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前回のあらすじ
ギル「おかえり!」
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右ストレート
↓
ギルに大広間に連れて行かれる
↓
正式に秘書にさせられる
↓
働きたくない!
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俺がギルガメッシュに無理矢理就職させられてから一週間が経った。
この一週間は、マジで地獄だった…。
皆さんに、俺のスケジュールを教えてやろう。
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朝: 7:30分起床
まず最初に俺の前に立ちはだかる難関がこれだ。
この時代は電球も無いし、ましてやゲームやアニメ等の娯楽すら存在しない。
娯楽といえば、最近開発されたらしいボードゲームくらいなものだ。
普通のニートであれば、睡眠欲に負けて、早めに寝てしまうだろう。
しかし、俺は普通のニートとは一線を画した最上位のニートだ。
俺はそんなことで早めに寝つくような事はしない。
だったら何をするって?
簡単だ。
アニメやゲームがが無いなら、作ってしまえばいいではないか。
俺は最上位のニートであるため、常人よりも遥かに高い感性と想像力(妄想力)を持つ。
ここまで言えば、俺が何を言いたいのかわかるだろう。
そう。
俺は、自分の脳内で、昔見たアニメを完全に再生したり、昔プレイしていたゲームの敵キャラや仲間、戦闘パターンでさえも再現して楽しめるのだ。
これについては、俺を転生させた神様でさえも気付かなかっただろう。
実は神様は、世界にはびこるダメ人間達を更生させるために、世界のニートたちを転生させるので、その実験段階で俺をこの世界に飛ばしたらしい。
「特典で超能力を手に入れたのですから、もうニートなどに憧れてはいけませんよ。」
なんてことを言っていたが、残念だったな。
ニートの力は無限なり。
まあ、そういうことで、俺は早めに寝つく事はしない。
と言うよりも、そういう生活を続けたせいで、俺の体が半分夜行性になっているのだが。
ちなみに、普段の俺は夜の3時に寝て、昼の12時に起きる。
そういうことをギルガメッシュに訴えて仕事を辞めさせてもらおうとしたのだが、あのクソ王子、その話を聞いたら、
「想像以上にくだらない生活をしていますね…。
まあ、ボクは君の絶望したような顔が見られれば満足なので、関係ないですよ。
君には、絶対に早起きしてもらいますから。」
なんて言いやがった。
俺はもう、生命の危機を感じられたね。
毎日規則正しい生活なんてしてしまったら、俺の魂が腐って働くなってしまうよ。
こらそこ。今でも働く事を嫌がってるだろ、とかもうすでにお前の心は腐ってるだろ、とか言わない。
しょうがないじゃないか。
体は常に定休日、心は常にハードワーキングが俺のモットーなんだから。
別に早起きを命令させられたとしても、無視して寝てればいいんじゃないの?
と思った人もいるだろう。
俺も最初の方はそう思っていたさ。
でも、俺は舐めてたんだ。
ギルガメッシュの愉悦に対する追求心を。
ギルガメッシュは、召使いに俺を起こす事を命令し、もし起きなかったらどんなことをしてでも起こせ、等と言いやがったのである。
それから毎朝、その召使いは俺を叩き起している。
しかも比喩ではなく、リアルに叩いて起こされているのである。
それのせいで毎朝無理矢理起こされて、俺が絶望したような顔をしていると、召使いは愉悦の表情を浮かべるのである。
召使いまで人の不幸に愉悦を感じる性格だったのだ。
従者は主人に似る、とは聞いたことがあるが、最悪の従者だな。
まあ、これで一つ目の難関は説明し終えたんだが、俺の地獄はまだまだ続く。
さあ、次に行こう。
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ギルガメッシュ起床:9:00
これは、俺の心にグッとくるものがあった。
ギルガメッシュのヤロウ、召使いに俺を朝早く叩き起こす事を命令しておきながら、自分は長い時間寝やがるんだ。
それだけなら、まだ少しは許せたかもしれない。
だが、ギルガメッシュは召使いに俺を叩き起こした後、すぐに自分が寝ている部屋に無理矢理連れ込むように命令したのである。
つまり、俺は眠い中を叩き起こされて、無理矢理ギルガメッシュが寝ている部屋に連れて行かれ、そこで1時間30分も、幸せそうに眠るギルガメッシュの顔を見させられるのである。
