NEW GAME! 作:ぞい☆
「おはようございまーす…」
「ぐぬぬぬっ!」
「うぐぐぐっ!」
あ、ありのまま今起こってることを話すぜ…!
俺は出社して自分のデスクに向かったら、先輩二人が魔法少女チックなステッキと、照明代わりに使われていた剣を使ってつばぜり合いをしていた!
な、なにを言っているか分らねーが…俺もどうしてこうなっているか分からねぇ…。
朝からため息が出そうだった…チャンバラだとか、殺陣だとか、そんなちゃちなもんじゃ断じてねぇ。
もっとしょうもない片鱗を味わったぜ……。
「………よいしょ」
「お、おはよう渚くん」
「あぁ、おはよう」
とりあえず俺はスルーしておいた、こっちに気づいていないのであれば、此方から刺激を与えなければ何もしてこないし絡まれもしないだろう。
涼風が引きつった笑みを浮かべながら二人を眺めている、タイヘンダナー。
さ、そんな変な先輩を無視して、お仕事しますかねお仕事ー。
今日も村人を作成してリテイク、手直ししてリテイク…今日もリテイク祭りだー!
等と一人打ちひしがれながら作業をしていると思わぬ珍客が。
「んなーお」
「ちょっともずくちゃーん、もー…仕事にならないでしょー?」
「にゃーお」
ちょっともずくさん?そんなにでっぷりだから野太い鳴き声になるんですよ?さぁ、ダイエットなさい!シェイプアップして美声におなり!
てなわけで、ここのディレクターが毎日連れてきてる猫、もずくの登場。
こうして度々顔を見せては昼寝をしたりちょっかいをかけに来ているのである。
「ごめんなさい、でしょー?」
「ふっふふふ…ずいぶん手慣れてるね」
「うわ!?ごめんなさい!葉月さんの猫ちゃんを!」
「構わないよ、悪いのは仕事の邪魔をしたもずくさ。何なら、飼い主である私にも、お仕置きしてくれていいんだよ!」
「えっ」
「うわ…」
流石にこの発言には全俺が引いた…。
どうやらこのディレクターさん、可愛い娘好きらしいことで有名で、ここが女性塗れなのも、葉月さんが原因とかそうではないとか…。
「冗談さ。さ、これ以上邪魔しちゃいけないよ、もずく」
「なーお」
そう言って葉月さんがもずくを抱きかかえたが、何故かもずくはもぞもぞ暴れ、腕の中から飛び出せば、俺の膝の上へと着地した…。
え、何で俺の膝なんですもずくさんや、隣の涼風の方が万倍もいいと思うぞ、ほれ、あっち行けあっち。
いや、くつろぐなよ、俺も仕事中なんだけど?
「おや、絵筆くんも気に入られたようだねぇ」
「それって喜んでいいのでしょうか…」
「基本もずくは、ここの会社の人には懐いてるからね、仲間外れにならなくてよかったじゃないか」
くすくす笑ってはいるが、目の奥がギラギラしている…これは、捕食者の目だ…!
心なしか、グラサンの奥を覗き込まれているような気がしてならない…。
内心ビビッていると、今度こそもずくをしっかり抱きかかえ、葉月さんは行ってしまった…。
俺はこのことを忘れるために、村人作成に励んだ…。
「渚の絵って結構特徴的だね」
「え、そうですか?」
「うん、見てて面白いかも。とりあえずバランスも良いし、合格点って所かな」
村人作成の仕事を割り振られて三日目。
3Dの経験もあったためか、リテイクを食らい続けて三日で合格点をもらえた。
ふへー…八神さん仕事に対して厳しいですぞー。
「よし、じゃあこんな感じで、どんどん村人つくってよ!」
「ウィッス」
そう、これが一人目の村人なのである。
これを後何体か分らないけど結構な数作成しなければいけない、服装、髪型、目の形などの特徴を若干変えながら…。
俺の初仕事は、ゲームのとある町を賑やかにする事。
少し遅れて涼風も俺と同じ仕事に入っているが、未だにリテイクを食らって悩んでいる。
お互い大変ですな涼風氏…頼む、俺が結構な数描かされる前に合格点貰ってくれ(他力本願)
とりあえず次はどんな村人を描こうか考えてみるか…主人公を食わず、地味でも無く派手でもない感じ…無難な格好って考えるの難しいよな。
「渚くん、OKもらえたんだ!」
「あー、何とかなぁ」
「凄いなぁ…私何かまだまだだよ…」
「まぁ焦る必要はないと思うけど。早くしないと俺が全部描いちゃうぞー、何てな」
「そ、それは駄目!私だってやりきるもん!」
そう言って涼風はモニタとにらめっこを始めるのだった。
こうして発破かけておけばさらにやる気になるだろう…ふっふっふ、頑張れ涼風、主に俺の為に…。
あ、飯島さんからメッセ飛んできた。自分、全部やらされる思って、青葉ちゃんに発破かけたやろ…?
