「うニャ?・・・外が騒がしいニャ・・・。・・・!!ご主人!ご主人!!」
ムァが、私を叩き起こす。
「ニャー!!藍メソ!!起きるのニャ!みんなが来たニャ!」
ムァがそう言い終るや否や。
トントントン!
「メソさ――ん!来たよー!開けて~~!」
とスズナ。
「藍メソ!早くして!!マコノフが重い!」
という、シュナさんの叫びと、同時にマコノフさんが呻く。
「うぷ」
回らない頭で、とにかくムァに開けに行ってもらう。
「うーん」
伸びをして、目をこすっているうちに、スズナとマコノフさんとシュナさんの3人と、それぞれのオトモのオモチとネコノフとメロの3匹が入って来た。
一気に賑やかになる。
「お邪魔~!」
言うなり、シュナさんは担いでいたマコノフさんを、当たり前のように私のベッドに放り出した。
「うげ」
呻くマコノフさんに、驚く私。
「うわ!」
まだ、ベッドの端にいた私は、飛んできたマコノフさんにびっくりして、一気に目が覚めた。
「何よ?寝てたの?案外のん気じゃない。来なくても大丈夫だったんじゃないの?」
「もー!クビになったムァを慰めてたら、寝ちゃっただけよぉう」
慌てて言い訳する私を見て、シュナさんは楽しそうに笑っている。
・・・シュナさ―――ん・・・。
ああ!!謝らなきゃ!
「そうだ!! オモチ!ネコノフ!ごめんね!!!私の所為で・・・」
「ニャー」
「何のことニャ?」
「って、ネコノフ、マコノフさんに内緒だったの?」
「い・・・や、俺、知ってる、よ?」
後ろでマコノフさんが、極度の乗り物酔いで気持ち悪いのを我慢して、苦しそうに声を絞り出す。
「いいのよぉ!オモチたちったら、ニャンターをサボってまで、マタタビ稼ぎに夢中だったんだから」
スズナが腰に手を当てて、憤慨している。
「ええ~~!そうだったの―――!」
「そうよ!ちゃんとバチが当たったのよ」
何故かシュナさんまで不満そうにしていた。
「ああ。メロくんも別口で、ついったーアイルーのアルバイトしてたみたいよ」
ぽかんとしている私に、椅子に座りながらスズナが教えてくれる。
ムァは、お茶の準備をしてくれていた。
「で?何がどうして、そういう事態になった訳?」
と、こちらも椅子に座りながら、シュナさんがサクッと聞いてくる。
うう・・・、痛い。
「まぁ、私がドジったんだけど・・・」
と、昼間の出来事を説明する。
「メソさん、それは・・・」
後ろからマコノフさんの。
「もう・・・」
左からスズナの。
「自業自得としか言いようがないわね」
右からシュナさんの、ツッコミが入った。
「あはは・・・。だよねぇー・・・」
解ってはいるけれど、言われると痛いわ・・・。
お茶を出してくれた後、反省しているからなのか、オトモたちは仲良くウチのキッチンで、それぞれが持って来てくれた食材で料理を始めている。
「とは言え・・・、シナト村から・・・わざわざ、心配だって、飛んでくるなんて・・・。いくら友達だって、相当だと思うよ?」
後ろで、上半身を起こしながら、マコノフさんが言った。
ドキ!!
「普通、そこまでしないよね?」
スズナも言う。
ええ!?
「やっぱり、そういう気持ち持たれてるんじゃないのぉ――?」
シュナさんが楽しそうに言い出す。
キャ――――――――!!
「!!・・・そんな、急に言われても・・・」
多分、私、顔が真っ赤だ。
思わず、火照る頬を両手で押さえる。
「ほらぁー!まんざらでもないんじゃないの?」
シュナさんが、ますます楽しそうに畳みかける。
いやいやいやいや!!
そこへ、ムァが口をはさんだ。
「ご主人がニブイだけで、急じゃないんだニャ」
全員、サッとムァの方へ振り返る。
「ええ―――!!」
驚く私に、
「あら!」
とスズナ。
「おお?」
マコノフさんまで、その反応!?
