ゼロとのヒーローアカデミア   作:トマト嫌い8マン

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とりあえず、なんとか入学式間近まで持ってかれたかな?

しかしやっぱり何度聞いてもサントラがいい、めっちゃ気持ち高ぶる!


僕らのヒーローアカデミア

雄英の入学試験から丁度一週間後。

 

既に日が暮れはじめている中、今日も今日とてゼロによる出久の特訓が行われていた。

 

『よしっ。今日はこの辺りでいいだろう。戻るぞ』

「はぁっ、はぁっ……っはい」

 

オールマイトからの厳しい訓練スケジュールに加え、自己鍛錬も欠かさず行って来た出久は、今では同級生の中でも体つきも体力もいい方だ。

 

しかしその出久にとっても、この数日間の特訓は酷く厳しいものに思えた。正直、車で追い回されたときは死を覚悟したほどだ。

 

でも、その特訓の成果はしっかりとでていると実感できる。力の加減の仕方も、運動能力も、大幅に向上している。今ではあの大きな岩を、正確に狙った場所に投げることも問題なくできる。

 

『様になって来た感じだな』

「そうですか?」

『ああ。それにこれを続けていけば、ワン・フォー・オールをコントロールすることにも繋がる、かもしれねぇな』

「えっ?」

『お前の体がボロボロになったのは、お前が100%の力に耐え切れる体じゃないことが原因だ。リスクを減らすためには、お前はあの力の出力をコントロール出来るようにならないとな』

「出力のコントロール……」

『まっ、俺もその辺りは詳しくないからな。オールマイトに教えてもらったほうが早いかもな』

「……はい」

 

入試の日以来、オールマイトとは連絡が取れずにいた。試験を見ていたのだろうか。もしそうなら、1ポイントも稼げなかったことが、酷く申し訳なく思えてしまう。

 

力を譲渡までしてくれたというのに……

 

でも、僕は正しいと思うことをしたんだ。きっとあなたもそうしたと思う……

 

物思いにふけりながらも、出久の足は家に帰るまで止まらなかった。

 

 

 

「ただいま〜」

 

玄関のドアを開け、家の中へ声をかける。すると、リビングの扉が勢いよく開き、中から出久の母、緑谷引子が転がるように飛び出してくる。

 

「いず、いずいずいず、出久!」

「えっ、何!?どうしたのお母さん!?」

「き、ききき、来た。来たのよ、雄英から!」

「ええっ!?」

 

差し出される引子の手の中には、雄英のマーク型シールで封をされた封筒が握られている。

 

それを見た瞬間、出久は飛びつくようにその手紙を手に取り、一目散に自室へと向かった。暗い中、デスクの明かりだけをつけ、封筒を開く。中には一通の手紙……ではなく小さなデバイス。どうやらビデオレター形式らしい。

 

震える手で出久がビデオレターを起動する。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『私が投映された!』

 

画面一面に映る、アメコミタッチな男の顔。金色の髪に自信満々な笑み。今話題のNo.1ヒーロー、オールマイトが、黄色いスーツ姿で立っている。

 

「オールマイト!?何で?」

『へぇ。こいつがオールマイトか……』

 

筋骨隆々な体に、キラリと光る白い歯。朗らかに笑うその姿は、なるほど、怪我をしているということを聞いた後だと、どんな時にも笑顔を絶やさないということに相当な覚悟を持っているのが、何となく伝わってくる。

 

『諸々手続きに時間がかかってしまってね〜。連絡取れなくてすまない。実は私がこっちに来たのは、雄英に勤めることになったからなんだよ』

 

「オールマイトが、雄英に!?」

 

『さて、試験の結果だが。筆記は問題なかった。しかし肝心の実技は0ポイント。これは当然不合格だ』

 

オールマイトの言葉に俯く出久。分かっていた、分かっていたとも。それに、ゼロに言われて、覚悟を決めたつもりだった。たとえ雄英に落ちたとしても、ヒーローを目指すのは諦めないと。でも、やっぱり、

 

「やっぱり……悔しいなぁ」

 

『……もちろん、それだけならね!』

「……えっ?」

 

今にも悔し涙を流しそうになっていたいずくが顔を上げると、画面には別の人物の映像が映されている。茶髪に少し丸っこい顔。大きめの瞳に赤みのある頬。

 

入試の時、出久が転ぶのを助け、落下する出久を助けてくれた、あの少女だった。

 

『あの〜頭もっさもさの人……そばかすのあった、地味目の……』

「僕だ……」

『いや、自分で地味って認めちゃうのかよ……』

 

