ポケットモンスターハープ~隠れ特性の第一人者~   作:ディア

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第2話

コトネが研究所を去って、数分後。それは突然起こった。

「もうやだーっ! お家帰りたーいっ!!」

それはコトネの癇癪だった。よく言えば生粋の超インドア派、かなり悪く言えば引きこもりであるコトネにとって、外の環境というのは耐えられない。故に、コトネがわがままを言って叫ぶのは無理もなかった。

「草むらはチクチクして痛いし、ワニノコが野生のポケモンに噛みついてバトルになるし、目があっていないのにワニノコが目を合わせてトレーナーバトルを挑まれるで、モーいやっ!」

「ワニャッ!」

草むら以外の元凶たるワニノコが親指を立てて、悪意のない笑顔を見せ、コトネは溜息を吐いてしまう。

「貴方は気楽でいいよね……野生のポケモンが狂暴じゃないから良かったものの、狂暴なポケモンだったらどんな目にあっていたことやら」

「ワニャーッ!」

「えっ、また野生のポケモン!? もう、勘弁してよー!」

ワニノコが新しい獲物を見つけたと言わんばかりに駆け出し、コトネがそれを追いかける。その先にいたのはポケモンではなかった。

 

「もう、ワニノコどこに行っちゃったのよ?」

「痛だーっ!!」

ワニノコが見えなくなったところで叫び声が響き、そちらに向かうとワニノコが満面の笑みを浮かべ、帽子を被った少年の足に噛みついていた。

「ヒビキ君!」

「コトネ、助けてくれ!」

ヒビキが足を振り回し、ワニノコを振りほどこうとするが離れない。

「ヒビキ君、ワニノコを持つから足を振り回さないで!」

「わかった!」

「ワニノコ、離れなさい!」

「ワニッ!」

嫌だね、と言わんばかりに即答するワニノコ。それだけヒビキの足の噛み心地がよかったのだろうか。

「最後の手段よ。戻ってワニノコ!」

 

コトネがワニノコを戻すとヒビキが安堵し、腰をおろし傷薬をかけた。

「ふぅ、助かったぜ。サンキュー、コトネ」

「ワニノコを放し飼いにしていた私の責任だから……」

「えっ? お前のワニノコなのか? 博士のじゃなくて?」

「そうよ。博士に言われてこの子の調査をしているの」

「引きこもりのお前が調査ねぇ。お前にやらせたって無理だろ」

「その言い方酷くない?」

「そりゃ身長152cm、体じゅっだーっ!?」

「ヒビキく~ん、乙女の秘密をそれ以上言ったらワニノコけしかけて消すわよ」

「わかったわかったって言い過ぎました! ごめんなさい! だからワニノコをモンスターボールの中に入れてくれ!」

「わかればいいのよ」

 

「……ところでこれ何だかわかるか?」

ヒビキが取り出したのは四角く赤に染まった金属で出来た物質だった。

「ポケモン図鑑じゃないの?」

「ご名答~! オーキド博士に貰ったんだ!」

「あのオーキド博士に会ったの? 凄いじゃない」

「へへっ。……ってこんな話をしている場合じゃなかったんだ!」

「どうしたの?」

「ウツギ博士がなんか物凄く慌てて、すぐにウツギ研究所に戻るように言われたんだ。コトネも来るか?」

コトネが頭をフルに回転させ、それがどういうメリットに繋がるのか計算した。そして答えを僅かコンマ数秒で叩き出す。

「そうね。そうしましょう!」

「よし、行こう!」

そして、ウツギ研究所のあるワカバタウンへ戻ろうとすると、赤い髪の少年がヒビキを睨み付け歩み寄る。

 

