オリジナル展開、オリジナルキャラの要素を多分に含みます。
それでも良いと言う方は、ぜひ一読下さい。
友人は他人であるから良い。
時に家族以上の存在になってくれる。
それでは、どうぞ
あれから何日経ったか。いや、何週間経っただろうか。
私は未だに火車の娘と話が出来ずにいた。
無理もない話だろう。空が溺愛している娘を、鬼と一緒になって痛めつけたんだ。古明地の言い方を借りるなら「とらうま」って奴を植え付けちまった訳だよ。
顔を突き合せようものなら思い出したくもない事を思い出しちまう。やっと癒えかかった傷口を抉るような真似になるって事さ。そんなの誰も得しない。そうだろう?
だからそんな顔で見るんじゃないよ キスメ…。
「分かった分かった。あした、明日会うから、な?
えっ今日ぉ?! 今からァ?! …勘弁しとくれよ、もぉ…」
短い眉毛を鬼の角のように尖らせたキスメに、それこそ尻を叩かれるようにして重い腰を上げた。今から街を出ればアイツが近くを通る所にかち合うのは知っている。だからこの時間になると飲んで忘れた振りをしていたのが、今日に限ってはその逃げ道も遮られてしまっている。
腹をくくるしかなかった。
◆
今日はいつもと違う感じがした。予感と言ってもいいような、何か変わった事が起こる気がする。そんな感じ。以前、飲み屋街に連れ込まれた時も同じような感覚があった事を、その瞬間に思い出した。
『やあ、お疲れさん…』
そのヒトは不意に現れた。しかしその様子からどうもこちらを待っていたかのような風だ。
途端にあの日の事を思い出した。そのせいだろう、アタシは警戒心の塊となって目の前の人物を睨みつけてしまった。
『まま、待っておくれよ! 今日はそんなつもりは無いんだ!』
旧地獄街にいる妖怪にしては露骨に感情を出した振る舞い。嘘も企みもない、正直な反応。
珍しくもあり、怪しくもある。それに「今日は」と口にした。
つまりあの日の事を知っている者だという事。アタシ自身はほとんど覚えてはいないが、目が覚めてからお空さんがとても申し訳なさそうに謝っていたのは鮮明に覚えている。
お空さんにそんな顔をさせたヒトは許せなかった。目の前のこのクモ妖怪も無関係ではない。警戒を緩めることなく、抵抗と逃走のいずれも可能な状態で距離を保った。
『あぁっもう! ほら言った通りだったろキスメ! 絶対こうなるってェ!』
騒ぐクモ女の隣には、桶に入った小さな女の子─ 妖怪がいた。
恐らくキスメというのはこの子を指すのだろう。もう片方と違って一切言葉を発していないのが気になる。でもそんな事、今は関係ない。
「アタシは仕事が残っていますので、失礼します」
『あ…う…』
何かを言いたそうに右手を上げるクモ女だが、こちらを追いかけては来ない。そんなつもりはない、と言っていたのは嘘ではなかったようだ。だからといって止まる理由もない。そのまま足早に通り抜けようとした、その時。何かがスカートに引っかかった。
岩か枯れ枝かと思い、ひょいと裾を確認すると、先程の桶妖怪がいた。
「な、何ですか。放して下さい」
相変わらず物言わぬ桶妖怪はこちらを見上げるようにして、白無垢から覗く小さな手でギュウっと服の裾を掴んで行かせないようにしている。無理に引っ張ってしまっても良かったが、それで怪我をさせてしまうと具合が悪い。
正直に言うとすぐにでも地霊殿へ帰りたい。しかし思わぬ邪魔に行き足が止まってしまった。
『お燐! お前さん、お燐って言うんだろ?』
そうしている内にクモ女が近づいてきていた。アタシの名前を知っているという事は、少なくともお空さんの知り合いで間違いはなさそうだ。
「…そうですけど」
『そう警戒しないでおくれよ。まぁ無理もないってのは判るんだが・・。
私は黒谷ヤマメ。こっちはキスメってんだ。
お
その間も記憶を遡ってみるが、この二人の顔に見覚えは無かった。本当にあの店にいたんだろうか。
