ラブライブ!サンシャイン!!~9人の輝きの向こう側~   作:にっしんぬ

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長め


初めの一歩は大好きな気持ちで

「早く着いた…」

 

 

 

千歌ちゃんたちAqoursがライブを行う当日

あいにくの雨にもかかわらず早く着いてしまった

 

 

 

「(変装してるから大丈夫だとしても、男が女子高にいるって

気が引けるよな。ライブのためのはいえ)」

 

 

 

まだ時間はあるしどうしようかと思っていた矢先

 

 

 

「あら?あなた」

「ん?…!!!」

 

 

 

まさかの鞠莉と鉢合わせしてしまった

 

 

 

「あっ、えっと、ライブ、観に来たんですけど

早く、着きすぎちゃって。」

 

 

 

しどろもどろか!とこころの中で唱える

バレるわけにはいかない。特に鞠莉には

 

 

 

 

「シャイニー!チカっちたちのライブを観に来てくれたのね

very thank youデース!!」

 

 

 

バレてない、大丈夫そうだ

 

 

 

「ところであなたは?」

「oh,私は小原鞠莉、この学校の生徒兼理事長よ

せっかくだからこの学校を案内してあげる

ついてきて」

「えっ、ちょっ…!」

 

 

言われるがままに腕を引かれる

3階から始まり、2階、1階と案内され

なぜか理事長室に連れていかれた

 

 

 

 

「いい、学校でしょ?」

「そう…ですね。」

 

 

 

バレないように、と考えていると

返事がありきたりになってしまう

 

 

 

「でもね、廃校になるの?」

「え?」

「ううん、That's wrong.廃校にはさせない」

「と、言うと?」

「チカっちたち、ライブするでしょ?

スクールアイドルってしってる?」

「まぁ知識程度には」

「チカっちたちは、鍵なの。μ'sのように

School Idolで廃校を阻止する。でもね、足りないの」

「足りない?」

「そう、3人じゃきっと足りないμ'sのように9人

いや、もう1人、10人でなら、きっと」

 

 

あぁ、本気なんだ、本気で内浦が好きで

本気で学校が大好きで、本気でスクールアイドルが好きで

だから、帰ってきたんだ、救おうと

そういう、目をしている。

その内の1人がきっと自分なのだろうと自覚はしている

でも…

 

 

 

「出来ると、いいですね」

 

 

その想いにはきっと答えられない

 

 

「ありがとう、Sorry!こんな話に付き合わせてしまって

もうすぐ始まると思うから体育館へLet's go!!よ!

マリーはまだここで仕事が残ってるから後でいくわね」

「いえ、こちらこそ案内ありがとうございました」

 

 

 

そう残して会場である体育館へ向かう

 

 

 

「マリーの気持ち少しは届いたかな、ねぇノゾム?」

 

 

 

せつなげに呟かれた言葉は聞こえるはずもなく

雨の音にかき消されていった

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「(まだ時間はあるけど雨、強くなってきたな)」

 

 

まだ時間はあるが雨が強くなり、雷も鳴り始めてる

 

 

「(停電とか起こらなきゃいいけど…予備電源とか

あるのか、この学校?)」

 

 

 

ちょっとずつだが人が集まり始めている

ほとんどが同じ制服、浦の星の生徒だが

中には自分のように変装してる人も…

 

 

「(いや、あれはどう見ても変装どころか不審者だろ…)」

 

 

サングラスにマスクはあきらかに不審者の二大オプションだろう

なんの話をしてるのか分からないが

と、そんなことを思ってると開始のブザーが鳴り

ステージの幕が上がる、まだ少し時間はあったはずだが…

 

 

「(俺が勘違いしただけなのか?いや、それより)」

 

 

 

幕が上がったステージの真ん中には

千歌ちゃんをセンターとし梨子ちゃん、曜ちゃんが並んでいたが

 

 

「なんでそんな悲しそうな顔をしてるんだ…」

 

 

スクールアイドルだけならず、世の中のアイドルは

人を笑顔にするのが仕事、故にステージに立つ以上

笑顔でいることが鉄則

少しでも悲しい表情を見せようものなら

それは観客に伝わってしまい、ステージは成り立たない

それにこの人数では…

 

 

「駄目だな、これは」

 

 

 

そう思い帰ろうとしたとき

 

 

 

「─────────」

 

 

 

さっきまでの顔が嘘だと思うくらい

キラリとした笑顔が生まれていた

 

 

「(歌うのか…)」

 

 

体育館にメロディーが、3人の歌声が響く

 

 

「(きっと素人目から見たらすごい、となるんだろうが

所々振り付けがずれてる、つらそうな顔が見える。でも…)」

 

 

 

振り付けがずれていようが、所々つらそうに見えようが

根本は変わってないように思える

 

 

「楽し、そうだな…」

 

 

そう、楽しそうに歌って、踊っている

精一杯、輝こうとしている

そう思いながら、曲もラストに差し掛かろうとしてたとき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(なっ…ここに来て停電!?)」

 

 

 

周りはざわめき始めている、想定外のトラブルだったんだろう

ステージを見ると、千歌ちゃんがまた悲しそうな顔をしていた

それでも声を振り絞って、歌おうと、輝こうとしていた

 

