桜ちゃん、光の戦士を召喚する   作:ウィリアム・スミス

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桜ちゃん、着信する

 バーサーカーとアサシンの戦いは苛烈を極めていました。目にも留まらぬ一進一退の攻防が続いています。永遠に続くかと思われた戦闘は、しかし唐突に終わりを迎えました。

 

「……頃合いだな」

 

 ハサンさんの感覚に、桜ちゃんが転移魔法を発動したことが伝えられてきます。つまりそれは、目的の達成を意味していました。突然ハサンさんの視界に謎のウィンドウが表れ、選択肢を迫ってきます。

 

Sakura Matouからテレポ勧誘を受けました。

 受諾  ニア保留  キャンセル 

 

 選択肢を迷う理由は、少しもありません。

 

 ハサンさんはバーサーカーの攻撃を巧みに避け、一度軽く蹴りをお見舞いすると、その反動を利用して距離をとりました。

 

 怒り狂うバーサーカーが猛スピードで突進し追撃を繰り出してきます。しかし人智を超えた神速だとしても、その剣先がアサシンを捕らえるには僅かに足りませんでした。

 

「さらばだ、バーサーカー」

 

 そう言い残すとハサンさんは『受諾』を選択し、アサシンには似つかわしくない光の粒子となって、虚空へと消えていきます。

 

 誰もいなくなった空間を、バーサーカーの聖剣が虚しく切り裂きました。どうやらバーサーカーに、アサシンの転移を防ぐ手立ては無かったようです。

 

 恐るべきことにアサシンの転移は、詠唱も、魔力の脈動も、それどころかその前兆すらなく発動していました。なんの脈絡もなく姿を消したアサシン。取り残されたバーサーカーは、油断なく辺りを索敵します。姿を消したからといって、居なくなったという訳ではないのですから……。

 

 怒りと狂気の捌け口を失ったバーサーカーは、しかしそれでも不思議と冷静で落ち着いていました。頭がおかしくなるほどに狂おしい感情が、それが今では幾らか和らいでいます。

 

 彼を形作っているマスターに何かあったのか、あるいは──バーサーカーは視線を僅かに移ろわせ、“彼女”を見ました──この何処か見覚えのある“少女”が側にいるからなのか……。

 

「……Ar(アァ)……thur(サァ)……」

 

 倒れ伏すセイバーを見て、バーサーカーはそう言いました。

 

 自然と溢れたその言葉に、バーサーカーはとても懐かしい気持ちを抱きます。何故そんな気持ちを抱いたのか、その理由はもう思い出せませんが、何か大切なものであったことは確かに覚えていました。

 

 セイバーは完全に気絶していて、起きる気配は全くありません。倒すなら絶好の機会です。しかしバーサーカーは、セイバーに危害を加えようとは少しも思いませんでした。

 

 意識があり、感情がバーサーカーに向いているのであれば意味はありますが、()()()()()()()()意味がありません。苛烈に、激烈に、彼は彼女に責められなくてはならないのですから……。それこそが彼の願い、彼の望み、彼の願望です。

 

 しかし、だからといってバーサーカーは、折角手にした聖剣までも返す気はありませんでした。これ程の聖剣を、手放す理由はありません。むしろ“そうするべきである”と、本能が訴えかけてきます。

 

 愛する人を奪っても、『王』は決して怒らなかった。

 

 守るべき国を奪われても、『王』は決して罰しなかった。

 

 では『王』が『王』であることの“証”を奪われて、彼女はどんな反応をするのでしょうか?