『まず謝らせて欲しいんだ。 ごめん!』
こちらの思考が逡巡しているのを余所に、クモ女と桶妖怪はその場で頭を下げた。足は肩幅に開き、両手を外へ投げた不格好な謝罪であったが、そもそも地底の妖怪がこうして頭を下げること自体非常にまれな事である。しかし直接絡んできていた鬼たちならともかく、面識のない者から謝罪されると対応に困ってしまう。
「あの、黒谷ヤマメ…さん? 訳を聞いてもいいですか」
『あぁもちろんだよ。そのために来たんだ』
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案内されたのは何時ぞやの酒屋。あの時無理やり連れ込まれて、無理やりお酒を飲まされた、トラウマのお店だった。案の定こちらが嫌そうな顔をすると、キスメさんがまるでお願いするような表情で服を引っ張ってくる。正直、あの顔は卑怯だ。
『私も他の店がいいんじゃないかって思ったけど、キスメの希望でね』
元々馴染みの店だったのだろう。勝手知ったるという風に店の中へ進んでいく。
店員らしき妖怪がこちらの顔を見るなり、入口の方を見つめていた。
『悪いね、今日は空は来てないよ』
『そう。残念ね』
ヤマメさんがそう言うと店員は何食わぬ顔で三人を座敷席へ通した。未だ夜にも早いという時間、まばらに客は見られるが鬼の姿は見つけられなかった。
『さっき聞いたんだけど、今日は姐さん‥鬼たちは来ないってさ』
「あねさん?」
その呼び方でさとり様を思い出した。ヒダマとカゼダマが使っている呼び方だ。
『覚えてないかい? ほら、お前さんを”攫う”ように言った鬼の頭目さ。
一本角の星熊勇儀。女だが歴とした鬼だからね、私らから見れば十分でかいよ』
あの時、鬼たちの中で酒を煽っていた女性。うまく見えなかったがやはり鬼だったようだ。
二人が酒を注文し、アタシはお水をもらうことにした。これでも未だ勤務中なのだ。こちらの事情を把握しているらしいので、わざわざ難癖をつけてくることもなかった。他に多少のツマミが運ばれてきた。
『まぁ訳っていうほどの事でもないさ。さっき話した勇儀姐さんと私らはたまに飲む仲でね。
お前さんが来た日も一緒だった』
「お二人を見かけなかったような気がするんですが」
『あの時はちょっと特殊でさ、普段と違って姐さんが他の鬼たちも呼んでたんだ。
人数も結構居た。こっちは二人とも離れて見ていたから、見覚えがなかったのかもね』
なるほど。一緒の店には居たけれど、顔を見ていないのはそのためだったようだ。確かに記憶にあるのは鬼たちばかりで他の客は居なかったように思う。あまり余裕がなかったのも理由の一つだ。
『─で、私が謝ったってのがソコなんだよ。見てた、見てただけなんだ。
お前さんの素性も知ってたし、未だ酒にも慣れていないも知ってた。なのに─』
ヤマメさんは一度、杯を飲み干し
『敢えて止めなかった。お前さんが酔い潰されるのをな。
むしろ楽しんでいた節さえある。理由はァ・・聞かないでくれると助かる』
本当にヤマメさんは珍しい。ここまで素直に胸を内を明かしたり、自分が悪いと思い変に言い訳もせずに謝る姿は、地底ではまず見ない。キスメさんもきっとそうだろう。
彼女のヒトとなりがそうさせたのだろうか。ここまでされてアタシの怒りに似た感情は既に霧となって消え失せていた。むしろこちらが居たたまれない。元々そこまで被害を被ったわけでもない訳だし。
こう云うのも
「アタシは気にしていませんから、もう良いですよ」
その言葉に驚いたような表情を浮かべ、木台を乗り越えるような勢いで顔を近づけてきた。
『本当かい?! お前さん無理してないかい?!』
「い、いえ・・全然そんな事は・・」
本音を言えば、まだ完全に払しょくできた訳じゃない。あの時の鬼たちに会って今のような態度がとれるかは判らないけど、少なくともヤマメさんをこれ以上責めるのは間違いなんだと判る。お空さんだったらきっと直ぐに許すと思う。
