Fate/kaleid liner プリズマ☆ぐだ子   作:普通の燃えないゴミ

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無限の剣製とかの詠唱ってどう書けばいいのか迷ったけど、発音する方をルビに設定するに決まってるよね!
原作とかではどうなのかはわかりませんが、無限の剣製に限らず、この小説ではルビの方を発音しているという事で、どうかお願いします。

それでは連投の過去編第2話、どうぞ


02 in to the 魔術師世界

 I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている)

 

 Steel is my body, and fire is my blood.(血潮は鉄で心は硝子)

 

 I have created over a thousand brades.(幾たびの戦場を越えて不敗)

 

 Unaware of loss.(ただ一度の敗走もなく、)

 

 Nor aware of gain.(ただ一度の勝利もなし)

 

 Withstood pain to create weapons,(担い手はここに独り)

 

 waiting for one's arrival.(剣の丘で鉄を鍛つ)

 

 I have no regrets.This is the only path.(ならば我が生涯に意味は不要ず)

 

 My whole life was(この体は、)

 

 "unlimited blade works"(無限の剣で出来ていた)

 

 

 

 

 

 夢を見ている。

 見覚えのない武家屋敷、その土蔵。

 青いドレスの、金髪の少女が、こちらに振り返る。

 

「問おう。貴方が私の―――――」

 

 少女が何かを言っている。しかし、その全容を聞き取る事は出来ない。

 目の前の光景から意識が離れていき、意識は浮上する。

 

 

 ―――――

 

 

「それでは、シロウさんもリツカさんも魔術には関わらせない、という事でいいのですね?」

 

 士郎と立香が衛宮家に養子に迎えられた日の夜。士郎と立香、そしてイリヤを一緒に寝かせた後、リビングにてセラが言った。

 切嗣とアイリは士郎達に言ったように魔法使い―――正確には魔術師で、より的確に言うならば魔術使い―――だ。セラとリズも、アイリの実家、錬金術を極めた、ホムンクルスの製造を可能とする魔術の名門、アインツベルンからアイリに連れ立って来たホムンクルスだ。アインツベルンの名を継ぐイリヤも、アイリと同じく万能の願望機、聖杯である。今では切嗣とアイリの働きにより、アインツベルンという魔術師の家系があった事は勿論、聖杯を奪い合う魔術師同士の殺し合い、聖杯戦争の事でさえ、最初の聖杯をアインツベルンと共に作ったマキリと遠坂の人間ですら存在を知らない。どんなに策を労そうとも、情報は隠匿され、抹消されている。全ては切嗣とアイリが、娘であるイリヤを守る為にした事だ。

 

「ああ。僕はそのつもりだ」

「私も、必要の無い危険に晒したくはないわ」

 

 魔術の世界は危険だ。命の奪い合いなど日常茶飯事と言ってもいい。魔術師殺しとして世界を巡った過去を持つ切嗣にとって、自分の子供が足を踏み入れるのは、可能な限り避けたい。アイリも同意見だ。

 

「オレは反対だ」

 

 しかし、リビングに、階段から声が響く。

 

「士郎…!?」

「まだ起きていたの?」

 

 切嗣もアイリもセラも、リズでさえ目を見開いて驚いている。当然だ、士郎だけでなく立香もそこには居たのだ。士郎の腕の中には、抱えられてきた、安心しきってよく眠っているイリヤも居る。

 

「切嗣、アイリさん、セラ、リズ。ごめん」

 

 士郎はバツが悪そうに、目を伏せる。

 

「聞いていたんだろう?こっちに来るといい」

 

 先の動揺はもうなりを潜め、切嗣が穏やかな声で士郎達を呼ぶ。

 

「旦那様…!」

「セラ、ダメ」

「そうね。今無理矢理寝かしても、意味は無いわ。シロウ、リツカ、おいで」

 

 セラは反対するが、リズに止められる。士郎と立香を呼ぶアイリの表情は、ニコニコとした笑顔ではなく、凛とした厳格な表情だ。

 士郎と立香はコクリと頷いて、階段を降りる。テーブルに向かう際に、アイリにイリヤを預けて。

 

「ありがとう。寂しくないように連れてきてくれたのよね」

 

 柔らかで優しげな表情。しかし頷いてテーブルにつくと、空気は少し冷たいものに変わる。

 

「じゃあまず聞くけど、立香も、魔術に関わらない事には反対なんだね?」

「うん」

 

 切嗣が落ち着いて尋ねると、立香は頷く。

 

「そうか。今度は士郎にもだ。どうして反対なんだい?さっきの話を聞いていたんなら、危険だってわかってるだろう?」

 

 切嗣達は士郎達子供の事を思うからこそ、魔術に関わらせないという選択を取った。それぐらい2人もわかっていた。

 

「イリヤをまもりたい。そして、わたしとイリヤをまもってくれるしろうたちをまもりたい」

 

 立香が言った。齢4歳にしてはしっかりとした発音で、固い意志をその瞳に宿して。

 

「士郎は?」

 

 切嗣が、ゆっくりと尋ねる。

 

「オレはもう二度と家族を失いたくない。それに…」

 

 士郎は一度言葉を切り、切嗣達によく見えるように手をテーブルの上でかざす。

 

投影開始(トレース・オン)

 

 士郎の手に、青白い光が数秒灯り、モザイクを晴らすように白と黒の中華刀、陰陽一対の夫婦剣が作り出される。そこに神秘は無く、ガワだけというにも強度が低く、お粗末というにも余りにも不出来なもの。言うなれば、見た目を真似ただけのそれっぽい土くれみたいなものだ。

