藍と碧   作:藍澤 碧

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4.甘い時間

「そうだ。せっかくだから、そのかわいい恰好を良く見せてくれないかい?」

 

からすさんの腕の中で、赤くなって答える。

「何か恥ずかしい・・・。それに、コーディネートしてくれたのシュナさんとスズナだよ?」

「ほら。いいから見せて」

引きはがした私の手を引いて、立たせる。

やむなく、そのままテーブルから離れて、立ってみせる。

 

照れくさいことこの上ない・・・。

 

 

顎の辺りまでの、ワンレングスボブスタイルのストレートヘア。

淡いブルーのハイネックニットのアンサンブルは、勿論ムーファの毛糸製。

ひざ丈のペンシルスカートは、濃いめのブルー。

足元は、紺のスエードのアンクルストラップチャンキーヒール。

碧玉を加工して作ってもらったペンダントが胸元で輝き、揃いの小さめのピアスが耳元で揺れる。

 

一応、ゆっくりとその場で回って見せた。

 

「うん。素敵だよ。好きなだけあって、青が良く似合ってる」

 

うきゃ―――――。

 

「その石は、碧玉かい?いい色だね。とても似合っていて、綺麗に映えているよ」

 

ジンオウガ、ありがとう!

がんばった甲斐があった~。

こんな形で報われるとは!

 

つい、照れくさくて、ヘラリと笑ってしまう。

 

 

「ああ、もう!」

そう、言うが早いか近づいてきたからすさんは、

「かわいくて仕方がないよ」

と言うなり、私を抱き上げた。

「わ!」

いわゆるお姫様抱っこをされ、更に恥ずかしくなる。

 

!!!

 

ベッドサイドに連れて行かれた。

からすさんは、私をお姫様抱っこしたまま半回転して、ベッドに座る。

「椅子じゃ狭くて落ち着かないからね」

そのまま、その膝に座らされて、腕の中に閉じ込められる。

 

!!!!!

 

「おっ!重いから・・・!」

「重くない」

 

いや、恥ずかしいって!!!

 

あまりに恥ずかしくて、からすさんの首元に額を、軽く押し付けた。

きゅっとされる。

 

 

「はぁ―――。・・・ずっと、こうしていたい・・・」

からすさんが呟いた。

 

ドキッとして、また胸がきゅうっとなる。

何とか

「ん」

とだけ絞り出して、体を預けるように肩に頭をもたせかけた。

 

恥ずかしかったけれど。

胸の奥のうずうずも、からすさんのぬくもりも心地いい。

 

 

「! いいのかい?」

「ん・・・。でも、ご飯は食べるよ?」

「ぷっ!くくく・・・ははははは」

からすさんが笑うと、同時に体が揺れる。

 

「えっ。そんなにおかしなこと言った?」

 

「ああ。そうだね。こんな状況の時に、ご飯の話はしないだろう。普通は」

「そ、そう・・・なの・・・?やだ・・・。恥ずかしい・・・」

「でも、そこが藍メソらしくていいんだ」

 

もう、また恥ずかしくなることを、平気で言う~。

 

 

からすさんの頬が髪を撫でる。

きゅうきゅうする胸の苦しさと恥ずかしさを誤魔化すように、口を尖らせた。

「むぅ。だって、お腹は空くでしょう!いくら胸がいっぱいだって・・・」

 

は!

また、恥ずかしいこと言っちゃった!

 

 

「!! まったく・・・。何でそう、無邪気にかわいい事を言うのかな、君は・・・」

そう言うと、頭をぐりぐりと頬で撫でられた。

 

胸の奥がくすぐったい。

 

「んん―――」

からすさんの腕の中で身じろぐ。

 

「! もう!やることなすこと、かわいいの禁止だ」

「えぇ―。そんなことを言われてもぉ~・・・」

 

んな、無茶苦茶な・・・!

 

 

改めてぎゅうっとされる。

 

「ふっふっふっ。・・・・・・ああ、そうか。じゃあ、今日はとうとう藍メソの手料理が食べられるんだね」

 

ひえ―――!!

料理も苦手だよぉぅ。

でも、男の人って手料理喜ぶよね・・・。

 

「・・・いいけど。・・・多分、ムァが作った方が美味しいよ?」

「ははは。謙遜しなくていい。それに、そんなことは少しも重要じゃない。君の手料理が食べられるのが嬉しいと、言ってるんだよ。わからないのかい?」

「む!解ってるけど!! っていうか!からすさんこそ、そういう、恥ずかしくなるようなこと言うの、禁止――」

 

ああ!もう!!何なの!?この人!!?

何なの!?わざとやってるの!?!?

 

 

「ははは。困ったなぁ。恥ずかしがっている藍メソを、もっと見ていたいのに」

「もう!だから、そういうの―――!!」

 

いぃやぁ~~~!!

わざとやってるのぉ――――――!!

