やっぱり二人はなんだかんだ言っても、しっかり幼馴染やってるなぁなんて思ってしまう
では、続きだ
朝、爽やかな風が吹き抜け、空は鮮やかな青色が広がっている。
新しい制服に袖を通した出久。左腕のブレスレットも、空に負けないくらい綺麗な青色を映している。
「じゃあお母さん、行ってきます」
「……出久」
ドアに手をかけたまま、出久が振り返る。半開きの扉から明かりが差し込み、引子の位置からは、まるで後光が差しているようにも見える。
彼女を見る少年の顔は、ずっと泣いてばかりで怯えてばかりの時の顔ではなく、新しい始まりに胸躍らせる、若く、強く、眩しいくらいの成長を見せていた。
「……超かっこいいよ」
その言葉に目を見開く出久。昔母に聞いた。自分もなれるかと。オールマイトみたいな、超かっこいいヒーローに。
あの時、お母さんは泣いて謝るだけだったけど、
「……ありがとう。行ってきます!」
僕は、少しは慣れたのかな。憧れのヒーローのような、超かっこいい人に。
『いいや、まだまだだな』
「ちょっと!なんでそういうこと言うんですか?少しくらい自分の成長を喜んだって、」
『ボサッとしてんじゃねぇよ。ここからだろうが、お前のヒーローへの道のりは。スタートラインに立てて喜んでる場合かよ』
厳しいけど、いつもゼロさんの言うことは正しい。浮かれてばかりはいられない。あの人の背中は、ずっと、ずっと遠い場所にあるんだ。
そこに辿り着きたいなら、一歩でも速く。一歩でも遠く。一歩でも多く!
「
それが、僕の高校生活の幕開けだった。
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雄英高校ヒーロー科の一般入試は基本36人。一クラス18人だけ。そこにそれぞれのクラスへ推薦入学者が2人ずつ入る。一学年合計してだったの40人。そのため、毎年ヒーロー科はかなり倍率が高い。
「えっとA組は、ってここ?!」
自分の教室を探しながら廊下を歩くことしばし、出久が辿り着いたのは、自分の軽く倍以上の高さはある扉だった。
「扉でかっ!?バリアフリーかな?」
『なんだっけか、その異形型ってのは、ここまでの大きさになる奴もいるのかよ』
「いや、どうなんでしょう?巨大化するヒーローはいますけど、通常時からこのサイズの人はいるのかなぁ」
扉の前で呼吸を整える出久。できればクラスメートとは仲良くやっていきたいと思っているが……
(かっちゃんとか、あの入試の時の眼鏡の人とか、結構怖い人もいるしなぁ。できれば当たりませんように!)
意を決して扉を開ける出久。と、そこには、
「君!机の上に足を置くのはやめたまえ!」
「あ?んだお前?どこ中だよ」
好戦的な笑みを浮かべるかっちゃんこと爆豪克己と、そんな彼の素行を注意している眼鏡男子の飯田天哉がいた。
(当たっちゃったよ、しかもビッグツー!)
『いや、そんなんでビビるなよ。この前の勇ましさはどこいった?』
合格発表直後のこと、出久は爆豪に問い詰められたことがあった。無個性で何もできない、その意を込めた
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校舎裏に呼び出された出久は、気がつくと壁に叩きつけられ、胸倉を掴まれていた。
『雄英受けんなって、言ったよなぁ?クソナード!』
目の前には激情を剥き出しにしている爆豪。ヒーロー志望にしてはかなりの悪人面に睨まれ、反射的に目を閉じ、俯いてしまう出久。
「かっちゃん……でも、僕は……」
『敵意を感じるな。俺に任せろ。体借りるぞ』
「えっ、ちょっと!」
ガシッと掴まれた自分の腕が、出久から引き離されるのを、爆豪は驚愕の目で見ていた。俯いていた出久が顔を上げると、先程とは別人のように自信に満ちた表情をしている。
「なっ、デクテメェ!」
空いていた方の右手で拳を握る爆豪。出久目掛けて振るわれたそれは、出久の左手に受け止められる。ニヤリと出久が笑う。
(いや……なんだこいつ?デク、じゃねぇ?)
『へっ。俺に喧嘩売ろうなんざ、二万年早いぜ』
(ゼロ……変わって)
『は?いや、何で』
(これは、僕が乗り越えるべきことだから。大丈夫。もう、恐れてばかりでは、いられないから!)
『……わかった。いいぜ。しっかり決めてきな』
「あん?」
自分の手を受け止める腕に込められている力が少し緩む。不思議に思う爆豪が出久の顔を見ると、いつも通りの雰囲気を持った状態に戻っている。しかしそこには怯えの様子がほとんどなく、出久がまっすぐ爆豪を見据えている。
「勝ち取ったって……言ってもらったんだ」
「はぁ?」
「ヒーローになれるって言ってもらったんだ……だから、だから僕は行くんだ!」
「っ!」
それまで一度も見たことのない出久の気迫に、爆豪は思わず黙ってしまった。しばらく黙って睨み合う二人。ふっと息を吐き、爆豪が両手を引く。
「はっ!どんな汚い手を使ったのかしらねぇが、来たとしてもお前は俺の下だ。必ずぶっ潰してやる!」
そう言って爆豪は出久に背を向けて去っていった。
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『あん時のお前、結構かっこよかったぜ。だからほら!自信持て!』
「はぁ〜」
扉付近でため息をつく出久。その声を聞いて飯田が反応する。爆豪の元を離れ、出久の方へと向かってくる。
「君は、確か入学式の」
「あ、ど、どうも。その、おはよう」
「すまなかった!」
「へ?」
目の前の飯田が、突然頭を下げて来たことに、出久は目を瞬く。真面目そうな雰囲気は変わらないが、前の時のような怖さはない。
「俺は君を見誤っていたみたいだ」
「へっ?」
「君はあの試験の構造を見抜いていたんだな」
「いや、あの……」
「俺は気づけなかった。悔しいが、君の方が上手だったようだ」
何やら一人で盛り上がっている飯田に、出久は口を挟むこともできずにいた。
(すみません……何も気づいてませんでした)
『別に謝るようなことでもないだろ。むしろ気づいていないからこそ、俺やここの先生たちの目に止まったんだからな』
「あ!そのモサモサ頭は、地味目の!」
突然後ろから何やら聞き覚えのある声が聞こえる。振り向くと、あの時、出久が助け、助けられた彼女がそこに立っている。
(あ、いい人だ!制服姿、やばい……かわいい)
「そういえば、お礼言えてなかったよね!助けてくれて、本当にありがとう!」
「い、いやぁの。こ、こちらこそ助かったと言いますか、直談判までしていただいて……」
『焦りすぎだろ……というかそんな小さな声でブツブツ言ってても聞こえないっての』
出久も合格していたことが嬉しいのか、彼女はテンションが高めだ。元々パーソナルゾーンが狭いのか、出久にもぐいぐい近づいてくる。女子とほとんど会話したことがなかった出久は、顔を真っ赤にし、両腕でそれを隠している。
「先生ってどんな人なのかな?入学式とかホームルームとかあるのかな?」
「お友達ごっこしに来たなら他所行け」
突然どこからともなく声が聞こえる。低めで、やや聞き取りにくい男の声。ふと出久が地面に視線を送ると、教室の扉の前、反対側の廊下に寝袋にくるまった男が横になっていた。
(((なんかいる!?)))
次回は、出久、雄英最初のピンチの話ですな
まぁ、この辺りも変えていくわけなので、はい