 

 それを知る必要が、バーサーカーにはありました。いずれ来るべき、断罪の時の為に……。

 

 

 

 

×       ×

 

 

 

 アルトリアさんが意識を取り戻した時、周りには誰もいませんでした。アサシンも、アンノウンも、記憶の片隅にある懐かしい声の持ち主も、そして約束された勝利の剣(エクスカリバー)も、何処にもありません。

 

 ただ土の冷たさと木々のざわめきだけが、アルトリアさんを包んでいました。

 

「カムランの……あの丘では、ないのか……ぐぅうう!」

 

 意識がはっきりしていくにつれ、アルトリアさんに襲いかかっていたのは想像を絶する激痛です。

 

 肉体だけでなく、霊や魂、その存在そのものにまで響く激痛に、堅強なアルトリアさんでさえも苦悶に喘ぎました。

 

「がぁぁあ……ぁぁあああッッッ!」

 

 ともすれば、いっそ死んでしまった方がマシなくらいの痛み──それでもアルトリアさんを突き動かしていたのは、折れることのない固い決意と信念でした。

 

「あの、終わりの丘では……無い……あの終焉の地では……無いんだッ!」

 

 一心不乱に己に言い聞かせながら、アルトリアは不屈の精神で立ち上がります。あの槍衾と屍で築かれたカムランの丘でないのであれば、まだ諦めるわけにはいきません。

 

 生き残った理由は、考えたくもありませんでした。見過ごされたにせよ、手心を加えられたにせよ、どうでも良いことです。国を滅ぼされた屈辱に比べれば、屁でもないのですから……。

 

「生き残ったなら……生き残ったならば……私の願いは、望みは、まだ途絶えていないッ!」

 

 ならば足を前に出さない理由は無いでしょう。可能性が幾ばくでもあるのであれば、常勝無敗の騎士王が妥協するわけにはいかないのです。

 

「マスター……アイリスフィール……みんな……」

 

 マスターが生きていることは、パスより流れてくる魔力で既に分かっていました。ですが同時に、無事であるとも思えません。アルトリアさんを一瞬で戦闘不能に追い込んだアンノウンに、ただの人間である二人が敵うはずがないのですから……。

 

 痛む体を必死に動かしながら、アルトリアさんはアインツベルン城に帰ってきます。外観は、想像していたよりも酷くありません。しかし内部はそうとはいきませんでした。

 

 あちこちに鉄球や炸裂痕、使い魔の残骸が散乱し、内装はほぼ完全に破壊し尽くされています。相当な激戦であったことは、手に取るように分かりました。

 

「マスター……アイリスフィール……どうか……どうか……」

 

 アインツベルン城に刻まれた戦場痕に、動揺している余裕はありません。むしろこれくらいは、想定の範囲内でした。

 

 アルトリアさんはまるで幽鬼のようにふらふらと、城内をさ迷い歩いていきます。探しているのは言うまでもなく、マスターである切嗣くんと、その妻アイリスフィールさんでした。

 

 そして遂に、アルトリアさんは見つけます。

 

「マス、タァ……」

 

 アルトリアさんから零れ落ちた言霊は、予想以上に弱々しいものでした。それほどまでに、アルトリアさんのマスターである切嗣くんは酷い有り様だったのです。

 

 ボロボロになったスーツに残骸だらけの部屋。薄闇になった室内の中で、切嗣くんは力なく地べたに座りこみ、壁に寄りかかりながら呆然と虚空を見つめていました。アイリスフィールさんの姿は近くにありません。

 

 ただでさえ生気の無かった切嗣くんの瞳は更に色を失い、死者と変わらないくらいに色あせていました。

 

「マスター……大丈夫ですか……マスター……」

 

 力なく歩み寄りながら、アルトリアさんが問いかけます。

 

「……」

 

 切嗣くんからの返答はありませんでした。しかしそれは、これまでのような無視とは訳が違います。まるでアルトリアさんの声が少しも届いていないような、完全な無反応と呼べるものでした。

 

「マスター……マスター……しっかりして下さい、切嗣!」

 

 一向に反応を示さない切嗣くんに、アルトリアさんは必死に声かけます。今となっては彼に抱いていた憤りや苛立ちは、もう何処かに消え去ってしまっていました。

 

「切嗣、アイリスフィールは……アイリスフィールはどうしたのですか?」

 

 アルトリアさんは姿が見当たらないアイリスフィールについて、切嗣くんに問いかけます。嫌な予感がしました。そしてそういった予感は、大抵当たるものなのです。

 

