藍と碧   作:藍澤 碧

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1.うたた寝の後に

「うニャ?・・・外が騒がしいニャ・・・。・・・!!ご主人!ご主人!!」

ムァが、私を叩き起こす。

「ニャー!!藍メソ!!起きるのニャ!みんなが来たニャ!」

ムァがそう言い終るや否や。

 

トントントン!

 

「メソさ――ん!来たよー!開けて~~!」

とスズナ。

「藍メソ!早くして!!マコノフが重い!」

という、シュナさんの叫びと、同時にマコノフさんが呻く。

「うぷ」

 

回らない頭で、とにかくムァに開けに行ってもらう。

 

「うーん」

伸びをして、目をこすっているうちに、スズナとマコノフさんとシュナさんの3人と、それぞれのオトモのオモチとネコノフとメロの3匹が入って来た。

一気に賑やかになる。

 

「お邪魔~!」

言うなり、シュナさんは担いでいたマコノフさんを、当たり前のように私のベッドに放り出した。

「うげ」

呻くマコノフさんに、驚く私。

「うわ!」

まだ、ベッドの端にいた私は、飛んできたマコノフさんにびっくりして、一気に目が覚めた。

 

「何よ?寝てたの?案外のん気じゃない。来なくても大丈夫だったんじゃないの?」

「もー!クビになったムァを慰めてたら、寝ちゃっただけよぉう」

慌てて言い訳する私を見て、シュナさんは楽しそうに笑っている。

 

・・・シュナさ―――ん・・・。

ああ!!謝らなきゃ!

 

「そうだ!! オモチ!ネコノフ!ごめんね!!!私の所為で・・・」

「ニャー」

「何のことニャ?」

「って、ネコノフ、マコノフさんに内緒だったの?」

「い・・・や、俺、知ってる、よ?」

後ろでマコノフさんが、極度の乗り物酔いで気持ち悪いのを我慢して、苦しそうに声を絞り出す。

 

「いいのよぉ!オモチたちったら、ニャンターをサボってまで、マタタビ稼ぎに夢中だったんだから」

スズナが腰に手を当てて、憤慨している。

「ええ~~!そうだったの―――!」

「そうよ!ちゃんとバチが当たったのよ」

何故かシュナさんまで不満そうにしていた。

 

「ああ。メロくんも別口で、ついったーアイルーのアルバイトしてたみたいよ」

 

ぽかんとしている私に、椅子に座りながらスズナが教えてくれる。

 

ムァは、お茶の準備をしてくれていた。

 

 

「で?何がどうして、そういう事態になった訳?」

と、こちらも椅子に座りながら、シュナさんがサクッと聞いてくる。

うう・・・、痛い。

 

「まぁ、私がドジったんだけど・・・」

と、昼間の出来事を説明する。

 

「メソさん、それは・・・」

後ろからマコノフさんの。

「もう・・・」

左からスズナの。

「自業自得としか言いようがないわね」

右からシュナさんの、ツッコミが入った。

 

「あはは・・・。だよねぇー・・・」

解ってはいるけれど、言われると痛いわ・・・。

 

お茶を出してくれた後、反省しているからなのか、オトモたちは仲良くウチのキッチンで、それぞれが持って来てくれた食材で料理を始めている。

 

 

「とは言え・・・、シナト村から・・・わざわざ、心配だって、飛んでくるなんて・・・。いくら友達だって、相当だと思うよ?」

後ろで、上半身を起こしながら、マコノフさんが言った。

 

ドキ!!

 

「普通、そこまでしないよね?」

スズナも言う。

 

ええ!?

 

「やっぱり、そういう気持ち持たれてるんじゃないのぉ――?」

シュナさんが楽しそうに言い出す。

 

キャ――――――――!!

 

「!!・・・そんな、急に言われても・・・」

多分、私、顔が真っ赤だ。

思わず、火照る頬を両手で押さえる。

「ほらぁー!まんざらでもないんじゃないの?」

シュナさんが、ますます楽しそうに畳みかける。

 

いやいやいやいや!!

 

 

そこへ、ムァが口をはさんだ。

「ご主人がニブイだけで、急じゃないんだニャ」

全員、サッとムァの方へ振り返る。

「ええ―――!!」

驚く私に、

「あら!」

とスズナ。

「おお?」

マコノフさんまで、その反応!?