しかも、もう嫌だ!等と叫ぼうものなら、容赦なく召使いから木刀を打ち込まれる。
気分はさながら、寺で座禅をさせられる一般人である。
そして、起きたギルガメッシュは、1時間30分耐久をようやく終えて疲れ切っている表情をしている俺を眺めて、召使いと一緒に愉悦の笑みを浮かべるのである。
もうイヤだ。この世界。
だが、こんなものでもまだ序の口。
さあ、次に行こう。
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ギルガメッシュの朝食:9:30
ギルガメッシュは、起きてから大体30分で朝食を食べ始める。
起きてから30分くらい経つと、食欲が出てくるらしい。
だが、なぜか俺まで調理に参加させられるのである。
もともとニートで、精神力と妄想力くらいしか取り柄のない俺は、当然のごとく料理ができない。
だから、毎朝ギルガメッシュと同じように、人の不幸に愉悦を感じる召使いに手ほどきを受けて、料理を作るのである。
朝食作りは、その召使いと二人きりで行う。
召使いは女だから、女性と二人きりなんて、興奮しないのか!
と言う人がいるかもしれない。
考えても見給え。
相手は、他人の不幸に愉悦を感じるヤツだぞ?
手ほどきの仕方がまともな訳がない。
少しでも手の洗い方が雑だとバッシング。
卵焼きを作るときに、殻を割るのに手こずっているとバッシング。
目玉焼きにかけるソースの量が少しでも違うと、バッシング。
トーストの焼き加減が少しでも悪いと、バッシング。
ジャムの運び方が少しでもみっともないと、バッシング。
そして、朝食を完成させてギルガメッシュの前に置いたあとに、疲れ切っている俺の顔を見て、ギルガメッシュと同時に愉悦の笑みを浮かべるのである。
もう地獄だ。
辞めたい、と何度思ったことか。
だが、俺は辞めることができない。
なぜかって?
ギルガメッシュの根回しが完璧だからさ。
俺の絶望を長々と語るのもここまでにしておいて、次に行こう。
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ペットとみんなで触れ合いタイム:10:30
ギルガメッシュは、俺を散々疲れさせて愉悦を感じているものの、経営者として自覚は持っているらしく、休み時間はしっかりくれる。
だが、休み時間の分だけ、俺の苦労は増えるのだ。
ペットとの触れ合いなんて楽しいもので、動物アレルギーだったとしても、多少は癒やされるのではないだろうか?
とみんな思ったことだろう。
だが、考え直して欲しい。
ここは、ウルクなのだ。
現代日本ではないのだ。
だから当然、ペットでさえも悠々と俺達の想像を超えていく。
何がペットなのかって?
ほら、Fate/シリーズの中で、ギルガメッシュが獣と触れ合っている描写があっただろう?
その動物を思い出して見ろよ。
思い出せたかな?
そう。
ギルガメッシュのペット、それは…。
ライオンなのだ。
いや、冗談とかじゃなくて、リアルにライオンなのだ。
しかもどういう仕組みかは分からないが、ギルガメッシュのような、他人の不幸に愉悦を感じる人間には襲いかからず、そうでない人間には襲いかかるというまさかの特性持ち。
触れ合い時間は、王宮内のすべての王族と従者が広場に出てくるのだが、なぜか半分以上の人間が襲いかかられないのだ。
そして、残った半分以下の人間が、襲いかかられる。
まあ、襲いかかられると言っても多少甘噛みされたり、体をくっつけて来る程度なのだが、猫がやるならまだしも、ライオンがやるのだから、その恐怖はものすごいものなのだ。
ライオンが甘噛みしようと口を開くと、自分がその口に飲み込まれるところを想像してしまい、体をくっつけられると、ライオンの獲物と認定されたかと、震えが止まらない。
そして、人間の半分以上の愉悦体質の人々はその光景を見て、口元に薄っすらと愉悦の笑みを型づくるのである。
その光景には、一種の寒気を感じた。
もしかしたらライオンは、人間に甘えたいけども、王宮にまともな人間があまりいない事に対して生理的な恐怖を与えられているのではなかろうか。
さあ、どんどん次の受難に行こう。
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王宮の住人全員での昼食:12:30
俺達使用人(王宮では、秘書も使用人にカウントされるらしい)は、恐怖のペット触れ合い会が終わったあと、震える体を動かしながら、昼食を作る。
ここが、唯一の俺の癒やしである。
なぜかって?
