桃水晶の六尾姫   作:ココスケ

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尊敬する人

あの日から1か月。

任務の合間を縫ってチャクラ切れを起こさぬように気を付けながら新しい世界線を創り終えた。

その間にも、尾獣達と一緒にチャクラを渡されていない一尾、二尾、八尾のチャクラを集めるために奔走した。…いや、実際に走った訳ではなく精神世界での話なのだが。

 

人柱力の精神世界を繋げ、その中での説得を行っていた。

二尾、八尾に関してはユギトやビーと上手くやれている事や、戦争で対峙した時の事を覚えていた為、簡単に友達になってくれた。

 

だが、一尾─守鶴は尾獣の中でも一二を争う人間嫌いな上、〝六道仙人に似ている〟人格者である分福を冷遇している所を1番近くで目の当たりにしてしまい、人間嫌いが加速してグレていた。

…この1ヶ月、守鶴の説得が1番大変だったかもしれない。

 

『なぁ、そろそろじじぃに会わせろよ〜!』

「あぁ、ごめんね。」

 

ホットケーキを食べ終えた守鶴が短い足でポテポテと近寄り、私の膝の上へと座る。

仲良くなって以来、膝の上は守鶴の定位置となっている。…丸っこくて可愛いと思いつつ、それを言えばプンスカと怒るので心の中にしまっておく。

 

目を閉じて精神世界へと意識を落とすと、目の前には2人の男性…言わずもがな、尾獣達が心から尊敬してやまないハゴロモとハムラである。

 

前回と同様、尾獣達が我先にと駆け寄っていき尾獣同士で喧嘩しながらも甘える姿は、世間で恐れられている尾獣とは思えない程可愛かった。

尾獣を怖がっている人々に映像を見せたいくらいだ。

 

みんなの気が済んだ所で2人は私に向き合う。

 

「トウカ…ありがとう。トウカのお陰で、また皆と会うことが出来た。

新世界にも…尾獣達だけのスペースを…しかも、全員が快適に過ごせる環境を作って…なんとお礼をしたらいいか…。」

「私がやりたいと思ったからやったんで、お礼は要りませんよ。」

 

尾獣の専用スペースは、砂漠や洞窟、湖など、各々が快適に過ごせる環境を整えた。

 

尾獣達がいつ解放されるのかが分からない為、尾獣チャクラを少しずつ貰って専用スペースへと放ち、解放された時には尾獣チャクラに反応して自動的に転移出来るようになっている。

さらに、封印を掛け直す度…つまり、人柱力が変わる度に漏れたチャクラを集めて尾獣区域へと送る設定もした。

 

…ぶっちゃけ、1番力を注いだのはこの区域だ。

尾獣達はみんな身体が大きいため、尾獣地域は広大な敷地が必要だった。

巨大なチャクラそのものである尾獣達は、その時のチャクラ量によって大きさも変化するため、どれ位広ければ良いのかを判断するのにも時間を要した。

 

暴れても問題ないように自動修復能力もあり、尾獣達が─主に守鶴と九喇嘛─喧嘩しても大丈夫だろう。

 

結果的に、全員が満足する場所になったはずだ。もう移動しても問題ない。

…残すは、ある一点を確かめるのみだった。

 

「ハゴロモ様、黄泉にいる母が世界の境目を壊して泡の絶対防御を操っているらしいのですが、世界を移動させたらどうなるのでしょうか?」

 

私も、黄泉の事に関しては調べる事が出来なかった。

 

「…モモカの事か。儂が黄泉と現世を繋ぎ止めてやるから安心せい。」

「ありがとうございます。」

「もう、5年になるのだな…モモカがあそこまで取り乱したのは初めて見た。

それからのモモカの行動は…母は強しの一言だった。クシナと加流羅も手伝って、強引に現世へと繋がる道を開いた。

手伝った2人も、トウカに対してのひどい仕打ちに子を持つ母として思う所があったんだろうな…3人で泣いておった。」

 

手伝ったのって我愛羅とナルトの母達だったのか。

確かに、2人とは4歳差─つまり、出産の際に亡くなったらしい人柱力の母さんズは黄泉へと行っている事になる。

…その節は心配を掛けました、はい。

 

「…お母さんとハゴロモ様が知り合ってた事にも驚きましたけどね。」

「儂も一応死人だからの。…モモカとトウゲンに伝えたい事はあるか?」

 

少しずつ存在感が薄れている2人。

ハゴロモ様が最後に、と私に問いかける。

 

「…産んでくれてありがとう、と。

お母さんとお父さんのお陰で、健康に育つ事が出来て尾獣達と友達になれたし、大切な…守りたい仲間が出来たから。

私は、2人の娘で幸せです。」

「確かに、伝えよう。モモカとトウゲンは、トウカからの贈り物を嬉しそうに身につけておったぞ。」

「ありがとう、ございます。それが聞けて…嬉しいです。」

 

涙声になりながらも礼をいい、薄れていく2人の姿を名残惜しそうに見つめる尾獣達を見守る。

 

大好きで尊敬する人に会えない、その寂しさや辛さがよく分かる…だから、全員とここまで仲良くなれたのかもしれない。

 

 

精神世界から戻ってきた私は頬を流れていた涙を拭い、皆からチャクラを貰いつつ世界の移転を始めた。

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