 

「っ、士郎、それは…!」

「投影魔術。…切嗣達がオレ達を見つける前、すごい大きな魔力が流れただろ。あれでオレ達を見つけてくれたんじゃないの?」

「ああ。まるで宝具みたいな…」

「それじゃあやっぱり、あれはシロウが…」

「っ、それは本当ですか、シロウ!」

 

 投影魔術。またの名をグラデーション・エア。魔力を使い、物質を形作る、使い勝手の悪い魔術。それもその筈、投影した物体は本物よりも数段ランクが落ち、効力も薄くなる。儀式等の際に失われた足りない素材を用意する為に用いられる。しかし、魔力だけで作られた物体は世界からの修正力によって時間が経てば魔力に還ってしまう。何にせよ、投影で劣化コピーを作るぐらいなら、ちゃんとした材料でレプリカを作った方が明らかに懸命なのだ。エミヤシロウの投影魔術は、時間で魔力に還る事がない異端のものだが、それは割愛する。

 士郎がやったのはその投影魔術、の出来損ない。しかし、いくら不出来でも魔術は魔術。一般人に使える代物でもないし、昨日今日魔術師になったばかりの子供に使えるものでもない。

 

「うん。あの日、オレは魔術の使い方を知った。オレはもう、魔術師(そっち)側の人間なんだ。守れる力があるなら、オレは家族を守りたい。でも、今のオレや立香じゃあ自分の身も守れないような子供だから―――」

 

 中華刀を破棄し、拳を握り、まっすぐと切嗣とアイリを見つめる。

 

「「オレ/わたしに、魔術を教えてください」」

 

 座ったままではあるが、深く頭を下げる。

 セラは難しい顔をしている。切嗣とアイリは言わずもがなだ。だが、

 

「わかった」

 

 切嗣が発したのは、了承の一言だった。

 

「ほんとっ!?」

「いいのか!?」

「旦那様!」

 

 士郎と立香が勢いよく顔を上げる。セラの表情も驚愕に染まっている。

 

「セラ。士郎はもう魔術を使えるんだ。ここで断ったところで、士郎はきっと、独学で魔術を学ぶ。それならば、僕達がちゃんと指導をした方が安全だろう?」

「ですが、それならばリツカさんだけでも…!」

「ダメよ、セラ。今はまだ使えないからって、立香は諦めないわ。見たでしょう?2人の目を。どんな事があってもあの決意は揺るがないでしょう。昔の切嗣にそっくりだわ。本当は隠し子だったりして」

 

 茶化すように、アイリが笑う。

 

「アイリ、こういう場で洒落にならない冗談を言わないでくれ」

 

 切嗣が抗議するも、それを楽しそうに笑って受け流すアイリは、先程までの凛とした雰囲気はどこへやら、まるで子供のようだった。

 

「リズ、貴方からも何か…」

「無い」

「ちょ、何ですかその態度!あなただって魔術に関わる事がどれだけ危険かわかっているでしょう!?」

「わたしは4人が決めたんだから反対しない。そもそも、決めるのはわたし達じゃない。わたし達はアインツベルンに仕えるメイド。だから当主の決定に従う。違う?」

「ぐっ…何でこう貴方はこういう時ばかりメイドという立場を思い出すのです…!」

 

 セラは拳を握って震えているが、やがて観念したようにため息と共に力を抜き、士郎と立香にまっすぐに向き直る。

 

「仕方ありません。ではお2人とも。これだけは約束して下さい。絶対に、イリヤさんを悲しませるような事にはならないで下さい。貴方方が守るのはイリヤさんだけではありません。貴方方が傷付けば、イリヤさんは悲しみます。ですから、自分自身も守って下さい。多少の怪我ぐらい仕方ないとは思いますが、絶対に、死ぬ事だけはあってはなりません。イリヤさんを守って死ぬなんて言語道断。他の誰が許してもこの私が許しません。全員ちゃんと生きて私達の元に帰って来て下さい。いいですね?」

 

 セラの目は、まっすぐに士郎と立香の目を見据えている。自分を含めた全員を守る。それはとても難しい事だ。一歩間違えば、誰か一人ぐらいすぐに手からこぼれ落ちる。しかし、出来ないのなら、その覚悟が無いのなら、そもそも守る側になど立つな。士郎と立香の瞳に映るのは、厳しくも優しい、理想の召使いの姿だった。

 

「だいじょうぶ。わたしたちだけじゃなくて、おとーさんもおかーさんもまもれるぐらい、つよくなってみせるよ」

「オレも。約束する。絶対にイリヤを悲しませたりしない。ありがとう、セラ。心配してくれて」

 

 2人は笑顔で答えた。

 この日は遅いので就寝となったが、次の日から、切嗣とアイリの監督の下、無茶させたくない切嗣の配慮で、そんなに厳しくないゆっくりとしたスピードで魔術の鍛錬が始まり、士郎は、名実ともに、見習い魔術師であったり、赤い弓兵であったりする、エミヤシロウの1人となった。

 同じく、立香が数多のぐだ子の内の1人になったのも、言うまでもない。




次の話こそ、士郎がこの時点で魔術を使える理由を書きたい。
最悪、本編2、3話ぐらいで書きます。
そう面白くもないし深くもない理由なので、別に気にしなくて大丈夫です。
というか、「あぁ、この世界の士郎はこんな感じなんだ」程度に思ってて下さい。作者がそう思ってますんで。

それでは誤字・脱字報告、感想・質問等お待ちしてます。
多分一気にモチベが上がるので、あると嬉しいです。

※追記 誤字修正2017/9/10
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