そして、当然のようにシュナさんは
「ほらぁー!」
と、反応する。
ちょっと!ムァ!何を言い出すのよぉ~~~!?
少し思い返してみる・・・。
・・・・・・うーん・・・。
「・・・確かに、時々びっくりするような事は、言われてたけど・・・。私に特別・・・、その・・・、とは思ってはいなくて・・・」
そう言う私に、スズナが聞く。
「びっくりするような事って、どんな事?」
「えっ・・・、その・・・“いつでも味方だよ”とか・・・。“いつでも何でも話を聞くよ”とか。ドキッとはするけど、友達なら、言わないこともないかなって・・・」
思っていたのは、おかしいの!?
「それ。結構、男が女性に言うの、勇気が要ると思うよ?」
マコノフさんが言った。
「・・・そうなの?」
ますます顔が火照って、クラクラする。
うそぉ―――――ん・・・。
「ちょ!メソさん、凄く顔が赤いけど、大丈夫!?」
スズナが心配してくれる。
「うーん。あんまり大丈夫じゃないかも・・・。クラクラしてきた・・・」
ネコノフが窓を開けて回ってくれる。
「外の空気を少し入れるニャ」
「ありがとう。ふ―――っ!」
ベッドの足元の端に腰掛けたままだった私は、そのまま後ろに倒れるように転がった。
放り出されたまま、私のベッドに座っていたマコノフさんの足元に、寝転がるような恰好となっていた。
が、そんなことは気にも留めずに、混乱していた。
あぁあぁ・・・。
どうしよう・・・・・・。
「メソさん、無防備すぎ」
マコノフさんが、呆れたように言った。
「え?何で?」
唐突な言葉に驚く。
「おいおい・・・。いくらシュナたちが居るからって、俺がその気になれば、今のメソさんには、何でもできちゃうんだぞ?」
「へ?」
考えもしなかったことを言われて、間抜けな声が出た。
「そういえば、そうね」
シュナさんも言う。
「しないけど」
マコノフさんは、念の為というように付け足す。
「メソさんみたいなタイプに、そういう反応されたら、そういう感情を抱いても不思議じゃないと思うよ?」
マコノフさんは更に続けた。
ええ――――――!!
うそ!?
恥ずかしい~~~!!!
「マコノフさんは違うんでしょ?」
私は、無邪気に、でもワザと聞いた。
「俺にはシュナが居るからな」
精一杯、平静を装っているけれど、照れているのが判る。
「バカ言わないでよ」
シュナさんも、まんざらでもないようで、でもサクッと切り返す。
この2人は、どうなんだろう?
・・・でも、私が首を突っ込むのは、お節介よね。
「お待たせニャ!できたニャー!!」
オモチが空気を切り替えるように、明るく晩ご飯を運んできてくれた。
続けて、メロとネコノフも、お皿を持って来てくれる。
4脚(といっても、前回来てくれた時に買い足したのだが)しかない椅子に座り、狭いテーブルで、オトモたちはラグの上で、ご飯をみんなで食べながら、話は盛り上がる。
結果、普通に応対して、からすさんの出方を見ようということになった。
って言ったって、どうすればいいのよぉう!?
「ニコニコしながら、シナトマトを受け取ればいいよ」
と、マコノフさん。
「そのうち、家の中にいる私たちに気付くでしょ」
シュナさんも言う。
「どうしようもなかったら、あたしかオモチが声をかけるよ」
と、スズナが言った。
ほんと、お願いよぅ!!!
そんな風に、食後のお茶を飲みながら話していたのだけれど。
突然みんなして私の両手を握り、わざわざオトモたちまで手をのせて、
「私たちも、いつでも味方だから!」
と言い出した。
ぼんっ!!
と音がしそうなほど、急に頬が熱くなる。
涙まで出てくる。
ちょっと待って! 何を言い出すのよ――――――!!!
みんな、真っ赤になった私を見て、一斉に笑い出した。
「いや、ホントだよ!」
マコノフさんが笑いながら付け加える。
「解ってるけど!!」
思わず大声で言い返す。
そうして、夜は更けていった。