ゼロとのヒーローアカデミア   作:トマト嫌い8マン

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取り敢えず、ゼロと出久の関係性は、師弟って感じになるかもと思います

というわけで、続きです


2人のスタート

「つまり、別の宇宙から次元を超えて来た、宇宙人ってことですか?」

『まぁざっくり言えば、そんなところだ』

 

出久の部屋。何故か正座しながら話を聞いている出久に、ゼロが自分のことを話している。

 

「それにしても、宇宙の平和を守るヒーローか……スペースヒーロー13号も宇宙空間での活動が可能だって聞いたことはあるけど、それとは全然違うみたいだし。そもそも宇宙人だから、体のつくりが人間とは違うってことなのか?だとしたら……ブツブツ」

『……お前何か話すたびにそれやらないと気が済まないのか……?いや、まぁいいけどよ』

「あ、えっと、ゼロさん!」

『なんだ?』

「ゼロさんは、どうしてこの世界に来たんですか?わざわざ宇宙を超えてまで」

 

ゼロの過去のことを少し聞いたが、彼には守るべき宇宙が既にあるはずだ。どうしてわざわざ自分と関係ない宇宙にまで、それもたった1人で来ようと思ったのか。出久にはそれが、不思議に思えた。

 

『実は、俺はこの宇宙に調査をしに来たんだ』

「調査?」

『ああ。俺の故郷、M78星雲にある光の国から、この宇宙で謎の邪悪な反応を捉えたという連絡があった。この宇宙に、俺たちのようなウルトラマンが存在していないこともな。だから俺がこの世界のことを調べに来たってわけだ』

「邪悪な、反応……」

 

この星では時折(ヴィラン)と呼ばれる者が、個性を悪用し、事件を起こすことがある。それに対応するため、ヒーローたちが存在している。けど、そのどれもが個人で動いているものばかりで、大きな影響力を持っているとは考えにくい。だとするなら、その邪悪な反応とは、一体何なのだろうか……

 

『ま、調査ということもあって、俺はこの姿のままこの星に留まるわけにはいかなかった。だからお前の体を貸して欲しい』

「……えっ、僕の体を貸す!?あの、それは、どういう意味で?」

『言っただろ。一心同体だって。今お前の体の中には、俺が入っている状態だ。だからお前にだけ俺の声が聞こえるし、俺の力の一端が使えるようになる』

「え、え〜と……」

『俺も地球上で気づかれずに活動することができるし、エネルギーの消耗を抑えることができる。ま、つまりは、win-winの関係って奴だな』

「いやあの、ちょっと話についていけないんですけど……あなたが僕の体の中にいるって言われても、それは物理的に可能なのでしょうか。そもそもそれだとそのぶんの質量がどこに言ったのかという話になりますし、そもそも二つの意識が一つの体にあるっていうのもよくわからないです。多重人格とかだとわかりやすいですけど、でもあれは基本的には一つ一つの意識が独立しているわけで、今みたいに互いに意思疎通はできないし、」

『だぁーもう面倒くせぇ奴だな、お前。まず否定形から入るのは癖か何かかよ!』

 

この短い時間で、ゼロは何となく出久のことをわかって来た気がしていた。そのゼロの言葉に、出久が自分の両手を顔の前に持ち上げ、眺めている。

 

『何はともあれ、だ。これからよろしくな』

 

明るい声でそう言うゼロ。しかし出久は両手を力なくおろし、何だか浮かない顔をしている。

 

『どした?』

「あの……どうして僕なんですか?」

『はぁ?』

「ゼロさんの事情は何となく理解しました。でも、僕なんかよりもプロのヒーローとか、あの試験会場にだって、きっと僕より優れた人なんていっぱいいたはずです。その人たちといた方が、もっと効率よく調査とかできるんじゃないですか。僕なんかよりも、ずっとすごいヒーローといた方が……」

 

俯く出久。最高のヒーローになりたいと、子供の頃からずっと思っていた。叶わぬ願いだと知りながらも、ずっと思っていて、あの日、オールマイトからチャンスを与えられた。でもダメだった。他の人たちが次々と仮想ヴィランを倒していく中で、自分は最後の最後まで恐怖に震えているだけだった。そんな自分といても、ゼロの邪魔にしかならないんじゃないか、そう考えてしまった。

