東方香靈記   作:114

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第3話「団欒」

8月25日

魔理沙の家

 

 

蒸し暑い空気で眼が覚めると私はソファーで寝ていた。着替えずに寝たせいで汗だくだ

 

 

…昨日はあの後アリスの所に行った

アリスに霊夢の事を話したら

 

 

 

『霊夢にだって気分じゃない時だってあるんでしょ?それよりうちから勝手に持ってった本返しなさいよ、魔理沙』

 

 

って言われたし…

 

その言葉にムカッとしたからテーブルの上にあった本を2冊盗って…もとい借りて帰って来た訳だが…

 

 

ソファーで仰向けになりながらアリスから借りた本を開く

 

表紙には『アイギスの鏡』と書いてある物語の本だ…

アリスのやつ…似合わない本を読むんだな…

 

もう一冊はどこ置いたっけ…

 

 

魔理沙「…どうしたってんだよ、霊夢…」

 

 

昨日の霊夢の態度が気になって本の内容が頭に入ってこない…だいたいアイギスの鏡の話くらい知ってる

 

ペルセウスがメドゥーサを倒したときの話だ

 

 

…とまあ、家でゴロゴロしてるのは私の性に合わない。気分転換に人里にでも行くか

 

そう思い、シャワーを浴び、いつもの格好に着替え玄関の扉を開ける

 

 

 

?「あややっ!」

魔理沙「うわぁおっと!」

 

 

 

ちょうど扉をノックしようとしていた少女と正面からぶつかりそうになる

 

 

魔理沙「っ痛っ!」

 

 

突然の目の前に人がいた私は驚いて尻餅をつく

 

 

 

魔理沙「いたたた…なんだよ、新聞屋かよ…」

 

 

 

尻餅をついた恥ずかしさもあって低い姿勢から少し少女を睨む

 

 

 

?「あや〜、すいません魔理沙さん、大丈夫ですか?」

 

 

 

右手を私に伸ばす新聞屋

その手には頼らずに自分で立ち上がる

 

 

 

魔理沙「勧誘ならごめんだぜ?新聞紙なんて暖炉に焚べるくらいしか使わないし」

 

 

 

こいつは射命丸文。鴉天狗だ。

少し小さめのカラスの羽を持ち、紅い頭襟、クセのあるショートヘア、服の右半分が茶色の紅葉柄白シャツに黒のミニスカートに高下駄…いつも通りの格好の自称誠実な新聞記者だ

 

 

 

文「暖炉って…酷いですねぇ魔理沙さん」

苦笑いで答える文。

 

 

 

魔理沙「で、何の用だよ」

 

 

そう言いながら外に出て後ろ手で扉を閉める。こいつを家の中に招待すれば何を撮られるかわかったもんじゃない…

 

コホンと咳払いをする文

 

 

 

文「えー…どうも!清く正しく誠…」

魔理沙「それはいいから!」

 

 

 

ポーズを決めようとする文の言葉に被せる私…もう、こんなやつと話したくないんだよ、今日は

 

 

 

文「…今日は号外ですよ!はい、号外」

 

 

 

号外と言われた一枚の薄い新聞紙を受け取る

 

 

 

魔理沙「どうせ今日の椛とかいうヌード記事だろ?」

 

 

『今日の椛号外版』

『悲報、命蓮寺放火される』

『怪奇、死人が蘇る!?』

 

 

 

なんだよ、これ裏側か…

今の私にとってくだらない記事を順々に見てから最後に表の記事を見て驚愕する

 

 

 

『速報!博麗の巫女、妖怪退治をやめる!?』

魔理沙「……はぁ!?」

 

 

 

 

『本日未明、匿名で天狗の山に博麗神社の巫女、博麗霊夢が今まで続けてきた巫女業を辞めるとの情報が入った。巫女業の再会はまだ未定とのこと…なお天魔様によれば…』

 

 

…なんだよこれ

 

 

 

文「気づいた時には天狗の里はこの話題で持ちきりでしたよ。取材をしようにも霊夢さん、神社に居ないみたいですし」

 

 

 

どうしたってんだよ霊夢…!

 

 

 

文「私の勘としては先に魔理沙さんには何か伝えてあると思ってたんですけど…その様子だと知らなかったみたいですね」

 

 

 

魔理沙「あ…ああ…何も聞いてない……っていうかこんな大々的に妖怪退治辞めるなんて新聞に載せたら幻想郷中の妖怪どもが暴れまわるんじゃないか?」

 

 

 

それを聞いた文が新聞を広げてる私の横へ並んできて、新聞の一文を指差す

 

 

 

文「ここですここ」

 

 

 

…こいつ…妖怪の癖に髪の毛いい匂いだな…

って、え?

 

 

『なお博麗霊夢が巫女業を再開するまでは八雲をはじめとするプリティー連合(東風谷氏命名)にて幻想郷の警備にあたる』

 

 

 

魔理沙「…プリティー……連合って?」

 

 

 

私の問いに文はちょいドヤ顔で説明をし始めた

 

 

 

文「霊夢さんが巫女業を辞めたって知ってから八雲紫が幻想郷の各勢力に相談を持ちかけてきたんですよ、妙蓮寺、守矢神社、人里、紅魔館などなど…それで基本的な幻想郷の規則は霊夢さんが辞める前のままで、暴れそうな妖怪はお説教って感じですね。ちなみに天魔様率いる我ら天狗も妖怪連合として…」

魔理沙「わかった、ありがとう」

 

 

 

最後まで言えずムッとする文…

まぁそういうことなら幻想郷の治安はまぁ…まぁまぁ良いとしても、だ

 

 

 

文「…行くんですか?魔理沙さん」

 

 

箒に跨った私に文は言う

 

 

 

文「プリティー連合が見回りをしても博麗の巫女がいないってことで調子に乗る妖怪達は必ず出てきます。あまり目立った行動はしない方が良いのでは?襲われちゃいますよ?」

 

 

 

いつもの作り笑顔ではなく真顔で私に問いかける文

 

っていうかプリティーて…

 

 

 

魔理沙「じゃあ…」

私は文に背中を向けて言った

 

 

 

魔理沙「お前も私を襲うのか?」

 

 

文の顔は見ない

 

 

 

文「いいえ」

 

 

 

文は言う

 

 

 

文「残念ですが、私は魔理沙さんの味方ですよ、もちろん霊夢さんの味方でもありますし」

 

 

 

文は空を見上げ

 

 

 

文「それにお二人の活躍が無いと、この先我が文々。新聞の記事がつまらなくなりそうですから」

 

 

魔理沙「文……」

 

 

 

文「あと今のうちに魔理沙さんの好感度を上げておけばこの先…」

魔理沙「台無しだよ!!」

 

 

 

全く…

でもこいつなりに心配してくれてるんだよな

 

…多分

 

 

 

文「…あと、何故か一昨日から外来人が各地で頻繁に目撃されてます。友好的かどうかもまだわからないので、気をつけてくださいね」

 

 

外来人…外の世界から幻想郷に入り込んだ迷い人…か

 

 

 

魔理沙「ああ!…じゃあ行ってくるぜ!」

 

 

 

そう言い終えると箒に跨った私は空へ飛ぶ

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

行っちゃいましたね、魔理沙さん

 

ぶっちゃけ霊夢さんの事よりも貴女の行動の方が記事になりそうな気がしますが…

 

 

 

文「頑張りなさいよね、魔理沙」

 

 

 

そう呟くと私は霧雨家を後にした

 

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