ゼロのツッコミも、今の出久の耳には入らなかった。彼の意識は、完全に画面の中に映る少女に向けられている。少女が頭を下げている。

 

『その人に、私のポイントを分けてあげたいんです!せめて1ポイントでもって、言ってたの聞こえて……私のせいで……あの人、助けてくれたんです!お願いします!』

 

必死に頭を下げる少女の姿は、出久の目に強く焼きついた。

 

『個性を経てなお、君のその勇気ある行動は、人を動かした。人助けを……正しいことをした人を排斥しちまうヒーロー科なんて、あってたまるかって話さ!』

 

再び顔を見せるオールマイト。その笑みは、先程とは違うものだ。込められているのは、称賛。その笑みだけでオールマイトは、緑谷出久の功績を褒めているのがわかる。

 

『この試験で見ていたもう一つの要素。すなわち、ヒーローの根幹、自己犠牲の気持ち!それを判定するのが、レスキューポイント!しかも審査制!よって緑谷出久のポイント、60点!』

 

画面に映し出されるスコアボード。点数一位から順に並んでいる。そして7位の欄に書いてあるのは、紛れもなく、出久の名前だった。

 

『流石はヒーロー育成学校、だな。ちゃんと見るべきところを見てやがる』

 

今度こそ、出久の頬を涙が伝い落ちた。でもそれは悲しさや悔しさではなく、嬉しさ。心の底から込み上げてくる気持ちが、涙となって現れている。

 

画面の中のオールマイトが、画面に向かって手を差し出す。

 

『来いよ、緑谷少年。ここが、君のヒーローアカデミアだ!』

 

 

あの日、諦めろと言われた夢を、結局僕は諦めきれずにいた。

 

でも、それで良かったんだと、今ははっきりと思う。

 

そのおかげで僕は、僕の人生の転機とも言える、二つの出会いに恵まれたのだから。

 

『へへっ。行こうぜ、出久。お袋さん、きっと待ってるぜ』

 

ぐしぐしと、手の甲で涙を拭う。入試までの間、ずっとお母さんは支えててくれた。その感謝を、しっかりと伝えに行かないと!

 

「……はい!」

 

 

しっかりとした笑顔で部屋の扉を開ける出久。目を閉じ、必死に祈っている引子が、そのすぐ近くに立っている。

 

ハッとした顔で出久を見る引子。瞳が不安げに揺れている。出久はそんな母を真っ直ぐ見つめて、笑顔で親指を立てて見せる。まるで自分の憧れのヒーローが、人々を安心させるためにするみたいに。

 

引子が思わず泣きだす。あの日、打ちのめされたのは出久だけではなかった。引子もまた、泣いて謝り続けた。ヒーローになるための個性を、持って産んであげられなかったことを。

 

息子がヒーローへの一歩を踏み出した。そのことが、彼女にとってどれほど嬉しいことなのか。

 

『いい母親だな、出久』

 

 

 

翌日、オールマイトから直接連絡があり、出久は久々に憧れのヒーローに会いに、あの海岸線へと向かった。

 

トゥルーフォームとも呼ばれるガリガリの姿で出久を出迎えるオールマイト。面と向かって言われるおめでとうは照れ臭く、同時に胸がいっぱいになる思いだった。

 

 

 

「あの、オールマイト。実は、話したいことがあるんです」

 

真剣な表情で自分見る少年の姿に、オールマイトはただならぬ何かがあるのだと感じ取った。

 

「どうやら、何か大きな秘密を抱えているようだね」

「……はい」

「わかった。詳しく聞かせてくれ」

 

同じくらい真剣な表情で少年を見つめ返すと、少年は意を決したように口を開いた。

 

「はい、あの実は……えっ、変わる?……そりゃそうですけど、声は聞こえないって……体を貸す?そういえばそんなことも、っていやいやちょっと待ってくださいって」

 

「……何してるの?」

 

突然1人で何やら言い争っているような雰囲気になる少年。さっきまでのシリアスな空気が完全に雲散霧消してしまっている。

 

「おーい、緑谷少年?」

「っだぁー、よしっ変わった!あー、思ったより疲れた」

「は?」

 

目の前の少年が改めてオールマイトに向き合った時、一瞬別人のように見えた。姿形は間違いなく緑谷出久のそれだ。しかし今の口調、仕草、そして鋭い眼差しは、彼のものとは思えない。

 

「君は、誰だ?」

「とりあえずは初めましてだな。あんたのことは、こいつから聞いてるぜ、オールマイト。俺はゼロ、ウルトラマンゼロだ。よろしくな」

 




オールマイトとゼロの会話については、次回やるわけではありません
また近い将来にでも触れるつもりです

次回は入学編だよ!
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