理沙「!?」

 

 

香の声で我に返る

 

 

 

 

魔理沙「…あ」

 

 

香「…ウチが!きっかけ作ったから!」

 

 

 

魔理沙「…きっかけ?」

 

 

霊夢と香を包んだスキマ空間が少しずつ狭まる

 

 

香「…魔理沙の記憶!…あとは魔理沙が自分で…!真実を確かめて!」

 

 

 

魔理沙「…真実…?記憶…?」

 

 

 

私はふと思い出す

山の中で香が私に"なにか"をしたことを

 

 

 

香「魔理沙の夢は…!」

 

 

 

 

スキマ空間が…閉じた

 

 

 

魔理沙「…香…」

 

 

 

 

私はその場に座り込んだまま動けないでいた

 

 

 

ぽつりぽつり、と雨が降ってくる

 

 

魔理沙「…雨」

 

 

もう夕方なのに…さっき雨は止んだと思ったのに

 

 

雨は強くなってくる

 

私と霊夢の弾幕ごっこを見ていた野次馬どもは解散して通りの人はまばらになっていく

 

 

魔理沙「あ…ぁあ…」

 

 

手足が痺れる

 

頭の奥も痺れる

 

 

目が熱い

 

 

 

耐えろ…耐えろ!

 

 

 

 

「…君…?」

 

 

 

背後から声を掛けられた

男…おじさんの声だ

 

 

雨が止んだ

 

 

いや、止んでない

 

 

私のいるところだけ雨が降ってこなくなったんだ

 

 

何故って?

 

 

座り込んだまま後ろを見る

 

 

あの商店の…

 

着物を着た中年の男が傘を開き私にさしてくれていた

 

 

男「…ま、麻理沙…か?」

 

 

魔理沙「…親父…」

 

 

 

 

私に傘をさしてくれたのは…親父だった

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

雨が降る中

 

私は親父と相合い傘をして通りを歩いている

 

 

 

私は何も言ってないのに親父はベラベラと喋る

 

内容はほんと、ただのつまらない世間話だ

 

 

 

ただその声は少し震えている

 

 

 

父「…ああ、はは…私だけ喋ってばかりですまないね…」

 

 

魔理沙「…いや…」

 

 

…親父の左腕…身体の左側が雨で濡れてる

 

なんでだよ…

 

 

というよりどこに向かってんだ、これ

 

 

魔理沙「…あ」

 

 

親父の店の前で私達は足を止める

 

 

父「…あ、あのな麻理沙…雨が止むまで店で少し待たないか?」

 

 

魔理沙「…」

 

 

声が出ない、いや、なんでだろう…言葉が思いつかない

 

 

父「お茶もお菓子もあるし…ど、どうだ?」

 

 

魔理沙「…いや、あの…気持ちだけ受け取っておく…よ…」

 

 

父「…そ、そうか…」

 

 

魔理沙(そんな悲しい顔するなよ…)

 

 

もうここに居たくない

そう思い私は傘から出る

 

 

父「…ま、麻理沙…」

 

 

まだ雨が降る中、親父に呼び止められ足を止める

 

 

父「…また…お父さんと一緒に…」

 

 

親父が言い終わる前に私は走っていた

 

どこへ行くでもなく

 

ただ…

親父の顔を見れなかった

 

 

 

なんでだ?

 

 

 

何故私は親父を嫌っている?

 

 

…嫌っている?

 

 

魔理沙(あれ…昔って何があったんだっけ…)

 

 

違和感を感じて走りを止める

 

 

ここはどこかの裏通り

 

 

右を見ると空き家

 

扉に付けられた小さな窓ガラスに映る少女

 

 

魔理沙「…」

 

 

 

白黒の服装に黒い魔女帽子

 

長い金髪のくせっ毛

 

 

 

魔理沙「…これが…私か?…なにがあったんだ…」

 

 

窓に反射して映っているのは私だ、私以外であるわけがない

 

 

じゃあなんで記憶が曖昧になってる?

 

 

 

…確か香に…

 

 

最初にスペルを唱えられた時には…

 

夢の景色を…

 

 

あ…?

 

 

夢ってなんだ?

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

『真実を確かめて!』

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

香の言葉を思い出す

 

 

 

魔理沙「…真実…」

 

 

 

私はずっと握りしてめいた箒に跨り空へ飛ぶ

 

 

 

強い雨の中、自分の家に向かって飛んだ

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

無心で雨の中空を飛び、自宅に到着しシャワーを浴びる

 

部屋の壁掛けの時計を見ると、時刻は深夜を指していることがわかる

 

 

寝巻きに着替え、散らかった本だらけのベッドに横になる

 

 

魔理沙(記憶がはっきりしないが…確か私は"夢"に関して悩んでいた気がする)

 

 

 

魔理沙「夢…記憶…」

 

 

魔理沙(確か…夢って記憶を元に創られる、罪悪感を感じると悪夢を観るとかなんとかって…)

 

 

そんな本をなんかで見たな…

 

そう思いながら枕元に置いてある本を手に取り、無意識にパラパラとページをめくる

 

 

魔理沙「…夢…記憶……悪夢……真実…」

 

 

目を瞑る

 

先ほどの霊夢の姿が蘇る

 

 

魔理沙「…アンタにはわからない…か…」

 

 

魔理沙(…そういえば…夏の時期になると、どうも頻繁に同じ夢を見る…内容ははっきりとは覚えてないが…昔の夢だ…)

 

 

魔理沙「…ん?」

 

 

私はなにか頭の中でひっかかるものがあることに気づく

 

 

魔理沙「…そういえば、初めて香に会って…あいつのスペルで私の過去を見られたんだっけ…」

 

 

魔理沙(その最中、頭の中でなんか、こう…自分の世界に入り込んだ気がしたけど…)

 

 

魔理沙「…ん?」

 

 

魔理沙(…自分の世界?…夢…?…記憶…?)

