さてさて入学二日目。
この日から授業が始まる。
雄英高校はヒーロー育成のための学校である。
とは言え、立派な高校でもある。
午前中は必修科目。英語や数学等、ごくごく一般的なものを学ぶ。
教壇に立つ教師はもちろんプロのヒーローな訳なのだが、
「はい。この例文の意味は……」
至って普通の授業風景である。
『あの例文の4番、間違ってるな』
(えっ?)
『確か問題文は、知ってることを全て教えてください、だったよな?この場合、正しい訳は 「Please tell me all that you know」。あれじゃ、「all」と「that」が逆だ』
(へ〜……って、ゼロさん詳しいですね)
『前に一体化した奴がそういうの意外と得意だったからな。その時の知識は、今も残ってるんだよ』
(そうなんですか……)
授業中もちょこちょこ口を挟んでくるゼロ。気が散って邪魔になるかと思いきや、意外と助かっている出久だった。
午前中の授業は特に面白みもなく、黙々と黒板を見てはノートを取り、先生の質問に答える、といった具合で進んでいった。
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さてお昼を食べ、午後の授業に臨む出久たち。午前中はやや退屈そうな顔をしているものもいたが、今は違う。午後の授業はヒーロー科の目玉、ヒーロー基礎学。
そして今年の教師は……
「私が〜!普通にドアから来たぁ!」
赤いヒーロースーツに身を包み、高笑いする巨体。知る人ぞ知る、どころか知らぬ人がいないとまで言われる、ヒーローの中のヒーロー、
「オールマイトだ!」
「本当に教師なんだ!」
大興奮の一年A組。
誰もが憧れるヒーローにヒーローになるための授業をして貰えるのだ。興奮しないわけがない。
我らが出久は声をあげなかったが、それは興奮してないからではなく、
(は〜!オールマイトの授業だ!今までの特訓とは違う。本物のヒーローの授業だ!)
『いや、お前特訓までしてもらったんだろ?今更何をそんなに興奮してんだか』
「では早速だが、私が教えるヒーロー基礎学。ヒーローに必要なスキルを磨くための講座な訳だが、みんなには最初にこれをしてもらう!」
そう言ってオールマイトが出したのはBATTLEと書かれたカード。BATTLE、つまり戦い。つまるところ、
「そう!戦闘訓練だ!」
クラスがさらにざわめく。緊張に震えるもの、面白そうだとやる気を見せるもの、静かにその言葉を受け止めるもの。反応は様々だが、みんな一つ共通して思ったことがある。
((((((ヒーローっぽくなって来た!))))))
「ここで君たちにいい知らせだ!入学時に送ってもらった要望に沿ってあつらえたコスチュームが届いている。それに着替えてグラウンドβに集合だ!」
さっきからテンション上がりっぱなしのクラス。雄英のヒーロー育成サポートの一つが、コスチュームの用意。要望を提出することで、最新鋭の技術を駆使し、その要望通りのコスチュームが、学園専属のサポート会社によって用意されるのだ。
素材、機能、見た目など、その全てをしっかりと兼ね備えている。
さて、出久のスーツはというと、
緑一色に、白と黒のライン。肘と膝にはサポーターをつけ、手はグローブ、足はブーツ。特徴的な頭をすっぽり覆うマスク。ウサギの耳のような二つの角、そしてまるで笑顔のような口元の部分。
それは母親が、いつか出久の書いていたデザインを基に作ってくれた、ヒーロースーツ。
最新鋭でなくてもいい。母親が心からの応援の意味を込めて作ってくれた、大切なスーツ。どんなスーツよりも、それは自分にとってふさわしいものだと出久は感じ、 選んだ。
なお、そのスーツを見て、オールマイトとゼロが笑っていたのはまた別の話。
(『わかりやすい』)
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ヴィラン組とヒーロー組に分かれて行う戦闘訓練。
核兵器の争奪戦を想定したこの戦闘訓練は二人人組で行う。
組み分けと対戦は厳正なくじ引きで行われる。
出久のパートナーは麗日お茶子。
そして対戦相手は、
「デク、お前は絶対潰すからな!」
まさかの初っ端から爆豪である。なお、彼のパートナーは飯田天哉。出久の第一印象怖い組である。
睨みつけてくる爆豪に対し、出久は——
「……っ!」
「あん?」
しっかりとその視線を真正面から受け止める。
(確かにかっちゃんはすごい奴だ。昔からずっとそうだった。でも、今は——)
(——負けたくない!)
覚悟を込めたその視線に、わずかに目を見開く爆豪だったが、
「ちっ」
飯田を待たずに、さっさと舞台となる建物へと入っていった。
「デク君、頑張ろうね!……デク君?」
「……うん。頑張ろう、麗日さん」
静かに闘志を燃やす出久の様子を、後にお茶子はこう話す。
「なんか、男の因縁!って感じだったよ」
とりあえず、2週間程音信不通になるので、またその後に投稿できたらしますね〜