藍と碧   作:藍澤 碧

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書きためていた手書きの下書きを清書しました(笑)


5.嬉し恥ずかし、恋せよ乙女!?

 

 

「うーん・・・。そろそろ、限界・・・か・・・な・・・?」

 

からすさんにもらった、青い花たちを水切りしながら、呟いた。

 

 

「もう、それだけ日が経っちゃったんだ・・・」

 

寂しくなって、うきゅっと胸が痛む。

 

離れがたくて、涙の止まらない私をなだめすかして、でもやっぱりとても名残惜しそうに、からすさんが帰って行ったあの日から、花がくたっとなる位に日々は過ぎていた。

 

首をもたげ始めた花たちを、何とか活けてベッドサイドの枕元に置く。

 

 

 

気分転換も兼ねて、オトモ広場に行くことにした。

 

「そういえば、ここは黄色い花が多いわね・・・」

ふと、気づいて呟いていた。

 

オトモ広場に向かう道を、一人のんびり歩く。

今日は、ムァがスズナのところのマツリに誘われて、ニャンターとしてクエストに行っているので、一人なのだ。

 

 

 

 

 

ずぼっ!

 

「!!!」

手首に空色のリボンを結んだ、アイルーの手が現れた。

 

いつものように持っているカンバンは、からすさんからのメッセージだった。

 

『藍メソ!元気にしているかい?』

 

「・・・・・・!!」

 

一気に頬が熱くなる。

 

つい、ふにゃふにゃしながら、返事を書く。

 

「・・・『ん。今日は、ムァがニャンターに行ってる』・・・よろしくぅ~」

「はいニャ!」

ざかざかざか・・・すぽんっ!

 

嬉しい気持ちと、やっぱり照れくさくて仕方ない気持ちで、カンバンに書き込むためにしゃがんだ、そのままに顔を隠すように丸くなる。

 

「うふふ・・・」

 

 

 

ずぼっ!

 

「!!!」

びくっ!

咄嗟に肩が跳ねて、尻もちをついてしまった。

 

今度は、手首に黄緑のリボン。

らいんアイルーだ。

 

『今、そっちに向かっているから! 明日には着けるはずだよ』

 

・・・!!?!!?

 

「えっ!?・・・え!?ええ!?」

 

「・・・―――――――」

「えぇっ!うそっ!・・・えっ!やだ!?どうしよう・・・!?」

「落ち着いて、お返事をどうぞニャ」

「えぇ!?そんな・・・。そんなこと言われても・・・」

「早くしないと、お届けできなくなっちゃうかもしれないですよ?・・・ニャ」

「あ!そうか・・・」

乗り継ぎの合間に送ってくれているかもしれないもんね。

「・・・うーん」

らいんアイルーに促され、返事を・・・考える。

 

「えっと・・・、うんと・・・」

ペン型ナイフを何度も握り直しながら、悩む。

「うーん・・・。『!!! 〜〜〜♪♪♪ 気をつけてね!』・・・ちょっと、素っ気ないかなぁ・・・」

「・・・」

「うん。でも恥ずかしいから、これで!」

「了解ニャ!」

「お願いねー」

 

ざかざかざか・・・すぽんっ!

 

 

 

・・・・・・・そうか!一応準備しなきゃ!!

 

すぐに立ち上がり、踵を返して家に戻る。

 

 

 

サボり気味の片付けとお掃除を軽くした。

次は・・・、着るものを考える。

高地にあるベルナ村は、温泉地のユクモや入り江になった海の近いドンドルマよりも、大分涼しい。

今回もムーファの毛糸製のニットを何枚か選び出し、ベッドに広げて迷う。

濃いグリーンのひざ丈ニットワンピースにしようかな・・・。

うーん・・・。生成りのロングカーディガンを上に羽織れば丁度いい気がする。

海竜(つまりラギアクルス)の蒼玉のかけらで作ってもらったピアスを着けた。

 

こういう宝玉のかけらが装備の加工の際に出て、アクセサリーにできるのも、ハンターの特権かもしれない。

 

すらりとして、とても(私から見ると特に)背の高いからすさん。

背の低い私は、つい高めのヒールを選びたくなる。

青好きが高じて、明るめの紺に染めて作ってもらった、踝までのハイヒールショートブーツを履いてみる。

 

・・・。

どうなんだろう?これ・・・。

 

今日は、見てくれるスズナやシュナさんも、ムァもいないから、ヘンじゃないか、心配・・・。

 

・・・・・・サブオトモのフェルミを呼んでおけば良かった・・・。

オトモ広場まで、相談しに行こうかな・・・。

 

そう思い立ち、ついそのまま家を出ると、女性の大きな声が飛んできた。

「あらぁ!いつも以上にかわいいじゃない!」

しっかり者の村人が、走り寄って来てくれる。

「!!」

びっくりした上に、恥ずかしくなった・・・。

「もー!びっくりしたー!!恥ずかしいなぁ~」

つられて大きめの声が出た。

にっこにっこしながら女性は言う。

「この前の、背の高い素敵な彼氏が来るの?」

 

あああ・・・・・・・。

もう既に、村中に知られてしまっているのだった・・・。

恥ずかしい・・・。

つい、右手が口元を押さえるように勝手に動いてしまっていた。

 

照れくさいので、質問には答えずに聞く。

「この恰好おかしくない?私、そういうセンス全然なくて・・・」

言ってから気付く。

これじゃ、肯定しているようなものだと・・・。

ああぁ・・・。

「大丈夫よぉ!メソさんなら、何着てもかわいいから!」

「いや!!そうじゃなくて・・・。本気で心配なのよぉ!!」

「ふふ。そりゃ、そうよねぇ~。そういうことって気になるわよね、女って」

そう言って、女性は改めて上から下まで見てくれる。

「うん。大丈夫!似合ってるわよ」

ほぉっ・・・。

「ありがとう!」

結局、彼女と話しながら雑貨屋さんに買い物に行って、雑貨屋さんと女3人、ついつい話に花が咲き、祝福という名の冷やかしのような励ましを散々受けて帰って来た。

 

 

恥ずかしい・・・。

ありがたいけど、恥ずかしい・・・。

 

 

 

着るものも決まったし・・・と、お茶を飲みながらひと息ついて、嬉しさと恥ずかしさで改めてふにゃっとなる・・・。

どうしよ――――――!

冷静に考えれば、今更、どうしようも何もないのだけれど・・・。

堪らずベッドに突っ伏した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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