はは、ばれてーら…。
とりあえず、一切の動揺を隠せないままそんな事ないですと返信しておいた。
若干真横から視線が飛んできてた気がしたけど、俺はそっと気づかないふりをして村人作成に精を出すことにした…。
「それで、やりきると言った直後にこっちの絵をチラ見してるのはどうなんですかねぇ涼風さんや」
「うぐ…っさ、参考程度に何処が違うのか見てみたいなーと…」
「最初から言えよなー、今一人目の村人のデータ開くから」
「あ、ありがとう!」
おう、存分にありがたみ、そして恩に着るが良い!
俺が困ったときに頼れるカードは何枚持っていても困らないからな、はっはっは!
あぁ…真後ろと真横から痛い視線が…篠田さんと飯島さんがめっちゃ見てる。
そんなこんなで、涼風にちまちまと助言をし、村人を描いてはちまちまリテイクを食らいつつも二体目を作成し終え、そのデータも見せて参考にさせると言った事を繰り返して早四日。
トータル一週間が経過し、涼風はようやくOKをもらい、一人目の村人作成にまでこぎつけたのだった。
八神さんがあまりにリテイクを出すもんだから、目に見えて意気消沈仕掛けてたな。
その時遠山さんが涼風に声をかけて一緒に帰ってたっぽいし、その時何か助言したんだろうな、次の日…つまり今日にはOKをもらって嬉しそうに報告してきた。
多めのリテイク食らったのって八神さんがそれだけ期待してるってのと、仕事に関しては妥協しない性格が合いまったって感じなんだろうなあれ。
俺も頑張りますかねぇ…とりあえず今は、目の前の村人を涼風と一緒に描いて行く事から…。
八神、俺はあと何人描けばいい…!
□□□
「それでは、ちょっと遅くなっちゃいましたが。涼風青葉ちゃんと絵筆渚君の新人歓迎会を行いたいと思います、乾杯!」
『かんぱーい!』
「今日は会社のおごりだから、皆好きなだけ飲んで食べてね!」
え、今日は全員好きなだけ食べていいのか!?
あぁ、しっかり食え。
おかわりもいいぞ!!
遠慮するな、今まで働いた分食え。
うめうめ…って、あぁ!?八神さんそれ俺のにくぅぅぅ!おのれ八神コウ!俺が大切に育てていたお肉をよくも!よくも!
といった具合に、あれから数日後、皆が仕事をいつもより早めに切り上げ、これより!新人歓迎会を行う!と言った感じだ。
って篠田さぁぁぁん!それ俺が育ててたネギぃぃぃ!くっ、だったら俺は豆腐食っちゃうもんね!…グラサン曇って前が見えねぇ…。
「青葉、渚!入社祝いにこれ食べてみ?」
「え、何ですか?」
「嫌な予感しかしないんで涼風に上げちゃってください」
「まぁほれほれ」
おー、良かったな涼風、憧れの八神さんにあーんしてもらって。
どうやらロシアンたこ焼きだったらしく、見事に涼風はからし入りの物に大当たりしたようだ、おめでとう涼風っ。
え、ちょ…涼風さん?ナズェミテルンディス!!や、やめ…そのたこ焼きを俺に食わせようとするな…お、おい、や、やめ…ヤメローーーー!むがむが!?
「くっそ辛ぇ!?」
「はははは!渚も大当たり!しっかし青葉ー、ずいぶん大胆だなぁ?」
「え?……あっ!!」
げほ、うぇっほ!マジ辛いんだけどこれ!とりあえず俺は自分の飲み物を一気飲みして辛さを紛らわす…。
うぐぐ…覚えとけよ涼風、この屈辱は万倍にして返してやるからな…。
それで、どうして顔を赤くして固まってるんだろう…?なーんて、そんな鈍感系主人公じゃないんで、理由は分ってる。
恥ずかしいならやるんじゃないっての…無言で割りばしを渡したら物凄い速さでそれを受け取った…俺の心に痛恨のダメージ!!
おのれ涼風、俺に身体的ダメージを与えるだけでは飽き足らず、精神的にもダメージを…!
「青葉ちゃんと渚君はこういう飲み会初めて?」
「は、はひ!」
「そうですね、親戚が集まってどんちゃん騒ぎってのが飲み会に入るのなら、まぁ何回か?」
「というかまだお酒飲めへんもんね~」
「え!?もう酔ってる!?」
すでに出来上がった飯島さんが涼風に絡んでいる。
おぉ、怖い怖い、俺は絡まれないように気を付け…あ、飯島さん?どうして身を乗り出して俺にロックオンしてるんですか?あ、やめてください!あ、困ります飯島様!グラサン取らないでくださいアー!!
「いっつも思っとったんやけど、いつまでサングラス付けとるんやぁ!」
「腫れてる目を見せたくないと言う男心をくみ取ってください飯島さーん!!」
くっ…サングラスを取られてしまった…悔しい!
いきなり分捕られたので、店内の灯りが目に染みる…うげぇ…ちかちかする…。
そして凄い視線を感じるんですけど何ですかー!!