そして、当然のようにシュナさんは

「ほらぁー!」

と、反応する。

 

ちょっと!ムァ!何を言い出すのよぉ~~~!?

 

少し思い返してみる・・・。

 

・・・・・・うーん・・・。

 

「・・・確かに、時々びっくりするような事は、言われてたけど・・・。私に特別・・・、その・・・、とは思ってはいなくて・・・」

そう言う私に、スズナが聞く。

「びっくりするような事って、どんな事?」

「えっ・・・、その・・・“いつでも味方だよ”とか・・・。“いつでも何でも話を聞くよ”とか。ドキッとはするけど、友達なら、言わないこともないかなって・・・」

 

思っていたのは、おかしいの!?

 

 

「それ。結構、男が女性に言うの、勇気が要ると思うよ?」

マコノフさんが言った。

「・・・そうなの?」

ますます顔が火照って、クラクラする。

 

うそぉ―――――ん・・・。

 

「ちょ!メソさん、凄く顔が赤いけど、大丈夫!?」

スズナが心配してくれる。

「うーん。あんまり大丈夫じゃないかも・・・。クラクラしてきた・・・」

ネコノフが窓を開けて回ってくれる。

「外の空気を少し入れるニャ」

「ありがとう。ふ―――っ!」

ベッドの足元の端に腰掛けたままだった私は、そのまま後ろに倒れるように転がった。

放り出されたまま、私のベッドに座っていたマコノフさんの足元に、寝転がるような恰好となっていた。

 

が、そんなことは気にも留めずに、混乱していた。

 

あぁあぁ・・・。

どうしよう・・・・・・。

 

 

「メソさん、無防備すぎ」

マコノフさんが、呆れたように言った。

 

「え?何で?」

唐突な言葉に驚く。

 

「おいおい・・・。いくらシュナたちが居るからって、俺がその気になれば、今のメソさんには、何でもできちゃうんだぞ?」

「へ?」

考えもしなかったことを言われて、間抜けな声が出た。

 

「そういえば、そうね」

シュナさんも言う。

「しないけど」

マコノフさんは、念の為というように付け足す。

 

「メソさんみたいなタイプに、そういう反応されたら、そういう感情を抱いても不思議じゃないと思うよ?」

マコノフさんは更に続けた。

 

ええ――――――!!

うそ!?

恥ずかしい~~~!!!

 

 

「マコノフさんは違うんでしょ?」

私は、無邪気に、でもワザと聞いた。

「俺にはシュナが居るからな」

精一杯、平静を装っているけれど、照れているのが判る。

「バカ言わないでよ」

シュナさんも、まんざらでもないようで、でもサクッと切り返す。

 

この2人は、どうなんだろう?

・・・でも、私が首を突っ込むのは、お節介よね。

 

 

 

「お待たせニャ!できたニャー!!」

オモチが空気を切り替えるように、明るく晩ご飯を運んできてくれた。

続けて、メロとネコノフも、お皿を持って来てくれる。

 

4脚(といっても、前回来てくれた時に買い足したのだが)しかない椅子に座り、狭いテーブルで、オトモたちはラグの上で、ご飯をみんなで食べながら、話は盛り上がる。

結果、普通に応対して、からすさんの出方を見ようということになった。

 

って言ったって、どうすればいいのよぉう!?

 

 

 

「ニコニコしながら、シナトマトを受け取ればいいよ」

と、マコノフさん。

「そのうち、家の中にいる私たちに気付くでしょ」

シュナさんも言う。

「どうしようもなかったら、あたしかオモチが声をかけるよ」

と、スズナが言った。

 

ほんと、お願いよぅ!!!

 

 

そんな風に、食後のお茶を飲みながら話していたのだけれど。

突然みんなして私の両手を握り、わざわざオトモたちまで手をのせて、

「私たちも、いつでも味方だから!」

と言い出した。

 

ぼんっ!!

と音がしそうなほど、急に頬が熱くなる。

涙まで出てくる。

 

ちょっと待って! 何を言い出すのよ――――――!!!

 

 

みんな、真っ赤になった私を見て、一斉に笑い出した。

「いや、ホントだよ!」

マコノフさんが笑いながら付け加える。

 

「解ってるけど!!」

思わず大声で言い返す。

 

そうして、夜は更けていった。

 

 

 

 

 

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