古代エジプトに暗黒の女王として君臨していました   作:とんたん

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遅くなりました。遅くなった割に話進んでないのが申し訳ない。

今回は、精霊って本当のところ何なの回。これでいいのか正直、未だに悩んでおりますが、もうかなり長くお待ち頂いているので色々かなぐり捨てて投稿します。







精霊って?ああ!それは……

 

 キャスターとハリーの目の前に現れた黒い色似た、その実混沌とした色の粘性の物体。

 その正体はキャスターの精霊だという。

 

「これが、お前の精霊だっていうのか?俺はてっきり、黒い太陽?がそうだと思っていたんだが……」

 

「あら、随分詳しいのね。

 サーヴァントになった弊害って奴かしら?

 サーヴァントの私は座にいる本体である私の希釈されたコピーだから、そんな私の精霊も希釈されて弱体化したってところかしら?」

 

 そう言う、キャスターの顔はちっとも困っている様子は無く、まるで最初から予想していたと言わんばかりのの言い方だ。

 

 「なぁ、精霊は星の触覚なんだろ?なんでお前や、お前の国の連中はそんなに気軽に扱えるんだ?」

 

 彼の持つ少ない魔術知識の中に精霊は星の触覚、つまりはガイアの抑止力という図式が浮かんできている。果たして、ガイアの抑止力なんて存在を人間が御することなどできるのだろうか?というのが彼の疑念だ。それを聞いた彼女は……

 

 「ん?どうして星の触覚云々なんて……あ!

 アハハハ!成程、アハハ、ごめんなさい、なんだかとんでもない勘違いをさせてしまったようね」

 

 「……勘違い?」

 

 「そうよ、いくら5千年、6千年だか前の神秘が今と比べ程に無いくらい濃い時代だからってそれは無いわ。

 むしろ、ガイア製のガチの神霊とは不倶戴天の敵同士よ。天にとぐろ巻く赤い龍神・青い巨大な破壊神・黄金の太陽の化身たる不死鳥、そんな怪物相手に私達は抗ってきたわ。

 

 そう、あなたの言う精霊を伴ってね。

 

 多分、貴方は壁画だとかヒエラティック・テキストとか読んでそういう解釈をしたんでしょうね。

 私も最初、彼等に精霊って説明したし、そう(のち)に伝わっていたとしても何らおかしくないことだし、仕方ないことだわ」

 

「じれったいな、じゃあ精霊って一体何なんだ」

 

 その言葉を聞いた、キャスターはあごに指を当て一瞬、思案し言い放った。

 

 「自分自身」

 

 「ハァ?」

 

 一瞬、聞き間違えたかとハリーは思った。

 

 「私達は、それぞれ自分自身の人格から一側面を抽出してそれを普遍的無意識からそれぞれの元型(アーキタイプ)に当てはめて、物理的干渉力のある別自我として召喚したもの、それが精霊よ。

 元型の形が何故あんな形をしてるかは聞かないで……私自身、最初戸惑ったんだから。てっきり、私達視点で未来の英雄や神仏・悪魔が出てくると思ってたのに、実際に現れたのはそれから微妙に外れた存在だったんだもの。

 多分どこか他所の根源の普遍的無意識と混線している可能性がありそうなのよね、でも流石にそこまでの事となると私じゃ対処できないし、別に姿形以外は問題無さそうだったから、まぁいいかって思ったのよ」

 

 「お宅、何言ってんだ?」

 

 魔術師としてとんでもない話を聞かされた気がするし、一学者としてもとんでもない話を聞かされた気がしたハリーである。 

 

 「え?え?精霊って、とどのつまり自分の人格を普遍的無意識に存在する神話的存在の姿形を取らせて召喚してるのか?」

 

 「ええ、その認識で間違いないわ。最初は個々の最も強い表層人格を当てたものしか召喚できないけど、確固たる自我を持つものは別側面の人格をも召喚できるようになるわ」

 

 「……それは、精霊では無い」

 

 まるで、苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべ言い放った。むしろ、その説明を聞かせれた限りだと、どのような姿をしていたとしても、人間の範疇なのだろう。

 

 「そうね、でも当時の価値観的に精霊って表現した方がせつめいしやすかったし、彼等も理解しやすかったわ。(バー)に寄り添い、守りし者、精霊(カー)ってね。

 彼等への説明自体そう的を外したものでは無いものをしたという自負もあるし、ある程度時が過ぎたら彼等も精霊の正体に気づいていたし」

 

 確かに、当時の人々に普遍的無意識や元型云々の話をしても理解は難しいだろう。ハリー自身全てを理解できたわけでもなかった。

魔術師として、学者として精霊について聞きたいことが山ほどあるが今はその時では無いだろう。

 

 そう、今は聖杯戦争にどう関わるかが問題と言える。ハリーとキャスターに積極的に聖杯を手に入れるという意欲が薄い以上、積極的に戦いに打って出る必要はないのだ。

 

 ……のだが、ハリーは彼女の宝具を見て、とても前線で戦えるとは思えなかった。まぁキャスタークラス自体前線で戦うクラスでは無いのだが。

 

 その旨を彼女に伝えると、返って来たのは真逆の反応だった。

 

 「はぁ!?ここに引き込もる?なんでよ、打って出ましょうよ」

 

 「いや、お前さんの宝具を見る限り、前線で戦えんだろう。それに、そもそもキャスタークラスは籠城してなんぼのクラスだろうに」

 

 そう言われて、キャスターは明らかに機嫌を悪くした。

 

 「どうして、まだ見せていない私の宝具を知っているかわからないけど。籠城なんて悪手よ、勝ち進みたいのなら兎も角、マスターはそうじゃないんだから厄の素であるサーヴァントなんてさっさと手放して、早々に国に帰るべきなんだから」

 

 「おい、宝具見せてないって……さっきあの変な精霊みせてくれたろう?」

 

 「変なって……確かに奇妙ななりになっていたけど……いくら何でも変は失礼じゃない!あの精霊は私自身なんだから、手足と同じなの!宝具なんて、名前負けもいい所よ。あれ?言ってて悲しくなってきた……」

 

 「おい、宝具見せてくれるって言ってなかったか」

 

 「言って無い、精霊を見せるとは言ったけど」

 

 ・

 ・

 ・

 「え?そうだったか?」 

 

 「そうよ、私の宝具は汎用性に富んだものよ。それこそ、セイバーともランサーとも戦えるんだから」

 

 そう誇らしげに胸を張り、己のマスターと視線を合わせる。

 

 「それで、どうする?ここで遠見の術で他の英霊達が戦ってる所を見るか、己の目で直に英霊達の戦いを見るか、どっちにする?勿論、後者を選んでも貴方の安全は全力を尽くして守るわよ?」

 

 そうキャスターに問われ、ハリーは大きな溜息をついてこう答える。

 

 「そんなの、自分の目で見たいに決まってるじゃないか!」

 

 

 

 

 




精霊の正体は、遊戯王のモンスターの皮を被ったペルソナでした。

セイレムいいですね。登場人物の殆ど疑わしい感じが素晴らしい。

その内、シレっと一部の他話のラザフォード→ハリーに置換しておきますのでよろしく!

感想欄が遊戯王に染められておる……
皆さん楽しそうで、たいへんよろしい!

ですが、この話読んでもらうとわかると思うけど、そこまで遊戯王してないよ!(多分)

いや、水を差したら申し訳ないけど本作、本当はこういう設定です。
簡単に言うと。
型月×アトラス×遊戯王の三身合体みたいな感じ。
合体事故起こして無ければいいな。


ファントム・オブ・カオス「あの、泣いてもいいすっか( ;∀;))

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