「そうだ。せっかくだから、そのかわいい恰好を良く見せてくれないかい?」
からすさんの腕の中で、赤くなって答える。
「何か恥ずかしい・・・。それに、コーディネートしてくれたのシュナさんとスズナだよ?」
「ほら。いいから見せて」
引きはがした私の手を引いて、立たせる。
やむなく、そのままテーブルから離れて、立ってみせる。
照れくさいことこの上ない・・・。
顎の辺りまでの、ワンレングスボブスタイルのストレートヘア。
淡いブルーのハイネックニットのアンサンブルは、勿論ムーファの毛糸製。
ひざ丈のペンシルスカートは、濃いめのブルー。
足元は、紺のスエードのアンクルストラップチャンキーヒール。
碧玉を加工して作ってもらったペンダントが胸元で輝き、揃いの小さめのピアスが耳元で揺れる。
一応、ゆっくりとその場で回って見せた。
「うん。素敵だよ。好きなだけあって、青が良く似合ってる」
うきゃ―――――。
「その石は、碧玉かい?いい色だね。とても似合っていて、綺麗に映えているよ」
ジンオウガ、ありがとう!
がんばった甲斐があった~。
こんな形で報われるとは!
つい、照れくさくて、ヘラリと笑ってしまう。
「ああ、もう!」
そう、言うが早いか近づいてきたからすさんは、
「かわいくて仕方がないよ」
と言うなり、私を抱き上げた。
「わ!」
いわゆるお姫様抱っこをされ、更に恥ずかしくなる。
!!!
ベッドサイドに連れて行かれた。
からすさんは、私をお姫様抱っこしたまま半回転して、ベッドに座る。
「椅子じゃ狭くて落ち着かないからね」
そのまま、その膝に座らされて、腕の中に閉じ込められる。
!!!!!
「おっ!重いから・・・!」
「重くない」
いや、恥ずかしいって!!!
あまりに恥ずかしくて、からすさんの首元に額を、軽く押し付けた。
きゅっとされる。
「はぁ―――。・・・ずっと、こうしていたい・・・」
からすさんが呟いた。
ドキッとして、また胸がきゅうっとなる。
何とか
「ん」
とだけ絞り出して、体を預けるように肩に頭をもたせかけた。
恥ずかしかったけれど。
胸の奥のうずうずも、からすさんのぬくもりも心地いい。
「! いいのかい?」
「ん・・・。でも、ご飯は食べるよ?」
「ぷっ!くくく・・・ははははは」
からすさんが笑うと、同時に体が揺れる。
「えっ。そんなにおかしなこと言った?」
「ああ。そうだね。こんな状況の時に、ご飯の話はしないだろう。普通は」
「そ、そう・・・なの・・・?やだ・・・。恥ずかしい・・・」
「でも、そこが藍メソらしくていいんだ」
もう、また恥ずかしくなることを、平気で言う~。
からすさんの頬が髪を撫でる。
きゅうきゅうする胸の苦しさと恥ずかしさを誤魔化すように、口を尖らせた。
「むぅ。だって、お腹は空くでしょう!いくら胸がいっぱいだって・・・」
は!
また、恥ずかしいこと言っちゃった!
「!! まったく・・・。何でそう、無邪気にかわいい事を言うのかな、君は・・・」
そう言うと、頭をぐりぐりと頬で撫でられた。
胸の奥がくすぐったい。
「んん―――」
からすさんの腕の中で身じろぐ。
「! もう!やることなすこと、かわいいの禁止だ」
「えぇ―。そんなことを言われてもぉ~・・・」
んな、無茶苦茶な・・・!
改めてぎゅうっとされる。
「ふっふっふっ。・・・・・・ああ、そうか。じゃあ、今日はとうとう藍メソの手料理が食べられるんだね」
ひえ―――!!
料理も苦手だよぉぅ。
でも、男の人って手料理喜ぶよね・・・。
「・・・いいけど。・・・多分、ムァが作った方が美味しいよ?」
「ははは。謙遜しなくていい。それに、そんなことは少しも重要じゃない。君の手料理が食べられるのが嬉しいと、言ってるんだよ。わからないのかい?」
「む!解ってるけど!! っていうか!からすさんこそ、そういう、恥ずかしくなるようなこと言うの、禁止――」
ああ!もう!!何なの!?この人!!?
何なの!?わざとやってるの!?!?
「ははは。困ったなぁ。恥ずかしがっている藍メソを、もっと見ていたいのに」
「もう!だから、そういうの―――!!」
いぃやぁ~~~!!
わざとやってるのぉ――――――!!