 アルトリアさんの問いかけに、ようやく切嗣くんが反応を示しました。相変わらず虚空を見つめ、ボソッとこう答えます。

 

「……連れ去られた」

 

 誰に? などという愚問を、アルトリアさんは聞き返しませんでした。考えなくても犯人は明白だったからです。アンノウン──それ以外に考えられないでしょう。

 

「ならば……ならば、助けにいかないと……」

「……ハッ、どうやって……」

 

 吐き捨てるように切嗣くんが言います。

 

 この愚かなサーヴァントは、“アレ”とまともに対峙していないからそう言えるのでしょう。あらゆるトラップを鼻歌まじりで潜り抜け、数多くの使い魔や障害を楽しそうに粉砕した、あの正体不明(アンノウン)の恐ろしさを知らないから、そんな馬鹿げたことを言えるのです。

 

「そ、それは……」

 

 切嗣くんに問われて、アルトリアさんの言葉も詰まりました。

 

 アルトリアさんとて、アンノウンの恐ろしさを知らぬ訳ではありません。一発一発が宝具級の威力の銃撃に加え、アルトリアさんの直感スキルが全く役に立たないほどの命中精度を誇る驚異的な攻撃──それが秒単位で次々と繰り出されてくる大嵐を、アルトリアさんはその身に受けたのですから……。

 

 規格外のサーヴァントをして更に規格外と言わしめるほどに、アンノウンは常軌を逸した存在でした。

 

「アイツには何も通用しなかった。銃も爆薬も魔術も何もかも……あれは、あれは『死徒』なんかじゃない! もっと別の、何か得体の知れない──()()()だ!」

 

 怯えるように身を縮ませながら、切嗣くんが言います。

 

 そして、切嗣くんにとって何よりも恐ろしかったことは、その化け物が正義を下すために“ここ”に現れたという事実でした。

 

 己の存在理由の全面否定──勿論、自分の行いが『正義』であると言うつもりは毛頭ありません。むしろ、『悪』の所業だったとすら言えるでしょう。ですが、“それ”が何時の日か必ず『正義』に繋がると信じて、これまでずっと戦ってきました。

 

 それこそが切嗣くんの信念であり、信条でした。

 

 それを真正面から粉砕する“正しい義”が現れた。それを超える“正義”になるには、それに打ち勝つ“正義”になるしかありません。

 

 所詮、世界の理とはそういう風に出来ているのです。

 

 より強いモノが世界を支配し、より弱いモノが世界に隷属する──どんなに綺麗事をならべても、それが真実であり真理でした。

 

 そして“アレ”がそれの、最たる例です。

 

 “アレ”は天災や災害と似た、一人の人間では決して抗うことの出来ない“力”──ただの“ヒト”には、その暴風雨が過ぎ去るのを、じっと堪える他ないのです。

 

「そんな“モノ”を相手に……無理だ……不可能だ……()()()()()()……」

 

 切嗣くんが弱音を吐露します。

 

 怯え震えるその姿は、まるで泣きじゃくる子供のようでした。少なくともアルトリアさんには、今までのような冷血漢などではなく、理不尽に嘆く子供のように、そういう風に彼のことが写っていました。

 

 そしておそらくそれが、『衛宮切嗣』という男の真の姿だったのでしょう。その事をアルトリアさんは、今、ようやく理解しました。

 

「……確かに、不可能なことに思えます」

 

 アルトリアさんが切嗣くんに寄り添いながら、慈愛に満ち溢れた声で言います。

 

「私たちはとても弱い。それはきっと、貴方が思っている以上に……それはきっと、私が思っている以上に……」

 

 アルトリアさんの透き通る碧色の瞳が、真摯に切嗣くんに注がれていました。

 

「私たちにはもう何も無い。武器も誇りも矜持も愛する人も、何もかもを失った……」

 

