空に憧れた男の娘 作:ねぎみそ
いつも感想を書いてくださる皆様、本当にありがとうございます!皆様の優しい感想によってこの作品が成り立っていると言っても過言ではありません。
最近通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?を読み始め、男の娘が出しやすそうな作品だと感じる日々。
通常攻撃以下略の男の娘作品って需要ありますか?あればこの作品と同時進行で書いていきたいかなと思います・・・。
では、本編どうぞ!
楼夜Side
オレンジ色の夕焼けが彼女の後ろ姿を照らす。片下まで伸びた銀髪が一本一本キラキラと輝き、春のそよ風が髪をさらさらと撫でる。
二ヶ月前なら身近に感じていたその後ろ姿が、今の僕には何か遠いものに見えてしまった。いきなり飛び出し、二ヶ月も連絡を入れなかった罪悪感から遠く感じるようになったのだろうか。
「久しぶりだな、こうやってふたりで話すのも。」
「う、うん。」
彼女な怒っているのだろうか。それとも悲しんでいるのだろうか。後ろ姿からは何も感じない。むしろ呆れ果てて僕に無関心になってしまったのかもしれない。自分から突き放しておいてなんだが、何か悲しく切ないものを感じる。
「お前と連絡がつかなくなって二ヶ月・・・。私がどんな気持ちだったかわかるか?」
「・・・」
「だんまりか・・・歯を食いしばれ。」
彼女がこちらへ振り返りながらそう言う。こちらへ振り向いた目は僕から決して逸れず、じっとこちらを見つめている。睨みつけていると言っても過言ではないかもしれない。
恐らく殴られるのだろう。婚約した相手がいきなり二ヶ月も連絡がつかない状態になり、探してみればこんな場所でのうのうと学園生活を送っているのだから仕方ない。
僕は目をつぶって歯を食いしばる。コツコツと彼女の靴が音を鳴らす。そして僕の目の前まできていきなり加速する。
「ぐほっ!」
「えへへ・・・」
加速したかと思えば彼女は僕に言葉の通り飛びついてきた。彼女の頭が腹に刺さり睨みそうになるが、彼女の満足気な顔を見ると睨むこともできなくなった。僕は彼女に弱いらしい。
しかし、理解できない。普通こういった場合は殴られるものではないのか。僕の与えられた知識ではそうなっている。
「な、何で殴ったりしないの?」
「ん、変なことを聞くな?大好きな人を殴られるわけがないだろう?」
「だい、すき?」
「ああ、そうだ。大好きだ、この世で一番。」
「ど、どうして?僕は勝手に君の前から消えたんだよ?」
「ああ、わかっている。」
「それに消えたと思ったらこんな所で学園生活をしているんだよ?」
「ああ、それには驚いたさ。」
「ッ!なんで!なんでこんな僕を嫌いにならないの!」
質問する度に深まっていく謎のせいで彼女に強く当たってしまう。ああ、またこうやって彼女を傷つける。こんなに待たせたにも関わらず、大好きと言ってくれた彼女を。
自己嫌悪に陥って顔を下げると彼女の抱擁している手に力が入る。
「またそうやって自分を責めるのか。・・・二ヶ月前から全く変わっていないな。」
「・・・でも、だって!」
「でもやだってはいらん。今は再開できたことを喜ぼう。」
「・・・どうして君は僕のことを許せるの?」
「そうだな・・・」
彼女が考えるような素振りを見せる。それだけでも夕焼けと相まって絵になる。すると、夕焼けでは誤魔化せないくらい頬を赤くして答える。
「強いて言うなら・・・惚れた弱みかな。私とお前が出会って好きになってから、気づけばお前に甘くなっていた。ふたりでの時間を重ね、肌を重ね・・・互いの初めてを捧げあった、あの時からもっとお前に甘くなってしまった。何でもしてやりたいと思った。だから・・・」
彼女がもう一度、しっかりと僕をホールドする。温かい体温が彼女から伝わり、微かに膨らんでいる胸からは心臓の音がとくとくと聞こえる。
それだけで僕は彼女がそこに居るという実感が湧き、感動し頼りたくなってしまう。
「私に全てをさらけ出していいんだぞ?」
「・・・こんな僕でもいいの?」
「ああ、いいさ。」
「他の男よりもかなり頼りないと思うよ、それに!」
彼女の唇が僕の吐き出す言葉を止める。ほんの一瞬の触れ合い、それだけで安心感が溢れだしてくる。ああ、これが彼女の言っていた惚れた弱みっていうものか。
「・・・ありがとう、ラウラ」
「ふふっ、こちらこそだ楼夜」
僕はラウラの胸の中で泣いた。今までの思いを全て流すかのように泣いた。そんな見っともない僕をラウラはずっと抱いて慰めてくれた。こんなラウラだからこそ僕は惚れたのだろう。
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ラウラSide
