幻想入りする際になんかこう…ろ過して、見た目の化け物成分を取り、少女成分のみ幻想郷に入る、的な…
何言ってるんでしょうね、私
8月26日
魔理沙「挨拶はいい!さとり!教えてくれ!」
突然戸を破って入ってきたのは白黒の服装をした少女だった…
ふむ…地底の少女はみな金髪なものなのか…
いや、さとりやお燐のように違う髪の色の少女もいるが…
さとり「…利益さん?」
利益「ああ…いや、すまんすまん」
魔理沙「なんだ…客が来てたのか…」
肩で息をする少女に声を掛けられた
利益「ああ、俺は…前…利益。外来人だ」
魔理沙「トシマス?私は霧雨魔理沙だ、悪いが急いでるんでな、少しさとりと話していいか?」
利益「ああ、いいよ」
魔理沙「サンキュー、で、さとり…心当たりはあるか?」
霧雨殿はさとりの両肩を掴んで問い詰める
さとり「ま、魔理沙さん、近いです…そして痛いです…」
魔理沙「あ、ああ…悪い…」
さとり「魔理沙さんの記憶を読んでお話はわかりましたが…残念ですが私は霊夢さんの事は知りません。」
魔理沙「……そうか…わかった、あんがとな…」
ガックリと肩を落とす霧雨殿
探し人かなにかか…
利益「なぁ霧雨殿」
魔理沙「…?魔理沙で良いぜ」
利益「…魔理沙は誰か探してるのか?」
魔理沙はずっと焦ったような雰囲気を持っている…
魔理沙「ああ、大切な友人を探してる」
大切な…友人か…
利益「…どんな奴だ?見かけたら魔理沙が探していると伝えよう」
俺の言葉に魔理沙は少し驚いた、だがすぐに頭に被っていた頭巾のようなものを被り直して言った
魔理沙「変わった奴だな…アンタ…人間か?」
利益「ああ」
魔理沙「博麗霊夢っていう巫女だよ…可愛い顔して無愛想な…脇丸出しの巫女だから見たらすぐ判るぜ」
利益「レイム、だな。わかった、もし見かけたら魔理沙が探していると伝えよう」
魔理沙「ああ!ありがとう…しっかし昨日今日で変な外来人が増えたなぁ…白玉楼にも剣持った知らない女がいたし、ミスティアの屋台にも見たことないおっさんが店番してたし……まぁいいや、じゃあ用事が済んだから私はもう行くぜ!」
利益「行く?何処へだ?」
魔理沙「地上だ!」
…地上…
勇儀「おーい…壊した扉はどうするんだい?」
魔理沙「私が壊したわけじゃないぜっと!」
そう言って魔理沙は竹箒に飛び乗った
あの竹箒…浮いてるじゃないか…
魔理沙「扉が勝手に壊れたんだぜっ!」
そう言い残すと竹箒に跨った魔理沙は勢いよく地霊殿から飛んで行った
一同「…」
ヤマメ「相変わらず…騒がしい奴だねぇ」
ヤマメが頭の後ろで手を組んでため息混じりに言った
さとり「…」
さとりを見ると目から光が消えて虚ろな表情になっていた
利益「あ、あー…まぁ、なんだ…次はもっと頑丈な戸にすれば良いだろう?」
さとり「…そうですね…」
勇儀「腕のいい鬼に扉の修理の話しておくから一日待ってな…」
お燐「うにゃ〜…」
吹っ飛ばされた扉の下敷きになったお燐のうめき声がする
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壊れた応接室1の後片付けを屋敷のゾンビ妖精に任せ、応接室2に移動した一同
勇儀「…で、これからどうするんだい?利益」
仕切り直すように勇儀が言う
ヤマメ「旧都!旧都に行こう!」
さとり「…」
少し考えてから利益は言った
利益「…地上へ行ってみたいな…」
ヤマメ「え?」
気の抜けた声で驚くヤマメ
勇儀「…へぇ」
面白そうな目で利益を見る勇儀
さとり「…そうですか」
やはりといった顔で少し笑うさとり
利益「お前達の親切を断ってしまう形のようで申し訳ないが、俺は地上を見てみたい」
ヤマメ「…ダメに決まってんじゃん…」
ヤマメが呟くように言う
ヤマメ「そんなのダメだって!」
強く利益に言うヤマメ
勇儀「…地上の方が地底よりも危険な妖怪は多い…」
さとり「でも地底以上に人間の味方をしてくれる妖怪も組織も多いです」
ヤマメ「……でも!」
利益「…俺には…」
ヤマメ「…!?」
少し声のトーンを落とし利益が喋り出した
利益「俺にはのんびりしている時間がない…ような気がするんだ…この選択で命を落とすかもしれん、だが俺がそうしたいんだ」
勇儀「…言い分がまるで子供みたいだねぇ」
そう言って勇儀は笑う
利益「ああ…よく言われ…てた気がする」
勇儀「…利益がそう言うならわたしは何も言わないよ」
さとり「…利益さんは地底の人間ではありません、貴方が地上へ行くことになんら問題はないはずです。」
ガタッ
勢いよく席を立つヤマメ
勢いが良かったせいでヤマメの座ってた椅子が後ろに倒れる
ヤマメ「あたしは大反対だよ!…そんな事許さない!」
