カルデアエピソード   作:えんじぇる114

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ぐだ子視点です。

時系列的には第一特異点をクリアした後のつもりで書きました。
なのでネタバレはないと思います。


ちょっと...かなり文才ないですがよければ読んでってください!


花の魔術師

あぁ....いつからだろうか...

 

 

私の足元にはぐちゃぐちゃになった肉片。

それは人の形をしていたのだろうが、今では腕も足もちぎれ、腹は切り裂かれ、赤い何かでできた水溜りに沈んでいる。

 

 

 

沈んでいる肉片は1人、2人の肉片の量じゃない。

10人、20人...もしくはそれ以上の数の人だったものが肉片となって沈んでる。

 

 

 

私はカルデアから支給された白かった魔術礼装を返り血で真っ赤に染め、ナイフ片手に肉片の中央で佇んでいた。

人だったものをこんな肉片に変えたのは....自分だ。

 

 

 

もちろん私はカルデアの誰かを殺したのではない。

そんなことは出来ないし、したくない。

彼らは人理修復のために一緒に戦う仲間だから、マシュやドクター、ダヴィンチちゃんにサーヴァントのみんなと同じくらい大切だ。

 

 

 

「ふ〜ん、これまたえらく血生臭い夢だなぁ」

 

 

 

不意に背後からどこか胡散臭い声でそう言った。

振り返って見てみると、白い男性が立っていた。

 

彼は大きな杖を持っていて、不思議な存在感がある。

そう、カルデアにいるサーヴァント達と同じような存在感だ。

 

 

 

ーーあなたは?

 

 

「ん?私かい?

....そうだね、今は花の魔術師とでも名乗っておこうかな

君の名前も教えてくれるかい?」

 

 

ーー私は、藤丸立花。

 

 

「立花ちゃんだね!

随分と暴れてたみたいだけど、そこで死んで転がってるのは...君自身かい?」

 

 

ーーうん、そうだよ。

ーー怖い怖いって言って蹲ってるのも

ーー嫌だって言って逃げ出そうとしたのも

ーーなんで自分がって言って怒ってるのも

ーー何も言わないで諦めてその場で立ってるのも

 

ーー全部、私が殺したの。

 

 

 

そう、私は夢を見ると色んな自分が現れる。

それを自分はいつの間にか手に持ってるナイフで殺していく。

 

現れる自分の数は決まってないけど毎日毎日眠って夢を見るたびに殺していく。

 

 

 

「どうして殺すんだい?」

 

 

ーーそれは...それは自分が弱いから...

ーー夢に現れる弱い自分を殺さないと...

ーー殺さないときっと、目覚めた時も弱いままだから...

ーー私が弱いと前に進まないから...

 

 

ーーだから殺すの。

 

 

 

きっと現れるのは自分の恐怖や不安、怒りに諦め。

それを殺さないと現実に溢れて来ちゃうから。

そんなことしたらみんなに迷惑を掛けちゃう...

 

 

だから殺す、感情を表に出さないために。

 

 

 

「そう、か....じゃあこれからは殺す必要はなくなるね!」

 

 

 

彼がそんな風に呟いた瞬間。

真っ暗で血の赤色だけしか存在しない空間が、地面には草花が咲き乱れどこまでも続いている。

空は無限に広がり、爽やかな青色。

そして包み込みように暖かな陽差しが差し込んでいた。

 

 

 

ーーここ、は?

 

 

「気に入ってくれたかい?

ここは理想郷(アヴァロン)

どこまでもいつまでも希望に満ちた大地さ。」

 

 

ーー綺麗なところだね。

ーーでも、なんで?

 

 

「私は花の魔術師であり、夢魔でもあるのさ!

君も名前くらいは聞いたことあるだろう?

夢魔は夢のエキスパート、君の夢を書き換えるくらいどうってことないさ!」

 

 

ーそうじゃなくて...なんで私に...

 

 

「なんで、か...

私はハッピーなのが好きだからね!

立花ちゃん。

君は少し頑張りすぎなんじゃないかな?

もう少し肩の力を抜いて、せめて眠っている夢の中くらいではね!」

 

 

 

そう、か...彼が言うならきっとそうなんだろう...

なぜかわからないけど正しいような気がする。

 

 

 

「人類最後のマスター、立花ちゃん。

君は綺麗な夢を見て、優しくて素敵な朝を迎えるといい。」

 

 

 

 

______________________________________________________________________________

 

 

 

「....い!.....ぱい!.....せんぱい!!!」

 

「へ?は、はい!起きてます!寝てません!!」

 

「ふふっ...おはようございます、先輩!

とても穏やかに寝てらしたのですが、ドクターから次のレイシフトのミーティングをするので起こして来て欲しいと...」

 

「ん〜〜〜!!おはよう、マシュ!

わざわざわざわざ起こしに来てくれてありがとね!」

 

「フォーウ!フォー....ウ?フォウ?フォウフォウ!」

 

「どうしたんですか?フォウさん?」

 

「んー?何か伝えたがってるけど...なんだろう?」

 

 

フォウ君が必死に何かを私に伝えようとしてるが残念ながらフォウ語は理解できない。

 

 

「なにかわかりませんからとりあえずドクターの所に向かいませんか?」

 

「うん、そうだね。

すぐ用意するからちょっと待ってて!」

 

 

 

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ドクターの所に行くためにマシュと廊下を歩いているとマシュが思い出したように私に聞いて来た。

 

 

「ところで先輩。先ほどとても穏やかに寝てましたが、なにかいい夢でも見れたのですか?」

 

「ん?えーと....すっごい綺麗な花畑で誰かと話してる夢...だったと思う」

 

「誰か、ですか?」

 

「うん、誰かと一緒にいたはずなんだけど...思い出せない...

大切な、誰かだっと思うだけど....」

 

「まぁ無理に思い出そうとしても夢の中の出来事ですので、

それよりも急ぎましょう!

ドクターやダヴィンチちゃんを随分と待たしてしまってます!」

 

「うん、そうだね!!」

 

 

 

それっきり彼女はすっかり悪夢にうなされる事もなく、順調にレイシフトを進めて特異点を修復して行く。

 

 

 

彼女(藤丸立花)花の魔術師(マーリン)が出会うのはまだもう少し先のことだろう...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、カルデアのマスター君。

 私はマーリン。人呼んで花の魔術師。

 気さくにマーリンさんと呼んでくれ。堅苦しいのは苦手なんだ。」

 

 




と言う事で花の魔術師ことマーリンと最後のマスター藤丸立花ちゃんとの出会いのお話でした。


立花ちゃんは後にマーリンと出会っても思い出せませんが、彼の宝具である永久に閉ざされた理想郷(ガーデン・オブ・アヴァロン)を見たときに

「やっと見つけた...(夢で見た)大切な人...」

と言ったのがドクターに知られて召喚されたマーリンがドクターにど突かれて、フォウ君にもボッコボコにされるなんて言う後日談があったりなかったり...



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