ウツギ研究所に行くとウツギが警察に事情聴取されており、警察の方は何度も確認していた。
「ではポケモンの入ったモンスターボールを盗まれたと?」
「はい。幸いにもそれ以外に興味はなかったのかほとんど荒らされずに済みましたが……おおっ、ヒビキ君にコトネちゃん、来てくれたんだね」
「どうしたんですか?」
「うん、実は強盗されたんだ」
「ご、強盗ですか!?」
まるで洗濯物を干し忘れたかのように話すウツギを見て、コトネとヒビキが目を丸くした。
「それは君じゃないのかね? 犯人は現場を確認するために戻って来ると聞くし、何よりも犯人の年齢と一致している!」
刑事がヒビキを犯人だと決めつけて手錠をかける。
「俺は違いますよ!」
「そうですよ刑事さん! 彼と強盗の特徴は全然一致していない!」
「む、それはどういうことかな?」
ウツギの証言を聞いた刑事がヒビキにかかった手錠を取り外し、腰に戻す。
「強盗の特徴は赤い髪をした少年です。ワニノコを盗んで満足そうにしていました」
「あっ、それってさっきの奴じゃないか!?」
「うん、間違いないよ!」
コトネとヒビキが顔を見合せ、頷き腕を組んだ。
「会ったのかい?」
「はい。コトネに因縁つけてポケモンバトルを仕掛けて来ました」
「なるほどなるほど。しかし意識が朦朧としていたウツギ博士が見間違えた可能性もある。従って君が犯人だな!」
今度はコトネに手錠をかけ、どや顔で頷く刑事。
「違いますよ! 確かにワニノコを持っていますがこれはウツギ博士から頼まれたものです!」
「そうなのかね?」
「はい。彼女にワニノコを託しました」
「しかし記憶違いというのもある」
「コトネちゃんは違います!」
カオスな状況となったウツギ研究所に入ってきたのはチコリータと、その主人と思われる水泳キャップのような帽子を被った少女だった。
「誰かね君は?」
「クリス……!」
その少女こそウツギが託したもう一人のトレーナー、クリス。
「私、見たんです。ウツギ研究所から赤い髪の男の子がワニノコを従えて出ていくのを!」
「ふむ……第三者の証言が聞けた以上、確かにその少年が犯人と見て間違いだろう。その少年の名前は?」
ようやく納得した刑事が手錠を外し、コトネにそう尋ねた。
「ソウルです。ゲイでナルシストで覗き魔で負け犬なトレーナーです」
「ソウル。ゲイでナルシストで覗き魔で負け犬なトレーナーと。一応指名手配しておこう」
赤い髪の少年、もといソウルに不名誉な渾名がつけられた。その事にソウルが汚名返上しようと手をこまねくことになるのだが、今は誰も知らない。
「では失礼するよ。ウツギ博士、今後はお気をつけて下さい」
「ありがとうございました」
一通り調査が終わった刑事がウツギ研究所から立ち去ったところでその場にいた全員が溜息を吐いた。
「ヒビキ君、コトネちゃん、疑いが晴れてよかったわ。じゃあ、また後で会いましょう」
「あ、ちょっとクリスちゃん。後でお礼したいから待っててくれないかい?」
「わかりました。博士」
ウツギが三人に向き合う。
「さて、ヒビキ君。それでおじいさんの大発見っては何だったの?」
「これです」
ヒビキがそれを取り出し、ウツギに渡した。
「やっぱりタマゴだったか。確かにこれは見たこともない種類のもののようだけど今時ポケモンのタマゴで驚くなんてポケモンじいさんも相変わらずだな……もしかしたら何か秘密があるかもしれないし、僕の方で預かってみるよ」
「それはそうとウツギ博士、オーキド博士に図鑑貰いました!」
「オーキド博士からポケモン図鑑を貰った!? それって凄いことだよ! オーキド博士はトレーナーの才能を見抜く天才だからね……よし、ヒビキ君せっかくだからジムに挑戦したらどうだい?」
「ジムですか?」
「そう、各地のジム全て勝ち抜いていったらポケモンリーグチャンピオンも夢じゃないよ。……まあここから先にあるキキョウジムに挑みなよ。家に帰ろうとしたコトネちゃんもね」
「うっ! 事実なだけに精神的ダメージがデカい……」
「ヒビキ君、各地のジムを周るとなると長い旅になるからお母さんに話した方がいいよ」
「あれ? 私は言わなくてもいいんですか?」
「必要ないよ。コトネちゃんのお母さんが僕にコトネちゃんを家に引きこもらないように長旅を勧めたんだからとっくに了承済みだよ」
「そんな酷い……」
「コトネちゃん、ゲームに出てくる名台詞を言ったって現状は変わらないと思うから諦めた方がいいわ」
クリスがコトネの肩に手を置いて同情する。
「さて、コトネちゃん。君に渡し忘れたものがある」
「何でしょうか?」
「ポケギアだよ。今回のような事態もあるから今後からコトネちゃん個人に連絡が取れるようにしておきたいんだ」
「そういえば報告しておきたいことがあるんですが」
「報告? あのワニノコについてかい?」
「ソウルと戦った時に気がついたんですがこのワニノコ、たきのぼりやかみくだくの威力が普通のワニノコよりも高くなっています」