 

『何言ってんだ。あの時、俺からしたらお前は、誰よりも優れたヒーローだったぜ』

「……えっ?」

 

顔を上げると、ホログラムのゼロが出久を真正面から見ている。表情は変わらないが、きっと本気の顔をしていると、何故かわかる。

 

『試験のこととか、お前と一体化して得た知識から何となく理解している。あの敵は倒しても何の得点にもならないし、他の生徒はみんなライバルだった。自分が合格することを考えるなら、逃げて他の敵を倒すことが得策だ』

 

『だが、そうしなかったからこそ、俺はお前と一体化することを選んだんだ』

「どう……して?」

『あの時お前は、自分の危険や不利益を一切顧みず、ただあの女の子を救うためだけに、あの敵に立ち向かった。怖かったはずなのに、勇気を振り絞り、立ち上がった』

 

ゼロの言葉の一つ一つを、出久は噛みしめるように聞いている。頬を温かいものが伝っているのがわかる。

 

『ただ能力が優れているとか、恐れを知らないとかは本当に強いわけじゃない。本当の強さってのはな、誰かを守りたい、助けたいと心から強く思った時にこそ、発揮されるものだ。あの時それができたのは、お前ただ1人だ』

 

それはまるであの日、憧れのヒーロー(オールマイト)に言われたこととすごく似ている。自分は結局1点も取れなかったかもしれない。でも、

 

『あの時のお前は、あの場にいた誰よりも、最高にカッコいいヒーローだったぜ』

 

自分があの日まで必死に積み上げてきたものは、決して無駄ではなかったのだと、肯定して貰えたような気がする。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、早朝。まだ日が昇るよりも早い時間に、出久は1人で自分の特訓場所である海岸に来ている。前日のこともあり、少しゆっくりしようかとも考えていた出久ではあったが、ゼロによる脳内モーニングコールに叩き起こされ、ジャージに着替えさせられたのだった。

 

海岸近くにはまだ、出久が特訓として撤去したゴミが少しばかり残っている。業者が運んでいったのだろうか、その数は減っている。

 

『へぇ〜、この海岸を1人でなぁ。お前、なかなか根性あるじゃねぇか』

「は、はぁ。あの、どうしてここに連れてこられたんですか?」

『決まってんだろ。特訓だ』

「……はい?」

 

驚いている出久を余所に、ウルティメイトブレスが光り始めると、中からウルトラマンゼロが現れる。

 

「へっ、ゼロさん?その姿を見られたらまずいんじゃ!」

『安心しろ。これは実体じゃない』

 

よく見ると体が透けているし、輪郭も若干ぼやけている。

 

『これはお前にしか見えない、俺のホログラムイメージだ。ただし、俺の視点はこっちに移ってる。やっぱり中からしか特訓を見られないのは不便だからな』

 

次元を超えたり、人と一体化したり、もう何でもありなのではないだろうか。なんて事を出久が考えている間に、ゼロが辺りを見渡している。

 

『さてと。取り敢えずはお前の使える力について調べる必要があるな』

「へっ、力……ですか?」

『昨日言っただろ。俺と一体化しているからには、俺の力をある程度使えるようになるはずだって。まずはお前の個性以外の力を試してみようと思う』

「な、なるほど」

 

この世界の『個性』については、一応出久もゼロに説明してある。ゼロの見て来た宇宙には存在しないはずのものなのに特に驚いた様子はなかった。それどころか、

 

『宇宙を巡ってりゃ、それくらいのこと、珍しくもねぇよ』

 

なんて言われる始末。しかしそれは同時に、ゼロがこれまでに、数々の宇宙を巡っている事を示している。果たしてどんな過去があったのか、いつか聞いて見たいと思う出久だった。

 

と、ゼロが何かを指差す。

 

『よし。まずはあれを、個性を使わずに持ち上げてみろ』

「……えっ?」

 

指差す方向を見ると、そこは海岸の端にある岩場だった。あちこちに出久の体よりも一回りも大きな岩が落ちている。

 