「お前ら、弱っちい癖にポケモン貰っていたな。お前達には勿体ないポケモンだぜ」

「……誰?」

「もしかしてヒビキ君のストーカー?」

「違うっ! 俺は世界最強のポケモントレーナーになる男だ!」

「ゲイでナルシストでストーカーとかないよねー」

「だから違う! 俺はゲイでもナルシストでも、そしてストーカーでもない!」

「だって自称が世界最強のポケモントレーナーになる男よ。そんな男がナルシストでなくて何だと言うの?」

「それはごもっともだ」

コトネの言うことにヒビキが頷き、赤い髪の少年を激怒させる。

「予定変更だ。新しく手に入れたポケモンを試すために野郎からやりたかったが、そこのデカブツ女から相手してやる」

「デカブツって私は身長152cmよ! これから身長止まるかもしれないじゃない! いきなさい、ワニノコ!」

ちなみにコトネの身長は同世代の女の子よりも平均して10cm程高く、少年の言うとおりデカブツと言われてもおかしくない。

「ワニャーッ! ワ~ワニワニワニャ!」

先ほどヒビキの足を噛みついたお陰か、ワニノコはかなり上機嫌に踊り出した。

「ふっ、出て来て早々踊り出す辺り弱そうなワニノコだ……俺のワニノコを見せてやる! いけっ、ワニノコ!」

「ワニッ!」

少年が出したワニノコは出したとたんに構え、すぐにでも戦闘体勢が整っていた。そして、すぐに指示を出した。

 

「ワニノコ、ひっかく!」

「ワニッ!」

先制した少年のワニノコがコトネのワニノコに向かって爪を伸ばし、ひっかこうと襲撃する。

「ワニノコ、たきのぼりよ!」

「ワニャ!」

コトネのワニノコがカウンターの要領でたきのぼりをして勢いよく少年のワニノコに突撃すると、少年のワニノコがコトネのワニノコのたきのぼりの勢いに負け、そのまま木に激突し、木が大きく揺れた。

「ワニッ……!」

木にぶつけた少年のワニノコが気を失いかけるもののこらえて立ち上がる。

「ワニノコ、今度はかみくだく!」

そしてコトネの指示により、コトネのワニノコが少年のワニノコをかみくだいた。

「急所に入った!」

ヒビキが少年のワニノコの急所に入ったところを目撃し、そう声をあげる。

コトネのワニノコのかみくだくが入った瞬間、少年のワニノコが倒れた。

 

「……ふん、勝てて嬉しいか?」

「そうね。ゲイでナルシストでストーカーで負け犬の貴方に勝っても嬉しくないわ」

「負け犬なのは認めるが、それ以外は違うっ!」

「やーいやーい、負け犬、負け犬ーっ!」

「いいか、俺は世界最強のポケモントレーナーになる男だ! 今は負け犬でも次は必ず勝つ! あばよ!」

少年はコトネにボロクソ言われたあまり涙目でその場を立ち去り、そしてポケットからカードを落としてしまう。

「これってあの子のトレーナーカードよね? えーと名前はナルシスト?」

「誰がナルシストだ! そこにちゃんと書いてあるだろうが!」

コトネが少年の名前をわざと間違えて読むとトレーナーカードを落としたことに気づいた少年がコトネの手から奪い返す。

「あー、ごめんごめん。あまりにもイメージに合わないような名前だったからついね」

「いつか絶対にギャフンと言わせてやるからな!」

今度こそ少年は立ち去り、その場が静かになった。

「それじゃウツギ研究所に行こっか。ヒビキ君」

「そうだな」




コトネちゃんの後書きコーナー
コトネ「コトネちゃんの後書きコーナーで~~す! 今日のゲストはヒビキ君です。よろしくお願いします」
ヒビキ「よろしくな。コトネ、そして読者の皆さん」

コトネ「ヒビキ君、どうしてあそこで急所に入ったってわかったの?」
ヒビキ「現時点じゃ作品のメタ要素って奴かな。ああでもしないと急所に入ったってわからないだろ? ゴールデンボールをかみくだく、なんて表現になりかねないのも理由の一つらしいしね」
コトネ「あ~なるほど」
ヒビキ「ちなみに矛盾が発生しないように、きちんとダメージ計算もしているよ」
コトネ「うそっ? ……本当にあっている」
ヒビキ「まあそういうことだから、後はよろしく~」

コトネ「えっ、ちょっとヒビキ君! ……また一人でやらなきゃいけないのね。感想は感想に、誤字脱字は誤字、そして個人的に聞きたいことがあれば作者にメッセージを送って下さい。お気に入り登録や高評価お願いします!」
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