「本当かい? さっきメールでニドランの♂と♀の系列も似たような事例がごく稀にあるらしいから引き続き調査お願いしたいんだけど、コトネちゃんやってくれるかい?」
「嫌だって言っても断れないのがこの辛さよね~……わかりました。やりますよ」
渋々、本当に嫌そうにコトネがそれを了承し肩を落とす。
「じゃあよろしくね。それで捕獲スペシャリストのクリスちゃんに残って貰ったのはポケモンの捕まえかたを二人に教えて上げて欲しいんだ」
「私ですか?」
「そう言わない。クリスちゃん程ポケモンの捕まえ方を知っているのは僕が知る限りじゃいない。コトネちゃんにはポケモンの捕まえ方を教えてはいるんだけど座学だけだし……ね? 頼むよ」
「私だって教えられるなら教えますけど、モンスターボールがもうないんです」
「えっ!? あれだけ渡したのにもう使っちゃったのかい?」
「ええ、これがポケモン入りのモンスターボールです。ご納め下さい」
クリスがそう言ってウツギに渡してきたのは30を超える数のモンスターボールだった。
「え~と、野生のチコリータやヒノアラシ、それにワニノコ、ポッポ、オタチ、ホーホ、キャタピー、トランセルにビートル、コクーン、レディバ、イトマル、コラッタ、コイキング、メノクラゲ……しかも雌雄それぞれ捕まえるなんて上出来なんてものじゃないよ」
「そういう訳ですからモンスターボールかお金下さいな」
「はぁ~……仕方ない。君を責める訳じゃないけど、優秀過ぎるのも考えものだね。お陰で研究は捗っても、経理の方に顔を出さなきゃいけないし、胃薬も準備しなきゃいけないよ。大好きな研究だと言うのに研究の為にストレスを溜めるとは……いっそのことクリスちゃんをフィールドワークの得意なオダマキ博士に押し付け、いや優秀だから手放せないんだよな……」
ウツギがクリスにモンスターボールを渡すとぶつぶつ言い出し、頭を抱えるのを他所にクリスがコトネ達を連れていく。
「それじゃポケモンの捕まえ方を教えるわ。頭も帽子も身長もデカいコトネちゃんはどうやってポケモンを捕まえるか知っている?」
「ポケモンに向けてモンスターボール等を投げることで捕獲が出来る。なおボールを投げる前にポケモンを弱らせたり、異常状態にすることで捕獲が容易になる……でしょ? クリスちゃん」
「正解。二人とも見本を見せて上げるから着いてきて」
クリスの後に二人が着いていくと三人が草むらに入り、移動する。そして野生のコラッタが現れた。
「出番よ、チコリータ」
「チコッ!」
チコリータが野生のコラッタに対峙し、戦闘体勢に入った。
「チコリータ、たいあたりよ」
チコリータのたいあたりが野生のコラッタに炸裂し、よろけた。
「チコリータ、すかさずどくのこな」
「チコチコ……!」
チコリータが野生のコラッタを毒状態にさせ、体力を削った。
「はい、これでおしまい」
クリスがモンスターボールを投げ野生のポケモンを捕まえると二人の方へ向き合う。
「二人とも、ポケモン捕獲はこんな感じよ。体力を削れば削るほど捕まえやすくなる傾向があるけど、何回もモンスターボールを投げて入れようとしてもダメよ。ポケモンだって学習する生き物だから要領さえ掴んでしまえばすぐに脱出するわ。だからポケモン捕獲のチャンスは一度きりと思った方がいいわ」
「なるほど慎重にやらなきゃいけないんだな」
「そうね。尤もヒビキ君の場合、感覚で覚えるから大丈夫だと思うわ。問題はコトネちゃんよ」
「私?」
「コトネちゃんは理屈だけ先行して体が付いていかない事が多いから何度も投げて人並みになるまで練習した方がいいわ」
「うっ、善処します」
「それじゃ後は自分なりに工夫してみるといいわ。これあげるから頑張ってね二人とも」
クリスがコトネ達にモンスターボールをあげると靴ひもを結んで、チコリータ共に前に行く。
「じゃあまた後で会いましょう!」
クリスがそう言って先に進み、その場を立ち去った。
コトネちゃんの後書きコーナー
コトネ「コトネちゃんの後書きコーナーで~~す! 今日のゲストはクリスちゃんです。よろしくお願いします」
クリス「よろしくお願いしますね」
コトネ「はい、早速疑問点があったところいってみましょう。クリスちゃんの設定がポケスペのクリスタルと共通点があったけどタグにいれなくて大丈夫かな?」
クリス「ポケモン捕獲のスペシャリストの共通点ね。口調が違うから大丈夫だと思うわよ」
コトネ「そう言えば私達の口調って誰を参考にしているのかしら?」
クリス「それは作者に聞くしかないわ。後書きコーナーでは書けないものだから」
コトネ「残念ね……」
クリス「さ、お時間よ。コトネちゃん。しっかりと締めてね」
コトネ「はーい。感想は感想に、誤字脱字は誤字、そして個人的に聞きたいことがあれば作者にメッセージを送って下さい。お気に入り登録や高評価お願いします!」