 “剣”を失った“剣の英霊”と、“銃”を失った“魔術師殺し”──その身に宿る誇りは打ち砕かれ、その身に宿る正義は打ち破られました。それでもなお、無くしていないものは、失っていないものは確かにあるはずです。

 

「ですが、マスター……いいえ、衛宮切嗣。“貴方”には“私”がいる。そして“私”には“貴方”がいる。そして叶えたいと願う理想と、助けを求める愛する人たちがいる。ならばそれは、立ち上がるには、立ち向かうには充分すぎる理由ではないのでしょうか?」

「……僕は……僕には……」

 

 ずっと虚空を見つめていた切嗣くんの瞳が、アルトリアさんの視線と交差しました。

 

 澄んだ碧色の瞳と金髪、ぼさぼさになった黒い髪と無精髭。幼気な少女の顔と、世界に絶望し泣きそうになっている男の顔。

 

 アルトリアさんは切嗣くんの表情を、切嗣くんはアルトリアさんの表情を、まじまじと見つめました。

 

「ようやく、貴方を見つけた気がします……」

 

 微笑みを浮かべて、アルトリアさんが安らかに言います。

 

「……」

 

 それでも切嗣くんの口は、未だなお、押し黙ったままでした。しかしその眼はしっかりと、アルトリアさんに注がれています。

 

「……思えば、私たちはすれ違いばかりでしたね。最初、貴方が私を避ける理由が、まるで分かりませんでした。理不尽に避けられて、戸惑うばかりでした。それでも何時か解きほぐせると、他でもない()()()、『アーサー王』ならそれが出来ると、自惚れ、驕っていました。今思えば、なんて傲慢な考えなんでしょうね。『アーサー王は、人の心が分からない』と、ずっと昔にトリスタンに言われたはずなのに……」

 

 少し視線を下に逸らして、アルトリアさんは自嘲しながら言いました。

 

「訳も分からず拒絶され、一向に改善が見られないとなると、私も意固地になって、ありもしない誇りや矜持を貴方にぶつけました。いつの時代であろうとも、戦場では卑怯卑劣が蔓延し、誇りや矜持なんてものは糞と泥以下のモノでしか無かったのに……それを痛いほど知っていながら、私はさも高潔さを装って貴方を否定しました。下郎外道と罵って、貴方を理解しようとしなかった。私の手のひらの方が、よっぽど血にまみれているというのに……」

 

 そしてアルトリアさんは、自らの手のひらを見つめます。

 

 この手で血に染めた敵は何人いたことでしょう。この手で見捨てた味方は何人いたことでしょう。それはきっと、それはきっと、目の前の男よりも遥かに多く、遥かに深かったはずです。

 

「国を失い、剣を失い、誇りを失った私は、もうきっと王ではないのです。ならばきっとここにいるのは英雄『アーサー王』などではなく、ただ救国を願う『アルトリア』という少女に過ぎません。だから……だからこそ、私は私の願いを叶えるために、貴方の力が必要なのです。()()()()()、切嗣。私に、貴方の力を貸して下さい」

 

 その願いの言葉は酷く単純で、何処にでもある当たり前のことでしたが、その言葉は、その思いの力は、『正義の味方』にとって命を賭けるに足る『願い』でした。

 

 止まっていた血潮が動きだし、瞳に生気が戻ってきます。

 

 その言葉が僕を強くする。その願いが僕を立ち上がらせる。だから僕にも……“君”が必要だ!

