何はともあれ、これからはどうにかして土曜日に投稿したいと思っております。例え、毎月になってしまおうとも土曜日には投稿したいです。
では、第4話。ごゆっくりどうぞ
「…ここだよな、俺の教室」
もう一度ドアの付近に目を向ける。確かにそこには“1-A“という表記がしてあった。
一旦、深呼吸をして自分を落ち着かせる。
こんな環境は、正直言って生まれて初めてのようなものだ。
意気揚々と入れる訳も無く、どうにも落ち着けない。こんな姿を“あの人“に見られたらどうなるだろうか。…まぁ、笑われるんだろうな。
でも、いつまでも立ち止まってる訳にはいかない。とりあえずは入るしかない。入ってからは、その時考える。
俺は、扉に手をかけゆっくりと開けた。
──────────
なんと言うべきだろうか。そこには他の生徒の姿は見当たらなかった。それもそうだろう。今の時間なら、下手すれば寝てる生徒もいるような時間だった。
いつも通りに起き、行動してみれば…どうも俺の方が早すぎたようだ。
あれだけ緊張していたのが馬鹿馬鹿しくなっ
てきた……
はぁ、と息をつき自分の席に腰を下ろす。
机に肘を付きながら、辺りを見回す。別に何の変哲もない(俺が知る限りは、だが)教室だ。机と椅子が等間隔で並べられてる。そこにはどんな生徒が来るのだろうか、と想像してみる。
……まぁ、たった数分でそれをやめるが。
「はぁ……周りが遅いのか、俺が早すぎるのか」
「少なくとも後者の方だろうな。全く…少しは俺様を休ませろ」
「流石に周りに普通の奴等がいたら、お前は制服の方に仕舞うさ」
「ったく…」
…まぁ、こんな風に俺はザルバとちょっとした会話をして楽しむ事にした。
──────────
一人、生徒が入ってきたのに始まり、また一人また一人と教室に生徒達がぞろぞろと入ってきた。
同じクラスになれて良かったと喜び合う者、自身の家の名とその経歴を意気揚々と語る者、一科生で良かったと胸をなで下ろす者……と各々のやり取りがあった。
一方の守牙はというと…特に何をするという訳でも無く、ただぼんやりとそのやり取りを眺めていた。
これがこれから自分が過ごす世界、そして守っていく人達、守りたい世界。
(この日常は…この世界は、俺が守ってみせる)
そう決意を新たにした守牙であった。
「おはようございます」
と、一人の生徒が入ってきた。別に何の変哲もない普通の挨拶だ。……否、彼女の場合はそうでは無いのかもしれない。
まるで鶴の一声と言わんばかりに、教室が静まりかえった。
と、そうなったのも束の間、一斉にその生徒に他の生徒が群がっていく。
「やっぱり、あの女はただ者じゃ無いな」
「…なるほど。確かに、お前の見立ては間違ってないな」
再び、その彼女へと顔を向ける。
その彼女こそ、ザルバが以前注目していた少女、“司波 深雪“であった。
透き通るような白い肌、青みがかった黒の輝きを放つ髪、まさに非の打ち所が無い美貌と言ったところか。それどころか、ちゃんと教育もされているときた。それにあの場で答辞もしたという事は新入生総代というところ。
(……ますます、一介の人間では無い部分しか見えないな)
あの日感じた“光“。彼女“達“から感じた“光“。
あれは只の人間が出せる光じゃない。
雪のように、その本質を隠そうとする光なんて、無意識に出せる代物じゃない。
…さて、俺はどうする。別にどうもしなくてもいいが、かといって関わらない訳にもいかない。
と、思った矢先の出来事だ。彼女が人の山を掻き分けながらこちらにやって来る。いや、人の山の方が分かれているのか。
おおかた、自分の席を見つけたんだろう。場所は多分、俺の席の近くだろうからな。
(それにしても、まるでモーゼだな。この光景は)
なんて下らない事を考えていると。
彼女が、俺の目の前に立った。あまりにも突然の出来事で、俺が唖然としているのに目もくれずに
「おはようございます、道外君」
と、一言。
……色々と理解が追いつかない。何故、彼女は俺の名前を知っている。否、“どこまで俺の事を知っている“?
彼女が一般人だとするならば、俺の事を知っているのはまずい。“こちら側“になんの覚悟も無しに踏み込むのは危険すぎる。
俺が思考をめぐらせていると、彼女が怪訝な顔をしてこちらを見ている事に気がついた。どうやら、要らない心配をかけてたようだ。
「あの…どうかしましたか?」
「え…いや、なんでも無い。こちらの話だ」
……とりあえずは、様子見と言ったところか。今時点で俺が出来る事なんてたかが知れてる。
「さて、おはよう。司波 深雪さん」
「はい。おはようございます、道外君」
──思えば、これが全ての始まりだったのかも知れない
あの女、どうやら何かを隠しているようだな。そして、あの女と関係ありそうな奴もいるときた……全く、学校というのも面倒なものだな。
次回、達也─cautiously─
常に、周りに注意を向けておくべきなのかもな。