その日を境に、竜、即ちモンスターの乱獲が始まり、人里近くに生息していたモンスターは急速にその数を減らして行った。
そして、人類は遂にその存在を造りだした。
《イコールドラゴンウェポン》
ラオシャンロンほどの体躯にナバルデウスのような湾曲した大きな角、鉄の翼、太く長い尻尾、を持ち、背中には巨大な鋸が備え付けられている、竜に匹敵する筋力、耐久力、火力を備え、竜を殺すために作られた、人造の竜。
禁忌の結晶。
その力は並みの竜を凌駕し、複数体いれば、生ける天災とも言われる古龍をも倒せるだろうと推測されている、最強の兵器。
「さて、外交官よ。我が国の技術力の結晶である、この《イコールドラゴンウェポン》の設計図と完成品を一体。各国に送ってやれ。」
「はっ!そのように。しかし...宜しいのですか?この人造竜は国王様も仰っていた通り、我が国の造竜技術の結晶。それを他国に簡単に渡してしまっても?」
「控えろよ。セントメネス卿よ。貴様の心配する事ではない。ただで渡すわけが無かろう。相応の対価は搾り取る。さらに言えば我が国はイコールドラゴンウェポンへの絶対命令権を持っている。間違ってもイコールドラゴンウェポンが反逆してくる事はない。貴様は黙って指示に従っておけばよいのだ。解ったな?」
「はっ!承知いたしました陛下」
「さて、将軍。竜の殲滅の方はどうなっている?」
「はっ!我が国近辺の竜はあらかた狩り尽くしましたが、残っている竜に妙な動きが...」
「どうした?行ってみろ。」
「それが...残った竜が一斉に同じ方向に向かって逃げているようでして...」
「なるほど...では、そちらの方向にいる部隊に追跡をさせろ。気づかれたら殲滅。気づかれなければ、もしかすると、竜の本隊が見つかるかも知れん。素材の方は、全てイコールドラゴンウェポンの生産に回せ。」
「了解しました、陛下。全ては陛下の御心のままに」
「では解散」
この時人間側は失念していた。一頭でも世界を滅ぼせる、禁忌の龍の存在を。
竜たちも知能を持ち、上位存在の作戦を実行するだけの力を持っていた事。
そして、自分たちが既に祖龍ミラルーツの罠に掛かってしまっていたことを...
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sideダラアマデュラ
さて、たった今届いたルーツちゃんからの情報によると人間側は遂にイコールドラゴンウェポンの生産を開始したみたいだね。
じゃあ私も最後の仕上げに入りますか。
あ~龍の姿になるのは久しぶりだなぁ~。
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAA」
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sideミラルーツ
おっ、ダラちゃんも動きだしたみたいだね にしても、巻き付けば物理法則無視して山が高くなるなんて、一体どういう仕組みなのか?
まっ、匙は投げられたってね
「それじゃ、バルカン、ボレアス
ゲームを始めよう 」
遂に、全ての原点にして、終末点。
竜大戦の火蓋は切って落とされた。
次回、遂にミラルーツが暴れます。
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