穴があったら入りたいところだけれど、ないので、顔を隠すようにからすさんの首元に額を押し付ける。
悔しいから力加減なんかしてあげない!!
「おいおい。そんなにぐりぐり押し付けなくてもいいだろう?」
からすさんの鼓動がはっきりわかる位に、首元が脈打っている。
ああ、からすさんも、ちゃんとドキドキしているんだ・・・。
嬉しくて、とてもくすぐったい気持ち・・・。
私は黙ったまま首を振る。
そして、代りに、やり場に困っていた両手をからすさんの腰元から背中に回す。
「!!!」
あ、驚いてる?
嬉しくなって、そのままそっと服を掴んだ。
「!!! ~~~~~~! もう!どうして君はそうなんだ!!?」
???
言うが早いか、引きはがされたかと思うと、強く口づけられていた。
!!!
ジタバタしたい衝動に駆られて、つい、からすさんの服を掴む。
「!!!」
首の後ろと背中を支えてくれていた両腕に、ぎゅっと力がこもった。
んんん・・・!
・・・ああ、こういう気持ちを愛おしいと言うんだ・・・。
その、愛おしさに押されて、掴んでいた服を離し、からすさんの首元に触れ、そのまま首に手を回した。
「!!!」
背中を強く支えてくれていた腕で、更に引き寄せられて背中が反った。
ますますこみ上げる愛おしさが、涙となって閉じた目から零れ落ち、耳元を伝う。
やっと離された唇が何だか寂しくて、無意識に私から口づけていた。
少し強引に引きはがされる。
からすさんの首からほどけた両手が、滑り落ちた。
「何で、さっきからそんなに泣いているんだい?」
言葉にならずに左右に首を振る。
そのままからすさんの背中に両手を回し、自分から抱きついていた。
「!! もう、そんなにかわいい事ばかりしないでくれよ」
そう言って、優しく抱きしめてくれる。
耳元でバリトンボイスがささやいた。
「いい子だからそんなに泣かないで」
ぶわ!
背中がぞくぞくして、全身がぞわぞわする。
胸の奥がきゅうっとして、そして力が抜けた。
「! 大丈夫かい!?」
「っ―――――」
大丈夫と言おうとしたのに声が出なかった。
代りに、体をからすさんに預けるようにしたまま、黙って首元にすり寄った。
ちゃんと言いたい。
声にしたい。
「けほこほ・・・ぁ・・・」
「! おい・・・」
引きはがされて、首の後ろを持ち上げられて目を合わせられる。
ドキン。
胸の奥からあふれ出る、この気持ちをどう言葉にすればいいんだろう・・・。
「ん・・・。けほ。だ・・・、だいじょぶ・・・」
あ、声出た。
「それに・・・。泣いてない・・・よ・・・」
「!? じゃあ、これは何なんだい?」
言うなり、ちゅっと目元に口づけられた。
!!!
びっくりしたけど嬉しくなる。
笑いたいけど、鼻の奥がぐうっと熱い。
「出ちゃうだけ・・・。何か・・・、胸の奥から、こみ上げて・・・」
「!!・・・な・・・」
「止まらないの・・・」
「!?」
「きっと、これ・・・」
鼓動が更に走る。
でも、恥ずかしくても、言わなくちゃ。
「きっと、これ・・・」
「うん」
「す・・・、好きって気持ちの・・・先にあるもの・・・」
「!!!」
2人ともずっと火照った顔をしていたけれど、からすさんの顔がそれこそ、ぼん!と言わんばかりに耳までカッと赤くなった。
・・・?
ん?また、変なこと言ったかな・・・?
からすさんは、私の肩に額をのせて顔を伏せた。
そっと頭を傾けて、私はその頭にすり寄る。
すると、押し返されるように、首元にすり寄られた。
!!?
くすぐったくて、嬉しくて、体温が心地いい。
何だろう?
どうしたのかな?
からすさんの髪にすりすりと頬を寄せる。
「!!! ・・・も・・・、もぅ!本当に君って人は!!!」
バリトンボイスが、かすれている。
あ・・・。
さっきの私と同じかな?
強く口づけられた後、苦しいくらいに抱きしめられた。
そっと、ぎゅうっとその体を抱きしめ返す。
きゅうきゅうとしめつける胸の奥と、ぎゅうぎゅうとしめつけるからすさんの腕の力強さに、気の遠くなるような、しあわせを感じていた。
続く・・・かもしれない・・・(笑)
バリトンボイスはCV:安元洋貴さんのイメージです。
からすさんのモデルの、ハンターさんのボイスが安元洋貴さんなので。