「もう気は済んだか?」
「う、うん。ラウラありがとうね。見っともないところ見せちゃったね・・・」
「いや、いいんだ。夫婦は支えあってなんぼだろう?」
そう言って撫でてやれば楼夜は甘えたような声で私の名前を呼び、抱きついてくる。なんて可愛いのだろう。このまま流れでスキンシップを取り合うのも良いだろう。しかし、私にはその前にすることがある。
「楼夜ちょっといいか?」
「ん〜?なにぃラウラぁ?」
完全に甘えきっている。この状態を崩すのは非常に勿体無い!しかし、私には言っておかなくてはいけない事が・・・むぅ。
「どうしたのさぁラウラ。いきなり呼んだかと思えばそんな難しい顔してー」
「いや、私なりに考えたのさ。何故楼夜が突然居なくなったのか。考えに考え辿り着いたのが・・・」
「・・・なに?」
私が話を切り出すとびくっと体を震わせた。それだけ私に罪悪感があるということだろう。つまり、楼夜の本意で私から離れたのではないと考えられる。つまり私の考えは的を得ているのではないか。
「私のISに潜んでいたあのシステム。VTシステムが原因かと思ったさ最初は。」
VTシステム。正式名称はヴァルキリー・トレース・システム。過去のモンド・グロッソの部門受賞者(ヴァルキリー)の動きをトレースするシステムで、アラスカ条約で現在どの国家・組織・企業においても研究、開発、使用全てが禁止されているものなのだが、私のシュヴァルツェア・レーゲンに積まれていた。どうやら操縦者の精神状態、機体の蓄積ダメージ、操縦者の意志および願望によって発動するように仕組まれていたらしく、楼夜との模擬戦の最中に発現してしまった。
VTシステム自体は楼夜の賢明な判断と、その後の行動によって簡単に解除できた。しかし、問題はその後だった。私は気絶していて覚えていないが、シュヴァルツェア・レーゲンは私を吐き出した後一瞬黒い霧を集め、怪しく光ったらしい。そしてそれを躊躇なく楼夜が同じ霧のようなものを出し、攻撃して行動不能にしたようだ。
後でエンジニア達に聞いても何かわからなかったあの力。
「もう一つのあの力が楼夜が消えた原因なのだろ?」
「愛する人には何もかもがお見通しのようだ。でもそれについては僕からは何も言えない。」
「む?何故だ。」
「それを言ってしまうとラウラを危険に晒してしまうから。ラウラには傷ついて欲しくない。でも、いつか話せる日が来るだろう。だからそれまで待っていてくれないかな?」
「私は楼夜を信じていいんだな?」
「ああ、もう二度とこんなことはしないさ。今回でだいぶ学べたからね。」
「そうか・・・なあ、私を抱きしめてくれないか?」
「ああ、もちろん。」
楼夜、私はお前を信じているぞ。だから、今は。お前に溺れてもいいよな?
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三人称
屋上では一組の男女が抱き合って愛を確かめていた。頭上に高性能のドローンが飛んでいるとも知らずに。
「あやややや、これはまずいなぁ。」
そう言って冷や汗を流すのは、機会のウサ耳をつけた女性。一人部屋でパソコンの画面に映し出された映像を見て呟く。
「あの時は箒ちゃんがあのクソが好きなんて言ってたから、ラウラちゃんとろーちゃんの婚約の保証人になったけど・・・。」
「今の状況が箒ちゃんに知られると・・・不味いよねぇ。」
「私の何が不味いって?」
「ひぇっ!箒ちゃん?!いつからそこに?」
「いや、今来たばかりだが何が不味いんだ?」
そうやって詰め寄られてウサ耳の女性は冷や汗を吹き出させる。対して後からやってきた少女は、目のハイライトが若干無くなり、無表情で詰め寄る。
(まずいよ!どうしよう、なんとか誤魔化さないとろーちゃんとラウラちゃんに被害が・・・ええい!こうなったら!)
「じ、実はね。前回のお薬の強化版が出来てしまったのさ!でも、箒ちゃんに試すのは不味いかなって!」
「なんだ、そんな事か。あぁ、私はやめてくれ。今度こそ楼夜をどうしてしまうか分からん。」
「そ、そうだよねー、アハハ」
「私はてっきり今日転入してきたラウラとか言うやつが楼夜を誑かしているのかと思ったが・・・違ったようだな」
さらに目のハイライトを落とし、詰め寄ってそう言う。ウサ耳の女性が震えた声で「そんなわけないよー」と言うと満足してどこかへ行ってしまった。
(ろーちゃん、ラウラちゃん強く生きて)
冷や汗を拭きながらウサ耳の女性はここにはいない男女に心のメッセージを送ったとか・・・。
はい、前書きにほとんど書きたいことを書いたので後書きは何もありません。
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