「これで終わりです。これで世界は救われる。これで……も解放される。」
紅の髪を持つ男が影のようなものに対してそう告げた。
「やっちまえ!ラ……ハ……!」
黒髪の青年がそう叫ぶ。
「……ル。私は………か……だけなのに」
その瞬間、紅の髪を持つ男の剣に光が溢れ出し………。闇を焼いた。
◇
「ひぃぃぃ、助けてくれぇぇ!俺は悪くないんだ!だから、ころ…すの…は…」
俺の前で男はそう言いながら頽れる。こんな光景は幾度も見てきた。いや…自分で作り上げたと言った方が正しいか。
「お前は所詮タダの『獲物』さ」
俺は傭兵だからな………。
その言葉は闇に溶けて消えて行った。
◇
「今回はお前にこの依頼を受けてもらう。強制だ。レイル」
そう言って俺に依頼書を突きつけてくるのは、傭兵ギルド長『クリス・レーデンハルト」だ。名字が付いていることからも分かるが、こいつは『元』貴族だ。なんやかんやあったらしいが………それはまた、後々に話すとしよう。
「それ、問題の依頼じゃないか。また、俺に押し付けるのか?」
「当たり前だ。お前ならできるだろう?『レイル・アストレア』
こいつ………。
「やめてくれよ。その名は捨てたんだ。貴族だのなんだのどうでもいいんだよ。『アストレア』は息子のレイドにやったんだ。』
「ははは…。そうだったな悪かった悪かった。で?受けてくれるな?」
「わかりましたよ、やればいいんだな、やれば」
「分かってくれればいいさ。じゃ頼む」
「おーけー」
それじゃ行くとするか。
◇
ここは、ルグニカ王国。世界でもデカイ方の国だ。この世界では正に多種多様な『人間』がいる。猫みたいな人間に、トカゲみたいな人間、そして俺たちみたいな『普通』の人間だ。普通の人間以外の『人』は『亜人』と言われている。
「ここか………」
俺が今いるのは、ルグニカの街にある工事中の建物の中だ。
「黒いローブの奴が出入りしてるのを見たって話だが………。魔女教じゃないといいがな」
『魔女教』それは『魔女』信奉しているもの達のことを指す。
『魔女』それは、子供の絵本に出てくるだけの存在………のはずだった。そう『はずだった』んだ。
最初に現れた奴は『憤怒の魔女ミネルヴァ』だった。彼女の目的は『世界から傷を無くすこと』だったらしい。これだけ聞くとすげえいい奴に聞こえるだろ?でもそうじゃないんだ。なんで『魔』女なのかって考えたことがあるか?それは人間に害を及ぼすからさ。それも甚大な被害だ。
回復と言うのは精霊の力を借りるか水魔法を使うんだ。水魔法の場合は自分の中にあるゲートと言う機関からマナと言う魔素を使って行使する。マナは大地から湧き出てきて、それを人が知らず知らずの内にゲートに取り込んでいるんだ。マナは人にとって命とさえ呼べるものなんだ。ミネルヴァの回復は大地の核から直接マナを吸い上げて使うんだ。1人の死に近いほどの傷を治すのに使われるマナは膨大だ。これが意味するのは『マナの枯渇』。それは死に直結する。このような理由からミネルヴァは多くの国の連合軍によって殺害された。
戦争を嫌った魔女が最後は戦争で殺されるなんて皮肉が効いている。殺した俺が言うのもなんだがな。
まぁ、そんな感じで残りの魔女も殺されたのさ『6人とも』な。
「それにしても暗いな。まだ夕方だぞ?」
まるで、窓から入ってくる光を『何か』が遮っているような………。
「あとで、分かるさ。今はとりあえず、この『臭い』をたどって行くさ」
俺は進んで行く。どんどん『暗い』方へ。