「あなたが助けてくれたんだって?礼を言うわ。」
「いや、なに。できる事をしたまでだ。」
「ふふ、そう言われるのはコレで二度目ね。」
俺は現在この旅団のリーダーと会っていた。
と言うか"二度目"?
どこかで会ったか…?
「謙遜しなくてもいいのに。それでウチのが生き残れたのは事実だから改めて言うわ。ありがとう。」
「いや、いいさ。それより聞きたいんだが、さっきの二度目ってのは?」
「あら、忘れちゃった? あの時試験で爆撃機を落としてくれたのはあなたでしょう?」
試験、爆撃機?
まさか…。
「おまえ、レジーナか?」
「やっと思い出した?――ってどうしたのよ。」
「いやなに、世の中広いようで凄く狭いなぁと実感したんだよ。」
「確かに、それには同感ね。」
と互いに苦笑いになりながら話す。
それにしても――
「お前さんとアイツがねぇ。」
「うん?」
「いや、ここのリーダーと副リーダーだろ?お前さんと林檎君は。――つまりは。」
そういう関係なんだろう?と。
『へっくしッ!』
『風邪っすか?』
『いや、今日の朝は普通に絶好調だったんだけど…、誰か噂でもしてるのかなぁ。』
なんて会話が聞こえてきたが気にしない。
「い、いや。えっと、まぁ…。――意外だった?」
「そうだな。お前さんはもっと自分を引っ張ってく様な奴が好みなのかと。まぁ俺の勝手な想像だけどな。」
「そうねぇ、でもアレでも頼れるところはあるのよ?それに――。」
「あー、ハイハイ。惚気は結構です。」
「ちょっ、そっちから言ってきたんでしょうが。」
「悪かったな。そうだ、トルーパーのおやっさんは?元気か?」
「あからさまに話題変えたわね。まぁいいわ。元気よ、レイヴンはもう引退したけど。」
いい歳だろうしな、流石に身を引いてたか。
でもまぁ。
「元気なら何よりだな、また一緒に酒が飲みたいね。」
「またって、一緒に飲んだことあるの?」
「結構な頻度でな。お前さんの愚痴をよく聞かされたよ。」
懐かしいなぁ。
「なにそれ!聞いたことないわ!」
「そんなの俺が知るかよ。」
「なんて言ってた?」
「さてねぇ。忘れちまった。」
「ぐぬぬ。いいわ、父さんに直接聞くから。」
「手加減してやれよ、なんだかんだいいながらお前さんのこと心配してたんだから。」
「…わかったわよ。」
さて、昔話も程々にしねぇとな。
仮にもここの長と話してるんだ、これで終わりってわけにもいかんだろ。
「それで?他にもあるんだろ?」
「――そうね、本題に入りましょうか。」
そう言うと、あるPDA端末を俺に渡してくる。
そこには一人のレイヴンのデータが表示されていた。
見覚えがある、知っているなんてレベルのもんじゃ無い。
なぜならコイツは…。
「驚いた?アタシも最初見た時はびっくりしたわ。だって――。」
――死んだとされてるあなたのデータがずっと残ってたんだもの――
「理由はわからないわ、でも存在してるのも事実。データが改ざんされてる痕跡も特に見当たらないわ。」
そう、ここに表示されてるのは俺のレイヴンとしての登録データ。
機体も"あの時"の直前のアセンのままだ。
なんで残ってる?生死がハッキリしないから?
「あの後のゴタゴタで削除されなかったのか、それともあなたのオペレーターが故意的にそうしなかったのか。はたまた別の"何か"か。」
確かにレインは以前の世の中に疑問を抱いてはいたが……。
一介のオペレーターである彼女がそんな無茶を出来るとも思えない。
となるともっと上の…?
「――なんにせよ。何か思惑が動いてるわ。」
「だとしてもだ、アレはもう無い。となると一体誰が…?」
「そんなのは分からないわ。アタシだって今じゃただの運送屋よ。でも――」
――自分の与り知らぬところで利用されてるのは気に喰わないわよね?――
「当たり前だ。」
「なら、もうやることは決まってるんじゃない?"イレギュラー"」