 

 

 

 

「(くそっ…!!!)」

 

 

 

 

 

浦の星が廃校になろうが関係ない

内浦でスクールアイドルが始まろうが関係ない

さらに悪いことを言うと千歌ちゃんたちが

許せなかった。仕方ないと言えば仕方ないのだが

なにも知らないでAqoursという名前を使っていることに

なにも知らないで内浦でスクールアイドルを始めていることに

 

いつからだろう、純粋に好きなものを楽しめなくなったのは

スクールアイドルが好きだった2年前はあの頃の気持ちは

果南、鞠莉、ダイヤのAqoursのマネージャーを

やってた頃の気持ちは

 

 

そんなことを考えるより前に

 

「(ダイヤか鞠莉…どこだ?)」

 

足はすでに動いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

「1人で来たのが間違いでしたわ、やはり

誰か一緒に連れて…いや、私は生徒会長1人でだって…」

 

 

普通の学校なら予備電源のバッテリーは

すぐ使えるような場所においてあるのだが

浦の星に関してはすこし離れたところに置いてある

そして、なにより

 

 

「重い、ですわ…」

 

 

重いのである

 

 

 

「望さん…」

 

 

やってくるはずのない人の名を呟く。

きっと届かない、もう何ヵ月連絡を取ってないだろう

口を利いてないだろう。

距離が遠くなるほどの時間は、経ったはず

 

 

「ぶっぶーですわね、こんなところで弱音など

スクールアイドルはもう私には関係有りませんが

浦の星の威厳をかけて、どんな形でも

成功だけはさせなければ」

 

 

力を振り絞りバッテリーを持ち上げようとしたとき

 

 

 

 

 

「ダイヤ!!!」

「えっ…?」

 

 

あり得ない、いるはずない、来るはずない

これはきっと夢なのか

 

 

「はぁっ…はあっ…俺が持つ。場所、教えろ」

「どうして望さんがここに!!」

「話は後!!成功、させるんだろ?」

「あなたという人は本当に…」

 

 

夢でなかった。

正義のヒーローみたいに困ったことがあると

いつも助けてくれた。なんでもお見通しだと

言わんばかりの目で助けてくれた

 

 

 

「…っ!!こっちですわ!急ぎますので

ちゃんと付いてこないと、ぶっぶーですわ!」

「おう!任せとけ!」

 

 

 

考えるのは後、まずはこのライブを成功させなければ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったくあなたという人は…」

 

 

 

予備電源で電気がつくと瞬く間に

「じゃあ!続き見てくる!」と言い出し走り去っていった

 

 

「いつになっても変わりませんわね」

 

 

いつになっても好きなものには一直線だった

昔も今もそこは変わっていなかった

 

 

 

「体育館が騒がしいですわね、まさかあの後…?」

 

 

そう思い体育館へ向かうと、そこには

たくさんの人で溢れていた

 

 

◆◇◆◇

 

 

「これは…」

「急いで最前列で見ようと思ったら席取られてたよ。

内浦の、いや、それだけじゃなくて沼津のほうからも」

「そうですか」

 

 

 

曲が終わり会場は拍手で包まれた

 

 

「さて、あなたのそのバレバレな変装に関しては

後で聞かせていただくとして…」

「えっ…」

「えっ…じゃありませんわ!果南さんでも分かりますわよ!」

 

 

 

えー…マスクにサングラスよりかは怪しまれないし

いけるかと思ったのに

 

 

 

「私はあの子達に言いたいことがありますので

…一緒に来ますか?」

「いや、俺は帰る。俺からはあの子達に言えることはないよ」

 

 

そう()()()()()()()()言えることなんてない

そんな()()もない

 

 

 

「そうですか、お気をつけて」

「おう、ダイヤもな」

 

 

 

 

互いに別れ体育館の外へ、雨は降り続いていたが

ライブが始まる前よりかは弱くなっていた

 

 

 

「来てたんだ、望」

「果南…あっ」

「あっ…て、それで変装してるつもりだったんだ」

 

 

 

ダイヤの言うとおりであった

鞠莉にはバレてないことを祈るばかりである

 

 

「で、どうするの。マネージャーの話、千歌たちにするの?」

「…しないよ」

「…そっか」

 

 

 

あのライブを見て、許さない。という気持ちは

どこかに消えた。きっとあのときの3人の

Aqoursを、果南とダイヤと鞠莉のAqoursと

今の千歌ちゃん、梨子ちゃん、曜ちゃんのAqoursの

面影が被ったのだろう

最初は、スクールアイドルが好きという気持ちで始めた

最初の1歩なんて、そんなものだ。

 

 

 

「応援はする、でもマネージャーはしない」

 

 

今のままでは純粋に好きでいることが出来ない

少なくとも今のままでは…




iPodでAqoursの曲をシャッフル再生してると
「あ、Britghtest Melodyだ」ってなった途端
軽快な和太鼓のリズムが聞こえてきて
「いや、音頭かーい」ってなります
前奏の開始1秒間が似すぎてません?
編曲した人が一緒だからなんですかね

予備電源のくだりは作ってます
なんかオレンジっぽいのがあったなーっていう
曖昧な記憶で書きました

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