どこかの世界で織のハッピーエンド   作:トンマのマント

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みなさまご機嫌いかがでしょうかトンマのマントです。
ちょっと書いてみようという軽い気持ちで書き始めましたが、プロローグ、1話目でいきなりつまづきそうになっております。
コンスタントにあげられている方は凄いなと改めて感じました。
今回も字数は少ないですが、ご容赦ください。


1話

退屈な入院生活が続く中で、徐々に自分の状況がわかってきた。

どうやらオレが事故にあったらしく、それから20年ほどが経っているらしい。

一部では生きる屍なんて噂されていたらしいが、自分でもその通りだと感じる。

目を醒まさないまま20年ほどが経つのにもかかわらず、オレの身体は一切老化していなかったという。

心臓は動いていながら、成長も老化もしない。

ただ心臓が動いているだけの生き人形だったらしい。

医者たちはオレの身体に起こった現象や、そも目を醒ましたこと自体にも疑問が残ると言っていたが、どうでもいい。

ただ永い眠りによって生まれた膨大な時差がオレを置き去りにしたという事実だけがオレには残ったのだから。

まるで浦島太郎のようだ。

ただあの童話よりも厄介なのはオレが同じ世界軸にいないということだ。

オレはどうやら別の世界で目を醒ましたらしい。

短絡的ではあるが、式のような女性の身体ではなく、男性の身体になっていたことでそういう結論へと至った。

だがその結論はまたオレに疑問を持たせることとなった。

なぜ別の世界なんてもので目を醒ましてしまったのか。

そもそもなぜ死んでいないのか。

目を醒まして初めのうちはそんな疑問に頭を悩ませたが、これに対する結論は出せずじまい。

これ以上考えても意味がないと結論付け、頭からこの疑問を消し去る。

そんな変わってしまったオレの身体の経過は良好らしく、リハビリに移ったのだがその身体能力は式の身体よりも上がっていた。

これほど順調な快復というのもこれまたおかしいとのことだったが、そんなこともどうでもよかった。

初めのうちは動かすのに違和感を感じた身体ではあるが、リハビリが進めばその違和感も徐々に消えていった。

それはただ身体が動くようになったということではなく、どことなく身体が精神に馴染んだ、というものだった。

身体に問題はない。

自分を取り巻く状況にはもとよりそれほど関心がないため、それも特に問題はない。

そんなことよりも問題があるのはオレの視る『世界』だ。

視界に移るすべてのモノに赤白い線がかかっている。

そしてそれが何かも容易に理解できてしまう。

あれは眠りの中で見続けた、共にあり続けたもの。

 

あれは『死』だ。

 

死は万物に存在する。

そんな常識(こと)はわかりきったものだが、それでもモノを見据えるたびに(それ)を叩きつけられるのは決して喜ばしい事ではない。

どうにかしてこの眼を制御する術を身につけなくてはいけない。

ただ、オレの眼よりも気がかりなのは......。

 

「両儀さん、リハビリの時間ですよ」

 

ノックとともに看護士が入ってくる。

軽い返事をしながら身を起こす。

問題なくリハビリを終え病室に戻る。

このまま数日もすれば退院だと看護士には告げられた。

はっきり言って困っている。

 

かつての世界での出来事(これまで)()の向こうへと消え、この世界での出来事(これから)の道行に光は見えず、自分の現状()でさえ不確かだ。

 

それでもオレはいい。

オレに未来がないことはわかりきっていたことだから。

終わりが少し伸びたというのなら、もう少しだけその猶予を楽しむことにしよう。

だから気になるのは別のこと。

式は彼と幸せになれるのか。

彼らの未来はどう続いていくのだろうか。

叶うなら、あの占い師の視た未来をどうにか垣間見ることはできないか。

そんなありも叶いもしない願いを抱きながら、またベッドに横たわり眠りについた。

 




誤字脱字やご指摘などございましたら、どうかご遠慮なくお願いします。
内容がどうなるかはわかりませんが、これはやりたい、というものがあるのでそれができるまでは頑張って続けるつもりで頑張ります。
もちろん完結を目指したうえでですが...よろしくお願いします。
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