「あ、あれをですか?」

『おう』

「いやいやいやあの、無理ですって!確かにオールマイトのおかげで割と体は鍛えられていますけど、そもそも個性が無い分には一般人より少し腕力がある程度で、それだけではあの岩を持ち上げるなんて、」

『つべこべ言わずにさっさとやる!』

「は、はぃぃぃい!」

 

話している分には少しフランクな印象があったが、どうやらウルトラマンゼロは、訓練となると相当なスパルタのようだ。渋々一番近くにある岩の元に向かう出久。両手でしっかりと岩を持ち、個性を使わないように気をつけながら、足を踏ん張り、腕に力を込める。

 

「よ、い、しょっととと!?」

 

と、力を入れて岩を持ち上げようとすると、思ったよりもあっさりと岩が持ち上がる。全く予想していなかった展開に、出久の体がよろける。岩が手を離れると、十メートル程度先の位置まで飛んで行く。

 

「えっ?何、これ?」

『どうやら、筋力が向上しているみたいだな。次はあの上までジャンプしてみろ』

 

今度は海岸を見下ろす高台を指差すゼロ。明らかに4,5メートル近くもある場所なんて、トランポリンでも無い限り、個性なしでは無理だ。しかし、

 

「うわぉぁぁっ!?」

 

少しの助走をつけて踏み込んだ足で飛び上がった出久の体は、高台の柵も難なく飛び越え、怪我もなく、綺麗に着地を成功させる。

 

『跳躍力と空中でもバランスを崩さない体幹の良さもって感じか……』

 

ゼロが考え込むように口元に手をやるのに対し、出久は信じられないという表情で自身の手足をまじまじと見ている。

 

「これが……僕?」

 

肉体強化ができる個性の持ち主に比べると、そこまで凄いとは言えない。特出した能力というわけでも無い。それでも、ワン・フォー・オールを使わなくてもこれ程のパワーアップをしているという事実に、驚愕を隠せなかった。

 

『よし。これからその力を制御するための修行から始めるぞ。おーい、降りてこい!』

「あっ、は、はい!」

『いやどこ行くんだよ』

「へっ?階段ですけど……」

『いや何でだよ。普通にそこから飛び降りてこい』

「いやいやいや怪我しますって!」

『いいから飛ぶ!』

「はぃぃぃい!」

 

もちろん特に怪我することもなく、着地も完璧に成功する出久。とは言え、どうやら力加減がわからず、振り回されて居るようだ。

 

『んじゃ、今日からビシビシ行くぜ』

「あの、でも雄英には多分落ちちゃってるんですけど……」

『そんなもん、関係ねぇよ』

「えっ?でも、ヒーローになるためには、」

『お前は、諦められるのか?ヒーローになりたいっていう夢を』

「……それは」

『出来ないんだろ?なら、他の方法を探し出せ!諦めずに、今できることからやってみろ!なりたいんだろ?最高のヒーローに?』

「……はいっ!」

 

強い意志のこもったその眼差しには、もう迷いは見られなかった。へへっ、とゼロが親指で口元を拭う仕草をする。

 

『言っとくが、俺の特訓は厳しいぞ?』

「やります。自分にできることを、少しずつ!」

『よっしゃあ!しっかりついて来いよ、出久!』

「はいっ!」

 

ニッと笑みを浮かべ、元気よく出久は返事をしたのだった。

 

 

 

 

 

……数分後、出久は軽々しくついて行く、なんて事を宣言した事を、早くも後悔することになる。

 

雄英入学試験、結果発表まで約一週間。無気力に過ごしていたかもしれないその時間は、出久にとって、特訓ばかりの毎日になるのであった……

 

 

「いや待って、ゼロさん無理無理!死んじゃいますって!」

『大丈夫だ。体も頑丈になってるし、何より傷もすぐに治してやるから!』

「だからって念力で車操るのは無いですってぇ!」

『ほらほら、しっかり逃げないとやばいぞ〜』

「だぁぁぁぁぁぁあっ!?」

 

 

……続く

 




やっぱり特訓はこうでなくちゃね!

はい、うん、まぁ、死なないとは思います

次回に続く……はず
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