そう言って扉に向かって早歩きするヤマメ
勇儀「お、おいヤマメ…!」
ヤマメ「あたし…もう帰るよ…悪いけど…」
うつむき気味に暗いトーンで答え、扉から出て行くヤマメ
利益「…」
やっちまったなぁという顔をする勇儀と、利益をじっと見るさとり
さとり「…利益さん」
利益「いや、さとり…なんとなく判るよ…別にヤマメに対して悪い感情はないさ…」
さとり「…本当はとてもいい子なんですよ」
勇儀「…さて、じゃあ私らもそろそろ行こうか、利益」
利益「…?」
勇儀は席を立ち人差し指で天井を指す
勇儀「地上、行くんだろう?時間がないならすぐに行かなきゃな」
利益「ああ…そうだな」
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旧都外れ、迎え橋
旧都からこの眼鏡橋型の迎え橋を渡れば地上へ続く洞窟へ行くことが出来る
その橋の真ん中…手摺に両肘で頬杖をかく金髪少女が一人…
ヤマメ「はぁ…なんであんな態度とっちゃったんだろう…」
ガックリ項垂れて悩むヤマメ
「…勝手に来て勝手に悩まないでくれる?」
旧都側から橋を渡る金髪少女がもう1人
この迎え橋の番人、水橋パルスィである。
ヤマメ「…いたの?パルスィ」
パルスィ「あら、橋の番人が橋の守りをしないで橋の番人なんて呼べるのかしら?」
ヤマメ「…あ〜、うん」
パルスィ「貴女、もう煙草はやめたの?」
ヤマメ「うん」
パルスィ「流行りのブーツも履くのやめたの?」
ヤマメ「…うん?…うん」
パルスィ「あの釣瓶落としと最近話した?」
ヤマメ「…いや、今週は会ってないかな」
パルスィ「そう、なら会ってあげたら?喜ぶわよ」
ヤマメ「…そうだね」
パルスィ「…」
ヤマメ「…」
ヤマメの横にパルスィが来る
パルスィ「人は誰でも独りよ、生まれた時から独り、死ぬときも独り…例え恋人や家族が居ても独りなの。その寂しさを紛らわせるために誰かと出会い、誰かと居て、誰かと肌を重ね、自分は寂しくないと自分を誤魔化す生き物なの。」
ヤマメ「…あたしが1人でいるから寂しそうに見えたの?」
パルスィをじっと睨むヤマメ
パルスィ「さぁ…ただの独り言よ。でも貴女からは嫉妬の念を感じるわ、地底の人気者でも誰かに嫉妬するのね」
ヤマメ「…あたし人間じゃないから人間の感情とか感覚なんて話されたってわからないよ…」
パルスィから目線を逸らし言うヤマメ
パルスィ「あら、そうかしら」
少し口元を吊り上げ怪しく笑うパルスィ
パルスィ「私達は人間ではない、でも物事を見て、感じて、考えて、行動が出来るわ。他人を気にするし、自分の立場も考える…人間が持つ感情と同じじゃないかしら?」
ヤマメ「…」
パルスィ「少なくとも地底…幻想郷の外にいた時の、化け物の姿の時みたいに本能だけで行動はしてないでしょう?」
パルスィ「妖力と霊力、種族、性別…見た目が違うだけで妖怪も人間も根本は一緒だと私は思うけどね」
ヤマメ「…ねぇ、パルスィ…」
か細い声でパルスィに話しかけるヤマメ
パルスィ「なぁに?」
ヤマメ「…あたしはどうすれば良いのかな…?」
パルスィ「…」
パルスィ「さぁねぇ…私は貴女じゃないもの、自分で考えてみたら?」
ヤマメ「…」
パルスィ「…そんなに睨まないでよ…ヒントだけあげるから」
パルスィがヤマメの隣から離れる
パルスィ「貴女はそもそもどうしたかったの?…一番したかった事をするために何をすれば良いのかを考えてみたらどうかしら?」
ヤマメ「あたしが一番したかった事…」
パルスィ「目の前が行き詰まったら、歩いて来た道を戻ってみなさいな。貴女が通ろうとした道はとてもとても狭い道だったかもしれない。他にも沢山道はあったかもしれない…」
パルスィ「他の道の方が近道だったりするものよ」
ヤマメ「…はぁ…」
深くため息を吐いてからヤマメも手摺から離れる
ヤマメ「あたし、行くよ」
その顔は暗いものではなく、なにか決心した顔だった
パルスィ「…貴女に嫉妬は似合わないわ。さっさと此処から消えて頂戴…此処は橋姫の聖域よ」
ヤマメに背を向けた状態で言いすてるパルスィ
ヤマメ「…ありがとう、パルスィ」
旧都ではなく地上へ続く洞窟へ走って行くヤマメ
数刻後、迎え橋に一人残るパルスィ
パルスィ「橋姫の前で思い人の事を悩むなんてね…」
パルスィ「…久しぶりに旧都に呑みにでも行こうかしらね」
旧都へ向け歩き出したパルスィ
2人の男女とすれ違う
勇儀「…パルスィ…?」
利益「ん?どうした勇儀?」
勇儀「…いや、なんでもない…急ごう、嫌な予感がする」
地上へ続く洞窟へ向かって行く勇儀と利益
旧都の街中へ消えて行くパルスィ