『よかっっ たァ! お燐に嫌われちまったんじゃないかと思ってたんだよォ!』
初めて満面の笑みを見せたヤマメさんは勢い余ってか、両腕でアタシの頭を抱きかかえた。余ほど嬉しかったのだろうか。抱え込まれたまま頭を左右に揺らされ、目の前ではひたすらに柔らかい胸が呼吸を阻害する。ふかふかの暴力。
しかも見た目に反して腕の力は物凄く、痛みと気持ちよさが脳内でせめぎあっていた。
制止するよう言おうにも、満足に言葉を発することもできないため、とにかく両腕を使って頭を引き抜く事に全力を注ぐ。こちらが嫌がっている様子に気付いたのか、ヤマメさんが腕を緩めてくれたお陰で脱出に成功した。
呼吸を整えてると、目を細めながらヤマメさんは両腕を組んでいた。
『女同士とは言え、初対面で胸を揉みしだくのはどうかと思うよ』
「不可抗力ですからね。こっちはソレ所じゃなかったので」
アタシ達の会話を聞きながら、キスメさんは口元を隠しながらも笑っていた。
それに釣られてこちらも笑みがこぼれる。
『にへへ~ やっと笑ったね、お燐』
「えっ、アタシそんなに笑ってませんでした?」
『自覚なかったのかい? さっきまでこーんな顔してたんだよ』
ヤマメさんは両手の人差し指で目尻を引っ張り、目をとがらせて見せた。さすがにそこまで酷くはなかったと思う。
お酒が入っているからだろうけど、ヤマメさんのテンションがやたら高い。それを抜きにしても元々ヒョウキンな性格をしているようだ。
そういえば最近は以前ほど笑う事が少なくなった気もする。
丁度さとり様から、「もっと周囲の状況にも目を配りなさい」と言われていた事もあったからだろう。思ったことをそのまま口にするようなことは控え、状況に応じて振舞うようになった。そのため楽しい、嬉しいと感じる事があっても、その感情を顔では三割、言葉で七割くらいに表現するようになっていた。
これがさとり様相手だとさらに言葉が少なくなる。顔二割、言葉一割、思考七割といった所。
地霊殿において、さとり様のサポートを任された身として、相応しい態度を身に着けようと日々努力している。お空さんのように強い妖力を持たず、扱い方も不十分なアタシでも役に立てる事を探して。
『でも本当に大丈夫かい?』
「何がですか?」
『さっきはああ言っていたけどさ、お燐の顔、疲れてるように見えるよ。
無理をしているわけじゃないなら、何かこう納得しかねる事を抱えてるんじゃないかい』
正直、驚いた。
このヒトは何でわかるんだ。
『何でなんだーって顔してるね。まぁ
自然と相手が何考えてるのか判るようになるんだよ。それとも違ってたかい?』
それからだった。
気付いた時にはヤマメさんに対して、今思っている事、悩んでいる事、さとり様やお空さんに言いたいけど言えない事を全て吐き出してしまっていた。その間ヤマメさんは反論したりせず、ただ頷きながら話を聞いてくれた。それが一層アタシの気を許すことになり、思いの丈をぶちまけてしまったのだ。
キスメさんは相変わらず何も喋らず、こちらもただ話に耳を傾けていた。あと、自分が口にしているのが水ではなくお酒になっている事にも今更気付いた。
アタシが何か悩んでいないか、何か困っていないか。お空さんは事ある毎に聞いてきた。もちろんこちらの事を想って聞いてくれているのだと理解している。しかしアタシはそんなお空さんを心配させたくないから、手を煩わせたくないから。悩んでいても、困っていても、「大丈夫です」と答えていた。
あれだけお空さんに嘘を付くのが嫌だと思っていたのに、これが相手を想っての事であればと自分を誤魔化して、色んなことを自分自身で解決しようとしていた。未だそんな力も無いというのに。
お空さんは優しいから、とても優しいから、こちらが大丈夫と言えばそれを信じて、それ以上問い質したりしなかった。