 

穴があったら入りたいところだけれど、ないので、顔を隠すようにからすさんの首元に額を押し付ける。

 

悔しいから力加減なんかしてあげない!!

 

 

「おいおい。そんなにぐりぐり押し付けなくてもいいだろう?」

 

からすさんの鼓動がはっきりわかる位に、首元が脈打っている。

 

ああ、からすさんも、ちゃんとドキドキしているんだ・・・。

嬉しくて、とてもくすぐったい気持ち・・・。

 

 

私は黙ったまま首を振る。

そして、代りに、やり場に困っていた両手をからすさんの腰元から背中に回す。

 

 

「!!!」

 

あ、驚いてる?

嬉しくなって、そのままそっと服を掴んだ。

 

 

「!!! ~~~~~~! もう!どうして君はそうなんだ!!?」

 

???

 

 

言うが早いか、引きはがされたかと思うと、強く口づけられていた。

 

 

!!!

ジタバタしたい衝動に駆られて、つい、からすさんの服を掴む。

 

 

「!!!」

首の後ろと背中を支えてくれていた両腕に、ぎゅっと力がこもった。

 

 

んんん・・・!

・・・ああ、こういう気持ちを愛おしいと言うんだ・・・。

 

その、愛おしさに押されて、掴んでいた服を離し、からすさんの首元に触れ、そのまま首に手を回した。

 

 

「!!!」

背中を強く支えてくれていた腕で、更に引き寄せられて背中が反った。

 

 

ますますこみ上げる愛おしさが、涙となって閉じた目から零れ落ち、耳元を伝う。

 

 

 

やっと離された唇が何だか寂しくて、無意識に私から口づけていた。

 

 

 

少し強引に引きはがされる。

からすさんの首からほどけた両手が、滑り落ちた。

 

「何で、さっきからそんなに泣いているんだい?」

 

言葉にならずに左右に首を振る。

そのままからすさんの背中に両手を回し、自分から抱きついていた。

 

「!! もう、そんなにかわいい事ばかりしないでくれよ」

そう言って、優しく抱きしめてくれる。

 

耳元でバリトンボイスがささやいた。

「いい子だからそんなに泣かないで」

 

 

ぶわ!

背中がぞくぞくして、全身がぞわぞわする。

胸の奥がきゅうっとして、そして力が抜けた。

 

 

「! 大丈夫かい!?」

「っ―――――」

大丈夫と言おうとしたのに声が出なかった。

代りに、体をからすさんに預けるようにしたまま、黙って首元にすり寄った。

 

 

ちゃんと言いたい。

声にしたい。

 

「けほこほ・・・ぁ・・・」

「! おい・・・」

 

引きはがされて、首の後ろを持ち上げられて目を合わせられる。

 

ドキン。

胸の奥からあふれ出る、この気持ちをどう言葉にすればいいんだろう・・・。

 

「ん・・・。けほ。だ・・・、だいじょぶ・・・」

 

あ、声出た。

 

「それに・・・。泣いてない・・・よ・・・」

「!? じゃあ、これは何なんだい?」

言うなり、ちゅっと目元に口づけられた。

 

!!!

びっくりしたけど嬉しくなる。

笑いたいけど、鼻の奥がぐうっと熱い。

 

「出ちゃうだけ・・・。何か・・・、胸の奥から、こみ上げて・・・」

「!!・・・な・・・」

「止まらないの・・・」

「!?」

「きっと、これ・・・」

 

鼓動が更に走る。

でも、恥ずかしくても、言わなくちゃ。

 

「きっと、これ・・・」

「うん」

「す・・・、好きって気持ちの・・・先にあるもの・・・」

「!!!」

 

2人ともずっと火照った顔をしていたけれど、からすさんの顔がそれこそ、ぼん!と言わんばかりに耳までカッと赤くなった。

 

・・・?

ん?また、変なこと言ったかな・・・?

 

 

からすさんは、私の肩に額をのせて顔を伏せた。

そっと頭を傾けて、私はその頭にすり寄る。

すると、押し返されるように、首元にすり寄られた。

 

!!?

くすぐったくて、嬉しくて、体温が心地いい。

何だろう?

どうしたのかな?

 

からすさんの髪にすりすりと頬を寄せる。

 

 

「!!! ・・・も・・・、もぅ!本当に君って人は!!!」

バリトンボイスが、かすれている。

 

 

あ・・・。

さっきの私と同じかな?

 

 

強く口づけられた後、苦しいくらいに抱きしめられた。

そっと、ぎゅうっとその体を抱きしめ返す。

 

 

きゅうきゅうとしめつける胸の奥と、ぎゅうぎゅうとしめつけるからすさんの腕の力強さに、気の遠くなるような、しあわせを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 








続く・・・かもしれない・・・(笑)






バリトンボイスはCV:安元洋貴さんのイメージです。
からすさんのモデルの、ハンターさんのボイスが安元洋貴さんなので。



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