ここには、俺と同じように、無理矢理王宮に連れて来られ、毎日王族の愉悦に使われる使用人がたくさんいるのだ。
同類同士は仲良くなれるらしく、俺と彼らはすぐに仲良くなった。
各々が己の主人の愚痴を言ったり、自分がどうして王宮に連れて来られたのか、など、俺達使用人は、ここで日々のストレスをぶちまける。
それによって若干軽くなった気持ちで、残り数時間も頑張ろう、と決意を抱くのである。
次の受難に行こう。
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書類仕事:14:00
王族の昼食は長く、不規則ではあるがそれに従って使用人の休憩時間も長くなる。
そして休憩時間が終わったあとに、俺の最大の難関が立ちはだかるのだ。
そう。
書類仕事である。
いやいや、ライオンと触れ合うほうが辛いだろ。
と思ったことだろう。
だが、それは一般人の話だ。
俺は誇りを持った、れっきとしたニートである。
故に、ライオンと触れ合うことも苦痛ではあるが、それよりも働く、という行為自体が、俺の精神に傷を作り、傷口に毒を塗っていく。
書類仕事?
そんなの、最も会社員らしい仕事ではないか。
そんな事をしたら、俺のピュアなハートが、汚れて真っ黒になってしまう。
そうギルガメッシュに反論したかったけれど、ギルガメッシュは俺が苦しんでいるその表情を愉しみそうだったから、やめておいた。
あ、ちなみに、粘土板に文字を掘るようなことはしない。
なぜかこの世界では、王宮にも民間にも紙が広まっているのだ。
神話だとか、伝説的なものだけ粘土板に書き写して、後世に残るようにするらしい。
なるほど。古代には粘土板しか無かったと言うのは俺の勘違いで、実際に紙はあったけど、現代まで残っていなかっただけだったのか。
歴史家たちが聞いたなら、白目を剥きそうな内容である。
まあ、そんなこんなで最大の難関である書類仕事を乗り越えた俺に、神はさらなる苦痛を課す。
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夕食:18:00
書類仕事にも、意外と時間はかかる。
そのせいで、夕食は少し時間が経った後に始まる。
この夕食も、王宮内の王族全てが食べるため、使用人は、また一緒に料理を作る事になる。
別に他の使用人と駄弁れるからよくね?
と勘違いしてしまうこともあるだろう。
俺も、最初はそうだった。
だが、夕食は一味違う。
俺達使用人が料理をするのを、愉悦体質の召使い達が見張っているのである。
そのせいで、他の使用人と喋ろうとしたらバッシング。
朝食と同じように、動作の一つ一つにバッシング。
精神にダメージを食らって他の人に話しかけたくても話しかけられないという地獄を体験し、絶望した俺達使用人を見て、召使い達は一斉に愉悦の笑みを浮かべるのである。
気分はさながら、監獄の獄卒と囚人。
もう嫌だ。この職場。
お家に帰りたい。
まあ、これで今日の俺の仕事のスケジュールは終わりである。
俺達ウルクの王宮の使用人な苦労がわかって頂けただろうか。
ホント辛い。
俺のメンタルが崩壊しそうでコワイ。
いつの日か俺達がこの地獄から解放されることを祈るばかりである。
意外なところで主人公が転生させられた理由が判明。
スケジュールみたいなのを書いてみたら、意外と筆が進んだ。
文字数も結構いったんじゃないかな?