なお前回も書きましたが、この話は暴言および暴力表現を重視していますが、筆者は他者に対して暴言・誹謗中傷および暴力・犯罪行為を称賛したり奨励する意図は微塵も持ち合わせていません。
諄い様ですが、重要な事なので今回も書きました。
では、行ってみましょー!
『半グレ』と呼ばれる存在を御存知だろうか? 暴力団に所属せず犯罪行為を繰り返す人、もしくはその集団を指す言葉である。
半グレ集団の特徴として挙げられるのは、暴力団に籍を置いていないが故に彼等は暴力団対策法が適用されない。
それなのでメンバーは、学生時代に喧嘩で鳴らしたゴロツキや暴走族上がりで構成される傾向が多い。
華ヶ崎地区で暗躍している華ヶ崎連合は、
その凶暴性と異様な外見から完全超悪の異名を取る稲葉 翔太が率いているグループの阿修羅も、華ヶ崎連合の傘下にある半グレ集団の一つである。
阿修羅のヘッドである稲葉が幾多の凶悪な逸話と常に凶器を携えている事で恐れられている人物だけあって、メンバーも喧嘩に凶器や刃物を持ち出すのは当たり前、手段を選ばず寄って集って相手を痛めつける……所謂
阿修羅のメンバーは凶器を片手に、今日も甚振る獲物を探して町を彷徨い歩く。
人目が少ない場所で単独ないし少人数で動いている獲物を探すなら、夜の町を歩くのが手っ取り早い。
夜はアルバイトの帰り道や飲み会の帰り道など、人通りが少ない時間帯に皆と別れて行動する者が多く、その割りに他人への関心が薄い。
仮に襲われた人物が誰かに助けを求めても、求められた側の多くは巻き添えはゴメンだとばかりに無視あるいは逃げ出すので、狩りを行う側にとって好都合なのだ。
今夜もバイト帰りなのか、話に夢中で注意散漫な二人の若者が此方に歩いて来る。二人は道の端を歩いていたが、狩りの口実を作る為に阿修羅のメンバーは何気なく二人に近寄って故意にぶつかった。
「あっ、スミマセン」
「スミマセンだぁ? 俺達は『阿修羅』だぞ。知ってて喧嘩を売ったのか!」
「えっ、その……いや違うんで――」
「――何が違うんだ、このヤロー!」
威圧して怯えさせ、相手に考える間を与えず考えさせない。話の主導権を獲って相手に謝らせて、謝罪の名目で金目の物を残らず奪った後は、立ち上がれなくなるまでメッタ打ちにする。
法律も正当性も関係ない。ただ自分達の言い分を押し通して思うままに暴力を振るうのが、狩りの醍醐味であり楽しみなのだ。
五人の阿修羅メンバーは持っている凶器を見せびらかす様に身構え、二人の若者を逃がさない様に取り囲む。
この場所なら警察の巡回も目が届き難い。仮に警官に見られたとしても、捕まらなければ問題ない。
不穏な雰囲気を感じ取った他の通行人は、そそくさと足早に立ち去って行く。それを見た阿修羅のメンバーは嘲笑う――
心底バカバカしいヤツ等だ。文句があるんなら俺達をブチのめしてみろ、先にテメェ等をブッ殺してやる。
――と考えていた阿修羅のメンバーだったが、背中に何かが当たったと感じた次の瞬間に、誰かに突き飛ばされていた。
「駅まで走れ」
「お、オオ――」
「――走れ!」
「お、おぉ!」
「……あっ、オイ待て!」
メンバーを突き飛ばした男に発破を掛けられた若者は、もう一人の腕を引っ張って一目散に走り去って行く。
恐らく乱入してきた男に言われた通り、人目の多い駅に向かって走っているのだろう。
せっかくの獲物を逃がすものかと阿修羅のメンバーは息巻くが、二人の若者は思っていた以上に足が速く、追い駆ける間も無く角を曲がって姿を消した。
場に残されたのは凶器を持った阿修羅のメンバー五人と、乱入してきたジャケットにジーンズ姿の男だけ。
その間に突き飛ばされたメンバーが怒りを露わに起き上がろうとするが、気が付けば自分を突き飛ばした乱入者に頭を踏み躙られたうえに凶器のバットも奪い取られていた。
そして乱入者は残りの四人に視線を向けたまま、踏み躙っているメンバーの背中へバットを何度も振り下ろす。
「テメェ、俺達が阿修羅のメンバーだと知ってて
