東方妖精録 作:きりたんぽ
まぁ珍しくやる気が続いただけなんですけどね
慧音先生と別れたオレ達は、稗田阿求という人物を探し歩いていた。
先ほど慧音先生が言っていた場所にも行ってみたが、どうやらすでに移動してしまったようだ。
「うーん、いねぇなぁ。」
「そうね……」
霊夢は素っ気ない返事を返す。まだ拗ねているのか……。
このまま宛ても無く探しても仕方がない。目撃者がいないか町民に尋ねてみようか。オレはすぐそこに居た男性に声をかける。
「スマセンそこの兄さん。阿求って人を探してんすけど見かけませんでした?」
「阿求〜?あの稗田家の嬢さんのことか?」
「はい。見てませんかね?」
「いや、さっき
鈴奈庵?何だそれ?
そんな事を考えていると表情に出ていたらしく、霊夢がオレに言う。やっと機嫌が治ったか。
「この人里唯一の貸本屋のことよ。彼女、そこの娘さんと仲良かったから確かにそこにいる可能性は高いわね。」
「なるほーどね。じゃそこ行ってみます。あざっした。」
男性に一礼をし、オレ達は鈴奈庵を目指す。
「なぁ霊夢、その阿求って歳いくつくらい?」
「さぁ?わかんないけどまぁ……アンタよりは年下ね。それがどうかしたの?」
「いや、当主だの何だの言うからてっきり大人の人かと……ま、別に問題もないし良いんだけどな。」
「あっそ……あ、着いたわよ。」
おしゃべりをしてる間に到着したようだ。今目の前には『鈴奈庵』と大きく書かれた建物があった。扉を開き鈴奈庵の中へと入っていくと、オレの視界に二人の少女の姿が映る。
すると、鈴の髪留めを付けた飴色ツインテールの少女が立ち上がり、接客をし始める。
「いらっしゃいませ〜、鈴奈庵へようこそ。……あ、霊夢さん!お久しぶりです!今日はどうされたんですか?」
「久しぶりね小鈴ちゃん。今日はちょっとこの人の付き添いでね。」
霊夢がそう言うと小鈴と呼ばれる少女がオレの方を向く。
「あ、えーっと、本居小鈴と言います。お兄さんは?」
「神原竜斗だ。稗田阿求さんに用があって来たんだけど……ここに居るか?」
「阿求に?阿求ならそちらに座っているのがそうですが……」
小鈴が指を指す方を見ると、そこには花の髪飾りを付けた紫髪の少女が気品のある姿勢で座りながらこちらを見ていた。
少女は首を傾げながらオレに問いかける。
「あの、私に何かご用でしょうか?」
「ん、人里で商売をしたいんで許可を貰いに来たんですが……」
「商売、ですか?あ、どうぞお座りになって下さい。」
オレは言われるがままに座る。霊夢と小鈴も腰を下ろした。
阿求さんは正座に座り直し、話を聞く姿勢をとる。
「私のことをご存知のようですが改めて自己紹介をさせて頂きます。私は稗田家九代目当主の
「オレは神原竜斗、昨日外界から来た外来人です。本日は先ほども申した通り、この人里で商売をさせて頂くための許可を貰いに来ました。」
「あ、そんなに堅くならなくても結構ですよ?恐らく竜斗さんの方が年上ですのでもっと気楽にしてください。……それで、商売とは具体的にどのようなものでしょうか?」
「万屋というか何でも屋というか……困ってることを人から依頼として貰ってそれを解決する、みたいな感じだよ。」
阿求は成る程、と呟いた後に顎に手を当てる。少しした後、阿求は白紙と筆を手に取り何かを描き始めた。
何かを描き終えた阿求は俺にその紙を渡す。
「人里で商売を行うことを許可します。この紙に使われていない空き家の位置を描いておきました。是非そこを拠点にしてください。」
「うぇ、それっていくら払えば……」
「竜斗さん。」
オレが値段のことを気にしていると阿求がオレの名を呼んで遮る。
まさか、とてつもない額を口にするんじゃ……?そんな事を考えてしまいつい身構えてしまう。
「依頼人として貴方にお願いします。今後、何かしら大変なことが起きたその時は、その身を挺してこの里および町民たちを護ってください。」
「……ふん?」
予想外な発言につい間抜けな声が出てしまう。阿求は口元を抑えながらもクスクスと笑っている。
「ごほん、つまりどういう事だ?」
「はい、それを約束してくれるのであれば、タダで土地と空き家をお譲りします。」
……成る程な、そうゆう事か。つまり彼女なりの気遣いなのだろう、多分。そう思う事にする。
オレはふっと笑い拳を自身の胸にドンと当てる。
「いいぜその依頼、引き受けてやるよ。命を賭けてこの里を護ることを約束しよう。」
「ふふっ。はい、よろしくお願いします。」
阿求は上品な笑みを浮かべている。すると小鈴がオレに問いかける。
「竜斗さん竜斗さん。名前はどうするんですか?」
「名前?」
「万屋の名前ですよ!そうゆうのがあった方がいいでしょう?」
……やっべ、何も考えてなかった。いっそのことFAIRYTAILにしてしまおうか?イヤ、それは止めとこう。
頭を抱えて悩んでいると、霊夢が一つ提案してくる。
「『竜神の加護』ってのはどうかしら?」
「竜神の……?それはどういう意味が?」
「竜神は『神原竜斗』から神と竜をとったのよ。それで万屋って人助けをするものでしょ?だから竜神から加護を受けるって意味で『竜神の加護』よ。」
「お、おぉ……おお!なんかイイじゃん!それに決定!」
「わっ、急にテンション上がんじゃん。」
竜神の加護、か。竜……ドラゴン……!やば、愛着湧いてきた。
「よし!んじゃあ今ここに、万屋『竜神の加護』の誕生だ!」
もっと良いネーミングありましたかね?
俺的には『竜』という単語を使えたのでケッコー満足してます。