ヤマメさんは違った。
相手に判らないように付いた嘘も、誤魔化しも通用しない。言葉ではなく顔を見て判断する。喋らないキスメさんと意思疎通が出来るくらいだ。アタシの考えなんてお見通しなのだろう。
『多分、お燐は頑張りすぎだよ。もっと気楽にしな─ って私に言う権利はないけどさ。
頼りになる先輩と主も居るんだし、一番の新人が眉間に皺寄せてちゃ立つ瀬が無くなるよ』
「そう…でしょうか」
『ごめん、適当言った』
「ええっ?!」
お空さんの友人という事もあるけれど、この二人は信頼できる気がする。この地底において簡単に他者を信じるな、とは常日頃言われているが、そんな事も気にならなくなる。一緒にいて楽しい。友人とはこういうものを指すのだと初めて知った。
それからは何を話したか覚えていない。他愛のない世間話だったか、それとも悩み相談の続きか。どちらにしても、アタシはずっと笑っていた。
◆
そろそろ酒もツマミも追加は不要といった頃、幼い火車は私の膝を枕に寝息を立てていた。
最後に杯に残っていた酒を一口、二口と流し込んだ。
ついと目を向ければ、自身の髪と同じくらいに顔を赤くしたお燐の寝顔が見える。その髪を撫でてやると、口がもごもごと動いて、また元の寝息に戻る。愛情というものを感じたのは、きっとこれが初めてだった。空の気持ちがよく分かる。
この子に対して嫉妬や劣情を抱いていたのが今更ながら恥ずかしい。今ならまるで見当違いであったと理解できる。木台の上から寝顔をのぞき込んでいる桶娘には、きっと初めから分かっていたことなんだろう。そう思うと悔しくもある。
わざわざ地霊殿に便りを出すのも煩わしいので、お燐をおぶって届けてやることにした。
幸いにしてそこまで遅い時間ではない。それでもいつもより遅い帰りに、
「とか考えてたら、ようやくお出ましだ。やれやれ」
良く知った妖力を感じ、足を止めた。ここからなら地霊殿も見える。予想よりも迎えが遅かった気もするが、こちらが気にする事でもない。手頃な岩場も有ったが、ここに下すのも可哀そうだと思ってそのまま空が降りてくるのを待った。
「やあ、お疲れさん」
片手でお燐を支えつつ、馴染みの顔に手を挙げた。
『今日はヤマメか。苦労を掛けるな』
「知らせなくて悪かったよ。でも私らも楽しかったんだ、大目に見ておくれ」
やはり不機嫌な顔の空は、ぶすっとしたまま背中で眠っているお燐に近寄った。すると表情がみるみる変わっていく。その変わり様には思わず吹き出しかけた程だ。
『大人しい、な』
「いい顔で眠っているだろう。よく笑っていたからね。
楽しくて、腹いっぱいで、満足して寝た奴の顔だ。見てて嬉しくなるね」
鬼に酔い潰された事があったからだろう。余程警戒していたと見える。この様子じゃ、古明地が止めるのも聞かずに飛び出してきたって所だな。どうしようって顔に書いてあるのが判る。
『わざわざ連れてきてくれて済まなかった。後はこっちで─』
「久しぶりなのに忙しないじゃないか。歩きながらで良いから少し話さないかい」
『あぁ…別に構わない』
本当はすぐにでも帰りたいって顔してるな。全く変わっちまったよ、お前さんは。
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「誘ったのは私の方さ。あの日の事を私なりに謝りたくてね」
『勇儀たちがやった事だろう。ヤマメが何故』
「自分なりのケジメって奴さ。こう見えて結構気にする方なんだよ、私は」
『ああ、知ってるさ』
空の笑った顔は久しぶりだ。こいつもこいつで、最近笑っていないとか言うんだろう。まったく、揃いも揃って何に悩んでいるんだか。
おいキスメ、そこで「お前が言うな」って目を向けるんじゃあない。
「実はさ、お燐とちゃんと話したのは今日が初めてでね」
『あの日に会ったわけじゃなかったのか』