 

「僕は……僕は、君の事が嫌いだった……」

「えぇ、知っています」

「僕は『英雄』が嫌いだった。夢と理想の体現者で、理不尽に真正面から打ち勝てる存在が大嫌いだった!」

「えぇ、分かっています」

「あんた達に憧れて、届かないと知ったから嫉妬した! 成れないと思い知ったから、拒絶して、遠ざけた! でも、本当は……本当は……」

「ただ、()()()()()()──そうですよね? 切嗣」

 

 聖母のように暖かく包み込みながら、アルトリアさんは優しく囁きました。

 

 彼の姿を知っている。彼の苦悩を知っている。かつて彼女も“そうであろう”と願い、“そうであろう”と憧れた一人だったのですから……。

 

「そうだ! だから僕は君を見て見ぬふりをした! 理想の権化である君を直視してしまったら、また理想を追い求めてしまいそうで……それが怖くて、それが恐ろしくて、まるで子供みたいに意固地になって、君を無視するしかなかった! そうすることでしか、僕は僕の正義を守れなかったから!」

「それは私も同じです。私は貴方に理解して貰おうとするばかりで、貴方のことを理解しようとしてこなかった。私の正義と理想を押し付けるばかりで、貴方を見ようと、受け入れようとしてこなかった……そんな王だったからこそ、ブリテンの崩壊を招いたのかもしれません……」

「それは……」

 

 切嗣くんは続く言葉を紡ぐことが出来ませんでした。それは切嗣くんには分からない、当時を生きたアルトリアさんにしか、分からないことだったからです。

 

「切嗣、私と貴方はとても良く似ているのかもしれませんね。お互い譲れぬ理想があり、お互い譲れぬ誓いがある……私たちは始まりは間違ってしまいましたが、その間違いは、きっとまだ()()()ことのはずです」

 

 そう、だからこそ、アルトリアさんは“ここ”にいて、切嗣くんも“ここ”にいるのです。

 

「……君は僕に……僕に、力を貸してくれるのかい?」

「えぇ、勿論です。私は貴方のための“剣”となりましょう……といっても今は、我が剣は手元にありませんけどね……」

 

 フフフとアルトリアさんが小さく笑うと、切嗣くんも釣られて笑みを浮かべました。

 

「じゃあ僕は、君のための“銃”となろう。ただあいにく在庫は全部、売り切れ(ソールドアウト)済みだけどね」

「それはなんともまあ、締まりの悪い話ですね」

 

 皮肉を皮肉で返され、アルトリアさんはそう答えました。

 

 そしてお互い静かに微笑み合うと、アルトリアさんはゆっくりと切嗣くんに手を差し出します。

 

「でも、今の僕たちには、丁度良いだろう?」

 

 差し出されたアルトリアさんの手を取り、切嗣くんがニヤリと言い放ちました。

 

「それは、違いないですね」

 

 小気味よく、アルトリアさんも返します。

 

 そしてアルトリアさんに手を引かれ立ち上がった切嗣くんが、アルトリアさんと向き合いました。

 

 ずっとこの顔を見てこなかった。ずっとこの姿を認めようとしてこなかった──でも、彼女が言う通りなら、まだやり直すことが出来るはずです。

 

 ずっとすれ違っていた道を正すため、ずっと間違っていた選択を正すため、切嗣くんたちは今こそあの誓いの言葉を紡ぎました。

 

「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に……僕と一緒に来てくれるかい? セイバー」

「あぁ、誓おう。我がマスター衛宮切嗣よ。これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある!」

 

 完膚なきまでに叩き潰されて、何もかも失った剣の主従は、それでも力強く、今再びの誓いの契約を結ぶのでした。より強固に、より堅くなった“絆”を携えて……。

 

 

 

×       ×

 

 

 

 暗い暗い洞窟の中──“ソレ”は光輝き、激しく振動しました。けたたましく鳴り響く着信音は洞窟内で激しく反響し、自らの存在を自己主張します。

 

 そしてそのまま暫くしていると、発光も振動も着信音も消え、代わりに女性の声が聞こえてきました。

 

『もしもし、私です、舞弥です。今、無人と思われたランサーのアジトに潜入し、潜んでいたケイネス・アーチボルトの婚約者であるソラウ・ヌァザレを確保しました。現在、ポイント15.48に向かって──』

 

 その言葉を聞いて、紫色の少女は携帯電話の着信ボタンを押し、スピーカーを耳に添わせ、そして訊きました。

 

「ポイント15.48って、どこ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 だんだん桜ちゃんが魔王みたいに……
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