「それがどうした?」
「あぁん? 今さら恍けんのか!」
「オマエ等が
「クソがぁ、本気でブチ殺されてぇようだな!」
「笑わせんな。素人に喧嘩を売るのに、凶器を持ち出して頭数を揃えてる様な
言葉を放ちながら先手を取って、阿修羅のメンバーに仕掛ける乱入者。
先ず刃物を持っているメンバーの手にバットを
バットで叩かれた刃物持ちが悲鳴をあげると同時に、他のメンバーも凶器を構えて動き出す。
前から振り下ろされた鉄パイプをバットで受け止めていると、後ろから別のメンバーが乱入者の腰の辺りを木刀で強打する。
苦悶の表情を浮かべる乱入者に、金属バットを持ったメンバーが更に追い打ちを掛けるべくフルスイングの構えを取る。
乱入者は鉄パイプ持ちを金属バットを構えている方へ蹴り飛ばす事で二人とも転ばせて妨害に成功するが、再び木刀の一撃を受けてしまう。
「早く退けよ!」
「うるせぇ!」
「(二人とも転んだか)」
「テメェの頭、カチ割ってやる!」
よろけた乱入者に勝機を見た木刀持ちは、トドメとばかりに凶器を大きく振りかぶる。
乱入者の視界に未だ呻いている刃物持ちが入ったので、其方へ駆け寄って行く。
乱入者が逃げ出すと思った木刀持ちは追い駆けて凶器を振り下ろしたが、その一撃は乱入者の頭ではなく、乱入者が胸倉を掴んで割り込ませた刃物持ちに当たる。放たれた渾身の一撃は、
自らの行為が齎した結果に唖然となって動きが止まった木刀持ちを乱入者は見逃さず、バットで木刀持ちの側頭部を
木刀持ちが勢い余って倒れるのを見定めること無く、乱入者は起き上がり掛けている二人に向けて持っていたバットを思いっ切り投げつける。
乱入者に背を向ける位置に居た鉄パイプ持ちは、飛んできたバットに気付く事も避ける事も出来ず背中に当たってしまい、再び転倒してしまう。
「ぐほぉっ!」
「あぁ~っ! 死ねクソ野郎!」
「『殺す』とか『死ね』とか、出来もしねぇ癖に……」
鉄パイプ持ちが転倒している間に起き上がった金属バット持ちが、凶器を手放した乱入者に唸り声を上げて襲い掛かる。
だが金属バットを振り下ろすと同時に、駆け寄ってきた乱入者が体当たりを打ち噛ます。
そのまま勢いで乱入者が金属バット持ちを押し倒すと、髪を掴んで持ち上げた頭を勢い良く地面に叩き付ける。
更に念を入れてもう一回
そして立ち上がった乱入者は、落とした凶器を拾おうとしていた鉄パイプ持ちの胸倉を掴んで顔面を殴る。
何度か殴っていると金属バット持ちもグッタリして抵抗しなくなっていたので、漸く殴るのを止めて胸倉から手を放す。
金属バット持ちが糸の切れた操り人形の様に倒れるのを見て、乱入者は場を立ち去ろうとした。
だが背筋に悪寒が走った乱入者は、咄嗟に振り向きながらパンチを放つ。しかし乱入者のパンチは空を切り、脇腹に異物が刺し込まれる感覚が全身に広がっていた。
「阿修羅ナメんな。『殺す』って言ったろ! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねよぉ!」
「ぐっ……がぁ……あぁあ!!」
乱入者に頭を踏み躙られたうえにバットも奪われた阿修羅のメンバーが、背を向けていたところを隠し持っていた折り畳み式ナイフで刺したのだ。しかも刺した後も、傷を更に深く更に広くしようと執拗なまでにナイフで脇腹を抉ってくる。
乱入者は大きな怪我をした時に感じる独特の不快な吐き気を味わいながらも、左手でナイフを持つ相手の手を掴み、右手で相手の後頭部を掴む。
そして相手の顔面に思いっ切り頭突きを噛ました。自身の脇腹に異物が減り込んでくるが、構わず何度も頭突きを繰り返す。
頭突きが鼻に当たったのか、相手はナイフを手放して顔面を両手で押さえていた。
「コラッ! 其処で何をしている!」
「警察だ! 動くんじゃない!!」
背後から掛けられた声に驚いて阿修羅のメンバーが振り向くと、二人の警官が向かって来るのが見えた。
狩りに時間を掛け過ぎて巡回の警官が来たのか、逃げた二人の若者が通報したのか分からないが、この場に留まれば逮捕されるのも時間の問題だ。
