NEW GAME! 作:ぞい☆
「それ青葉ちゃんのモデル?」
「ああ、そうだよ。今モーション付けてるんだ。待機モーション何だけど、どうかな?」
「せやなぁ、せっかく可愛いモデルなんやから、もっとキュンとするようなのがええんとちゃう?」
「きゅんん~?」
現在進行形で、涼風のモデルの動きを付けている話が進んでいる。
隣の涼風は何処か居心地が悪そうなそうでないような表情をし、もじもじそわそわと落ち着かないご様子。
後ろをちらちら見たり、モニタに視線戻したりを繰り返したりしていて、非常に気になる…。
「こないな感じ?」
「ちょっと媚びすぎじゃない?」
「……」
「?」
「わ!」
「え、なに!?」
何をそんな挙動不審でいるんだ涼風氏…。
見たいのならはっきり見ればいいのに、そして飯島さんが何か悪い顔をしているのを俺は見逃さなかったので、面白そうだから何をするか見ていよう。
「へー、これが会話モーションなんやー」
「……」
「へー、これが歩行モーション?」
「………」
「へー、これ「意地悪しないでください!!」ごめんね~、青葉ちゃん素直やからつい」
そう言いつつも何も反省してない様子でクスクスと笑っている辺り、楽しんでんなぁ。
まぁ俺も涼風の様子をみてゲラゲラ笑ってるんだけどな!
いたたたた!!涼風!篠田さん御用達の照明剣で俺を叩くのやめて!
てい!真剣白刃取り!!
どうだ、恐れ入ったか涼風青葉ぁ!ヴゥーハッハッハー!
「…ドヤ顔してるとこ悪いんやけど渚くん…失敗して顔に当たっとるで…」
「言わんといてください飯島さん…慈悲など要らぬ!!ぐわー!?要らぬと言ったが追撃せよとは言ってないぞ涼風!目が―!目がぁぁぁ!」
あいつ、顔にぶつけたままライトのスイッチ入れやがったんですけど!
やっと花粉症が収まって、目の腫れとかもおさまってグラサンとおさらばした矢先にこんな仕打ちを受けるとは!!
仕返しに、今度涼風より先に出社して、こいつのアンダーザデスクを占拠してキノコ栽培してやる!
ひゃっはーーーー!!キノコは友達ぃぃぃ!
あ、今日の夕飯はキノコの入った味噌汁母ちゃんに作ってもらおっと、後で早速メールしておこう…。
「あの、ちょっと見せてもらってもいいですか?」
「え?良いけど…たいしたことないよ?」
「いえ、遠くから見ててもキャラが生きてるみたいに動いててずっと気になってて…はじめさん凄いなって」
「ま、まぁね!でもちょっと努力すれば青葉ちゃんでもできるよ~」
篠田さんってわかりやすいよなぁ…チョロそうだし、悪い男とかに捕まらないか心配だわぁ。
あ、八神さんと目が合った。うんうんって頷いてるので、話を合わせる様に俺もうなずいておく。
そんで何か八神さんがこっち来たんですけど、え?タブレットペン買いに行って来い?
あ、俺じゃなく涼風と篠田さんが、俺は行かなくても良いんです?そう言うのは下っ端の仕事なのでは。
何ですかその空気読め的な視線は!
えーえー分かりましたよ!お留守番してますよー!
何故かはわからないが、お使いはさせてもらえなかったので、仕方なく俺は仕事を進めることにした。
あー、お仕事楽しいなー!
「あー、せやった…渚くん、この前はありがとうな」
「お?何ですか藪から棒に」
涼風と篠田さんがお使いに行かされてから少しして、飯田さんにお礼を言われてしまった。
これと言った身に覚えがないので首をかしげてしまう。
俺の思い出せないといった様子を見て、恥ずかし気に顔をそらしながら、この前の歓迎会で酔いつぶれたときの事を言われ思い出す。
そういや、篠田さんと一緒に送って行ったんだった、思い出した思い出した。
あの後眠気がピークだったから、帰ってすぐ寝て忘れてたわ、ありましたね―そんな事、あ、気にしなくてもいいですよ。
「せやけど、歓迎会なのに迷惑かけてもうたし…」
「んー、まぁここだけの話なんですけどね?二次会に連れて行かれそうだったからってのが理由ですよ?」
こそこそっと八神さんには聞こえないように、飯島さんに伝える。
それを聞いてか知らんが、何故か笑われてしまった。ええい、なぜ笑う。
「いや…渚くんも、そんな気遣いできるんやなーって、ぷっ、ふふふ…っ」
「失礼な先輩ですね、さっきのは紛う事なき本音ですよ」
「はいはい、分かった分かった」
何ですかその、私はお見通しみたいな返事はー!
何だか見透かされてるようですっごい悔しいんですけど!悔しいんですけど!
ジト目で飯島さんを睨んでいればお菓子をいただいてしまった、わーい!渚、お菓子好きー!
……はっ!?餌付けされている!?くっ、おのれ飯島ゆん…恐ろしい子…!
等と思いながらも、貰ったお菓子をもぐもぐしながら仕事を進めようとデスクを振り返ろうとした時だった。
「……飯島さん飯島さん」
「んー?どないした渚君?お菓子のおかわり欲しいん?」
「待って、俺そこまで子供じゃないですよ!?って、そうじゃなくて…あれ、篠田さんの財布ですかね…?」
「えー…?……ほんまや、はじめの財布や…もしかして忘れたんか!?」
「これ、届けた方が良いですかね…?」
「んー、まぁ忘れた方が悪いとちゃう?うちはほっといてもええと思うけど」
「そっすか?じゃあそうしましょう」
「決まりやね!」
何処までも薄情な二人組なのであった。
ちょっと飯島さんと仲良くなれた気がしたぞー、わーい、嬉しいなー。
それからしばらくすれば、涼風が慌てて戻ってきた。どうやら篠田さんが財布を落としたと勘違いして探し回っていたらしく、とりあえず来た道に戻って探していたらとうとう会社に戻ってきてしまい、もしかしたら会社に―みたいな思いで入ったら、あったという事だ。
ちなみに、涼風も財布を忘れていたという、一体どうやって買い物をする気だったのかと問い詰めたくなったけど、我慢した。
ほれ、篠田さんが待ってるからさっさと戻っていきな。
涼風がまた外に出ていくと、一連の騒動を見ていた、俺、八神さん、飯島さんが、若干呆れたような表情をしてため息をついてしまったのは、言うまでもない…。
そして帰ってきた篠田さんは、キャラが崩壊していた。一体何があったんだこの人に…。
飯島さんに指摘されたら叫びながら何処かへ走り去ってしまった。
というか仕事しろぉ!!