「おー…渚くん、可愛らしい顔してるんやねぇ、いい子いい子」
「ちょ…飯島さん、撫でるのやめましょ…っええい!見世物じゃないですよ!散れ散れ!」
「そうそう、この前社員証用の写真撮った時に取らせたんだけど、女の子みたいな顔してるよな」
「ちょっと意外ね」
「…そっちの方が…怖く…ない…から…驚かなくて…済む…ね」
上から八神さん、遠山さん、滝本さん…。
ええい人のコンプレックスをまだ弄るかこの人―!
それで何が意外なんですか遠山さん!あらあらって感じでくすくす笑ってないで、飯島さん止めてー!
最後に滝本さん!ほんとに毎日びっくりさせて申し訳ございません!!!
そんなこんなで、飯島さんが俺のグラサンを掴んだまま眠りこけ始めたので、真っ赤な目を晒したまま俺は鍋をつついた…。
「あれ、葉月さん!」
「ちょっと覗きに来たよ。涼風君、絵筆君、どう?ちゃんと歓迎されてるかい?」
「はい!歓迎していただいてます!」
「鍋うまいです」
「それは味の感想では…って、絵筆君!やっとその可愛らしい顔を出す気になったんだね!」
お、おぉ!?何だこの人、いきなりテンション上がったぞおい!?
ほら、先輩方(飯島さん除く)が若干引いてる気がするんですがっ。
その空気を察してか、わざとらしい咳払いをして気を取り直したのであった。
「聞いたよ、もうNPCキャラ作成したんだって?」
「あ、はい!でも絵筆君に比べたらまだまだで…」
「俺は経験あったわけだし、3D触れ始めてなら速い方だろ」
「ま、渚もまだまだだと思うけどなー。青葉も精進しろよ」
「相変わらず八神は素直じゃないね。素直に凄いって言ってあげればいいのに」
そうだそうだー!もっと言ってやってください葉月さん!(便乗)
おっと…葉月さんと一緒に俺も睨まないでくださいよ八神さん…。
「涼風君、絵筆君、八神は素直じゃない上に、実はナイーブだから、優しくしてあげてねぇ」
「は、はぁ…」
「ナイーブ…」
「もう帰ってくださいよぉ!ここはキャラ班の歓迎会なのぉ!それと渚!後で覚えとけ!」
「忘れました!!」
「私モーション班なんですけどぉ~」
「そこ二人!話をややこしくしない!」
篠田さんと一緒に怒られてしまった…解せぬ…。
いやいや、仲間みたいな感じで俺を見てるんですか篠田さん。
叱られ仲間とかそんな不名誉なもの嫌ですぞっ。
それからすぐに、葉月さんが本当に帰ってしまった。
何やらもずくが拗ねるとかで、飼い主は大変だなぁ…。等と呑気に思っていたら、鍋の肉を全部葉月さんに食われていたでござる…。
おのれおのれおのれおのれ!!いつの間にぃぃぃ!!
そこから酔っ払い共が彼氏彼女いるのかと言う定番の質問コーナーになったが、あえなくみんな撃沈。
遠山さんが八神さんに熱視線を送っていたのはきっと俺の見間違いか何かだろう、そうに違いない…。
皆が出来上がっている中、滝本さんだけは平然とお酒を飲み続けてるんだけど…滝本さんマジ酒豪…。
おい涼風、お酒は二十歳になってからだぞ!飲んじゃいけないんだぞ!ホントに飲みそうになったので、俺が止めておいた…未成年飲酒、ダメ、ゼッタイ!
「えーそれではもうお開きみたいなんですが、二次会来る人!」
「私はゆんを家まで送って帰りますー!」
「あれ?ひふみ先輩もういなくなってる…」
「わたしはいけます…!」
何このカオス。
というか滝本先輩のステルスっぷり何なの!?忍者なの!?アイエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?
って、もういない滝本さんはどうしようもないけど…篠田さんと飯島さんだけってのは危ないのでは…。
「すいません、俺も二次会は遠慮しときます。篠田さん達の方に着いてきます」
「おー!送り狼になるなよー!あははは!」
お黙り酔っ払い!!
駆け足で先に行った篠田さんを追いかける。
合流するとびっくりした表情で見られたが、理由を話したら今度は申し訳なさそうな顔をされた。
「いやー、ごめんね渚くん!今までもこうしてゆんを送ってたんだけど、そろそろ何かあったら怖いなーって思っててさ」
「いえいえ、方向は一緒ですし、ついでと思えば全然」
「渚くんって変わってるのに、変なところ真面目だよね」
「それ褒めてます?けなしてます?」
「あははは…これでも褒めてるつもりなんだけど…」
失礼するなもう!ぷんぷんだぞ!
とまぁ、こんな具合に篠田さんと他愛もない会話をしながら飯島さんを送り届け、最終的に篠田さんも送り届けると言う所まで行った俺をほめたたえてくれ…。
あ?甘い話?ねーよそんなもん、散れ散れ。
読んで分かった方もいると思いますが、原作とアニメをごっちゃ混ぜにしてしまった回になっちゃいました…。
最初のはじめとゆんの下りとか、歓迎会の葉月さんの下りを入れたかったがために、こんなことになった、正直すまなかった
色々改編もしてるので、お見苦しい箇所があったかもしれないです、申し訳ねぇ