走って来る警官を見て焦ったメンバーは仲間も凶器も持って行く猶予は無いと感じて、警官とは反対方向へ走って逃げて行った。
「あっ、逃げた!?」
「……待て、残っている四人と凶器を確保するぞ」
「逃げたヤツを追わなくて良いんですか!?」
「良い訳が無いだろう! だがな、署長からの指示だ」
「なんですか、それ! 署長は警察の仕事を何だと思ってるんですか!!」
「私も君と同じ気持ちだ、何度も聞いたよ。『この署で働くのが嫌なら辞めれば良い。熱意の無い怠け者を引き留める気も無い』だ そ う だ」
「……………………分 か り ま し た。コイツ等だけでも連れて行きます」
「あ あ、そ う し て く れ…………今度、飲みに付き合わないか? 家で飲むと女房が口喧しい」
まだ若い警官は悪ふざけとしか思えない話に憤るが、自分以上に我慢している先輩警官の姿を見て憤りを抑える。
逃げ損ねた四人の阿修羅メンバーと凶器を確保するため、二人の警官は署に応援を要請する。この数年間で署内でも何かが可笑しくなっているのは確かだが、その理由が分からない。
しかし署の上層部に不満はあっても、自分達警官が職務を全うしなければいけない事に変わりは無い。
容疑者『一人』の逃走を許した以上、残された四人を確保して事情を聴き出さなければ、次の事件が起きる可能性を否定できないから。
「ハァハァ……5対1で負けたうえに、四人がポリ公にパクられたなんて言えねぇ」
「これが稲葉さんに知られたら…………俺も殺されちまう」
「こうなったのも、全部あの
あの場所から一人だけ逃げ出した阿修羅のメンバーは、警察の追跡と
如何に華ヶ崎地区管轄の警察が――華ヶ崎連合の影響で――民間人にとって当てにならない状態であるとしても、流石にパクられてしまったら誤魔化す方法も無い。
誰かに見られたら……という恐怖から血で汚れてしまった上着を途中で捨て、いつ来るかもしれない追手から逃れる様に、道を曲がり路地裏を抜けて後ろを振り返る。
足を停めた途端に今まで走ってきた疲労感がドッと出てへたり込みそうになったが、あと少しで自宅のある位置に居ると分かったメンバーは、先ずは帰って寝ようと先の事を考えるのは止めた。
そして程なく逃げ出したメンバーが自宅前に着くと――
「お帰り、意外と遅かったな。ポリ公にでも追い回されたか?」
「何故ここに俺が居る?って
――そこには、顔に丸グラサンと口元にバンダナ巻いて頭はフードを被った、ジャンパーにシャツやズボンとシューズまで赤尽くめの男が居た。
乱入者はポケットから自身の脇腹を刺したナイフを取り出し、刃を見せながら驚愕の表情を浮かべて固まっている阿修羅のメンバーへ言葉を続ける。
「それと、この
「何処が良い? 腹か、胸か、それとも頭か?」
イライラしていたから書いた。
ムシャクシャしたから書いた。
だが筆者は謝ら――
――このネタ、前回もやったな。
今回の話での「警察云々~」に関してですが、ゲーム本編で華ヶ崎連合は役人を裏から(賄賂や利益供与などで)操って、自治体の事業にまで影響を及ぼしています。
それなら華ヶ崎連合にとって最も障害となる警察機構に手を付けず、万全に機能する状態のまま放置しておくなんて(話の展開的に)有り得ないでしょう?
と言うよりゲーム本編では、大体の悪事の元凶は華ヶ崎連合のボスという事で済む(筈の)話なので。
そんな訳で前回は一人称でしたが、今回は話の都合で変更しています。
筆者自身は(阿修羅メンバー寄りの)三人称で書き上げたつもりですが、それが上手く表現されているかは分かりませんので、感想を頂けると幸いです。
ただ前回も似た様な事を述べましたが、筆者の心と筆を折る事を目的とした感想を述べるのは勘弁願います。
【追記:10月15日】
活動報告に「お遊びクイズ【これも有言実行だ】出題編」を投稿しました。
この話の裏側に興味を持ったなら、是非ご覧になってください。