 

 

 

1つのトンデモな考えが浮かぶ

 

魔理沙(もしかして…最近見てる夢はただの夢じゃなくて、実際に過去を見てる…!?)

 

 

 

手に取った本を足元に投げ捨てる

一瞬病弱な紫の魔法使いが『おいこら』と言ったような気がしたが興味ない

 

 

魔理沙「なんてな…くだらない」

 

 

 

くだらない妄想はこれくらいにしよう

 

今日は特に疲れた…もう眠い…

 

 

 

私の意識は沈むようにとろけていく

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

スキマ空間を抜けると、霊夢と香は博麗神社の本殿の前にいた

 

 

 

 

 

隊長「ようやく来たか…博麗の巫女」

 

 

本殿の扉が開き、先ほどまで妹紅達と戦っていた隊長が現れる

 

 

霊夢「…言われた通り香を連れてきたわよ」

 

 

隊長「うむ…感謝する。博麗の巫女」

 

 

香「…あ、あの…ね」

 

 

 

香は隊長の目を合わさずにしどろもどろに喋りだす

 

 

香「か、勝手なことしてごめん…でも、あの…」

 

 

隊長「…母よ、貴女のしようとしている事はわかります。ですがもっと周りのことも考えていただきたい」

 

 

 

香「…ゔ」

 

 

霊夢「そうよ。アンタを探すためにどれだけ幻想郷中を回ったと思ってるのよ」

 

 

隊長と霊夢が揃って香を叱る

 

 

 

香「あ、あはは…ごめんごめん」

 

 

霊夢「…全く…ところで隊長さん?ちょっと聞きたいんだけれども?」

 

 

腕を組み、霊夢は隊長を睨む

 

 

隊長「何かね?博麗の巫女殿?」

 

 

 

霊夢「紫と連絡取れないんだけど…なにか知ってる?」

 

 

香「え?紫と?」

 

  

 

隊長「…八雲殿は今…外の世界にいる…少し野暮用があるらしくてな」

 

 

 

霊夢「それってどこ?」

 

 

隊長「さぁな。何故だ?」

 

 

霊夢「何故だか都合の良い時だけスキマが現れるの。紫は現れないでスキマだけ」

 

 

隊長「八雲殿が能力を使っているのだろう。なにもおかしい事はない」

 

 

霊夢「貴方にはわからないでしょうけどね…そーゆー時は必ずと言って良いほど紫は私の前に現れるの」

 

 

香「…霊夢」

 

 

霊夢「ここ数日紫を見てないわ。なのにスキマだけは現れる」

 

 

隊長「…何が言いたい?」

 

 

霊夢「紫になにかしたでしょう?」

 

 

隊長「何故そう思う?」

 

 

 

霊夢「カンよ」

 

 

隊長「…話にならないな」

 

 

隊長はそう吐き捨て香の横に並ぶ

 

 

隊長「さぁ、母よ」

 

 

 

香「…うん…霊夢は…どうするの?」

 

 

 

香に声をかけられても霊夢は隊長を睨む

 

 

 

 

霊夢「…お母さんのことが無かったらアンタをボコって吐かせてるところよ」

 

 

隊長「ふふ…何を吐けばいいのか…」

 

 

霊夢「…私はお母さんのところへ行くわ。またね、香」

 

 

香「うん…またね」

 

 

 

挨拶をし、霊夢は人里方面に向かって飛んでいく

 

 

その遠くなっていく霊夢を見ながら隊長は呟く

 

 

隊長「やれやれ…博麗の巫女か…恐ろしい存在だ…」

 

 

香「ね、ねえ…リヒちゃん」

 

 

隊長「はい」

 

 

リヒちゃんと呼ばれ振り向く隊長

 

 

香「さっきの人達は…殺しちゃったの?」

 

 

 

おそるおそる問う香

 

隊長は口元をほんの少し吊り上げ

 

 

 

隊長「御心配ありません。少し痛めつけただけです。誰1人殺してはいません」

 

 

香「ほ、本当?」

 

 

隊長「誓って母に嘘はつきません」

 

 

香「…良かった…」

 

 

隊長「さあ、我等の城へ戻りましょう。今夜は忙しくなりますよ」

 

 

香「…うん、色々とごめんね。リヒちゃん」

 

 

 

隊長と香の正面にスキマ空間が広がり、まるで祖父と孫の様な2人はその中へ入っていく

 

 

 

 

 

 

 

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