「あの時はまぁ・・しゃしゃり出られる感じじゃなかったわ。分かるだろ?」
『よく分かる』
空も自慢の翼をたたんで、キスメと三人で並んで歩いた。あまり騒がなければお燐が起きる事もないだろう。それなのにこちらが背負い直す動きをすると、落っこちやしないかとオロオロし始める。すっかり子守が板についたようで微笑ましく思うと同時に、いい加減に子離れしろよとも思ってしまう。
「私が背負ってるんだ。もう少し安心して見てなよ」
『判ってはいるんだが、無意識にな』
半刻ほど歩いた頃、話は先程の飲み屋であった事についての内容となっていた。
お燐が日々の事に悩んでいる事、空にも古明地にも打ち明けられない事があること。具体的な内容についてはこの子の名誉の為、差し控えることにする。しばらくは古明地の姉と会うのも控える必要がありそうだ。
空にとってみれば自分に全てを打ち明けてもらえなかった事に、少なくなからず衝撃を受けたと見える。しかしそうなった原因を、経緯をこいつは知っておかなければならない。
「私も詳しく言えた義理じゃないが、親ってのは子の完全な理解者にはなれないと思うんだ」
『何故だ』
「血を分けたといっても考えまで同じじゃない。そういう意味で言えば他人と同然だ。
特にお前たちはその繋がりすらない。分からない事、話せない事が有っても不思議じゃない」
納得しかねるのか、それとも思い当たる節があるのか。先程とは打って変わって言葉数は少なくなっている。こちらとしては今のうちに言いたいことを言うだけだ。
「なあ、空。この子はどうして、こんなに嘘が上手くなってるんだろうね。
教育熱心なお前さんの元で育ち、古明地さとりの愛情を受けて成長してきたんだろう。
生来の性格も有ったんだろうけど根っからの素直だよ」
空は何も言わなかった。
何か言おうとしているのは気付いていたが、言葉にならないだろう事も分かってた。
「教えてあげようか。お燐は優しすぎたんだ。そして、空たちはそれに甘えすぎた」
『そんな事は!』
「今日初めて会った私がここまで言うんだ。覚えは有るはずだよ」
やはり空は口ごもった。有るんだ、思い当たる事が。
鳥頭のこいつが思い出せるくらいに。無性に腹が立った。理由は自分でも分からない。
「部外者があれこれ口を挟んでゴメンよ。だが我慢ならなかった。
あんな顔を見せられて傍観決め込むほど、私は薄情ではないよ。知ってるだろう」
『どうしてここまでしてくれるんだ。この子の事、よく思っていないと聞いていたが…』
そうだよ。一時は憎しみに近いものを持ってた。泥棒猫が空を横取りした、独り占めしたってさ。
だが、どうだい。お燐にはそんな気持ちは全くなかった。むしろ空がお燐を独り占めしてたって言った方がしっくりくる位だ。
「よく知らずに決めつけていたのは謝るよ。お燐は良い子だ。
空が必死に守りたがるのは十分納得できたよ。私だって好きになった。それだけさ」
『…ありがとう』
「止しなよ、そんな湿っぽいお礼なんて。それよりまた飲みに行こうじゃないか。
その時はお燐も一緒に、ね」
『ああ、約束する』
空の返事を最後に、お燐を空に返した。相変わらずよく眠っている。
お互いの第一印象は散々なものだったが、それを解消して余るくらいに仲を深められた。何よりお燐が、自分が思っていた以上に良いヤツだったと知れた。それが私には堪らなく嬉しかった。
私は人当たりが良いとよく言われるが、それは
決めた。お燐と絶対に仲良くなってやる。
空が羨ましがって悔しがるくらいに。古明地から憎まれ恨まれるくらいに。
ヤマメ「お燐は大きい胸が好きなのかねぇ」
お空 「あたいも良く揉まれてたな」
さとり「お前ら滅べ」
ヤマメさんは地底組の中でも良いポジションになりやすいと常々思っています。今作ではお燐の良き理解者として接してくれると、期待してます。
(よければ、次もドウゾ。)